著者
下村 賢人 高島 健太郎 西本 一志
出版者
情報処理学会
雑誌
インタラクション2020論文集
巻号頁・発行日
vol.2P-73, pp.741-745, 2020-03-02

日常生活において,飲酒の際に思いついたアイデアを,翌朝の素面時に発展させることで,より良いアイデアの創出ができることがある.本研究では,飲酒者の出すアイデアを非飲酒者が活用することで,より良いアイデアを生み出せるのではないかと考え,それを検証するものである.近年,既存の概念にとらわれない発想を行う目的で,飲酒の機会を活用しようとする事例が見られる.しかし,飲酒時に創出されるアイデアをどのように活用すべきかについては,十分に検証されていない.そこで本研究では,一人飲みの前後で発散的思考に関する課題を行う実験を実施し,そこで創出されたアイデアの分析を行った.そのうえで,その結果の特徴からいくつかのアイデアを抽出し,非飲酒者に提示してアイデアを生成してもらい,生成されたアイデアの分析を行った.その結果,非飲酒者のアイデアを活用したときと比較して,飲酒者のアイデアを活用したときに実現可能性がやや低下するが,独自性を向上させる可能性があることが示唆された.
著者
小池 孝昌
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.121, pp.2139, 2022-08-31 (Released:2022-09-30)

神奈川大学は,2021年4月に新たに3キャンパス目となるみなとみらいキャンパスを横浜市みなとみらい地区に開設した。このキャンパスの図書館では,本学の調査によれば日本の大学で初となる,スマートフォンアプリによる貸出サービスを導入した。本論文では,まずサービス導入の経緯,貸出アプリの詳細に関して論じた。続けて,貸出方法ごとの貸出件数の比較や,アプリを導入していないキャンパスとの貸出件数の比較,本キャンパスの学部に所属する学生の平均貸出冊数の変化などを調査し,利用者の貸出行動への影響を考察した。
著者
住田 健二
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.42, no.8, pp.691-748, 2000-08-30 (Released:2009-04-21)
参考文献数
5

JCO臨界事故の発生から早くも1年が経過しようとしているが,この事故が与えた衝撃は原子力界全体を揺るがす大きなものであった。日本原子力学会においても,愛媛大学での「2000年春の年会」では多くの専門分野から多角的かつ熱心な討議がなされ,「原子力安全」調査専門委員会や各部会においても学会員の所属を超えた協力関係により,事故の経緯,原因および今後の対応についての解明や模索が続けられた。本「特集」では,これらの努力に基づいた現状での取りまとめを示すとともに,法律,保険など原子力分野以外の方にもご執筆いただき,JCO事故を教訓とした安全性研究への今後の取組みの方向性を考える上での一助となればと願う次第である。

15 0 0 0 OA 簠簋抄 5巻

巻号頁・発行日
vol.[1], 1600
著者
柏木 征三郎 工藤 翔二 渡辺 彰 吉村 功
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.74, no.12, pp.1044-1061, 2000-12-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
25
被引用文献数
27 29

リン酸オセルタミビル (Ro64-0796) は, A型およびB型インフルエンザウイルスの増殖に必須の酵素であるノイラミニダーゼ (NA) に対する強力で選択的な阻害剤オセルタミビル・カルボン酸 (Ro64-0802) のプロドラッグで, 経口投与後速やかにRo64-0802に変換される. 今回, 我々は, 16歳以上のインフルエンザウイルス感染症患者を対象に, リン酸オセルタミビル (Ro64-0796) 1日2回朝・夕食後5日間経口投与時の本剤の有効性および安全性を検討する目的で, プラセボを対照とした第III相二重盲検並行群間比較試験を実施した. 本試験に登録された患者数は316例で, プラセボ投与群162例, Ro64-0796投与群154例であった. このうち治験薬が投与され, かつインフルエンザウイルスの感染が確認された症例 (ITTI: Intent-to-treat infected population) は, プラセボ投与群130例, Ro64-0796投与群122例の計252例であった.その結果, Ro64-0796は, 有効性の主要評価項目であるインフルエンザ罹病期間を約1日 (23.3時間) 短縮させ (p=0.0216, 一般化ウイルコクソン検定), 投与3日目の鼻・咽頭ぬぐい液中のウイルス力価を有意に低下させた (p=0.0009, 共分散分析). さらに, 平熱までの回復時間 (36.9℃以下になるまでの期間) をプラセボに比べ約45%短縮させ, インフルエンザ症状の改善に要する時間の短縮ならびに症状の重症度軽減をもたらした. 一方, 安全性については, 有害事象として, 嘔気, 嘔吐, 腹痛などの胃腸障害が多くみられたが, 副作用の発現率は, プラセボ投与群40.9%, Ro64-0796投与群33.1%と, 両群で有意な差は認められず (p=0.155, x2検定), 臨床的に問題となる臨床検査値異常変動およびバイタルサインの異常も認められなかった.以上の成績から, Ro64-0796は, 臨床的に有効かつ安全な経口インフルエンザ治療薬であると考えられた.
著者
竹田 一旗 丹羽 智美 三木 邦夫
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.104-109, 2015-04-30 (Released:2015-04-30)
参考文献数
18

For efficient use of sunlight, the light-harvesting core antenna (LH1) and the reaction center (RC) form a supramolecular complex (LH1-RC) in photosynthetic bacteria. We determined the crystal structure of a LH1-RC complex from a purple bacterium, Thermochromatium tepidum. The structure reveals that the RC is completely surrounded by 16 αβ-heterodimers. Calcium ions are bound at the periplasmic side of LH1. 32 bacteriochlorophyll and 16 spirilloxanthin molecules form an elliptical assembly in LH1. The pigment geometry involved in the absorption characteristics and excitation energy transfer is determined. In addition, ubiquinone channels and lipid molecules are observed in the complex.