著者
柴田 弘捷
出版者
専修大学人間科学学会
雑誌
専修人間科学論集. 社会学篇 (ISSN:21863156)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.25-42, 2017-03-15

本稿はいくつかの調査データを用いて、日本の非正規雇用者のおかれている状況を、女性パートを中心に、明らかにしようとしたものである。日本の雇用状況は、非正規雇用者の増加と雇用形態の多様化(パート、派遣社員、契約社員、嘱託等)が進んでいる。2015年時点で、雇用者の1/3強の2,000万人、うち女性は1,350万人を超え、女性雇用者の半数強を占めるに至った。女性の非正規雇用者の多くはパートで主婦が多い。その主婦パートは、時給1000円程度で、1日数時間働いているものがほとんどである。年収にすると130万円以下が大半である。これには、税制(扶養家族控除規定)と年金・医療保険制度と大きく関係している。同時に、女性に大きく偏っている家事負担、家計補助程度の収入でよいとする意識、つまり家庭内地位と関係している。この低賃金と雇用の不安定性は、女性パートだけでなく他の非正規雇用者群も同様の状態に置かれている。また、やむを得ず・不本意に非正規雇用に就いている者も少なくない。彼ら/彼女らは、正規の雇用者に変わりたいと思っているが、なかなか正規の職には就けないのが現状である。いわば非正規の固定化(脱出できない)状況で「雇用身分社会」(森岡)となっている。労働世界に「格差と分断」が生じている。この背景には、人件費を節約したいとする企業の労務政策がある。
著者
冨田 千尋 瀧田 愼 福島 和英 仲野 有登 白石 善明 森井 昌克
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2021論文集
巻号頁・発行日
pp.25-32, 2021-10-19

DRAM(Dynamic Random Access Memory)の一つのアドレスにアクセスを繰り返して,その近隣でビット反転を誘発することをRowhammer という.RAMBleed は Rowhammer を利用したサイドチャネル攻撃であり,一般ユーザのアクセス権限がない秘密情報を読み取り可能である.本論文では,OpenSSL により TLS 通信が実装された Apache Web サーバに対して,RAMBleed を用いてサーバの秘密情報の回復できることを明らかにする.まず,OpenSSL および Apache の挙動を解析し,TLS ハンドシェイクを実行する際に,RSA の秘密鍵生成に用いられる 2 つの素数がメモリ上の特定の位置に展開されることがわかった.これらの秘密情報の RAMBleed による読み取り結果には一部に誤りが含まれるが,RSA 暗号の解析手法を用いることで誤りのない秘密情報を回復可能である.我々は,OpenSSL で用いられる RSA 秘密鍵を回復するまでの RAMBleed を含む一連の攻撃を実装し,高い確率で秘密情報を取得できることを示した.
著者
廣瀬 洋子 Yoko Hirose
出版者
放送大学
雑誌
放送大学研究年報 = Journal of The Open University of Japan (ISSN:09114505)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.93-99, 2015-03-20

この論文の目的は、放送大学の障害者支援の現状を紹介することにある。そのために、第一にこの領域の国際的な動きを概観し、第二に、近年の日本の高等教育における障害者支援の進展について議論する。米国、英国、EU諸国、豪州では強力な障害者差別禁止法によって、教育分野での差別が解消されてきた歴史がある。日本においても2013年に障害者差別解消法が成立し、2016年4月から施行されることになった。しかし、その実現のためには、乗り越える課題が山積している。第三に、放送大学の障害者支援、とくにICTを活用した支援について議論する。障害のある学生にとって学びやすい教材や教授法を開発することは、多くの学生にとって有益で、豊かな学びの環境を作り出すことにも繋がっている。
著者
菅原 浩
出版者
長岡造形大学
雑誌
長岡造形大学研究紀要 = Nagaoka Institute of Design Bulletin (ISSN:13499033)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.20-25, 2021-03

Following the previous paper, we made a further research with Izutsu Toshihiko’s philosophical framework of the Non-Articulation and the Articulation into the phenomena that some mature martial artists can control their opponents without any physical force. We discussed the idea of “subtle corporeity” in relation to the concept of “natural body,” how to merge one’s corporeity with that of someone else to achieve the “energetic fusion,” and the spiritual meaning of “central axis” in our corporeity.
雑誌
第一経大論集 = The Economic Review of Daiichi Keizai Daigaku
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.11-26, 1989-06-30
著者
北村 泰一 大道 寓男
出版者
東京大学宇宙航空研究所
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1_B, pp.204-209, 1971-03

資料番号: SA0125405000
著者
山口 博之
出版者
米沢史学会
雑誌
米沢史学 (ISSN:09114262)
巻号頁・発行日
no.36, pp.23-44, 2020-10-20
著者
北村 泰一 小川 徹 Tai-ichi KITAMURA Tohru OGAWA
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.75-80, 1979-03

この論文では,昭和基地におけるHFドップラー法によるTIDの観測が提案されている.TIDの中でも,現在その性質や発生源がよくわかっていない中規模TIDに特にねらいをつけ,送受信局の距離を80-300kmに想定し,重力波の方位と分散を測定して,その発生源の位置を推定し,また,電離層高度における中性大気の温度を評価するのがその主な目的である.具体的な場所を提案し,その費用の概略も算出されている.
著者
坂 翁介 飯島 哲二 糸長 雅弘 石津 美津雄 北村 泰一 Ousuke SAKA Tetsuji IIJIMA Masahiro ITONAGA Mitsuo ISHIZU Taiichi KITAMURA
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.311-319, 1980-02

低緯度(ASO:地磁気緯度22°N)におけるPi 2,PC 4型の地磁気脈動に対する電離層の影響を調べた.地磁気脈動は超伝導磁力計によって測り,電離層のデータはE層,F2層の臨界周波数の時間平均値を用いた.解析の結果,朝方に起こる電離層臨界周波数の増加を境にして,その前後で脈動の偏波軸の方向およびだ円率にちがいが出ることがわかった.つまり南北に主軸をもつ直線偏波が,電離層の出現ののち,だ円偏波へと変化する.この結果は,低緯度地磁気脈動に対して石層が,重要な役割をはたしていることを示している.その役割についてモデルを作り議論した.
著者
藤原 玄夫 北村 泰一 Motowo FUJIWARA Tai-ichi KITAMURA
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.181-190, 1980-03

ライダーによる南極の中層大気圏の探査を提案する.これはYAGレーザーおよびYAGレーザー励起色素レーザーをライダー送信系に用いて,成層圏のエアロゾル,オゾンや中間圏,下部熱圏のアルカリ金属原子,エアロゾル等の微量成分と,大気分子個数密度の高度分布およびその時間的変動を精密に測定しようとするものである.南極のライダー観測は,中層大気圏の組成的,力学的構造のグローバルな理解のためにきわめて重要であり,また,オーロラなどの極域電離圏における電磁気的じょう乱に対する中層大気の応答を調べる上できわめて有意義である.