著者
藤崎 博 岡山 英史 青戸 泉
出版者
佐賀県玄海水産振興センター
巻号頁・発行日
no.3, pp.43-45, 2005 (Released:2012-12-06)

1.アオナマコの稚ナマコ量産飼育において稚ナマコへの照度の影響を考慮し、飼育時の最高照度を体長4mmまでは2,500lux、体長7mmまでは12,000luxに照度調節して飼育した。2. この結果、体長約2mmまでに発生する大量減耗を防止することができ、平均体長8.7mmの稚ナマコを15m3水槽1水槽あたり平均5.7万個体生産できた。
著者
小林 俊将 山口 仁 根田 幸三
出版者
岩手県水産技術センター
巻号頁・発行日
no.7, pp.15-18, 2011 (Released:2012-12-03)

海藻粉末、白陶土、脱脂大豆粉末、魚粉の配合割合が異なる11種類の配合飼料を6~9ヶ月令の稚ナマコApostichopus japonicusに与え、40~42日間の成長を比較したところ、白陶土65%、海藻粉末25%、魚粉10%の餌料を与えた場合が最も成長した。この配合飼料の粗タンパク、粗脂肪、灰分の含量はそれぞれ12.2%、1.4%、74.3%であり、マナマコ飼育には比較的低タンパクの配合飼料が有効であることが示唆された。
著者
小林 俊将 山口 仁
出版者
岩手県水産技術センター
巻号頁・発行日
no.7, pp.19-24, 2011 (Released:2012-12-03)

稚ナマコApostichopus japonicusの生残に対するシオダマリミジンコTigriopus japonicusの影響を調べた結果、稚ナマコがシオダマリミジンコの攻撃に耐性を持つのは体長約3mm以上と推察された。また、珪藻があると、シオダマリミジンコの攻撃による稚ナマコの減耗が軽減される傾向が認められた。また、シオダマリミジンコは水温5℃~20℃の範囲では、水温が高くなるほど生育速度が速くなることが分かった。更に、水温10℃、15℃、20℃で採苗後3ヶ月間飼育した結果、水温20℃の試験区でシオダマリミジンコの大量発生と稚ナマコの大量減耗が観察された。
著者
野口 浩介 野田 進治
出版者
水産総合研究センター
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.131-135, 2011 (Released:2012-12-06)

ナマコ種苗生産で発生するコペポーダの防除法確立のための基礎試験を行った。種苗生産現場で発生するコペポーダはシオダマリミジンコと判定され,0.2個体/cm2の密度では稚ナマコの初期餌料となる付着珪藻は維持できるが,2.0個体/cm2では約7日間で全て摂餌され,体長0.4~1.0mmの稚ナマコはコペポーダ密度0.2個体/cm2以上で斃死することがわかった。付着珪藻を繁茂させたシャーレに稚ナマコとコペポーダを混在させた場合,コペポーダはまず付着珪藻を摂餌し,付着珪藻が減少するまでの期間,稚ナマコが斃死しないことが判明した。また,UV発光するFITC染色した稚ナマコを斃死させたコペポーダを蛍光顕微鏡で観察したところ,脚部付近は強く発光するが,胃や糞では発光せず,この結果から稚ナマコの斃死要因は食害ではなく,接触ダメージであると推測された。
著者
野口 浩介 野田 進治
出版者
佐賀県玄海水産振興センター
巻号頁・発行日
no.6, pp.15-20, 2013 (Released:2014-02-07)

マナマコ種苗生産では,付着珪藻を繁茂させた付着珪藻板に採苗する生産方式飼育を行っているが,この付着珪藻板上にコペポーダが大量に増殖する問題があるため,炭酸ガス通気海水を用いた除去法の開発を行った。まず,コペポーダ,稚ナマコの活動に与える影響を検討し,次に量産規模でのコペポーダ除去法の検討を行った。pH5.2以下の炭酸ガス通気海水に30分間浸漬することで,コペポーダを除去できたが,2時間浸漬すると稚ナマコも斃死することが判明した。また,量産規模でもコペポーダを除去することができたが,除去後約10日間で再びコペポーダが増殖し,注水海水から侵入することが判明した。そこで,注水口に10μmフィルターを取り付けることで,コペポーダの増殖を約25日間遅延することができた。
著者
山浦 啓治 江口 勝久
出版者
佐賀県玄海水産振興センター
巻号頁・発行日
no.7, pp.1-4, 2015 (Released:2016-01-20)

付着珪藻を餌料とした稚ナマコ飼育時における適正照度を明らかにするため,照度(遮光率)の異なる3~4区の飼育試験区を設定し,各試験区での稚ナマコの成長と生残を比較した。その結果,アカナマコ,アオナマコの飼育試験に共通して,飼育時の照度が高いほど(遮光率が低いほど)生残,成長共に良くなるという結果が得られた。遮光率別の各試験区の付着珪藻の種類,細胞密度,被覆度を調べた結果,稚ナマコの餌料として適する種類の量は照度が高いほど多く,このことが飼育結果に反映していると考えられた。
著者
江口 勝久
出版者
佐賀県玄海水産振興センター
巻号頁・発行日
no.7, pp.81-97, 2015 (Released:2016-01-20)
著者
木原 稔 田本 淳一 星 貴敬
出版者
水産総合研究センター
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.39-43, 2009 (Released:2011-07-26)

マナマコへの給餌方法の検討を目的に、ワカメ粉末、ワカメ粉末と砂粒、および砂粒を水槽底面に散布し、マナマコに70日間給餌した。その結果、砂粒+ワカメ粉末区では糞塊が高い頻度で確認でき、生残率も高く(73%)、体重も実験開始時に比べ2.2倍に増加した。砂粒区では糞塊は確認できず、ワカメ粉末区では糞塊は確認できたものの、飼育開始後30日目での生残率は2区ともに20%以下であった。以上より、ナマコには微粒子の栄養物質に併せて砂粒を投与することで、給餌効果を高められると考えられた。
著者
中島 幹二 合田 浩朗
出版者
北海道立総合研究機構水産研究本部
巻号頁・発行日
no.87, pp.71-79, 2015 (Released:2015-06-24)

北海道宗谷周辺海域から得られたマナマコを用いて,体重や消化管長の季節変動を調べた。体重に対する内臓重の割合は,10月に最低値を示した。体重に対する腸長の割合も同様に10月に最低値を示し,この時期に内臓のリセット(内臓を新しくする)が行われていることを示唆した。殻重に対するその乾燥重量の割合は,夏季に最低値を示した後,8~9月の間に急激な上昇が認められ,秋季に最高値となった。このことは夏季から秋季にかけて体壁構成成分量の大きな減少があることを意味している。これらより,本種は,1年の中で内臓や体壁構成成分量の劇的な変動を毎年繰り返しながら成長していることが明らかとなった。
著者
江口 勝久
出版者
佐賀県玄海水産振興センター
巻号頁・発行日
no.7, pp.5-9, 2015 (Released:2016-01-20)

稚ナマコ飼育工程における付着珪藻と併用効果の高い餌料を明らかにすることを目的とした餌料試験を実施した。当センターの飼育方法に依った着底直後~15日程度までの餌料としては,用いた3種(浮遊珪藻,海藻粉末,付着珪藻粉末)の餌料の中で,浮遊珪藻が適すると考えられた。また,着底後15日以降の餌料としては,海藻粉末のマコンブ粉末が適すると考えられた。今後,マコンブ粉末を主体とし,他の成分の添加等を検討し,稚ナマコ用配合餌料の改良を行っていく予定である。
著者
松野 進
出版者
山口県水産研究センター
巻号頁・発行日
no.1, pp.65-71, 2002 (Released:2011-03-05)

稚ナマコへのテトラサイクリン(TC)による標識方法を検討した結果、TCを餌料に約10%添加して約2週間経口投与することにより、またはTC濃度100ppmで4日間、浸漬投与で囲食道骨が最も安定して標識されることが分かった。標識した稚ナマコを海域に放流し、追跡調査を行った結果、161日後に標識の確認ができ、従来、唯一有効とされてきた焼き印標識より約2ヶ月間有効期間が長かった。ナマコが約125mm程度に成長して標識部位に新たな骨組織が厚く被った場合には囲食道骨の直接検鏡によるTC標識の識別は困難となるため、有効期間は成長状況にもよるが、半年間と推察された。放流から161日後にTC標識が確認できた再捕個体群の可食部からは、細菌に対して活性を有するTC系抗生物質は検出されなかった。
著者
友田 清彦
出版者
東京農業大学農業経済学会→食料・農業・農村経済学会 (121号-)
巻号頁・発行日
no.106, pp.1-12, 2008 (Released:2011-01-27)

近代日本における勧農政策の本格的な展開は、明治6年(1873)11月における内務省の創設、および明治7年(1874)7月における同省勧業寮の設置をもって開始される。内務省期における勧農政策展開の担い手となった農政実務官僚のうち、最上層部を形成する官僚の多くは、明治4年(1871)から同6年(1873)にかけて行われた岩倉使節団の米欧回覧、および明治6年に開催されたオーストリアのウィーン万国博覧会に直接関係を有する人々であった。岩山敬義、田中芳男、佐々木長淳、池田謙蔵、関沢明清、前田正名、井上省三などであり、彼らの人的なネットワークこそが、内務省期における勧農政策展開の推進力となったのである。本稿では、彼ら内務省の農政実務官僚に焦点をあて、彼らによって勧農政策がどのように展開されていったのかについて明らかにした。
著者
奥代 直巳 松本 亮司 生山 巖
出版者
農林水産省果樹試験場
巻号頁・発行日
no.21, pp.51-57, 1991 (Released:2011-03-05)
著者
柴崎 博行 八木 ひろみ 中 久美子
出版者
香川県産業技術センター
巻号頁・発行日
no.8, pp.86-88, 2008 (Released:2011-02-04)

高齢者の乾燥肌(ドライスキン)に対するオリーブオイル塗布の効果について検証した。皮膚の水分量、保湿性が低下した高齢者に対して、オリーブオイルの継続的な塗布は皮膚水分量の増大及び水分蒸散を抑制(バリア性向上)することが示唆された。
著者
國崎 貴嗣
出版者
[岩手大学農学部]
巻号頁・発行日
no.47, pp.49-58, 2016 (Released:2016-11-22)

単純無作為抽出法により,標本の大きさ96個(スギ79林分,アカマツ12林分,カラマツ5林分)の標本が得られた。間伐時の林齢における中央値は38年,本数間伐率における中央値は48%,間伐直後の推定相対幹距における中央値は18.6%であった。信頼度95%で母比率の信頼区間を推定すると,強度間伐実施から5~8年が経過した母集団全体のうち,下層植生被度が4以上であった林分割合は81~94%であった。また,低木層が形成された林分割合は62~80%であった。強度間伐実施後5~8年の場合,経過年数が1年増えるごとに,下層植生被度が4未満になりやすく,また,樹種がアカマツ・カラマツの場合,スギよりも低木層が形成されやすかった。