著者
大谷 正人 オオタニ マサト OTANI Masato
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 人文・社会科学 (ISSN:03899241)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.1-10, 2004-03-31

ベートーヴェン、スメタナ、フォーレという3人の大作曲家(3人とも名演奏家でもあった)における聴覚障害の創造への影響を検討した。ベートーヴェンの場合、聴覚障害は名ピアニストとして社交界での寵児でもあった青年期に発症したこともあり、遺書を書くほどの衝撃をもたらしたが、その不屈の精神により、主題の徹底的展開によるソナタ形式の完成をもたらした。スメタナの場合、オペラの指揮者としても活躍していた最盛期に急激に発症し、わずか4ヶ月で完全に聴力を失ったこと、その後には器質性精神障害を伴ったことから、最も悲劇的な様相を呈したが、同時に「わが祖国」や「わが生涯より」のような自伝的な不滅の傑作をもたらした。フォーレの場合、初老期における発症で進行も徐々であったため、その影響は表面的にはまだ穏やかで、声部の中音域化やポリフォニー化などをもたらした。3人に共通しているのは、音楽の深化、凝集化、内省化であった。
著者
谷口(藤本) 麻起子 金綱 知征 タニグチ(フジモト) マキコ カネツナ トモユキ Makiko Taniguchi(Fujimoto) Tomoyuki Kanetsuna
雑誌
聖泉論叢
巻号頁・発行日
no.20, pp.1-10, 2013

関西圏私立四年制大学在籍の学生187名を対象とした『大学において「心理学」を学ぶことの期待』に関する質問紙調査,及び同20名を対象とした『大学の専攻動機と,その変化過程』に関する半構造化面接調査を実施した.心理学系学生は非心理学系学生に比べて,資格取得を心理学に期待する傾向や,他者の問題解決のための能力獲得を期待する傾向が示されたことから,心理学を学ぶことで臨床心理士をはじめとする対人援助職を志している可能性が推測された.一方面接調査において,「内的なもののため」という動機が心理学系学生にのみみられたことに加えて,「仕事のため」,「適性のため」という動機も,他者理解や他者援助が主軸として置かれていたわけではないことから,動機の側面からみた心理学への期待は他者理解・他者援助よりもむしろ,自己理解・自己援助のためといえた.考察では,これらの質問紙調査と面接調査の結果の矛盾について検討した.
著者
桶谷 猪久夫 前川 武 オケタニ イクオ マエカワ タケシ Ikuo Oketani Takeshi Maekawa
雑誌
国際研究論叢 : 大阪国際大学紀要 = OIU journal of international studies
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.49-62, 2007-01-31

The Engishiki is a 50-volume code of regulations comprising 3,300 criminal laws ( ritsu )and administrative and others laws ( ryo )compiled by order of EmperorDaigo by Fujiwara no Tokihira from 905( Engi 5 )and mostly completed by 927 ( Encho 5 ). The ninth and tenth volumes are called Engishiki Jimmyocho and theshrines registered in these are called Shikinaisha , of which there are 2,861 nationwide, enshrining a total of 3,132 deities. A database was constructed linking the names of the shrines registered in theEngishiki , their current names, the names of the regions, provinces and counties, and other location information. The Shikinaisha are significant for understanding the origins of Japanese culture,the fromation of the state, and in the study of the Heian period.
著者
大平 修司 薗部 靖史 スタニスロスキー スミレ
出版者
日本商業学会
雑誌
流通研究 (ISSN:13459015)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.61-89, 2015 (Released:2016-05-31)
参考文献数
61
被引用文献数
3 2

本研究の目的は,混合研究法を用いて,東日本大震災後の日本で,消費を通じて社会的課題の解決を図るソーシャル・コンシューマーの意思決定プロセスを明らかにすることにある。具体的には,まずアンケート調査に基づき,寄付などの実施というシビック・アクションと寄付つき商品などの購入というソーシャル・コンサンプションによる過去の社会的課題解決行動を変数として,消費者を 3 つのクラスタに分ける。次にクラスタごとのデモグラフィクスにおける特徴を比較する。さらに行動統制を有効性評価と入手可能性評価に置き換えた計画的行動理論モデルを用いて,クラスタごとの寄付つき商品の意思決定プロセスの違いを検討する。最後にインタビュー調査と現実の事例に基づいて,分析結果のマーケティング戦略への示唆を検討する。分析では,定量分析と定性分析による混合研究法を用いた。まず上記モデルを用いて,アンケート調査によって得られたデータの全サンプルを対象とした共分散構造分析を実施した。その結果,主観的規範のみ,統計的に有意とならなかったが,行動に対する態度と有効性評価,入手可能性評価は意図に影響を与える点が明らかとなった。次に過去の社会的課題解決行動を用いて,クラスタ分析を実施し,サンプルを現在のソーシャル・コンシューマー層と潜在的ソーシャル・コンシューマー層,無関心層に分け,χ2検定と残差分析,分散分析を実施したところ,クラスタ間のデモグラフィック変数に差が認められた。さらに多母集団同時分析を実施し,クラスタ間で意思決定プロセスが異なる点が明らかとなった。最後にグループインタビューの結果と現実の事例を用いて,本研究の分析結果から得られた寄付つき商品のマーケティング戦略への示唆を議論した。
著者
スタニスラフ・レム 作
出版者
岩崎書店
巻号頁・発行日
1962

ツングースのいん石から発想した金星探険隊の物語。ポーランドの空想科学小説家の作品を少年少女向きに訳す。 (日本図書館協会)
著者
谷沢 永一 タニザワ エイイチ
雑誌
樟蔭国文学
巻号頁・発行日
vol.17, pp.1-10, 1979-10-10
著者
福田 幸朔 セイハン ムハメット ガングリー チャニタニモニー
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.25, 2006

全世界の発電炉の使用済み燃料から分離されるプルトニウム(Pu)及びマイナー・アクチナイド(MA)、及び貯蔵中の使用済燃料に含まれているPu及びMAの蓄積量をIAEAの核燃料サイクル計算コードによって2050年までのタイムラインで予測した。最も可能なシナリオにおいては、2050年の時点で世界中の全Pu蓄積量は約7000トン、MA量は約1240トンと予測された。
著者
葛谷 恒彦 松口 貴子 籾谷 真奈 北尾 悟 杉谷 義憲 カズヤ ツネヒコ マツグチ タカコ モミタニ マナ キタオ サトシ スギタニ ヨシノリ Tsunehiko KAZUYA Takako MATSUGUCHI Mana MOMITANI Satoshi KITAO Yoshinori SUGITANI
雑誌
大阪樟蔭女子大学学芸学部論集
巻号頁・発行日
vol.42, pp.97-105, 2005-03-08

生活習慣病の発症・進展に深くかかわる"活性酸素"に着目し、活性酸素を除去する働きがある抗酸化物質が生体内でどのように作用するかを明らかにする目的で、ヒト細胞を用いて酸化障害モデルを作成し、抗酸化物質の細胞障害抑制効果の解析を試みた。 ヒト臍帯静脈血管内細胞を培養し、コンフルエントになったプレートの細胞に活性酸素種(H_2O_2、クメンヒドロペルオキシド)を添加し、濃度・時間依存性に進行する細胞死をLDHアッセイにより測定した。自然死、Tween20による細胞死(100%細胞死)を基準として、細胞障害率を求めた。 酸化傷害を与えた結果、H_2O_2では、0.1mM、0.5mMの負荷で酸化障害率が10%以下、1mMで時間に関係なくほぼ40%、5mM、10mMで50%を超え、1時間後が最も高い数値を示した。クメンヒドロペルオキシドでは、0.1mM、0.5mMの負荷で酸化障害率が20%以下、1mMで70%以上、5mM、10mMでほぼ100%近い値を示し、反応時間別に見ると、全ての濃度で3時間後が最も高い数値を示した。