著者
新谷 龍太朗 Shintani Ryutaro シンタニ リュウタロウ
出版者
大阪大学大学院人間科学研究科教育学系
雑誌
大阪大学教育学年報 (ISSN:13419595)
巻号頁・発行日
no.16, pp.147-161, 2011-03-31

本稿は、格差是正の制度として導入された総合選抜制度を学力・学習意欲格差の文脈から捉えなおし、特に進学アスピレーションと文化資本の関係からその影響をログリニア・モデルを用いて検証する。用いるのは中澤(2008)「進学アスピレーションに対するトラッキングと入試制度の影響」(東洋大学社会学部紀要 第46- 2 号)のデータであり、本稿は同データをSSJDAより使用の許可を受けた二次分析の位置づけとなる。中澤はログリニアモデルを用いた分析を行い、総合選抜制度のもとでは進学アスピレーションと中3 時成績の関連が比較的弱まることを示し、総合選抜制度には生徒のやる気を維持し中3 時の成績を越える進学成果を生む可能性があることを指摘した。本稿では、この結果を家庭階層の観点から再考し、中3 時成績に代えて文化資本を変数として同様のログリニアモデルによる分析を行い、文化資本と進学アスピレーションの関連が中澤の分析同様に弱まるのかを検証した。その結果、文化資本として用いた指標に限界はあるが、総合選抜制度のもとでは進学アスピレーションと文化資本の関連が強まり、むしろ文化資本による進学意欲格差が生まれる可能性を指摘した。また、特に文化資本の中間層において進学意欲が低下する傾向にあることを示した。
著者
谷 由美子 山本 命子 深谷 幸子 青木 みか タニ ヤマモト フカヤ アオキ Y. TANI N. YAMAMOTO S. FUKAYA M. AOKI
雑誌
名古屋女子大学紀要 = Journal of the Nagoya Women's College
巻号頁・発行日
vol.24, pp.93-102, 1978-03-15

"1.リノール酸またはコーンオイル添食による脂肪酸の生体内における挙動 リノール酸5g摂取によって血清のリノール酸は低下しアラキドン酸が4倍以上に増加した.しかしコーンオイル60g摂取によって,血清脂肪酸組成はアラキドン酸がやや減少しステアリン酸とオレイン酸は増加した.この相違については今後検討するつもりである.皮膚分泌物の脂肪酸組成は,リノール酸またはコーンオイル添食によっていずれもほとんど変動なく,パルミテン酸が30~40%をしめ次にステアリン酸,アラキドン酸が多く,いずれの場合も血清には不飽和脂肪酸が多く皮膚分泌物は大部分飽和脂肪酸よりなっていた.即ち血清成分がそのまま皮膚に浸透して分泌されるのではなく,汗腺,皮脂腺などで選択されて分泌されると考えられる.尿中脂肪酸組成はオレイン酸,ステアリン酸,パルミチン酸が多く,バルミトレイン酸は個体差が大きかった.必須脂肪酸は血清に比べて少く,コーンオイル摂取によって血清中の必須脂肪酸はほとんど変動しなかったが,尿中多価不飽和脂肪酸は増加した.2.リノール酸またはコーンオイル添食による血清脂質成分の変動 CHはいずれの場合も減少し,特にコーンオイル添食で著しく,従来血中のCHを低下させる因子の1つとして高度不飽和脂肪酸を含む植物油がよいとされている事実を裏付けた.CHを約48%含むβ-LPも同様に食後減少がみられた.TGは食後3時問に有意に増加した.これらの現象はリノール酸5g摂取よりもコーンオイル60g摂取の場合の方がその影響は顕著であった."
著者
シブタニ タモツ 後藤 将之
出版者
成城大学文芸学部
雑誌
成城文藝 = The Seijo Bungei : the Seijo University Arts and Literature Quarterly (ISSN:02865718)
巻号頁・発行日
no.250, pp.55-34, 2019-12-27

本論は、Tamotsu Shibutani, "Reference Groups and Social Control," in Arnold M. Rose (Ed.), Human Behavior and Social Processes: An Interactionist Approach, Houghton Mifflin and Routledge, 1962, pp.128-146. の全訳 (翻訳: 後藤将之) である。
著者
斉藤 悦子 川谷 旺未 サイトウ エツコ カワタニ アキミ Etsuko SAITO Akimi KAWATANI
雑誌
清泉女子大学人文科学研究所紀要
巻号頁・発行日
vol.38, pp.54-72, 2017-03-31

1860年、南北戦争開戦前夜のアメリカに幕末の日本から遣米使節団が訪れ、そのワシントン到着の様子はニューヨークの主要メディアでも大々的にとりあげられた。その中でもふんだんなイラスト付きで報じたハーパーズ・ウィークリー紙には、一般的な記事のほかにも、風刺漫画や漫談風の記事なども掲載された。本稿は1830年代からアメリカジャーナリズムの中でひとつのジャンルとして人気のあった、架空の「田舎者」的人物がなぜか歴史的瞬間に立ち会って親戚に見聞録の手紙を送る、というスタイルのコラムを訳出、注釈したものである。判読の難しいvernacularで書かれた時事放談を、まず判読して標準英語に直し、注をつけて日本語に訳出した。遣米使節団がニューヨークの庶民に向かってどのように伝えられたか、という資料として紹介したい。 On the Japanese Embassy's arrival in Washington in 1860, various media in New York responded with cover stories and feature articles. In the May 26th issue of Harper's Weekly, a vernacular parody, based on the "Major Jack Downing" letters created by Seba Smith in the 1830s, appeared as a nearly identical letter home written by Major Downing's nephew Benjamin. It is a Forrest Gump-ish account of a young lad suddenly chosen as the master of ceremony to receive the Foreign Embassy. This vernacular letter displays much of how the general public felt on their first contact with the Japanese. Since the vernacular style is difficult to encode and the text is full of political connotations specific to the eve of Civil War, it may be worthwhile to annotate and translate it into Japanese as a source for research on the Japanese Embassy of the Manei era in the late Edo period.
著者
粟谷 佳司 アワタニ ヨシジ Yoshiji AWATANI
雑誌
大阪産業大学経済論集
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.105-116, 2005-02-28

This paper argues the question of 'space' on Media and Cultural Studies especially from Jody Berland's reconsideration to Toronto Communication School like Marshall McLuhan or Harold AJnnis. In addition, we consider her insight into the problem of Globalization between the USA and Canada. McLuhan was criticized as technological determinism from Raymond Williams. Berland, However, reconsiders McLuhan's media theory and Innis's communication theory in terms of her "cultural technologies" and "social space" . The concept of "cultural technologies" means the combination culture with technology that derived from dialogue with McLuhan. She called "social space" from reading of Henri Lefebvre's 'the production of space'. From this point of view, we discuss the emergency of Canadian culture by the impact on global American hegemony.