著者
田中 大輔
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.130, no.3, pp.315-323, 2010 (Released:2010-03-01)
参考文献数
19
被引用文献数
4 5

Fragment-Based Drug Discovery (FBDD) has been recognized as a newly emerging lead discovery methodology that involves biophysical fragment screening and chemistry-driven fragment-to-lead stages. Although fragments, defined as structurally simple and small compounds (typically <300 Da), have not been employed in conventional high-throughput screening (HTS), the recent significant progress in the biophysical screening methods enables fragment screening at a practical level. The intention of FBDD primarily turns our attention to weakly but specifically binding fragments (hit fragments) as the starting point of medicinal chemistry. Hit fragments are then promoted to more potent lead compounds through linking or merging with another hit fragment and/or attaching functional groups. Another positive aspect of FBDD is ligand efficiency. Ligand efficiency is a useful guide in screening hit selection and hit-to-lead phases to achieve lead-likeness. Owing to these features, a number of successful applications of FBDD to “undruggable targets” (where HTS and other lead identification methods failed to identify useful lead compounds) have been reported. As a result, FBDD is now expected to complement more conventional methodologies. This review, as an introduction of the following articles, will summarize the fundamental concepts of FBDD and will discuss its advantages over other conventional drug discovery approaches.
著者
小倉 拓郎 水野 敏明 片山 大輔 山中 大輔 佐藤 祐一
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
pp.22-00012, (Released:2023-09-06)
参考文献数
37
被引用文献数
1

河川管理事業において,従来の掘削事業は,定型形式で施工管理されることが慣例であったが,近年は河川環境への配慮が重視されてきたことから,中小河川であっても定型形式の技術指針と異なる掘削方法が必要とされている.そのためには,河道の三次元情報を詳細に把握し,綿密な測量計画を立案する必要がある.そこで本研究は,滋賀県を流れる A 川において,希少種に配慮した掘削事業を対象とし,RTK-UAV を用いて効率的に掘削土砂量を把握する方法について検討した.RTK-UAV を用いることで,河道掘削範囲に立ち入ることなく 10 分程度で撮影することができた.また,河道掘削事業前後の測量成果から差分解析を試みた結果,8,851.08 m3の掘削土砂量が算出された.この値は,施工者が算出した掘削土砂量である8,332 m3 に近い値を示した.RTKUAV を用いた地形測量成果から差分抽出を行う際には,写真測量が不得意としている水域,植生などの扱いに留意する必要がある.とくに,植生高は植生被覆の異なる 2 点の標高差を用いて概算で計算し,体積を計算した.総じて,RTK-UAV を用いた掘削土砂量の算出方法は,測量の設定や植生に留意することで,実務レベルで使用できることが明らかとなった.
著者
村上 仁 石川 尚子 宮本 英樹 野中 大輔
出版者
日本国際保健医療学会
雑誌
国際保健医療
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.299-308, 2009

<b>目的</b><br>&nbsp;本稿は、2009年3月、日本国際保健医療学会東日本地方会にて実施した、「感染症対策と保健システム」ワークショップと、それに続くオープンフォーラムの討議内容を報告する。<br><b>方法</b><br>&nbsp;ワークショップではまず、1)ラオスの村落ベースのマラリア対策の現状と今後、2)ラオスの母児ユニットへの妊娠期から乳児期までの継続ケアアセスメント、3)タイとザンビアの地域ベースでのHIVに対する抗レトロウイルス治療展開と保健システム強化、4)カンボジアのワクチンと予防接種のための世界連合(GAVI)による保健システム強化支援の4つの話題提供が行われた。その後、1)疾病対策プログラム(主に感染症)を進める際に認識される保健システムの問題点、2)保健システム強化の視点から見た疾病対策プログラムの問題点、3)疾病対策プログラムは保健システム強化にどのように貢献しうるかの3点を討論した。合計30の論点や経験が表出された。しかし、限られた時間内では、実効的な論理構築が困難であるため、2009年5月末日までの枠組みで、著者4名とワークショップ参加者のうち希望者を主体とする謝辞に記された22名が、インターネットを通じたオープンフォーラムにてさらなる論点を収集し、それを取りまとめた。その結果、23の追加的論点や経験が表出された。<br><b>結果</b><br>&nbsp;第一に、感染症対策などの疾病対策プログラムを進める際に認識される保健システムの問題点として、1)保健医療人材の量と質の圧倒的な不足、2)保健インフラや物資の不足、3)地域レベルで実施可能な技術内容の制限(感染症の場合、特に検査技術)の3点が認識された。第二に、保健システム強化の視点から見た疾病対策プログラムの問題点として、1)複数の疾病対策プログラム間ならびにそれを支援するドナー間の協調の欠如、2)地域レベルの保健ワーカーの多重・過重業務(特に保健情報の記録、報告業務)、3)疾病対策プログラムの対象と地域保健ニーズの乖離、4)疾病対策プログラムが行政能力強化に十分貢献していないこと、5)疾病対策プログラムの推進に伴う保健資源やサービス便益の偏在化、6)プログラム間の物的資源の共用が阻害されていることの6点が挙げられた。第三に、疾病対策プログラムを通じた保健システム強化の具体策として、1)保健システム強化のための資源創出、2)セクターワイドな事業管理モデルの提示や、基本的な骨組みの提供、3)プログラムの実施、特にトレーニング機会を利用した行政能力強化、4)末端保健スタッフの給与補てん、5)資機材(ハードウェア)ならびにソフトコンポーネント成果物の提供の5点が挙げられた。<br><b>結論</b><br>&nbsp;上記に述べられたような、現実的な保健システム強化策を模索しつつ、保健システムの全体像とその政策的妥当性を、途上国側のステークホルダーとともに模索する巨視的な視点を合わせ持ち、議論と実践を進める必要がある。
著者
田中 大輔
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
MEDCHEM NEWS (ISSN:24328618)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.171-176, 2020-11-01 (Released:2021-05-01)
参考文献数
5

2012年英国で誕生したExscientiaは、人工知能(AI)創薬における世界のフロントランナーである。本年1月には大日本住友製薬との共同研究で生み出された化合物が臨床試験入りし、世界で最初のAIがデザインした治験薬として多くのメディアに採り上げられるなど、その実力と実績を「成果物」として世に知らしめた。その結果、ExscientiaはAIによるドラッグデザインをする企業であると理解されがちであるが、それは主要であるものの一部に過ぎない。Exscientiaではドラッグデザインに止まらず、これから注目される新規標的分子の提案にもAIを活用している。筆者らのAI創薬プラットフォームを紹介するとともに、世界のAI創薬の最前線に身を置く立場からこれからの創薬化学者のあり方についても私見を述べてみたい。
著者
野中 大輔 脇田 哲郎
出版者
福岡教育大学大学院教育学研究科教職実践専攻(教職大学院)
雑誌
福岡教育大学大学院教育学研究科教職実践専攻(教職大学院)年報 = Bulletin of University of Teacher Education Fukuoka Graduate School of Education Division of Professional Practice in Education (ISSN:21860351)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.101-108, 2022-03-22

本研究は、学級担任の学級活動(1)に関する実践的指導力向上に寄与する教員研修の在り方を究明することを目指し、学級会デジタルコンテンツを活用した教員研修を実施し、効果を検証した。研究では、実践的指導力を自己評価する質問紙として学級会セルフチェックシートを開発した。その開発過程では、質問紙のデジタル化や探索的因子分析を実施し、教員研修において学級会デジタルコンテンツがより効果的に活用できるようにした。公立小学校2校で教員研修を実施した結果、参加者の研修満足度が高く、学級会デジタルコンテンツについても好意的な意見が多く見られた。また、教員研修後に約半年のコンテンツ視聴期間を設けたのち、再度実施した実践的指導力の調査では「自治性マネジメント」因子が有意に向上していた。このことから、本研究で実施した教員研修の効果が示唆されたものと考察した。
著者
田中 大輔 石光 俊介
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
Dynamics & Design Conference
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

<p>Every year the City of Hiroshima holds the Peace Memorial Ceremony to console the souls of those who were lost due to the atomic bombing as well as pray for the realization of everlasting world peace. Since the ambient noise of this ceremony is very loud, these noise was tried to reduce using a passive method and Active Noise Control (ANC). There are some problems that audiences or TV crews cannot catch the meanings of presenter's messages such as the Prime Minister's, because of ambient noise. To reduce these noises, tents were prepared in the venue. There were also useful for protect people from the strong suns. The difference between the sounds near the loudest place in the park and those in the venue was measured to confirm the effectiveness of each countermeasure. The one of the loudest noise came from an opposite bank of the river. Though the noise was detected at the river side, it was not detected in the venue. As a result, the noise in the venue was reduced by 15 dB owing to each countermeasure. As most of the noise are speech, a 6-second young woman's voice was used as the noise source and reference signal in the ANC test of this study. Noise source includes the high frequency components up to 4000Hz. High-speed signal processing was required to reduce the noise that has high frequency components and changes its amplitudes rapidly. FPGA with a clock of 40MHz was selected for the fast signal processing. Filtered-x LMS algorithm was used in the ANC, and sampling frequency was 15 kHz and adaptive filter coefficients were set to 3000 tap. As the results of control, the noise was reduced by 10dB in 500Hz to 5000Hz.</p>
著者
北村 由羽 寺戸 えみ 田中 大輔
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第42回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.1P25, 2019 (Released:2019-10-22)
参考文献数
3

金属-有機構造体 (MOFs) の合成においては, 反応条件のわずかな違いにより様々な 反応状態を経由するため, 結晶構造が異なる結晶生多形が多数生じる可能性がある. 特 に, ランタノイド金属 (Ln) を中心に持つ Ln–MOFs は複数の結晶多形が存在する. 合 成におけるパラメーターは無数に存在し, これらの要素は複合的に影響するため, その 影響の評価が困難であり, 結晶多形を選択的に合成するためには試行錯誤に基づく実 験が必要不可欠であった. 本研究では, 機械学習を活用し, Ln–MOFs 合成における支 配的因子を統計的に評価することを目指した. 実際に, 溶液の濃度, 反応温度や時間, 金属の種類など様々な条件を組合せソルボサーマル合成を行い, 実験データの収集を 行い, 実験結果に対して決定木学習を行った. その結果, 合成に影響を及ぼす支配的因 子はランタノイドの試薬会社であることが明らかとなり, 試薬中に含まれるわずかな 不純物の存在が結晶化に影響を及ぼすことが示唆された.
著者
中 大輔
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2012

積雪は春先に安定した水資源を供給する.一方,融雪出水の要因でもある.近年の地球温暖化は冬季の降雪を降雨に変え,冬期の流出量増加と春先の流出量減少が指摘されている.したがって,対象流域内における積雪を広域で把握するとともに,積雪の変動が河川流量に及ぼす影響を明らかにする必要がある.特に中国地方は暖地性積雪のため,湿雪である.そのため,積雪深ではなく,積雪深と積雪密度を考慮した積雪水量を正しく把握しなければならない.衛星データと積雪モデルを用いた積雪水量の広域推定手法が検討されている.積雪モデルは降雪モデルと融雪モデルで構成され,融雪モデルとして,Degree-Day法を適用した.しかしながら,中国地方は暖地性積雪であるため,積雪の日変化が大きく,日積雪水量の推定精度が十分でないことがわかっている.そこで,本研究では,次の3つを進め,積雪水量が冬期河川流量に及ぼす影響を解明する予定である.まず,①積雪モデルを改良し,積雪水量の推定精度を向上させる.次に,②改良した積雪モデルと衛星データを用いて,対象流域内の積雪水量の広域推定を行う.そして,③河川流量の観測結果と比較することで流域内の積雪水量の変化が冬期河川流量に及ぼす影響を把握する.本稿では,①の積雪モデルの精度向上に着目し,積雪モデルに関する先行研究をレビューし,降雪モデルと融雪モデルを整理するとともに,各モデルが中国地方に適用可能かどうかを検証することを目的とする.
著者
伊東 淳一 藤井 崇史 星野 哲馬 小高 章弘 佐藤 以久也 田中 大輔
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌. D, 産業応用部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. D, A publication of Industry Applications Society (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.128, no.8, pp.1005-1012, 2008-08-01
参考文献数
12
被引用文献数
4 9

This paper proposes analysis a dead-time error voltage compensation method with a disturbance observer for vector control, and analyses the proposed method. The dead-time compensation is very important to improve performances in the low speed region. The proposed compensation method is composed in the d-q rotational frame with the disturbance observer. As a result, a disturbance transmission characteristic becomes same as a high-pass filter. Then a stability of the proposed controller is hardly affected by controller parameters. In this paper, the validity of analysis is confirmed by experimental results under some conditions. The experimental results are similar to analyzed characteristics and indicate a validity of the analysis results.
著者
田中 大輔 大鐘 武雄 小川 恭孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.82, no.11, pp.2133-2141, 1999-11-25
被引用文献数
39

同一チャネル干渉除去技術として基地局にアダプティブアレーを用いたSDMA方式を検討した.SDMA方式においては,所要の誤り率特性を得られない場合も起こりうるので,チャネルの割当可否を事前に,かつ容易に判断する手法が必要となる.ユーザからの信号が特定の到来方向を有する場合には,アレーの応答ベクトルによって与えられる空間相関を用いる手法が考えられる.本論文では,2ユーザ及び3ユーザにおけるチャネル割当基準を検討した.このとき空間相関値はそれぞれ一つまたは三つ与えられるが,2ユーザの場合は各ユーザの平均SNRと相関値が割当基準となり,3ユーザの場合は各ユーザの平均SNRと三つの相関値の積と2乗和の関係が割当基準となることが明らかとなった.また,3ユーザの場合に孤立セルにおいて呼損率特性を評価した結果,SDMAを用いない場合と比較して収容トラヒックはおよそ3.5倍まで上昇することが明らかとなった.