著者
中山 茂
出版者
日本科学史学会
雑誌
科学史研究 (ISSN:21887535)
巻号頁・発行日
vol.41, no.223, pp.156-162, 2002 (Released:2021-08-13)

私はこれまで興味に任せて科学史の中でもいろんな分野に手を出してきたが,自分で評価してみて,自然科学的に見て,もっともはっきりした業績だと思うものは,ともに若い頃初出として『科学史研究』に載せた「消長法の研究」(I)1963.4-6:(66): 68-84, (II)1963.7-9:(67):128-130, (III)1964:(69):8-17と「符天暦の天文学史的位置」1964:(71):120-122の二つである.問題のかなりインターナルな性質上,これらはともに『科学史研究』に載せるべき,あるいは他では載せてくれない,典型的な仕事と思うので,これらを中心として,その後の発展や影響,将来の方向,私の感想(と自慢話)を述べてみよう.以上の二つの論文のうち,前者の方が三回に分割して掲載した大論文であり,寄書に過ぎない後者よりずっと長く,私のかけた時間も比較にならないほど長く,自分ではそれだけ大きな仕事だと評価しているのだが,影響の点から考えて,後者の方を先に取り上げよう.
著者
中山 茂
出版者
一般社団法人 日本計算工学会
雑誌
日本計算工学会論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.20130016, 2013

Adiabatic quantum computation has been proposed as quantum parallel processing with adiabatic evolution by using a superposition state to solve combinatorial optimization problem, then it has been applied to many problems like satisfiability problem. Among them, Deutsch and Deutsch-Jozsa problems have been tried to be solved by using adiabatic quantum computation. In our previous paper, it has been shown that the adiabatic quantum computation in Deutsch problem is modified by using a cubic step function instead of a linear step parameter. In this paper, it is proposed to solve Bernstein-Vazirani problem more efficiently by the same cubic method to obtain a solution with higher observation probability of 99.6%.

1 0 0 0 OA 科学史は今

著者
中山 茂
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.460-470, 1999-12-01 (Released:2011-03-18)
著者
飯村 伊智郎 池端 伸哉 中山 茂
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.1-17, 2003
参考文献数
17
被引用文献数
8 3

遺伝的アルゴリズム(genetic algorithm : GA)には,集団内で同じ個体が急増するなどして,集団の多様性が失われてしまう過剰収束という好ましくない現象が生じ得る.一旦過剰収束が起こると交叉はその機能を失い,GAによる探索が殆ど意味のないものになってしまう.この過剰収束を回避して多様性を維持することが,GAを適用する際の重要なポイントとなる.本論文では,まず,並列GAの実装形態として,柔軟な分散並列処理の構築を提供し得るオブジェクト共有空間を用いた実装を提案する.次に,できる限り単純な仕組みで過剰収束を回避する手法として,並列GAにおけるノアの箱舟戦略を提案し実験によりその有用性を明らかにする.この手法は,進化の停滞した部分集団の個体の殆どを探索解空間から新たに迎え入れた個体群と入れ換えるものであり,非同期に均質個体を淘汰し集団の多様性減少に制限をかけることで過剰収束を回避する.
著者
中山茂著
出版者
編集工房球
巻号頁・発行日
2014
著者
飯村 伊智郎 松留 貴文 中西 達哉 中山 茂
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.J88-D1, no.4, pp.900-905, 2005-04-01

ランダム選択機構を有する AS rank( AS rankRS)の各アリであるマルチエージェントに対して,非一様な個性を導入し,フェロモン情報に対する追従性に優劣をもたせたACOとして AS indi を提案する.51都市配置のeil51. tspを用いた実験に対してのみ調べたものであるが,この AS indi は,従来の AS rankRS で期待できなかった最短な平均巡回路長と最多な最適解発見回数を同一のパラメータ値(エージェント数)で満足させ得ることが明らかになった.
著者
馬場 卓也 梅枝 覚 野地 みどり 山本 隆行 湯澤 浩之 中山 茂樹
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.813-816, 2015 (Released:2015-10-30)
参考文献数
11
被引用文献数
2

症例は46歳,女性.検診で上部消化管造影検査を施行した.翌日,腹痛を主訴に当院を受診された.腹部単純X線とCTにてS状結腸に多量のバリウム貯留像を認めた.明らかな腹水,free airなどの所見は認めなかった.緊急下部消化管内視鏡検査を施行,S状結腸まで到達するもバリウム塊は陥頓していた.腹痛が増強し腸管穿孔も懸念されたため緊急手術を行った.S状結腸でバリウム塊が露出していたため,これを摘出すると3cmの穿孔を認めた.Hartmann手術と腹腔内洗浄・ドレナージ術を施行した.術後ストマ近傍に感染性血腫を発症し経皮的ドレナージを要したが,DICなど大腸穿孔に見られる重篤な全身状態には至らなかった.大腸穿孔は憩室や腫瘍など既存の疾患が関与する場合が多く,バリウムにより穿孔する報告例は少ない.集団検診時の上部消化管造影検査におけるバリウムの停滞で大腸穿孔を発症した症例を経験したので報告する.
著者
伊藤 誠 河口 豊 中山 茂樹
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
vol.309, pp.137-147, 1981
被引用文献数
3 2

(1)病院全体の面積についての最近数年間における水準向上は極めて目ざましく, 今や公的な病院では1床当り50〜60m^2が一般的な値となった。(2)病棟の病院全体に占める面積比率の低下はいちじるしく, 大半が30%台になった。1床当りで見ると大体が20m^2前後である。(3)外来部はほとんどが10〜15%の中に入っている。このうち救急部は, 大部分が1%以下である。(4)診療部門には明らかな比率の増大が認められ, 総体で15%から25%近くになっている。各部別の分布は次の通りである。(1)検体検査室 3.5〜5.0% (2)生理検査室 1.0〜2.3% (3)X線診断室 3.0〜4.5% (4)放射線治療室 0.6〜1.2%(比較的大きな病院のみ)(5)核医学検査室 0.6〜1.8%(中規模以上の病院のみ)(6)手術部 2.6〜6.6% (7)分娩部 0.5〜1.0% (8)リハビリテーション部 1.0〜2.5% (5)供給部門の割合は15%弱から25%近くになっている。その内訳は以下の通りである。(1)薬局 2.0〜3.0% (2)中央材料室 1.0〜1.7% (3)輸血部(部門をおいていない例が多い)(4)給食部 2.0〜4.0% (5)洗濯室 0.2〜1.4% (6)中央倉庫 高々1%強 (7)機械室 大略7〜11% (6)管理部門の割合は, 運営関係が7.0〜12.0%, 厚生関係が2.5〜5.0%であった。最後に, この分析のために図面や資料を提供して下さった各設計者の方々, ならびに面積計算にご協力いただいた宝田昌秀氏に対し厚く感謝の意を表する次第である。なお, この論文の一部は本学会近畿大会において発表した。
著者
中山 茂 飯村 伊智郎 松尾 翠 前薗 正宜
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.8, pp.2625-2635, 2006-08-15
参考文献数
21
被引用文献数
5

量子コンピュータは,量子重ね合わせ状態や量子干渉効果,量子もつれ状態などの量子力学的原理を利用した計算モデルである.量子もつれ状態は,従来の古典的コンピュータでは実現しにくいものであるが,量子重ね合わせ状態や量子干渉効果は既存のアルゴリズムでも容易に取り入れることができる考え方である.この量子計算アルゴリズムなどに応用されている量子系の干渉効果を模擬した干渉交叉と呼ばれる手法を従来の遺伝的アルゴリズム(古典的GA)の遺伝的オペレータに組み込んだ量子風遺伝的アルゴリズム(量子風GA)に関する研究が,Narayanan らによって比較的都市数の少ない巡回セールスマン問題に対して行われ,古典的GA と比較してより少ない世代数で最適解の探索に成功している.そこで,本論文では,従来の研究よりもより問題規模の大きいTSPLIB の5 つの都市配置を対象として,干渉交叉の対象となる親個体の選択法や局所探索を新たに導入し詳細に実験を行い,古典的GA と量子風GA とを比較検討した.その結果,量子風GA は,最適解発見率および平均探索世代数の観点で,古典的GA に比べ優れた性能を有することが,対象とした5 つの都市配置に関して分かった.さらに,局所的な探索改善を目的とする2-Opt 法には,量子風GA の特徴である干渉交叉による探索世代数の削減効果をさらに向上させる効果があることが分かった.Quantum computer is a computation model using quantum mechanical principle such as quantum superposition state, quantum interference effect and quantum entanglement state. Quantum entanglement state is not achieved easily with conventional classical computers. However, quantum superposition state and quantum interference effect are an idea that can be easily adapted even by conventional algorithms. Quantum-inspired genetic algorithm (quantum-inspired GA) was proposed by Narayanan, et al. The quantum-inspired GA is a new GA having a technique called "interference crossover" (IX), which imitates quantum interference effect, embedded in genetic operators of a conventional GA (classical GA). The quantum-inspired GA succeeded in the search for an optimal solution in a less number of generations compared with the classical GA in the case that the number of cities of a TSP is comparatively little. In this paper, we have made comparative study of a classical GA and a quantum-inspired GA by considering selection methods of parent individuals for the IX, a local search, and experimenting in detail on five problems of TSPLIB, which are larger scale than a problem used in a previous study. As a result, we have confirmed in the five TSPs that search ability of the quantum-inspired GA is superior to the classical GA in the viewpoints of "discovery rate of the optimal solution" and "average number of generations for search". Furthermore, it should be noted that 2-Opt method improves the reduction effect of "average number of generations for search" of the quantum-inspired GA.
著者
飯村 伊智郎 伊藤 登志也 濱口 孝治 中山 茂
出版者
The Society of Instrument and Control Engineers
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.41, no.9, pp.772-774, 2005
被引用文献数
2

This paper proposes a distributed parallel processing of Queen Ant Strategy named "AS<sub>queen</sub>" which imitated an ant society which a queen ant governs. It is noted that the proposed processing method satisfies "shortening of average time for search" and "improvement of searching ability" at the same time in the seventy-six cities' configuration of TSPLIB.
著者
中山茂著
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
1981
著者
佐藤公則 鹿嶋 雅之 中山 茂
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.112(2005-CVIM-151), pp.63-68, 2005-11-17

模造や改変が困難などの理由から、バイオメトリクス個人認証の研究がなされている。その生体的特徴情報とし ては、正面顔、目や網膜、最近では、手のひらの静脈の模様などが多く利用されている。本研究では、肉体的な特徴の-つである、横顔中の耳画像に注目する。耳の形も万人不同で、耳の長さおよび幅は16歳前後から安定期にはいり、形状が変化しにくい。また、表情や体調の変化などにも変化しない。本稿では、耳画像を利用した個人認証の研究を3つの手法で行なったので、それらを紹介することとする。
著者
池水 孝幸 小野 智司 森重 綾太 中山 茂 飯村 伊智郎
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.804-817, 2010

アントコロニー最適化法(ACO)は,蟻の群による採餌行動を模擬したメタヒューリスティクスであり,巡回セールスマン問題,スケジューリング問題など多くの組合せ最適化問題でその有効性が確認されている.近年,0-1整数計画問題(0-1IP)にACOを適用するBinary Ant Colony Optimization(BACO)と呼ばれる方式が提案されている.BACOではACOと同様,探索領域の集中化,多様化を調整する方式を採り入れることで探索性能の改善が期待できるものの,これまでの研究では,集中化,多様化を積極的に調整するBACOが提案されていない.本研究では,女王蟻戦略AS<SUB>queen</SUB>をBACOに組み入れたBAS<SUB>queen</SUB>を提案する.BAS<SUB>queen</SUB>は,グループ化された働き蟻の集団により多様な探索を行い,女王蟻が働き蟻に指令を送ることで探索領域の多様化,集中化を調整するため品質の高い解の発見が期待できる.0-1ナップザック問題を対象として実験を行い,提案するBAS<SUB>queen</SUB>が,他のBACOアルゴリズム,焼き鈍し法,粒子群最適化法などよりも高い探索性能を示すことを確認した.