著者
家田 修 佐々木 隆生 仙石 学 池本 修一 渡邊 昭子 中島 崇文 中澤 達哉 石田 信一
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究では環境問題をも含めて公共財としてとらえ、総合地球環境学研究所との連携により、文理協働型の議論を行った。この結果、従来の政治共同体を基にした地域設定による圏域の設定を超えて、環境に基づく圏域(環境広域公共圏)が現在問題になりつつあることが本研究の成果として明らかになった。また住民へのアンケート調査の結果として、想定していたよりも人々の社会的な流動性は高くなく、地域コミュニティの役割が以前よりも重要になっていることが新たな知見として判明した。
著者
大場 由実 中島 崇行 神田 真軌 林 洋 永野 智恵子 吉川 聡一 松島 陽子 小池 裕 林 もも香 大塚 健治 笹本 剛生
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.92-96, 2022-04-25 (Released:2022-06-01)
参考文献数
15
被引用文献数
1

筆者らが開発したLC-MS/MSによるはちみつ中殺ダニ剤一斉分析法を用いて,2015年4月から2021年3月までに都内に流通していたはちみつについて,残留実態調査を実施した.127検体中,85検体からアミトラズが1.1~34.1 µg/kgの範囲で検出され,3検体からプロパルギットが2.4~3.8 µg/kgの範囲で検出された.いずれの検出事例も食品衛生法における残留基準値または一律基準値未満であった.6年間にわたる本調査の検出結果を解析したところ,アミトラズは毎年高い検出率で推移している.しかし,検出濃度は基準値を上回ることなく変動も小さかったことから,養蜂の現場で適正に使用されていることが示唆された.一方で,プロパルギットは2020年の国産はちみつから初めて定量下限値を超えて検出されており,新しい薬剤として養蜂分野で使用されている可能性が考えられた.
著者
八巻 ゆみこ 富澤 早苗 増渕 珠子 上條 恭子 中島 崇行 吉川 聡一 長谷川 恵美 小鍛 治好恵 渡邊 趣衣 橋本 常生 大塚 健治
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.33-36, 2021-02-25 (Released:2021-03-04)
参考文献数
12
被引用文献数
2

ライムのLC-MS/MSを用いた191成分の残留農薬を対象とした一斉分析法を開発し,妥当性評価を行った.試料から農薬をアセトニトリルで抽出し,無水硫酸マグネシウム,炭酸ナトリウムおよび塩化ナトリウムを加え塩析・脱水処理を行った.遠心分離を行い,上層を分取しアセトニトリルで定容した.続いて一定量をC18/GC/PSA固相カラムに負荷して精製を行い,LC-MS/MSにて測定した.従来の農産物対象の検査方法ではライムからの回収率が低かったチアベンダゾールについても回収率が向上した.厚生労働省の妥当性評価ガイドラインに従い2濃度で実施した妥当性評価では191成分中175成分がガイドラインの基準を満たした.また,都内で流通しているライム19試料についても実態調査を行い,18試料から残留農薬を検出した.本法はライムを対象とした残留農薬一斉分析に有用な分析法であると考えられる.
著者
大塚 俊之 後藤 厳寛 杉田 幹夫 中島 崇文 池口 仁
出版者
植生学会
雑誌
植生学会誌 (ISSN:13422448)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.43-54, 2003-06-25 (Released:2017-01-06)
参考文献数
45
被引用文献数
2

1.西暦937年,富士山の噴火の際に流出したとされる,剣丸尾溶岩流上には広い範囲にわたってアカマツのほぼ純林が形成されている.この群落は一次遷移系列上の先駆群落とみなされて来たが,その成因は明らかでない.このため,本研究では群落生態学的な現地調査と周辺の土地利用に関する文献調査からその起源を明らかにすることを目的とした.  2.標高約1030mに設置した永久方形区での群落調査から,アカマツの直径階分布は20-25cmのクラスにピークを持つ一山型で,その密度は高かった.また,階層構造としてはほぼアカマツだけの林冠層とソヨゴを中心とする亜高木・低木層の明瞭な二層構造となっていた.  3.アカマツの最大樹齢は90年で,その樹齢は直径サイズに関係なくほぼ80-90年生でそろっていた.  4.剣丸尾周辺の森林利用の歴史についての文献調査により,江戸時代から剣丸尾上の植生は入会地として住民に利用されていたことが明らかとなった.また明治時代には剣丸尾周辺には桑畑が広がっており,養蚕業のためにかなりの濫伐が行われたと考えられた.  5.その後,剣丸尾上の一部は1915年に恩賜林組合によって柴草採取区域に指定され適切な入会地管理がなされたため,これ以降に一斉にアカマツが侵入したものと考えられた.さらに1934年に部分林に再設定された際に雑木除去によるアカマツの天然更新施業が行われ,その後1960-70年代まではアカマツ林の林床植生は柴草として利用されていた.  6.このように剣丸尾アカマツ林は溶岩流出後の自然の一次遷移系列上にある先駆群落とは異なり,長年の人為的な攪乱により遷移が停滞していた立地に,攪乱停止後に成立したアカマツ林である.また1934年の雑木除去と1960-70年代までの下層植生の利用が,現在のアカマツ林の林分構造に大きく影響していた.
著者
渡邊 趣衣 八巻 ゆみこ 富澤 早苗 増渕 珠子 上條 恭子 中島 崇行 吉川 聡一 山本 和興 髙田 朋美 小鍛治 好恵 大澤 佳浩 大塚 健治 橋本 常生
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.247-253, 2020-12-25 (Released:2020-12-25)
参考文献数
7

LC-MS/MSによる乾燥唐辛子中残留農薬分析法の開発を行い,その妥当性評価を実施した.分析法はマトリクス効果を抑制するため,LC条件,精製カラムおよび試験溶液の希釈倍率を検討した.精製カラムはENVI-CarbIITM/PSA (300/600 mg,6 mL)を使用した.さらにマトリクス効果を抑制するため試験溶液の検討では,マトリクス効果および一律基準値相当の測定感度の観点から,8倍希釈液を採用した.これらを元に107農薬について2濃度(0.01および0.1 μg/g)で2併行5日間の妥当性評価を実施した結果,96農薬で真度70.1~112.6%,併行精度11.5および3.4%以下,室内精度24.3および19.9%以下となり,ガイドラインの基準に適合した.また不適合であった主な原因はマトリクス効果と抽出での低回収であると示唆された.
著者
中島 崇行 大塚 健治 富澤 早苗 増渕 珠子 八巻 ゆみこ 上條 恭子 吉川 聡一 髙田 朋美 小鍛治 好恵 渡邊 趣衣 大澤 佳浩 橋本 常生
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.154-160, 2020-08-25 (Released:2020-10-02)
参考文献数
23
被引用文献数
2

食品中の残留農薬分析において,ある農薬の定量値が正しいかどうかを確認するため,異なる機器を使用して定量値の確認を行うことがしばしばあるが,それぞれの機器の値が完全に一致することは珍しい.本研究では,食品毎にどの程度違いがあるかを比較するため,当研究室の日常検査法を用い,121成分,6種類(グレープフルーツ,ばれいしょ,パプリカ,キャベツ,ほうれんそう,玄米)の食品について,GC-MS/MSおよびLC-MS/MSそれぞれの機器で妥当性評価を実施し,その結果を主に真度に着目して比較した.その結果,GC-MS/MSでは,上述の食品において97,111,110,118,111,63成分が基準に適合した.一方LC-MS/MSでは,50,114,103,112,100,103成分が基準に適合した.これら両機器の結果の差は,主にマトリクス効果によるものだと考えられ,マトリクス効果の補正によりそれぞれの真度は近似した.しかし真度の一致度については食品試料による差が大きく,特に玄米ではマトリクス効果を補正しても両機器の真度の差は20%以上であった.
著者
中島 崇行 大塚 健治 富澤 早苗 増渕 珠子 上條 恭子 八巻 ゆみこ 吉川 聡一 長谷川 恵美 小鍛治 好恵 渡邊 趣衣 橋本 常生
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.234-238, 2018-10-25 (Released:2018-11-14)
参考文献数
9
被引用文献数
5

殺虫剤であるクロラントラニリプロールの実態調査を行った.試験溶液は,QuEChERS法を応用した抽出とC18/GC/PSAによる精製により調製し,LC-MS/MSにより測定・定量を行った.8食品で分析法の性能評価(n=5)を行ったところ,回収率は50.2~93.4%, RSDは9.7%以下であった.本分析法を用い,野菜207検体および果実163検体を分析したところ,検出限界(4 ng/g)を超える検体数(検出率)は野菜で17検体(8.2%),果実で2検体(1.2%)であった.なかでもオクラ(10検体中4検体),パプリカ(23検体中4検体)およびトマト(6検体中2検体)の検出率が高く,さらに葉菜類では高濃度に残留している検体があり,最も高濃度の残留が認められたのは国産のみず菜(571 ng/g)であった.また,国産を含めてアジア圏の検体からの検出が大半を占めた.しかし,いずれの検体においても,MRLを超える残留は認められなかったことから,クロラントラニリプロールの適切な使用が伺えた.
著者
六鹿 茂夫 廣瀬 陽子 黛 秋津 佐藤 真千子 小窪 千早 梅本 哲也 吉川 元 上垣 彰 大西 富士夫 西山 克典 小久保 康之 吉村 貴之 中島 崇文 末澤 恵美 服部 倫卓 木村 真
出版者
静岡県立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

黒海地域の国際関係を歴史、経済、域内国際関係、域外国際関係の4次元から分析し、国際会議をボアジチ大学(イスタンブール)と静岡県立大学にて開催して学際的総合化に努めた。その結果、1.黒海としての地域性、2.地政学的重要性、3.黒海地域の特殊性と地域特有のイシュー(エネルギー、民主化、凍結された紛争)、4.黒海地域の構造とその変動、5.黒海地域と広域ヨーロッパおよび世界政治との相互連関性が明らかにされた。