著者
三宅 琢也 中島 淳 鬼倉 徳雄 古丸 明 河村 功一
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.74, no.6, pp.1060-1067, 2008 (Released:2008-12-05)
参考文献数
34
被引用文献数
4 7

九州産ニッポンバラタナゴ(RoK)の保護に向けた知見を収集するため,遺伝子と形態分析により RoK の分布の把握を試みた。RoK の mtDNA は 46 集団中 41 集団で見られたが,13 集団においてはタイリクバラタナゴ(RoO)の mtDNA も確認された。RoK は九州中北部に広く分布していたものの RoO による遺伝子浸透は多所的に生じていた。平均側線有孔鱗数と RoO の mtDNA の頻度の間には正の相関が認められた。RoK の識別において側線有孔鱗数は,腹鰭前縁部の白色帯よりも優れた形質であると言える。
著者
中島 淳一 長谷川 昭
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.61, no.Supplement, pp.177-186, 2009-07-31 (Released:2013-11-21)
参考文献数
65

Since late 1990’s, a dense nationwide seismograph network has been constructed in the Japanese Islands with an average station separation of ∼ 20 km, which has produced the highest quality data in the world and contributed to enhance the understanding of seismotectonics and volcanotectonics there. Travel-time tomography using such high-quality data has provided two important constraints on water-transportation paths in subduction zones. One is the evidence for hydrous minerals in and immediately above the slab. The hydrated oceanic crust is imaged as a low-velocity layer to a depth of 40 km for the Philippine Sea slab and 70-130 km for the Pacific slab. Another low-velocity layer is revealed immediately above the Pacific slab down to a depth of ∼ 110 km, which might correspond to a hydrous layer through which water is carried to deeper depths. The other is seismological imaging of mantle upwelling. Mantle return flows induced by the subduction of the Pacific and Philippine Sea slabs are imaged in Tohoku and Kyushu, respectively, whereas that probably generated by the subduction of both the Pacific and Philippine Sea slabs is apparent in central Japan. A large upwelling in the upper mantle revealed in the Chugoku district might be the origin of Quaternary volcanism there.
著者
武村 俊介 利根川 貴志 中島 淳一 汐見 勝彦
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

海洋プレート上部に低速度層として存在する海洋性地殻は,沈み込みに伴う脱水反応によりエクロジャイト化することで,深い部分では海洋マントルと同程度の地震波速度となることが予想される(例えば,Fukao et al., 1983 Nature; Abers et al., 2003 GRL; Hacker et al., 2003 JGR).本研究では,海洋モホを伝播する屈折波を用いて,フィリピン海プレートの海洋性地殻がエクロジャイト化する深さを拘束することを試みる.海域で発生する海洋モホより浅い地震時に,陸域で観測される初動は海洋モホを伝播する屈折波となることが知られている(Takemura et al., 2016 EPS).例えば,2016年4月1日に三重県南東沖の地震時に陸域のHi-netで観測された初動走時は,震央距離70~200 kmにおいて見掛け速度7.2 km/s程度の屈折波PPHSが明瞭に確認できる.震央距離200 km以上では,見掛け速度8 km/s以上と海洋マントルに対応した初動走時となる.このような見掛け速度の距離変化は,マントル以深の地震波速度構造に起因すると考えられる.現実的な構造を仮定した2次元差分法による地震動シミュレーションにより,初動走時の特徴を調べる.地殻構造はF-net 1D構造(Kubo et al., 2002 Tectonophys.),フィリピン海プレート上面形状はHirose et al. (2008 JGR)を採用し,プレート上面から深さ方向に7 kmの領域を海洋性地殻としてシミュレーションを行った.海洋性地殻を深部まで低速度層として存在させると,PPHSが遠方まで初動として伝播し,観測された初動走時の特徴を説明できない.そこで,海洋性地殻が海洋マントルと同程度まで高速化し,海洋モホがある深さで消失したとしてシミュレーションを行った.海洋モホの消失する深さを様々に変えたシミュレーションから,海洋モホが消失する深さに依存して初動走時が変化することがわかった.海洋性地殻のエクロジャイト化により海洋モホが深さ52 km以深で速度コントラストを持たなくなり,初動がPPHSから海洋マントルに対応したP波に変わるため,初動走時が変化する.海洋モホの消失する深さを52 kmとした時に,初動走時の再現性が最も良くなった.この深さは,Kato et al. (2014 EPS)による紀伊半島下のフィリピン海プレートの海洋性地殻のエクロジャイト化する深さと整合的である.以上のことから,海域で発生した海洋モホより浅い地震とモデルシミュレーションの比較から,海洋モホの速度コントラストが消失する深さを拘束できることが期待される.海洋モホの消失は沈み込みに伴う脱水反応が原因と考えられ,海洋性地殻のエクロジャイト化と関連があると考えられ,沈み込む流体の移送過程を知るヒントとなる.謝辞F-net MTカタログとHi-net速度波形を利用したました.地震動計算には地球シミュレータを利用しました.

1 0 0 0 OA PC - Smalltalk

著者
鈴木則久 小原盛幹 中島淳
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.1985, no.3(1985-OS-027), pp.1-7, 1985-05-10

Smalltalk-80がパソコンの上で動き、かつ性能がすばらしければ、どれほど使用価値が上がるであろうかとは前々から考えていた。現在Smalltalkが動くコンピュータで一番手頃なのはTektronix4404であるが、これも満足な速度で動くようにするには700万円程度かけなければならない。しかしパソコンは40万程度で買えるし、ハードディスク付きでも70万位になる。値段が10分の1になると今まで考えていなかったような分野でも使えるようになる。 この目標を達成する為にまずMC68000上で動く移植の容易なSmalltalkの基本システムを作った。[1].しかし現在主流のパソコンは8086を使っている。しかし8086上にSmalltalkの様な大容量のヒープを必要とするシステムを実現するのは大変むずかしい。そこでこのパソコン上にSmalltalkを実現しようという話はなかなか実現しなかった。 一方MC68000上に能率のよいSmalltalkをのせる仕事は着々と進んでいき、1984年暮には「菊32V」という大変高性能なシステムが完成した。また、NEC PC9801用にMC68000ボードが売り出された。これは不完全な形ながらSmalltalkをパソコンの上にのせる目的に一歩近づけた。しかしながら記憶容量はまだ足りなかった。そこで自作で主記憶を作り、「菊32V」を移植して、パソコン上のSmalltalkが初めて完成した。
著者
中島 淳 本多 靖 結束 貴臣 小川 祐二 今城 健人
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.112, no.11, pp.1966-1972, 2015-11-05 (Released:2015-11-05)
参考文献数
6

腸内細菌はNASH病態の1st-hitである単純性脂肪肝において,リポ蛋白リパーゼの活性化などを介して肝臓や脂肪組織に脂肪蓄積を増加させ,脂肪肝の形成に重要な役割を果たす.また,NASH病態の2nd-hitである肝炎の病態形成では腸内細菌は,1)腸内細菌の質的量的異常,2)腸管透過性亢進,3)肝臓におけるエンドトキシン応答性亢進,の3つの機序で重要な役割を果たすと考えられている.治療においては種々のプロバイオティクス,プレバイオティクスの投与が有効であることが臨床試験で示されている.今後はNASH病態に強く関与する腸内細菌の同定と治療への応用が求められている.
著者
日暮 琢磨 中島 淳
出版者
横浜市立大学医学会
雑誌
横浜医学 = Yokohama Medical Journal (ISSN:03727726)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1・2, pp.35-46, 2017-05-30

大腸癌の罹患率,死亡率は本邦のみならず世界中で増加傾向であり対策が求められている.特定の栄養素や医薬品の投与によって癌を積極的に予防するという方法を化学予防というが,糖尿病の治療薬のひとつであるメトホルミンを用いた大腸癌の化学予防の取り組みを概説する.メトホルミンは複数の大規模疫学研究により内服者は非内服者と比較して大腸癌を含む種々の癌の発生が少ないことが報告されている.我々はこの事実に着目し,2つの大腸発癌モデルマウスを用いてメトホルミンの予防効果を実証し,その機序がAMPKの活性化とmTORの抑制にあることを示した.更にトランスレーショナルリサーチとして臨床研究を行い,大腸癌の代替指標であるヒト直腸にあるAberrant Crypt Foci が減少すること,ポリープ切除後の新規ポリープの発生を抑制することを,無作為比較試験を実施し報告した.大腸癌の罹患,死亡の抑制に向けて今後更なる発展が期待される.
著者
山口 秀夫 有本 正生 中島 淳二 田之口 眞理子 深田 能成
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.2056-2060, 1986-05-25 (Released:2008-03-31)
参考文献数
16
被引用文献数
10 11

Epipodophyllotoxin (EPT) and podophyllotoxin (PT) were prepared from desoxypodophyllotoxin (DPT), obtained from the seeds of Hernandia ovigera L. (Hernandiaceae) EPT was obtaind together with dehydrodesoxypodophyllotoxin (I) by a radical bromination of DPT with N-bromosuccinimide (NBS) followed by hydrolysis of the resultant 1-bromo-DPT, which was confirmed to be a mixture of 1α- and 1β-bromo compounds (7 : 3). EPT was oxidized with pyridinium chlorochromate to give podophyllotoxone (IV). The stereoselective reduction of IV to afford PT was examined with a variety of reagents, and borane-tert-butylamine complex was found to be effective.
著者
山口 秀夫 中島 淳二 有本 正生 田之口 真理子 石田 寿昌 井上 正敏
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.1754-1760, 1984-05-25 (Released:2008-03-31)
参考文献数
18
被引用文献数
2 5

Two kinds of 4-aryltetralin type lignans, β-peltatin-A methyl ether (I-A) and β-peltatin-B methyl ether (I-B), were synthesized from desoxypodophyllotoxin (DPT), which is available in large quantities from the seeds of Hernandia ovigera L. (Hernandiaceae). The syntheses were achieved via demethylene-DPT (IV), 8-bromo-demethylene-DPT (V) and 8-bromo-DPT (VI). Methylenation of V was carried out successfully by using cesium fluoride and methylene iodide in DMF. Compound I-B was readily obtained by the reaction of VI with cuprous iodide and sodium methoxide in the presence of pyridine. Synthesis of I-A was only achieved by the reaction of lithiated VI with nitrobenzene at-100°C in the presence of tetramethylethylene diamine, and I-A was obtained in low yield, together with I-B.
著者
中島 淳 冬木 晶子 大久保 秀則
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.113, no.10, pp.1704-1710, 2016-10-05 (Released:2016-10-05)
参考文献数
2

機能性消化管疾患の画像検査では,静止画による間接的所見による画像検査と動画による直接所見による画像検査の2つのアプローチがある.間接的画像検査でCT検査は非常に有用であり,消化管の拡張所見の有無に加え,消化管内容物の鑑別ができるという点で有用な情報を提供してくれる.Gastroparesisや慢性偽性腸閉塞症,巨大結腸症などは上記2点に関して特徴的静止画像を呈するが,実際の消化管運動異常をみているわけではない点に注意を要する.小腸運動に関しては,シネMRIは小腸の運動を直接観察することができる非侵襲的画像検査として非常に有用であり,今後のさらなる改良が期待される.
著者
中島 淳 本多 靖 結束 貴臣 小川 祐二 今城 健人
出版者
The Japanese Society of Gastroenterology
雑誌
日本消化機病學會雜誌. 乙 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.112, no.11, pp.1966-1972, 2015

腸内細菌はNASH病態の1st-hitである単純性脂肪肝において,リポ蛋白リパーゼの活性化などを介して肝臓や脂肪組織に脂肪蓄積を増加させ,脂肪肝の形成に重要な役割を果たす.また,NASH病態の2nd-hitである肝炎の病態形成では腸内細菌は,1)腸内細菌の質的量的異常,2)腸管透過性亢進,3)肝臓におけるエンドトキシン応答性亢進,の3つの機序で重要な役割を果たすと考えられている.治療においては種々のプロバイオティクス,プレバイオティクスの投与が有効であることが臨床試験で示されている.今後はNASH病態に強く関与する腸内細菌の同定と治療への応用が求められている.
著者
中島 淳 長岡 裕 大垣 眞一郎
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.19, no.8, pp.664-667, 1996-08-10 (Released:2008-01-22)
参考文献数
6

Water quality of Laguna de Bay, the largest lake in the Philippines, was survyed as a small joint survey of Japanese and Philippine NGO groups. The lake water had relatively high concentration of SS caused by resuspending silt and fine clay from the bottom sediment due to shallow water depth and strong wind. Chl a concentration was low in spite of high concentrations of nitrogen and phosphorus. Trihalomethane formation potential test showed high formation of bromine compounds due to intrusion of sea water into the lake. Relatively high concentration of SS, COD, nitrogen and phosphorus was observed at the mouth of the most polluted tributary.
著者
山口 秀夫 有本 正生 中島 淳二 田之口 眞理子 深田 能成
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
Chemical & pharmaceutical bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.2056-2060, 1986-05-25

Epipodophyllotoxin (EPT) and podophyllotoxin (PT) were prepared from desoxypodophyllotoxin (DPT), obtained from the seeds of Hernandia ovigera L. (Hernandiaceae) EPT was obtaind together with dehydrodesoxypodophyllotoxin (I) by a radical bromination of DPT with N-bromosuccinimide (NBS) followed by hydrolysis of the resultant 1-bromo-DPT, which was confirmed to be a mixture of 1α- and 1β-bromo compounds (7 : 3). EPT was oxidized with pyridinium chlorochromate to give podophyllotoxone (IV). The stereoselective reduction of IV to afford PT was examined with a variety of reagents, and borane-tert-butylamine complex was found to be effective.
著者
海野 徳仁 河野 俊夫 岡田 知己 中島 淳一 松澤 暢 内田 直希 長谷川 昭 田村 良明 青木 元
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.325-337, 2007-03-25 (Released:2013-08-05)
参考文献数
21
被引用文献数
1 5

Hypocenters of the main shocks and aftershocks of the 1933 Mjma 7.1, 1936 Mjma 7.4, 1937 Mjma 7.1, 1939 Mjma 6.9, 1978 Mjma 7.4, and 1981 Mjma 7.0 Miyagi-oki, NE Japan, earthquakes are relocated by using S-P times reported in the Seismological Bulletin of the Japan Meteorological Agency (JMA) and those re-read from original smoked-paper seismograms observed at Mizusawa station of National Astronomical Observatory of Japan (NAOJ) and at Mukaiyama station of Tohoku University. In order to avoid large errors caused by inaccuracies in the arrival times of P- and S-waves and the limited number of observation stations, we determined hypocenters by using a grid search method based on the assumption that these events occurred at the boundary between the subducting Pacific plate and the overriding plate. The main shock epicenters of the 1933, 1936, 1937, and 1978 earthquakes are determined close to each other, and distributions of their aftershocks show that aftershock areas of 1933, 1936, and 1937 events partly overlap with that of the 1978 event and occupy its easternmost, central, and westernmost portions, respectively. It is likely that the 1933, 1936, and 1937 events possibly ruptured a part of the source area of the 1978 event, that is the eastern, central, and western portions, respectively. Locations of the main shock and aftershock area of the 1939 event are adjacent to the eastern edge of the source area of 1978 event. After the 1978 event, the 1981 earthquake had occurred there following the slip on the asperities in the presumed Miyagi-oki earthquake source area.
著者
中島 淳博 福村 文雄 富永 隆治 久原 学 鐘ヶ江 靖夫 深江 宏治 宮本 和幸 安井 久喬 徳永 皓一
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.600-604, 1993-06-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
19

雑種成犬閉胸正常心モデル10頭に対し左心バイパスを行い, 左心補助(LHB)施行時に呼気終末陽圧呼吸(PEEP)が右心機能に及ぼす影響について検討を加えた. 0, 5, 10, 15cm水柱のPEEP負荷に伴い右室拡張末期圧の上昇, 右室拡張末期容積, 収縮末期容積の減少, 後負荷の上昇と心拍出量の低下が認められた. これらのPEEPによる血行動態の変化はLHB施行の有無にかかわらず同様であった. LHB on, offの比較では心拍出量はPEEP 0cm水柱時にはLHB on, offによる差は認めなかったが, PEEP 15cm水柱時にはLHB onによって肺動脈入力部抵抗の15%の上昇と共に(1968±736 dynes・sec・m2/cm5LHB off vs 2254±790dynes・sec・m2/cm5LHB on: p=0.056)心拍出量の20%の有意な低下を認めた. (1.07±0.45L/min, LHB off vs 0.86±0.34L/min, LHB on:p<0.05)PEEP負荷時には左心補助は心拍出量の低下をもたらす可能性が示唆された. よってLHB施行中にはPEEPの適用に対し, より慎重である必要があると考えられた.
著者
佐野 有司 高畑 直人 堀口 桂香 植木 貞夫 中島 淳一 長谷川 昭
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2006年度日本地球化学会第53回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.250, 2006 (Released:2007-11-01)

日本列島においても温泉や火山、天然ガスなどを通じて固体地球から揮発性元素が定常的に脱ガスされている。これらの中でマントル起源であることが明らかなヘリウムー3と地殻起源のヘリウムー4の比のマッピングをすることで、日本列島におけるテクトニックな場をヘリウム同位体比がどのように反映するか1980年代から研究されてきた。一方、地震波の高精度データが蓄積し、その解析法に進歩があり、地下の構造を示す地震波トモグラフィーの詳細な研究が行われつつある。本研究では、これまでに蓄積されたヘリウム同位体比のデータをコンパイルし、そのマッピングと地震波トモグラフィーのデータを比較検討し、日本列島における脱ガス過程と地下構造の関係について発表する。