著者
中村 賢二 山本 和久
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.80, no.7, pp.729-731, 1977
被引用文献数
2

The patient was a 21-year-old man who acquired unilateral deafness while he was exposed to extremely loud sound of discotheque for about 4 hours.<br> His hearing type was of a dish, with a mean hearing loss of slightly over 50 dB in the middle frequencies. He was positive for recruitment phenomenon. No abnormal temporary threshold tone decay could be observed. He received treatment for approximately 2 months with slight improvement in hearing. Only 10 dB was elevated in frequencies of 500 Hz or below during treatment.<br> He had no subjective symptoms such as vertigo, dizziness and giddiness, nor any abnormal findings in equilibrium tests.<br> He was diagnosed as noise-induced sudden deafness caused by the sound of discotheque.
著者
藤根 久 遠藤 邦彦 鈴木 正章 吉本 充宏 鈴木 茂 中村 賢太郎 伊藤 茂 山形 秀樹 Lomtatidze Zaur 横田 彰宏 千葉 達朗 小杉 康
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.253-270, 2016-12-01 (Released:2017-01-12)
参考文献数
46
被引用文献数
3

有珠火山の南麓には善光寺岩屑なだれ堆積物(Zd)が多数の流れ山をなして分布する.Zdは従来,9kaから6kaに発生した有珠山外輪山の崩壊によるとされてきた.海岸の近くの岩屑なだれの流れ山に囲まれた標高約4.5mの低地においてボーリングコアを2本採取し,その層序,年代,堆積環境,植生変遷を検討した.両コアはほぼ岩相が同様で,標高+2~-6mにわたり連続的に泥炭層および有機質シルト・粘土層が見られた.AMS法による14C年代測定の結果,最下部の有機質シルト・粘土層から20calkaBP頃の年代が得られた.泥炭層下部には15calkaBP頃に濁川カルデラから飛来した濁川テフラ(Ng)が,泥炭層中部には駒ヶ岳から6.6calkaBPに飛来した駒ヶ岳gテフラ(Ko-g)が,同上部には白頭山苫小牧火山灰(B-Tm)などのテフラが認められた.コアの基底には洞爺火砕流堆積物(Toya(pfl))と同質の軽石に富む軽石質火山灰層が捉えられた.珪藻化石は,20~10calkaBPに湖沼~沼沢湿地が継続し,10calkaBP頃に沼沢湿地に移行し,以後0.4calkaBPまで継続したことを示し,先行研究で明らかにされている最終氷期から完新世にかけての北海道の植生変遷と矛盾しない.花粉化石は,20~15calkaBPに亜寒帯性針葉樹林が卓越し,15calkaBP頃からカバノキ属が増大する移行期を挟み,10calkaBP頃に温帯落葉広葉樹林へと推移したことを示した.以上から,2本のコアの泥炭層および有機質シルト・粘土層は,Zdの岩屑なだれで閉塞された凹地に形成された湖沼~沼沢湿地の堆積物で,岩屑なだれの発生は20calkaBPのLGM(最終氷期最寒冷期)の頃である可能性が極めて強い.また,有珠外輪山の活動は20calkaBPより以前に始まって山体を形成していたことになる.
著者
中村 賢
出版者
公益社団法人日本産業衛生学会
雑誌
産業医学 (ISSN:00471879)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.24-37, 1985-01-20

クリーニング業は家内労働的,世襲的職業であるため定年制や社会移動が少なく,職域集団を対象とした疫学調査に適していると考えられる.しかしクリーニング業を対象とした疫学調査は非常に少なく,従事者を死因から調査した研究は,わが国では報告されていない.本研究はクリーニング作業従事者の健康管理対策の基礎資料を得る目的で,全国クリーニング環境衛生同業組合連合会に加盟している組合員数33,101名(1980年現在)のうち,1971年から1980年までの10年間に生命共済制度に加入し死亡した1,711名を対象とし,死因調査を実施した.さらに同制度加入者で,1979年から1981年までの3年間の死亡者517名に対しては,家族に死亡時の作業形態,個人習慣等に関する調査を実施し,294名から回答を得た.その結果以下の結論を得た.1)クリーニング作業従事者の虚血性心疾患を除く「その他の心疾患」,肝硬変を除く「その他の肝疾患」の死亡割合は,男女とも全国に比べ有意に高いことが認められた.2)クリーニング作業従事者の悪性新生物の死亡割合は,部位別にみると一部の部位では全国との間に有意差が認められたが,全悪性新生物では有意差は認められなかった.3)非ドライクリーニング作業従事者の死亡割合と全国の死亡割合の間には有意差が認められなかったが,ドライクリーニング作業従事者では,「その他の心疾患」,「その他の肝疾患」の死亡割合は,全国に比べ有意に高いことが認められた.4)個人習慣としての飲酒,喫煙という危険因子を有する者を除いた場合でも,ドライクリーニング作業従事者の「その他の心疾患」,「その他の肝疾患」の死亡割合は,全国に比べ有意に高いことが認められた.以上の成績から,ドライクリーニング作業で使用されている溶剤が,クリーニング作業従事者の死亡パターンに影響を与えていることが示唆され,この集団の健康管理上有益な資料が得られた.しかしドライクリーニングの溶剤としては,テトラクロロエチレン,石油系溶剤,1,1,1-トリクロロエタン等が使用されているため,今後さらに使用溶剤,暴露期間,その他の環境要因を考慮するとともに死亡率を用いた死因解析を実施する必要があると考えられる.
著者
中村 賢治 垰田 和史 北原 照代 辻村 裕次 西山 勝夫
出版者
公益社団法人日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.225-233, 2007-11-20
被引用文献数
2 2

我々は,健常な非喫煙女性20名を対象に,精神的ストレスが,僧帽筋内のHb動態に及ぼす影響について調べた.被験者に,1分間の立位での両上肢の側方水平位保持(身体的課題),またはStroop's Color Word Test(精神的課題),またはその両方を同時に与える課題を,5分間の休憩をはさんで行わせた.心拍数,および筋内ヘモグロビン(酸素化Hb:OxyHb,脱酸素化Hb:DeoHb,総Hb:TotHb)濃度と表面筋電図(いずれも右僧帽筋で測定)を測定した.各課題によるHb濃度の安静時からの変動量(ΔOxyHb,ΔDeoHb,ΔTotHb)を算出し,身体的負荷時と身体的および精神的負荷時を比較した.身体および精神的負荷時のΔDeoHbは身体的負荷単独時より有意に小さく(p=0.013),ΔOxyHb,ΔTotHbには有意な差は認められなかった(p=0.281,p=0.230).本実験の結果は,精神的ストレスが僧帽筋内のΔDeoHbに影響を及ぼしたことを示唆しており,可能性のある機序の一つとして,精神的ストレスによる僧帽筋の酸素消費量の減少が考えられた.今後,長時間の負荷による影響について検討する必要がある.
著者
面谷 信 中村 賢市郎
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

I.電子ペーパーの満たすべきヒューマンインタフェース条件の検討について次の成果を得た。1)手持ちの優位性を電子書籍端末を使った実験により確認した。2)ディスプレイ上で文書の間違いが見つかりにくいのは、作業を急ぐ傾向があることが要因のひとつと考えられることを見いだした。3)ディスプレイ作業では紙上作業に比して表示面を注視する傾向が確認された。4)電子書籍端末として読みやすい画面サイズについてその最適範囲を明らかにした。5)電子書籍端末として許容できる媒体重量について被験者実験により明らかにした。6)画面光沢の有無は呈示条件の好みに大きく影響し、光沢媒体では手持ちが好まれる傾向が顕著となる実験結果を得た。本結果は電子ペーパーにおいて表面光沢を避ける設計の重要性を示唆する。7)近点距離変化と主観評価の結果を総合し、現状の電子書籍はディスプレイと紙の中間的な疲労程度を示し、少なくとも疲労の点では90分程度の連続使用に特段の問題はないレベルにあることを示した。8)文書の表示形式0.5〜4ページの間においてページ数の増加に伴う校正作業成績の向上が確認された。II.電子ペーパーを実現するための表示技術の研究について次の成果を得た。1)電気泳動表示方式の検討:電気泳動表示における粒子帯電および泳動のメカニズムに関する検討を行い、粒子の駆動力源となる粒子電荷が従来の説明のように支持液体中の残存水分による液中イオンから得られているものではないことを明らかにし、非水系電気泳動現象のメカニズム解明を進めた。2)液体マイクロレンズ表示方式の検討:物質表面の濡れ性を電気的に制御して互いに接する2つの液体の界面曲率制御を行う液体マイクロレンズ表示方式の基本動作確認を行い、コントラスト確保のためのセル構造、液体材料に関する選定指針を示した。3)ER流体を用いた表示方式の検討:電界の印加で鎖状クラスタを形成するER流体(電気粘性流体)を用いて表示を行う方式について検討し、新たな電極形状および駆動方式の採用によりコントラストと表示安定性について大幅な向上を確認した。