著者
山本 裕子 七田 麻美子 横矢 祥代 中西 良文
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S45047, (Released:2021-09-07)
参考文献数
6

本稿は三重大学の学部卒業生及びその就職先を対象に質問紙調査を実施し,当該大学の教育が社会的ニーズに合致しているかを検討することを目的とした.卒業生・就職先データの比較分析の結果,卒業生と就職先の評価にずれがあることや,就職先からの評価が卒業生の自己評価より高くてもジェネリックスキルや外国語の力について身についたとする評価が比較的低かったことから,この点をさらに改善する必要性等が見出せた.今後の課題として,カリキュラム評価や教学改革についてより精度の高い評価を行うために経年比較による分析の必要性が明らかとなった.
著者
髙山 耕二 中村 南美子 園田 正 冨永 輝 石井 大介 柳田 大輝 飯盛 葵 松元 里志 片平 清美 大島 一郎 中西 良孝 稲留 陽尉 塩谷 克典 赤井 克己
出版者
Japanese Soceity for Animal Behaviour and Management
雑誌
日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌 (ISSN:18802133)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.134-141, 2018-09-25 (Released:2018-11-28)
参考文献数
22
被引用文献数
1

本研究では,明暗条件下でニホンジカ(Cervus nippon nippon;以下,シカ) 2頭(雄雌各1頭)の有彩色(赤,緑および青色)と無彩色(灰色)の識別能力を明らかにした.試験にはT字型迷路を用い,各有彩色と無彩色を対比させ,シカが有彩色を選ぶと報酬(飼料)を与えた.実験室内の色パネル中央部の照度は,LED電球を点灯した試験1で200lux,点灯しなかった試験2で0.1luxであった.1セッションを20試行とし,80%以上の正答率(χ2検定,P < 0.01)が3セッション連続で得られた場合,提示した有彩色をシカが識別したと判定した.試験1:点灯下で,2頭のシカは有彩色(緑,赤および青色)と無彩色(灰色)をいずれも4セッション目までに識別した.試験2:非点灯下で,シカ2頭は緑および青色を3セッション目まで,赤色を6セッション目までに識別した.以上より,シカは明暗に関係なく,各有彩色と無彩色を識別出来ることが示された.
著者
中村 南美子 萩之内 竹斗 浅野 陽樹 池田 充 龍野 巳代 赤井 克己 大島 一郎 中西 良孝 髙山 耕二
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学農学部学術報告 = Bulletin of the Faculty of Agriculture, Kagoshima University (ISSN:24321885)
巻号頁・発行日
no.71, pp.23-30, 2021-03-30

都市部でのニホンアナグマ(以下,アナグマ)の生息実態に関する基礎的知見を得ることを目的とし,地方都市における大学キャンパスでのアナグマの出現状況とそれによる農作物への被害発生状況について検討した。2019 年1~12 月に自動撮影カメラ4 台を教育学部実習地,農学部附属農場(研究圃場ならびに動物飼育棟)および植物園内に設置し,アナグマの出現状況については静止画,農作物への被害発生状況については動画でそれぞれ撮影した。自動撮影カメラで野生哺乳類は計302 枚撮影され,そのうちタヌキは147 枚(48.7%)と最も多く,次いでアナグマは113 枚(37.4%),ノネコは41 枚(13.6%)およびイタチは1 枚(0.3%)の順であった。場所別ではアナグマが教育学部実習地で最も多く観察された。月別にみたアナグマの撮影頻度指数は,5~7 月で高く,1~3 月および8 月で低かった。しかしながら,その出現は年間を通じて認められ,5 月には教育学部実習地でビワの実の採食被害が認められた。以上より,地方都市にある大学キャンパスでアナグマは年間を通じて生活しており,農作物の一部に採食被害が起きていることが明らかになった。
著者
主税 裕樹 内富 大輔 溝口 由子 福永 大悟 大島 一郎 高山 耕二 中西 良孝
出版者
農業生産技術管理学会
雑誌
農業生産技術管理学会誌 (ISSN:13410156)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.41-47, 2014-09-15 (Released:2019-04-11)

セイタカアワダチソウ(Solidago altissima L.)が優占する耕作放棄水田跡地に山羊3頭を62日間定置放牧し,山羊による草種の選好性および除草効果について検討した.各野草の相対積算優占度(SDR_2')および山羊の採食植物頻度(GF)を調べ,山羊の各野草に対するIvlevの選択性指数に基づく指数(SI)を算出した.セイタカアワダチソウに対するSIは放牧5日目で有意な負の値を示し(P<0.05),山羊は忌避を示したものの,放牧32日目には有意でなくなり,忌避の程度は小さくなった.また,退牧時(放牧62日目)にセイタカアワダチソウの草高および植物地上部現存量は対照区と比べて試験区で半分以下となった(P<0.01).以上より,セイタカアワダチソウに対する山羊の選好性は必ずしも高くはないものの,セイタカアワダチソウが優占する耕作放棄水田跡地に山羊を放牧することで十分な除草効果が得られることが示された.
著者
瀧川 幸司 佐藤 充徳 柳 麻子 浅岡 壮平 山下 伸夫 中西 良孝 萬田 正治 柳田 宏一 早川 博文
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.37-41, 1997-04-30
被引用文献数
1

放牧地における糞食性コガネムシ類(以下,フン虫と略)の牛糞処理活動が牛糞消失量と不食過繁地の存続期間に及ばす影響について検討した。1994年7月に黒毛和種繁殖牛を輪換放牧しているイタリアンライグラス(Lolium multiflorum Lam.)主体の草地に新鮮放牧牛糞1kgを置き,糞塊へのフン虫飛来を人為的に妨げた無フン虫区,糞を自然状態にしたフン虫区および対照区として無糞区を設けた。糞設置日に早川式ザル法により1kgの牛糞塊に飛来したフン虫を採集し,その個体数を記録した。糞設置後1週間目の糞の消失量を求めるとともに,糞設置後の牛糞塊面積の変化を調べた。糞塊周辺の草丈を測定し,その経日変化を検討した。調査は1994年7月から1995年5月まで行った。1kgの牛糞塊には平均726.6頭のフン虫が飛来し,その中で牛糞を土中に埋め込む能力を持つゴホンダイコクコガネとカドマルエンマコガネは7.2%であった。糞設置後1週間目の糞の乾物消失率については,無フン虫区で6.9%,フン虫区で23.0%であり,フン虫区が有意に高かった(P<0.01)。糞塊面積については,無フン虫区で日間差がほとんど認められなかったものの,フン虫区では糞設置後6日目に有意に増加した(P<0.05)。しかし,いずれの糞塊とも糞設置後282日目には消失していた。糞設置後20日目における草丈はいずれの処理区とも対照区と比べて高く(P<0.01),この時期に不食過繁地の形成が認められた。糞設置後20-300日目では,各処理区間の草丈に有意差は認められず,いずれの区の草丈も漸減した。無フン虫区およびフン虫区における不食過繁地は,いずれも280日間存続した。これらのことから,フン虫は1週間で新鮮牛糞の約4分の1を消失させるものの,不食過繁地の存続期間に及ぼす影響はほとんど認められないことが示唆された。
著者
中西 良夫
出版者
日本地図学会
雑誌
地図 (ISSN:00094897)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.19-23,18, 1968-12-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
1
著者
中西 良文
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.127-138, 2004-06-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
22
被引用文献数
17 1

本研究では, 方略帰属が方略を介して動機づけに影響を与えるという過程を想定し, 成功/失敗の方略帰属が自己効力感にどのような変化をもたらすのか, さらに, そのような変化はどのような方略を介してもたらされるのかについて検討した。被験者は高校生80名であった。そのうち60名を対象に面接を行い, 自ら考えさせる形で失敗の方略帰属 (SAF) もしくは成功の方略帰属 (SAS) を促し, 面接前後の自己効力感の変化, および, 面接での方略帰属を通じて思いつく「今後用いようとする方略」の特徴について検討した。その結果, 面接後においてSAS群の自己効力感がSAF群よりも有意に上昇していることが見いだされた。また, 今後用いようとする方略について質的分析を行った結果, SAS群はSAF群に比べ, 直接的に学習に関わるような方略を挙げる傾向があることが見いだされた。
著者
中村 南美子 冨永 輝 石井 大介 松元 里志 稲留 陽尉 塩谷 克典 赤井 克己 大島 一郎 中西 良孝 髙山 耕二
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.92, no.3, pp.343-349, 2021-08-25 (Released:2021-10-08)
参考文献数
32

3色覚であるヒトの色覚異常(2色覚)のうち,Protanopia(P),Deuteranopia(D)およびTritanopia(T)型の場合にはそれぞれ赤と青緑,赤紫と緑および青と緑の色が識別困難とされる.本研究では生理学的に2色覚とされるニホンジカ(Cervus nippon;以下,シカ)がこれらを識別可能か否かについてオペラント条件付けにより検証した.シカ2頭(推定3歳:オス・メス各1頭)を試験に用いた.1セッションを20試行とし,正刺激として提示した色パネルの選択率80%以上(χ2検定,P<0.01)が3セッション連続でみられた場合,シカは2つの色を識別可能と判定した.オスは18,5および3セッション目,メスは12,14および4セッション目でそれぞれの色の組み合わせを識別できた.以上より,供試したシカはP, DおよびT型のヒトで区別し難い色の組み合わせをすべて識別可能であり,行動学的手法によって導き出されたシカの色識別能力はヒトの2色覚と一致しないことが示された.
著者
劉 翔 高山 耕二 山下 研人 中西 良孝 萬田 正治 稲永 淳二 松元 里志 中釜 明紀
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理学会誌 (ISSN:13421131)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.13-22, 1998-07-15 (Released:2017-10-03)
参考文献数
14

水生シダ類植物アゾラと合鴨の有機的な結合が水田における除草と駆虫に関する効果および合鴨の行動に及ぼす影響を検討した。標準施肥区(以下、慣行区)、対照区、合鴨区、アゾラ区およびアゾラ-合鴨区の5区を設け、1996と1997年に試験を行った。水稲移植後の翌日に、1996年には70g/m^2、1997年には25g/m^2のアゾラをそれぞれの水田に接種し、約6〜7週間増殖させた。その後、合鴨によってアゾラを土中または水面下に攪拌し踏込ませた。水稲移植1週間後、1週齢のマガモ系合鴨を6羽/3aずつ水田に放し、稲の出穂期までの約2ヵ月間放飼した。1996年8月および9月においては、アゾラ-合鴨区と合鴨区の雑草発生量は対照区よりも有意に少なかった。1997年8月においては、アゾラ-合鴨区の雑草発生量は慣行区を除いた他の区に比べ、有意に少なかった。マット状になったアゾラによりヒエ類や他の水田雑草が抑制され、合鴨によりカヤツリグサなど柔らかい草が採食され、アゾラ-合鴨区の雑草発生量が少ないのはこの両者の相乗効果によるものと推察された。セジロウンカの発生は、対照区とアゾラ区に比べ、合鴨区とアゾラー合鴨区で有意に少ないことが認められた。トビイロウンカの発生は、合鴨区に比べ、アゾラ区とアゾラ-合鴨区では有意に多いことが認められた。ツマグロヨコバイについては、合鴨による顕著な防除効果か見られなかった。また、アゾラを鋤き込む時期によって、稲作後期の害虫の発生量が異なるものと思われた。合鴨の採食行動は夜間でも頻繁に行われているのに対して、アゾラー合鴨区では、昼間に集中していることが認められた。また、アゾラー合鴨区の採食行動と移動行動は、合鴨区に比べ、顕著に少なく、休息行動は、逆に顕著に多かった。日本家畜管理学会誌、34(1) : 13-22,19981998年3月26日受付1998年5月13日受理
著者
中西 良文
出版者
日本教授学習心理学会
雑誌
教授学習心理学研究 (ISSN:18800718)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.60-69, 2020 (Released:2022-11-07)

本研究は現実のテスト結果における成功/失敗の原因帰属について自由記述法で検討を行ったものであるが,特にこれまで主要な帰属因として扱われてきた努力帰属に関して,方向的な側面を含むものを方略帰属として弁別し検討を行った。また,原因帰属を行った後に,次の解決のためにどのような学習方略を用いようとするのかについても検討を行った。高等学校の1・2年生153名(男性97名・女性54名・不明2名)を対象に,社会科(現代社会もしくは地理)の定期テストにおける学業成績の原因帰属と,次の解決のための方略について自由記述で回答を求めた。その結果,最も多く挙げられた帰属因は,普段の学習における方略に該当する,勉強方略であった。また,成功の場合は勉強方略への帰属が最も多かったが,失敗の場合は努力帰属が勉強方略への帰属よりもやや多く,また,成功の場合との対比で勉強方略への帰属の割合に比して,テスト方略への帰属の割合が高かった。さらに,原因帰属を行った後に考える,次の解決のための方略については,失敗の原因帰属では学習の環境を整えるといった間接的にしか学習に関わらない方略がより挙げられやすいことが見いだされた。
著者
張 暁華 中西 良成 小林 希一 三ッ峰 秀樹 齋藤 豪
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.8-14, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

カメラの実写映像に基づいた立体物の電子映像部品化を目的として、被写体の表面反射パラメータ、すなわち、拡散反射および鏡面反射パラメータを良好かつ安定に求める方法を開発した。これまでは反射パラメータを求めるに当って、先ず、拡散反射成分と鏡面反射成分を分離してから求めていたが、この場合、被写体が複雑なテクスチャを持つ場合、あるいは、鏡面反射成分が多い場合には分離が良好に行えず、パラメータの取得が困難であった。本方法は、従来の方法と異なり、光源および被写体の色信号を予め知ること無しに、パラメータフィッティング法を用いて一挙に反射パラメータを求めることを特長としている。また、求めた反射パラメータを用いることにより、従来困難であった被写体に対しても拡散反射成分と鏡面反射成分を良好に分離することが可能である。論文では、反射パラメータの取得法の詳細、実験結果、考察等について述べる。
著者
髙山 耕二 平野 里佳 園田 大地 中村 南美子 大島 一郎 中西 良孝
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学農学部農場研究報告 = Bulletin of the Experimental Farm Faculty of Agriculture, Kagoshima University (ISSN:03860132)
巻号頁・発行日
no.40, pp.19-21, 2019-03

平飼い条件下での薩摩黒鴨™の産卵性に関する基礎的知見を得ることを目的とし,産卵率,孵化率および卵質について検討した.2017年12月23日から2018年6月21日にかけて,鹿児島大学農学部附属農場内動物飼育棟において飼養試験を行った.180日齢の薩摩黒鴨™12羽(♂3,♀9)を14㎡の飼育スペースで市販成鶏用配合飼料(粗タンパク質含量15%,代謝エネルギー含量2,800kcal/kg)を不断給与しながら群飼した.180~360日齢における薩摩黒鴨™の産卵率は79.2%であった.受精率は97.0%,対受精卵孵化率は77.1%であった.薩摩黒鴨™ 卵に占める卵黄の割合は,市販鶏卵のそれに比べて有意に大きく(P<0.05),その化学成分では薩摩黒鴨™卵の水分含量が市販鶏卵より有意に低く(P<0.05),タンパク質含量が有意に高かった(P <0.05).以上より,薩摩黒鴨™ の産卵能力および繁殖能力は他のアヒル類よりも高く,その卵質は鶏卵とは異なることが示された.
著者
中西 良孝 服部 育男 田川 光梨 高山 聡子 高山 耕二 神谷 充 佐藤 健次
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.209-211, 2012
参考文献数
3

従来,VBN濃度は微量拡散法や水蒸気蒸留法などの滴定法によって測定されてきたが,最近,飼料中の硝酸態窒素濃度や土壌中のアンモニア態窒素濃度を測定する場合に電気化学的検出法であるイオン電極法(以下,本法)が適用可能であり,土壌のアンモニア態窒素濃度測定においては分析時間が比色法よりも短縮することが報告されている。したがって,飼料中のVBNについても本法による分析が可能と考えられるが,滴定法の代替法としての可能性を追究した報告はない。そこで本研究では,発酵TMRおよびサイレージ中のアンモニア態窒素濃度を簡易に測定するための方法を開発することを目的とし,微量拡散法および本法による測定値間の相関関係を明らかにし,本法が滴定法の代替法となり得るかどうかを検討した。
著者
櫻田 譲 中西 良之
巻号頁・発行日
pp.1-25, 2011-11

第20回租税資料館賞(平成23年11月)論文の部入賞
著者
劉 翔 高山 耕二 山下 研人 中西 良孝 萬田 正治 稲永 厚一
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.266-271, 1998-10-31 (Released:2017-07-07)
参考文献数
11

南九州における水生シダ植物アゾラ(Azolla, 日本名アカウキクサ)の飼料化を確立するため, pH, 生育時期およびアイガモ放飼がアゾラの生育に及ぼす影響を検討するとともに, 化学成分, 家鴨による嗜好性およびその給与が家鴨の産肉性に及ぼす影響を検討した。 pH2.8〜9.2の各培養液による生育について, pH5.5〜8.5でのA. japonicaの生育には差がみられなかった。4月上旬および5月下旬にそれぞれ室外環境で接種した A. pinnata 103, A. filiculoides 1006, A. caroliniana 3004, A. microphylla 4018, A. japonicaの生育については, 接種後1〜2週月の生育はいずれの種においても5月(平均気温21.4℃)に比べ4月(平均気温14.6℃)で遅かった。接種後5週間の増殖量についてアゾラ種間で差がみられなかったものの(p>0.05), A. filicloides 1006と在来種のA. japonicaの生育がやや速い傾向を示した。田植え後の水田に接種したアゾラはアイガモ放飼区および無放飼区とも生育が遮光により低下し, 接種後40日間の新鮮物収量は約2.000kg/10aであったが, アイガモ放飼区では虫害, 赤変, 過繁茂あるいはカビなどが発生しなかった。 上述5種アソラ混合物の粗タンパク質舎量は乾物当たり25.1%であり, 家鴨による嗜好性については, ヨモギ(Arzemisia vulgaris L.), シロクローバー(Trifolium repens L.), カラスノエンドウ(Vicia angustifolia L.), エゾノギシギシ(Rumex obtusifolius L.), イタリアンライグラス(Lolium multiflorum Lam.)およびキャベツ(Brassica oleracea var.)に比べ, アゾラの新鮮物摂取量が有意に高かった(p<0.01)。アゾラと配合飼料を家鴨雛に給与した場合, 2〜8週齢の体重は対照区に比べ有意に大きかった(p<0.05)。飼料要求率は4適齢まで対照区よりも低かったが, その後, 増大する傾向が認められた。以上から, アソラ新鮮物は家鴨による嗜好性が高く, その給与が発育を促進するとともに, 産肉性にも良好な成績をもたらすことが示唆された。
著者
髙山 耕二 原 裕 石井 大介 柳田 大輝 冨永 輝 飯盛 葵 松元 里志 片平 清美 大島 一郎 赤井 克己 中西 良孝
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学農学部農場研究報告 = Bulletin of the Experimental Farm Faculty of Agriculture, Kagoshima University (ISSN:03860132)
巻号頁・発行日
no.39, pp.7-10, 2018-03

肥育牛舎におけるイノシシ害防除法の確立に向けた基礎的知見を得ることを目的とし, 嗅覚刺激として市販のオオカミ尿(以下, 尿) を野生イノシシに提示し, その効果を調べた. 2012年12月に野生イノシシの誘引餌として市販の濃厚飼料を置いた誘引場所(6.0m2) の入口に, 1) 容器および尿のいずれも設置しない(設置前), 2) 容器のみを吊るす(空容器) および3) 容器に尿を入れて吊るす(容器+尿) の3つの処理を行った. オオカミの1日平均侵入頭数は, 設置前で70頭/日, 空容器で50頭/日および容器+尿で67頭/日となり, 処理間差はみられなかった. 空容器では, それに野生イノシシが強い警戒心を示し, 鼻先を使って探索する状況がみられた.しかしながら, 通過時間には3処理間で有意差が認められなかった. また, 容器+尿に対して, 野生イノシシが忌避する状況はみられなかった.以上より, 市販のオオカミ尿に対して, イノシシは忌避しないことが示された.