著者
天笠 志保 荒神 裕之 門間 陽樹 鳥取 伸彬 井上 茂
出版者
日本運動疫学会
雑誌
運動疫学研究 (ISSN:13475827)
巻号頁・発行日
2021

本研究では, 感染症の流行時, 特にSARS流行時に実施された身体活動研究を振り返った上で, 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行下における身体活動研究の現状を明らかにした。 特に, 報告されている研究として主である身体活動の記述疫学的研究のレビューを行い, COVID-19の流行が身体活動量に与えた影響を明らかにした。スマートフォンのアプリケーションを用いた国際比較研究によると, COVID-19流行前と比較して, ロックダウンや外出制限下では最も歩数が低下していたが, 低下の程度は各国で異なった。 我が国では, 流行前の2月上旬と比較して, 4月の緊急事態宣言下に歩数がおよそ30%減少していた。また, COVID-19流行下で多く実施されたインターネット調査の結果によると, 座位行動時間が増加し, 中高強度の身体活動時間が減少したことが報告されている。 しかし, これらの研究はロックダウンや外出制限下における一時的な状況を示しているに過ぎず, 今後, 長期的な視点を持って, COVID-19の流行やそれに伴うライフスタイルの変化が日常の身体活動や身体活動の格差に与えた影響を明らかにしていく必要がある。また, インターネット調査やデバイスを用いた身体活動研究が浸透し, 今後さらなる研究が進むことが期待されるが, 対象者の代表性に留意する必要がある。

1 0 0 0 OA 絵入天草軍記

著者
井上茂兵衛 編
出版者
井上茂兵衛
巻号頁・発行日
1884
著者
岩佐 翼 高宮 朋子 大谷 由美子 小田切 優子 菊池 宏幸 福島 教照 岡 浩一朗 北畠 義典 下光 輝一 井上 茂
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.145-154, 2015-02-01 (Released:2015-01-25)
参考文献数
37
被引用文献数
1 1

The purpose of this cross-sectional study is to investigate the difference in physical activity among elderly living in different areas in Japan (“Bunkyo Ward in Tokyo” (Bunkyo) and “Fuchu City in Tokyo” (Fuchu) as urban areas, and “Oyama Town in Shizuoka” (Oyama) as a non-urban area). Participants were 1859 community-dwelling residents aged 65-74 years, randomly selected from the residential registry (response rate: 68.9%). A mail survey using self-administered questionnaires was conducted. Multivariate logistic regression analyses were used to calculate the adjusted odds ratios (ORs) and 95% confidence intervals (95% CI) of various types of physical activity (eg, walking (Walking), going out (Going-out), bicycling (Bicycling), exercise habits (Exercise)), according to residential areas (reference category: Fuchu), stratified by gender, adjusting for socio-demographic variables. There was a significant difference in Going-out (ORs = 0.61 (95% CI: 0.44-0.86) for men, 0.48 (0.33-0.69) for women)), and Bicycling (0.04 (0.03-0.07) for men, 0.04 (0.02-0.07) for women) in Oyama compared to Fuchu. Furthermore, for women, there was a significant difference in Walking (0.56 (0.38-0.81)) and Exercise (0.59 (0.41-0.85)) in Oyama compared to Fuchu. There was a significant difference in Bicycling and Going-out for men in Bunkyo compared to Fuchu, but there was not a significant difference in other items. Low physical activity levels were observed in the elderly in the non-urban area compared to urban areas. The association was stronger in women. Regional difference might need to be taken into account for an effective physical activity intervention.
著者
井上 茂
出版者
The Japanese Society of Behavioral Medicine
雑誌
行動医学研究 (ISSN:13416790)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.47-51, 2014

現在、大学医学部では大幅なカリキュラム改編が進行している。背景にはいわゆる「2023年問題」がある。2010年に米国のECFMG(Educational Commission for Foreign Medical Graduates)は「2023年以降、国際基準の認証を受けていない医学部の卒業生にはECFMGの受験を認めない」ことを宣言した。日本人が米国で診療するためにはECFMGが行う試験に合格する必要があり、2023年以降は日本の医学部を卒業した者が米国で診療を行うためには、国際基準に則った認証を受けた医学部を卒業していることが前提となる。大学の国際化が進む中で、認証の取得は各大学にとって必須の課題となっている。これを受けて、2012年にWorld Federation for Medical Education(WFME:国際医学教育連盟)は医学教育のグローバルスタンダードを発表し、2013年には日本医学教育学会がこのスタンダードに準拠した「医学教育分野別評価基準日本版」を発表した。今後は日本医学教育質保証評議会(Japan Accreditation Council for Medical Education:JACME)が、この基準に沿って各大学の医学教育を認証する体制が構築されることになる。ところで、この認証基準において「行動科学」が教育プログラムのなかに、大きな見出し語として取り上げられている。これに従えば、各大学のカリキュラム担当者は「行動科学」の教育を実施する必要がある。一方、医学教育者間で行動科学・行動医学という領域は十分に認知されておらず、標準的な行動医学の教育内容も示されていない。このような背景のもと、日本行動医学会は「行動医学コアカリキュラム」を提案するための作業を進めている。そこで、医学教育における行動医学の位置づけを確認すべく、「医学教育分野別評価基準日本版」およびその原本(国際版)を行動科学の視点から検討した。また、行動医学に関連した部分をできるだけ原本から忠実に引用し、まとまった資料として整理した。さらに、その他の医学教育に関連したガイドラインとして「医師国家試験出題基準」「医学教育モデル・コア・カリキュラム」を行動医学の視点から検討した。その結果、医学教育分野別評価基準日本版においては「行動科学」が大きな見出し語となっており、行動医学の社会医学的側面を踏まえた記載が中心となっていた。医師国家試験出題基準には行動医学の特に臨床医学的側面が比較的体系立てて示されていた。また、医学教育モデル・コア・カリキュラム(準備教育モデル・コア・カリキュラム)には心理学的側面に関するキーワードが多く掲載されていた。これらの文書は医学教育のカリキュラム作成において大きな影響があることから、これらを踏まえて、各大学医学部のカリキュラム作成担当者の指針となるような、行動科学・行動医学の標準的な教育内容が提案されることが期待される。