著者
伊藤 静香
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.99-107, 2013-06-30

日本におけるジェンダー平等政策は、新自由主義的改革が展開した時代と同時期に「男女共同参画」という国策で進められた。特に日本の経済活性化のために、女性の労働力活用が求められ、女性の就労を支援するさまざまな法・制度の整備が進められた。しかしながら、経済的・政治的にも女性の参画や男女の格差解消は十分ではない。「日本的経営」でオイルショックによる経済危機を乗り切った日本では、ジェンダー分業を内包したまま女性の労働力活用が促進され、新自由主義的改革のもとで女性の自立と社会参画をめざす「男女共同参画」政策が進められた。その結果、女性たちは男性社会のルールの中で、「競争」と「選別」を余儀なくされ、その選択は「自己責任」に帰されている。筆者が研究テーマとする女性/男女共同参画センターにおける労働現場では、低賃金・非正規雇用の問題などが指摘され、女性の就労における課題の典型であると言われている。本研究ノートは、筆者の研究テーマである女性/男女共同参画センターのあり方に対する視角を固めることを目的として、日本における新自由主義的改革と男女共同参画政策の関係性に焦点をあてた研究成果をアメリカのフェミニスト理論家であるナンシー・フレーザーの論考からヒントを得て、整理・検討を試みた。
著者
伊藤 静代 田中 信幸 若井 周治 伊藤 希美 小浜 源郁
出版者
特定非営利活動法人 日本口腔科学会
雑誌
日本口腔科学会雑誌 (ISSN:00290297)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.202-206, 2001-05-10 (Released:2011-09-07)
参考文献数
14

A 4-year-old girl, who showed velopharyngeal (VP) incompetence associated with bilateral striatal necrosis, received speech therapy with a palatal lift prosthesis (PLP). CDVP function was improved three months after insertion of the PLP, normal articulation and an increase in speech intelligibility were obtained. RImproved velopharyngeal efficiency was maintained, and the PLP was removed two years and five months later. RAfter practice at setting the normal tongue position at rest to improve oral dysfunctions of speech, chewing, swallowing, and tongue movement, she recognized that she was able to close her lips and produce normal speech.
著者
有松 優行 渥美 生弘 諏訪 大八郎 大熊 正剛 土手 尚 石田 惠章 齋藤 隆介 古内 加耶 小林 駿介 伊藤 静 德山 仁美 中安 ひとみ 出口 美義 光定 健太 角屋 悠貴 武田 栞幸 田中 茂
出版者
日本脳死・脳蘇生学会
雑誌
脳死・脳蘇生 (ISSN:1348429X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.91-94, 2022 (Released:2022-08-26)
参考文献数
8

【目的】本人,家族に臓器提供の意思があったが虐待の可能性が否定できなかったために臓器提供に至らなかった1例を報告する。【症例】13歳,男性。現病歴:自宅内で首を吊っていたところを発見され,救急搬送された。経過:搬送後に経口挿管を行い,アドレナリンを投与し自己心拍が再開した。入院4日目に脳幹反射が消失し,CT検査で脳浮腫,脳波で平坦脳波を確認した。本人の保険証に臓器提供の意思が確認され,家族にもその意思があった。しかし,来院前日に父親が患者を叱責した事実が明らかになった。警察と児童相談所へ照会を行い,院内の倫理委員会で,虐待の事実は確認できないが可能性が否定できないとされた。「法的脳死判定マニュアル」1)で,脳死判定の除外例に「被虐待児,または虐待が疑われる18歳未満の児童」をあげていることから,脳死判定を行わず臓器提供も行わない方針とした。【まとめ】虐待の否定ができないことが臓器提供を行うことができないことに直結する現制度は,患者本人の意思を尊重できない可能性がある。
著者
丹羽 健市 中井 誠一 朝山 正巳 平田 耕造 花輪 啓一 井川 正治 平下 政美 管原 正志 伊藤 静夫
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.151-158, 1996-02-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
20
被引用文献数
1 2

運動時の暑熱障害事故予防のための基礎資料を得るために, 男子大学生を対象に運動場の環境条件 (WBGT) の実態と, それに伴う発汗量や飲水量及び体温との関係ならびに運動時の水分補給の有無が体温調節反応に及ぼす効果について検討した.得られた主な結果は, 次の通りである.1.4月から9月までの期間, 同一時刻に練習を行った際のWBGTは4月以降上昇し, 8月に最高値に達した後下降した.2.自由飲水時の体重減少量は4.8~5.7g/kg・hr-1の範囲にあり, 各月間に有意な差異は認められなかった.3.発汗量および水分補給量はWBGTの上昇に伴って増大し, 両者の問に高い相関関係が認められた.しかし, 自由飲水時の口内温の変化量はWBGTの上昇にもかかわらず0.52±0.08℃であり, WBGTの増加に伴う変動は認められなかった.4.運動時の口内温の上昇は水分補給の有無によって異なり, 水分補給の場合で0.62±0.30℃, 非補給では1.09±0.54℃上昇し, 両者の間に有意な差異が認められた (p<0.001) .5.水分補給の場合の発汗量は10.455±2.272g/kg・hr-1, 一方非補給のそれは8.279±1.271g/kg・hr-1であり, 両者の間に有意な差異が認められた (p<0.01) .
著者
森丘 保典 伊藤 静夫 持田 尚 大庭 恵一 原 孝子 内丸 仁 青野 博 雨宮 輝也
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.181-190, 2003-03-10 (Released:2017-09-27)
被引用文献数
1 2

本研究の目的は,異なる種目を専門としながらほぼ同等の400m走能力を有する被験者群(SPR、MID,DEC)を対象として,間欠的な漸増負荷走行テスト(MART)を行い,Laから推定されるパワーと400m走記録との関係を検討することであった。結果の要約を以下に示す。1)MARTにおける安静時から速度増加中のLaおよびPBLaにおいては,SPRが最も高く, MIDが最も低かった。この結果,PBLaはSPRがMIDに比べて有意に高い値を示し,P3mM,P5mMはMIDがSPRに比べて有意に高い値を示した。2)400m走記録とMARTにおけるPmaxとの間(r = -0.662,P<0.05),およびP60%Laとの問(r = -0.662,P<0.05)には,いずれも有意な相関関係が認められた。以上のことから,MARTは400m走能力を反映するテストとして有用であること,また,P60%Laは400m走能力を反映する評価指標の一つとして用いることができることなどの可能性が示唆された
著者
森丘 保典 伊藤 静夫 大庭 恵一 原 孝子 内丸 仁 青野 博 雨宮 輝也
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.285-294, 2003-06-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
36
被引用文献数
1 1

本研究の目的は, 中距離走者を対象に間欠的な漸増負荷走行テスト (MART) を行い, La動態から推定されるパワーと中距離走能力との関係を検討することであった.結果の要約を以下に示す.(1) V800m, V1500mと実験時の走力を表す最大パワー (Pmax) との間に有意な相関関係が認められた.(2) V800mとピークLa (PBLa) の60%値 (60%PBLa) を基準に算出したパワー (P60%La) , V1500mとPBLaの40%値 (40%PBLa) を基準に算出したパワー (P40%La) およびP60%Laとの間に有意な相関関係が認められた.以上のことから, MARTが中距離走能力を反映するテストとして有用であること, また, P60%Laが800m走能力, P40%LaおよびP60%Laが1500m走能力を反映する評価指標の一つとして利用可能であることなどが示された.
著者
森丘 保典 持田 尚 内丸 仁 青野 博 雨宮 輝也 伊藤 静夫
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.117-124, 2006 (Released:2008-01-25)
参考文献数
22

本研究の目的は, 十種競技者を対象に間欠的な漸増負荷走行テスト (MART) を行い, La動態と走能力との関係を検討することであった.結果の要約を以下に示す.(1) V400m, V1500mおよびTPRとVmaxとの間にそれぞれ有意な正の相関関係が認められた. また, V400mとPBLaとの間に有意な正の相関関係が認められた.(2) 十種競技者の走能力 (V100m, V400m, V1500m, TPR) は, VRLaとの間にVALaよりも高い有意な正の相関関係が認められた.(3) VRLaは, 無気的能力の向上 (最大下のLa濃度およびPBLaの増加) によるLa動態の変化を, トレーニング効果として評価することができた.以上のことから, MARTが十種競技者の走能力を反映したテストであること, また, PBLaおよびVRLa (V20%La, V40%La, V60%La) が, 個々の競技者の生理的特性やトレーニングによる無気的能力の変化を考慮した, 十種競技者の走能力評価の指標として利用可能であることなどが示された.