著者
佐藤 和夫 西川 訓利 鈴木 徳祥 小川 明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.79, no.11, pp.892-900, 1996-11-25
被引用文献数
75

人体近傍に置かれた携帯無線機用アンテナの特性をFDTD法を適用して解析し,アンテナが人体から受ける影響を明らかにする.解析モデルは人体頭部と携帯無線機を握る手からなる人体モデル,および金属きょう体に取り付けられたアンテナから構成される.本解析モデルを用いて計算した結果は実験値とよく一致し,人体モデルの影響を含めて携帯無線機用アンテナの特性を精度良く解析できることを示した.この解析モデルを用いて,携帯電話,およびPHSの周波数帯において,携帯無線機に取り付けられたλ/4モノポールアンテナおよび平板逆Fアンテナの特性を計算した.その結果,放射効率は人体モデルの影響を大きく受け,45%以下にまで劣化することがわかった.更に,人体モデル頭部の形状や携帯無線機を握る手の位置が放射効率に与える影響を明らかにし,アンテナの種類によって人体から受ける影響が大きく異なることを示した.
著者
富田 理沙 谷尾 千里 村松常司 〔他〕 佐藤 和子
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学研究報告. 芸術・保健体育・家政・技術科学・創作編 (ISSN:13461818)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.15-23, 2003-03-01

本研究では小学校5・6年生369名(男子181名,女子188名)を対象に日常ストレス・対処行動とセルフエスティームとを追究し,以下に示す結果を得た。(1)小学生の日常ストレスは「試験や試合などで失敗した」が最も多く,以下「自分が失敗するのではないかと恐れた」,「友達とうまくいかなかった」と続いた。「試験や試合などで失敗した」,「自分が重い病気になった」は男子に多く,「自分の性格のことで悩んだ」,「自分の成績のことで悩んだ」,「自分の顔やスタイルのことで悩んだ」は女子に多く,日常ストレスには性差が認められた。(2)日常ストレスの影響として最も大きかったのは「自分の大切なものを失ってしまった]であり,以下「誰かにひどくいじめられた」,「身近な人が病気になった,または亡くなった」と続いた。(3)ストレス対処行動は「信頼できる人に相談する」が最も多く,以下「勉強や趣味に集中する」,「困難に立ち向かい,努力して乗り越える」と続いた。また,「友達の家へ遊びに行く」,「気分転換のため軽い運動をする」は男子に多く,「信頼できる人に相談する」,「人に話し,気持ちを分かってもらう」,「買い物などをして気を晴らす」,「泣きわめいたり,取り乱したりする」は女子に多く,対処行動に性差が認められた。(4)男女ともセルフエスティーム得点の高い子どもは積極的対処行動が多く,セルフェスティーム得点の低い子どもは消極的対処行動が多かった。(5)男女ともセルフエスティーム得点の高い子どもはストレスの程度(ストレス個数ならびにストレス得点)が低かった。以上の結果が示すように,小学生において日常ストレス・対処行動とセルフエスティームとの関連を確認することができた。今後,小学生のストレス軽減にはセルフエスティームを高める視点からの教育指導を取り入れることが重要であることが示唆された。
著者
富樫 賢一 江部 達夫 佐藤 和弘 斎藤 博之
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.3-9, 1998-02

原発性肺癌に対する外科治療の安全性をより向上させるためにはどうすべきかを,術後死亡(手術死亡十病院死亡)例を分析することにより検討した.対象は1979年より1996年までに手術を施行した1032例である.手術死亡(術後1ヵ月以内の死亡)は10例(1.0%),病院死亡は9例(0.9%)で,術後死亡率は約2%であった.高齢者ほど,また,手術侵襲が大きいほど術後死亡率は高い傾向にあった.手術死亡10例の原因は,心破裂1例,消化管出血1例,脳出血1例,脳梗塞1例,肺炎1例,気管支痩1例,ARDS2例,突然死2例であった.病院死亡9例の原因は腎不全1例以外すべて呼吸器系の合併症であり,気管支痩3例,ARDS2例,その他の呼吸不全3例であった.これらの死因は必ずしも予側や予防が可能とは思われなかったが,厳密な手術適応の決定と術後管理における迅速な対応が肝要と思われた.
著者
粂川 一也 小久保 温 佐藤 和則 川島 隆太 山田 健嗣 福田 寛
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.83, no.3, pp.308-313, 2000-03-25
被引用文献数
9

病院間における高速データ通信の需要には, コンピュータトモグラフィー(CT)等の画像データの転送や, ビデオ会議システムにより診断, 研究の議論を行うことなどがある.本論文では, 仙台市内の病院間に, 空間光伝送を利用した155Mbps ATM無線LANを構築し, 天候による影響を長期にわたって観測した.測定期間中, 霧及び降雪による回線断が発生したが, 降雨による回線断は観測されなかった.霧による回線断は早朝及び日没以降に発生しているので, 主な回線利用時間帯での影響は少ない.また, 全体を通して回線断の頻度は低く, 10Mbps以上での回線稼働率は99.4%であり, 空間光伝送によるLANの有用性が示された.
著者
篠崎 明 佐藤 和寿 澤村 浩 伊與田 光宏
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.50, pp.65-66, 1995-03-15

近年、通信インフラストラクチャの整備に伴い、コンピュータネットワークを用いた遠隔教育システムの開発が盛んに行われている。これらは、メール機能、ファイル転送機能、画面共有機能など基本機能を組み合わせたグループウェアパッケージとしての提供が多数を占めている。しかし、実際の教育においては利用者、指導科目などによりシステムに対する要求は変化する。本研究では、エンド・ユーザレベルで利用可能なマクロ/スクリプト言語によるアプリケーションの連携動作を利用し、ユーザの要求を満たす情報共有形態、システム環境の実現を目指す。本稿では、実システムとして、ワイドエリアネットワーク環境を利用した遠隔教育支援システムについて述べる。
著者
森 茂子 佐藤 和夫
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.149-150, 1996-03-06

クリーンルーム手法は,高信頼性ソフトウェアの開発が可能な手法として,注目を集め,その適用事例も紹介されている.しかし,本手法はバージョンアップの場合の対処のしかたには明示的にはふれていない.また公表された事例は,バージョンアップ対象となる製品の設計を,クリーンルーム手法の設計で全て書き出す作業を前提とし,その作業に多大な費用と時間を要するものであった.今回,日本の金融機関向ミドルウェアのバージョンアップに際し,クリーンルーム手法を適用するために,現実的な費用と時間で実施可能な設計方法を,新たに提案した.既に存在している,保守資料を有効利用しながら,修正,変更を行う.修正,変更項目ごとに,関係するデータおよびモジュールを洗いだす.それに対してのみ,クリーンルーム手法を適用する.テストは,従来通りの方法で行う.実際に,従来ウォーターフォール型のプロセスで開発されてきた,上記ミドルウェアでこの提案を実施の結果,信頼性については約5.6倍の改善と予測される結果を得,効果を確認した.生産性は約8%向上し,開発期間は従来と同程度であった.これにより,現実的な費用と時間で実施可能で,しかも高信頼性を得られる,バージョンアップのための設計方法であることを確認した.
著者
佐藤 和文
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.24, pp.57-64, 2001-03-09

「シニア世代」という、年齢で区分される社会的集団は、いわゆる「デジタルデバイド(デジタル格差)」の発生領域として位置付けられなければならない。デジタル技術やネットワーク技術の発達を背景に、日本の情報化はますます多様かつ急激な展開をみせ、その質的な変容も、著しい。特徴的なのは、日本の情報化が、急速に進む「高齢化」と同時進行している点である。デジタルデバイドの問題は、インターネット先進国である米国において、主に低所得層や障害者が抱える社会問題として論じられてきたが、「情報化」と「高齢化」が同時進行する日本社会においては、シニア世代IT(情報技術)のかかわりがとりわけ重要である。デジタルデバイドは高齢化対策の視点でも、適切かつ有効な対応が求められる。にもかかわらず、例えば政府が推進しようとしている「IT講習」は、1人の講師が20人に教える枠組みで、組み立てられている。シニア世代特有の身体的・社会的条件を考えれば、1人の講師が20人に教えるような一般的形態の講習は、効果がない。「IT講習」は「シニア世代はITと無縁であっていい」と宣言しているかのごときであり、シニア世代を「社会的に用済みの存在」としてきた日本の伝統的な高齢者観と通ずるものがある。「高齢化」と「情報化」が同時進行しているという意味で、日本の「デジタルデバイド」は、世界的にみても、固有の意味を持ち、その対応策は、日本固有の状況を十分見極めながら導きだされる必要がある。そのためにはコスト重視の企業的アプローチではなく、ボランタリーなエネルギーによって支えられる「NPO的な可能性」を生かす視点が重要である。