著者
佐藤 和道
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

早稲田大学演劇博物館・法政大学能楽研究所・盛岡中央公民館・東京藝術大学附属図書館・土佐山内家宝物資料館・金沢市立玉川図書館等に所蔵される大鼓葛野流・小鼓幸流に関する資料を網羅的に収集し、近世から近代にかけての能楽囃子の一端を明らかにした。またその過程で、大鼓役者川崎九淵の旧蔵資料のうち従来未公開の資料を発掘することができた。これは近代における能楽囃子の様相を知る上で第一級の資料である。
著者
西田 和正 河合 恒 解良 武士 中田 晴美 佐藤 和之 大渕 修一
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.67, no.8, pp.518-527, 2020-08-15 (Released:2020-09-01)
参考文献数
28

目的 我々は,フレイル高齢者では,地域における役割がないことが,社会からの離脱を早め,二次的に心身機能維持の意欲が低下していると考え,地域保健モデルであるコミュニティアズパートナー(Community As Partner:CAP)に基づく介入によって地域における役割期待の認知を促す,住民主体フレイル予防活動支援プログラムを開発した。本報告では,このプログラムを自治体の介護予防事業等で実施できるよう,プログラムの実践例の紹介と,その評価を通して,実施可能性と実施上の留意点を検討した。方法 プログラムは週1回90分の教室で,「学習期」,「課題抽出期」,「体験・実践期」の3期全10回4か月間で構成した。教室は,ワークブックを用いたフレイル予防や地域資源に関する学習と,CAPに基づく地域診断やグループワークを専門職が支援する内容とした。このプログラムの実践を,地域高齢者を対象としたコホート研究のフィールドにおいて行った。基本チェックリストでプレフレイル・フレイルに該当する160人に対して案内を郵送し参加者を募集し,プログラムによる介入と,介入前後にフレイルや地域資源に対する理解度や,フレイル予防行動変容ステージについてのアンケートを行った。本報告では,参加率やフレイルの内訳,脱落率,介入前後のアンケートをもとにプログラムの実施可能性と実施上の留意点を検討した。結果 参加者は42人で(参加率26.3%),プレフレイル25人,フレイル17人であった。脱落者は10人であった(脱落率23.8%)。介入前後でフレイルの理解は5項目中4項目,地域資源の理解は,11項目中6項目で統計的に有意な向上を認めた(P<0.05)。フレイル予防行動変容ステージは,維持・向上したものが26人(81.2%)だった。結論 住民によるグループワークを専門職が支援するプログラムであっても,専門職が直接介入する従来型プログラムと同程度の約3割の参加率があった。一方,脱落率はやや高く,事前説明会で参加者に教室の特徴を理解させることや,教室中はグループワークに参加しやすくするための専門職の支援が重要であると考えられた。また,アンケート結果から,プログラムによってフレイルや地域資源への理解度が向上し,フレイル予防行動の獲得も示唆された。
著者
加藤 寛之 佐藤 和信 工位 武治
出版者
日本缶詰協会
雑誌
缶詰時報 (ISSN:04109716)
巻号頁・発行日
vol.90, no.3, pp.269-278, 2011-03
著者
山本 奬 佐藤 和生 有谷 保 板井 直之 川原 恵理子 三浦 健 若松 優子 YAMAMOTO Susumu SATO Kazuo ARIYA Tamotsu ITAI Naoyuki KAWAHARA Eriko MIURA Ken WAKAMATSU Yuko
出版者
岩手大学大学院教育学研究科
雑誌
岩手大学大学院教育学研究科研究年報 = Research Journal of the Iwate University Professional School for Teacher Education (ISSN:2432924X)
巻号頁・発行日
no.4, pp.223-236, 2020-03-31

本研究の目的は,自殺予防教育の一環として,ソーシャルスキルトレーニングの考え方を参考に「援助要請の仕方・受け止め方」の心理教育プログラムを作成し,小学校3年生から中学校2年生までの児童生徒に実施し,その成果を検証することであった。作成したプログラムについて,援助要請の仕方・その受け止め方共に,当初の自信による適用の禁忌はないことが確認された。援助要請の仕方・その受け止め方の自信の向上については,いずれの学年においてもその効果が認められ,特に小学校中学年において顕著であった。困り事・悩み事の対処姿勢については,中学生と小学校高学年において,肯定的変化が認められた。
著者
禹 ハンウル 間所 洋和 佐藤 和人 田村 雄介 山下 淳 淺間 一
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.304-309, 2020 (Released:2020-02-13)
参考文献数
18

近年,自動運転の開発が世界的に進んでおり,技術の完成も近づいている.しかし,その途中段階として,人が運転する車と自動運転車が混在する環境が想定される.本研究では,自動運転車の後ろを追従する運転者を推定の対象とし,車両挙動から運転者の操作特性を時系列で推定する手法の構築に取り組む.
著者
佐藤 弘起 佐藤 和弘
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.204-209, 2007 (Released:2011-08-25)
参考文献数
9

画像のエッジ部分には,画像の特徴を決める重要な情報を多く含んでいる.そこで,画像の凹凸情報を正規化した凹凸係数と名付けた関数を用い,画像のエッジ検出や2値化処理を行った.凹凸係数は,演算対象画素の輝度値を,その周辺に位置する数画素平方の画素の平均輝度値で除算したもので,照明条件などの要因で局部的に画面の明るさが変化しても,画像の濃度変化を正確に抽出できる.その結果,従来のフィルタ処理では実行し難かったシェーディング画像の2値化処理も正確に行うことができるなど,大きな特徴を出せることがわかったので報告する.
著者
酒井 健児 荒木 寿和 佐藤 和貴 黒田 重史
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C3P3398, 2009 (Released:2009-04-25)

【目的】夜間痛を有する肩関節疾患患者(以下,肩夜間痛患者)の姿勢特性として,円背を呈し,肩甲骨前傾・内旋が増大しており,小胸筋の緊張が高いことを経験する.このような姿勢を呈する患者は夜間痛出現部位として,過緊張を起こしている小胸筋よりも,上腕前面から外側面にかけて訴えることが多い.そこで今回,徒手で擬似的に小胸筋を短縮位にさせたときの三角筋前部線維の動態を,超音波診断装置を用いて調査した.そして,円背を呈した肩夜間痛患者に対する評価・治療する上で有用と思われる知見が得られたので報告する.【方法】対象は,肩関節に整形外科的問題がない健常成人10名20肩であり,ヘルシンキ宣言に基づいて十分に説明して同意を得て行った.方法は,超音波診断装置Xario(TOSHIBA製)のリニア型プローブを使用し,自然背臥位にて計測した.検者が徒手で他動的に肩甲骨を前傾・内旋方向に誘導し,擬似的に小胸筋を短縮位にさせた状態(以下,小胸筋短縮位)での三角筋前部線維筋束の動態方向を長軸像で観察した.【結果】全20肩で,小胸筋短縮位で三角筋前部線維筋束が末梢方向に移動した.その移動距離は,約5~10mmだった.【考察】我々は,先行研究として,3次元CTを用いて肩甲骨内旋増大している肩夜間痛患者の姿勢特性を調査し,肩甲骨の前傾・内旋と,鎖骨のprotractionが増大していることを報告した.つまり,小胸筋が短縮すると,烏口突起を介して,肩甲骨を前傾・内旋させる.そして肩鎖関節を介して鎖骨をprotractionさせ,三角筋前部線維の起始部である鎖骨遠位端が腹尾側方向に移動することで,三角筋前部線維の筋束が停止部である三角筋粗面に向かって,末梢方向に移動したと考えられる.したがって,肩夜間痛患者で小胸筋が短縮している場合,三角筋前部線維の末梢方向への伸張ストレスが,夜間痛発生に関与している可能性が示唆される.【まとめ】小胸筋短縮位における三角筋前部線維の動態方向を,超音波画像を用いて観察した.全例において,徒手で他動的に小胸筋を短縮位にすると,三角筋前部線維は末梢方向に移動することが観察できた.小胸筋が短縮している肩夜間痛患者に対して,小胸筋の短縮を改善させるとともに,三角筋前部線維を求心性収縮させて筋束を中枢方向へ誘導したり,ストレッチなどにより末梢方向への柔軟性を高めることが有効であると推察された.
著者
佐藤 陽介 辻 英樹 松井 裕帝 佐藤 和生 小田 和孝 大野 健太郎
出版者
日本マイクロサージャリー学会
雑誌
日本マイクロサージャリー学会会誌 (ISSN:09164936)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.60-64, 2019 (Released:2019-06-25)
参考文献数
5

Purpose: This retrospective case series examined wound complications after Tamai zone V replantation, and describes a potential strategy to increase the finger survival rate and improve function.Methods: Nine patients (22 fingers) underwent Tamai zone V replantation at our institution between 2011/9 and 2017/5. We performed a detailed chart review to identify features of their postoperative soft tissue progress, finger loss rate and details of additional surgeries.Results: Four patients (10 fingers) lost all replanted fingers, whereas in five patients (12 fingers) , all fingers survived. In all four failure cases, tissue necrosis developed gradually in the replantation zone covering the vascular anastomoses, and vascular thrombosis and spasm were observed approximately 1 week after the first replantation. In contrast, 3 out of 5 patients did not develop tissue necrosis. The fingers of the remaining 2 patients were salvaged by performing timely flap coverage of the necrotic tissue overlaying the vascular anastomoses.Conclusion: Early flap coverage to the Tamai zone V replantation area may be effective in preventing vascular thrombosis and spasm leading to finger loss, and it made it easier to perform additional reconstructive surgeries.
著者
佐藤 和男 松原 仁
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. EC, エンタテインメントコンピューティング (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.10, pp.1-6, 2014-03-06

本研究では,スマートフォンアプリを使った時間管理方法の確立を目的としている.やること (What to do) が重なるとき,付せんや ToDo リストを用いてやることを整理することがある.ソフトウェア開発においてはガンチャートを用い,作業の工程と各作業に対する見積もりの時間を視覚的に示すことで,工程管理やスケジュール管埋を行っている.しかし,日常生活において簡易的にタスクを把握したい場合,スマートフォンや PC アプリの ToDo リストやメモ帳などを使うことが多いが,ひとつのタスクに対して優先度 (Priority) や締切 (DeadLine) を設定する機能があっても時間コスト (Time-Cost) を設定する機能は稀である.我々は,ひとつのタスクに対して時間コストを設定することができる ToDo リストを開発した.そして,タスクに対して目安となる時間を設定することができれば,タスクの締切を考えながらスケジュールを立てやすくなり,従来の ToDo リストよりも有用性が高いと仮説を立てた.本研究では "時間コスト" に着目し,ひとつのタスクに対してユーザが目安となる時間を設定することによりもたらされる,効果と有用性を明らかにする.
著者
木村 公俊 北條 浩彦 福岡 聖之 佐藤 和貴郎 高橋 良輔 山村 隆
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.390a, 2016 (Released:2016-09-03)

エクソソーム(exosome)は細胞間情報伝達に関わる微小胞で,miRNA等を内包している.miRNAはT細胞分化を含めた免疫機構に深く関わっており,多発性硬化症(MS)等の自己免疫疾患においてexosomeの関与が推察される.本研究では,血漿中exosomeに含有されるmiRNAを解析し,健常人に比してMS患者において発現が亢進しているmiRNA 4種(miR-A, B, C, D)を同定した.また,T細胞にMS患者由来のexosomeを添加・培養すると,健常人由来のexosome群に比して制御性T細胞の頻度が低下した.制御性T細胞の頻度は,添加されたexosome中のmiR-Aの量と逆相関していた.また,T細胞へのmiR-Aの導入で,同様に制御性T細胞が減少した.さらに,naive CD4 T細胞から制御性T細胞への分化誘導時にも,miR-Aの導入で頻度が低下したことから,miR-Aは制御性T細胞の分化を阻害すると推察された.次に,制御性T細胞の減少に関与すると考えられる,miR-Aのターゲット遺伝子候補を検討し,miR-A導入によるprotein-Aの発現低下を確認した.また,protein-A発現をsiRNAで阻害すると,制御性T細胞が減少することを確認した.実際に,MS患者の末梢血CD4 T細胞において,protein-Aの発現低下を認めた.さらに,MS患者では制御性T細胞が減少しており,その頻度とnaive CD4 T細胞のprotein-Aの発現量に正の相関を認めた.本研究により,miRNAと制御性T細胞の分化抑制を介した,exosomeによる新たな疾患メカニズムが示唆された.
著者
澤田 学 合崎 英男 佐藤 和夫
出版者
帯広畜産大学
雑誌
帯広畜産大学学術研究報告 = Research bulletin of Obihiro University (ISSN:13485261)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.18-24, 2010-10

本稿の目的は,牛肉生産における飼料自給率向上の利点に関する消費者評価を検討することである。Best-Worst選択質問実験を用いて牛肉生産における飼料自給率向上の利点に関する消費者の評価を測定する調査を,首都圏在住の618名を対象に2008年3月に実施した。分析の結果,回答者全体としては,「エサに対する安心感」が飼料自給率の向上で最も重視される項目であるが,評価パターンによって回答者は3つの群に分けられることがわかった。さらに,評価パターンには,回答者の,倹約志向ならびに食の安全志向といった態度が顕著に影響することが確かめられた。
著者
三井 一希 八代 一浩 水越 一貴 佐藤 和紀 萩原 丈博 竹内 慎一 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.79-84, 2018-12-01 (Released:2019-06-01)

本研究では,小学校のプログラミング教育において,学習状況の共有化ツールを活用して児童のプログラミングの状況をクラス内で共有した場合の効果について検討した。その結果,学習状況の共有化ツールを活用すると,プログラミングに使用するブロックの数や種類が増える,他グループの工夫に気付きやすくなるなど効果的に学習できる傾向が見られた。また,児童は見やすさなどの理由から,共有化ツールを活用する授業を好意的に評価していることがわかった。
著者
大内 弘造 佐藤 和幸 宮島 紀芳 荒木 敏明 秋山 裕一
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.12, pp.843-847, 1981

<I>i</I>BuOH及びiAmOHの高生産株を得る目的で, 清酒酵母協会701号に紫外線照射を行って突然変異を誘発し, NV及びNL含有培地で集殖することによって, NV, NL耐性株を分離した。<BR>代表的耐性株NLV90-6は親-株と同じ発酵力を持ち, NV, NL各20mM含有培地でも非含有培地における親株の増殖速度と同じ増殖能を示した。<BR>親株の<I>i</I>BuOH及び<I>i</I>AmOH生合成能はNV, NLの添加によって減少したが, 耐性株には減少しないものがあった。ただし, それらも<I>i</I>BuOH, <I>i</I>ArnOHの高生産株ではなかった。<BR>清酒もろみの発酵では親株より<I>i</I>BuOHは幾分多く, また<I>i</I>AmOHは幾分少なく生成し, A/B比には明らかな差が生じた。<BR>製成酒の官能評価では親株と同等であったが, 親株にくらべてアミノ酸度が多いことが特徴であった。<BR>清酒もろみ, 麦芽汁及びブドウ果汁の発酵中のアミノ酸消長からみて, アルギニン等の例外を除きアミノ酸の取り込みが親株よりも遅いことが推察された。<BR>NV及びNLの消費量を調べた結果, 親株の半分以下であった。また, <SUP>14</SUP>C-ラベルを使用し, バリン, ロイシン及びリジンの取り込み速度を調べた結果, 親株の1/2以下であった。<BR>以上の結果, 得られた耐性株は窒素源の膜透過性異常変異株と結論された。<BR>最後に麦芽の提供と麦芽汁の調製に御協力いただいたニッカウヰスキー株式会社辻謙二氏に感謝する。