著者
前林 浩次 今川 章夫
出版者
社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.71, no.11, pp.1390-1397, 1980-11-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
14

生理的な勃起現象の神経学的な検討はまだ充分になされていないが, 逆説睡眠時の勃起現象の観察(REM-P, 第1報参照) において勃起が観察される場合には少なくとも脳幹部以下の勃起に関する神経系および血管系に異常はみられないと考えている.頭部外傷後の後遺症発現に脳幹部障害が関与しているとの報告もあり, 勃起を伴う性行動の大部分は辺縁系と視床下部にて調節されており, 視床下部-脳幹系の障害による勃起不全も存在すると考えられる. このような考えのもとに, 36症例の勃起不全患者に対し, REM-Pおよび視床下部―脳幹系の検討(test of Brainstem-Function 以下BSF) を行い視床下部―脳幹系と勃起不全との関連性について検討した. なおBSFは, 視性眼振検査, 視標追跡検査および Adrenalin 負荷テストにて行つた.その結果, 36例中26例にBSF異常例がみられ, 器質的症例では機能的症例にくらべ, BSF異常群が高率に出現した. また機能的症例のうち, 完全型勃起を呈する症例群では不完全型のものに比較し, BSF異常例の出現が少い傾向にあつた.以上の結果より, 視床下部―脳幹系の異常の存在は勃起不全を形成しやすい準備状態の一つと考えられた.
著者
前山 智宏 前川 清人 松本 忠夫
出版者
日本熱帯生態学会
雑誌
Tropics (ISSN:0917415X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.509-517, 2001 (Released:2009-01-31)
参考文献数
21

アカネ科アリノスダマ亜科に属するアリノスダマ類(5属88種)は,ニューギニア島を中心に分布する着生性のアリ植物であり,共生するアリ類との間に緊密な相利共生関係をもつものから共生関係の弱いものまで,様々なな共生関係を示すことが知られている。本研究では,アリノスダマ類の系統関係を明らかにした上で,その進化プロセスの推定を行うことを目的とし,アリノスダマ類4属に属する6種のク口口プラストDNA·atpB-rbcL intergene の塩基配列を決定し,分子系統樹の構築を試みた。その結果,アリとの高度な共生関係をもつMyrmecodia属やMyrmephytum属は偽系統群となり,アリとの共生関係が弱く,また乾性適応が進んだHydnophytum属が派生的分類群である可能性が示唆された。従って,アリノスダマ類の進化を考えると,多雨林で祖先型の着生性植物が,まずアリ類との共生関係を進化させ,その後一部が乾燥地へと進出し,乾燥適応型の形態を持つ種が出てきたと考察される。
著者
竹前 忠 東 好宏 小杉 幸夫
出版者
一般社団法人 日本生体医工学会
雑誌
医用電子と生体工学 (ISSN:00213292)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.246-250, 2000 (Released:2011-10-14)
参考文献数
6

We realized a new electrical impedance tomography (EIT) based on the tetrapolar circuit method with the scanning of magnetic field superimposed for localizing the current distribution in biological tissues. In this method, two voltage differences are detected on two sides of the body, in which the distribution of constant current component is parallel. As the voltage difference of one side becomes zero, the eddy current component is produced by a magnetic field applied to the body from an electromagnetic core. Sustaining this state, the electromagnetic core is moved from side to side. The voltage differences at the other side measured during this movement of the magnetic field are used to estimate the resistance distribution of one dimension. As the result of a model experiment, it was confirmed that this method would be useful to realize EIT.
著者
宮川 直樹 竹前 忠 小杉 幸夫 西澤 茂 難波 広樹
出版者
自動制御連合講演会
雑誌
自動制御連合講演会講演論文集 第48回自動制御連合講演会
巻号頁・発行日
pp.223, 2005 (Released:2006-01-01)

生体内情報の画像化の手段の一つとして生体内の電気抵抗分布を利用した電気インピーダンスCTがある。この実現化のために、我々は磁気を併用した方法を提案している。本法では、体表面上で測定される電位差データからコンダクタンス分布を求めるために、残差最小化法を用いている。本報告ではこのコンダクタンス分布算出において、モデル実験によってより適切な初期値や収束条件について検討している。
著者
藤下 裕文 浦辺 幸夫 沼野 崇平 堤 省吾 森田 美穂 竹内 拓哉 前田 慶明
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1261, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】アンプティサッカーは主に切断者が行うスポーツであり,ロフストランドクラッチ(以下,クラッチ)を使用して走行する。筆者らは第51回の本学会でクラッチを用いた片脚走行は,骨盤前傾角度と走行速度に相関があることを報告した。しかし,足部とクラッチの位置関係,クラッチの支持時間等が走行速度に与える影響については不明であった。一般的な走行では,ストライドの延長と足部の接地時間の短縮が走行速度を増加させる一要因とされており,クラッチを用いた片脚走行でも足部とクラッチ接地の距離が走行速度に影響している可能性が考えられた。本研究では,クラッチの接地方法が走行速度に与える影響を明らかにすることを目的とした。仮説は,足部とクラッチ接地位置の距離が伸び,クラッチの支持時間が短縮されることで走行速度が速くなるとした。【方法】対象は下肢切断のない健常男子大学生で,アンプティサッカー経験群6名(年齢20.5±1.3歳,身長173.7±4.9cm,体重64.5±0.8kg,経験歴:3か月以上),未経験群6名(年齢21.0±0.6歳,身長171.5±5.4cm,体重60.7±7.0kg)の計12名とした。測定には三次元動作解析装置と床反力計を用いた。反射マーカーをPlug-in Gait modelで全身に35か所,クラッチの先端部に1か所貼付した。課題動作は,下肢切断者を想定し,非利き脚を弾性包帯で膝関節最大屈曲位にて固定した。分析項目は走行速度,クラッチ接地時のクラッチ先端部とToeのマーカーの距離,足部接地時のクラッチ先端部とHeelのマーカーの距離,クラッチ支持時間とした。距離は身長で除し,クラッチに貼付したマーカーの鉛直座標の変化量が1mm以下になった瞬間を接地,それ以上変化した瞬間を離地とした。統計学的解析には,各項目の2群間の比較に対応のないt検定,走行速度との関係を示すためにピアソンの相関係数を用い,いずれも危険率5%未満を有意とした。【結果】走行速度(m/s)は経験群で3.3±0.2,未経験群で2.9±0.3となり経験群が有意に速かった(p<0.05)。クラッチ先端とToe,Heelのそれぞれの距離は2群間で差がなく,クラッチ接地の位置に差はなかった。クラッチ支持時間(ms)は,経験群で227.8±36.3,未経験群で324.4±40.4となり有意に経験群が短かった(p<0.05)。クラッチ支持時間は走行速度と強い負の相関(r=-0.87,p<0.05)を認めた。【結論】アンプティサッカーでのクラッチを用いた片脚走行は,クラッチを接地させる位置による走行速度の違いはなく,走行速度が速いほどクラッチ支持時間が短いことが分かった。より速く走行し,競技力を高めるための指導として,クラッチ支持の時間を短くするように指導することが有効である可能性を示した。
著者
山本 圭彦 浦辺 幸夫 前田 慶明
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに,目的】静的ストレッチング後に,筋力発揮が低下することは知られている。これは,神経筋の生理的反応とされている(Marek SM, 2005)。ストレッチング後に筋収縮を加えることで,筋力低下が解消できると考えた。本研究は,ストレッチング後に筋収縮を伴う抵抗運動を行わせ,筋力がどのように変化するかを検討した。仮説は,ストレッチング後に筋収縮を加えることで筋力低下が解消するとした。</p><p></p><p>【方法】対象は,健康な男性15名(平均年齢:20.9±1.5歳,身長:169.9±7.1 cm,体重:68.4±7.4 kg)であり,ハムストリングを対象筋とした。一側の下肢を安静肢,他側の下肢をエクササイズ肢(以下,Ex肢)に分けた。なお,安静肢とEx肢の測定は1日あけた。筋力測定は,等速性筋力測定器(Biodex system3,BIODEX社製)を用いて300°/s,180°/s,90°/sの3種類の角速度で計測した。ストレッチングの方法は,背臥位で股関節屈曲90°,膝関節屈曲90°から検査者が膝関節を他動的に伸展させた。最大膝関節伸展可動域を1分間保持するストレッチングを2セット実施した。</p><p></p><p>測定手順は,両肢ともにストレッチング前とストレッチング直後に筋力を計測した。その後,安静肢は5分間の安静,Ex肢は5分間のエクササイズを実施した後にストレッチング5分後の筋力測定を行った。エクササイズは,等速性筋力測定器にて角速度120°/sでの膝関節屈伸運動を5回3セット実施し,セット間は1分間の休息を入れた。</p><p></p><p>統計学的解析は,測定時期(ストレッチング前,直後,5分後)と2条件(安静肢,Ex肢)を2要因とした反復測定二元配置分散分析を用いて検討し,有意な効果が得られた場合には,FisherのPLSD法による多重比較を行った。いずれも危険率5%未満を有意とした。</p><p></p><p>【結果】ストレッチング直後はストレッチング前と比べ安静肢,Ex肢ともにすべての角速度で7.4~11.2%筋力が低下した(p<0.05)。安静肢はストレッチング5分後も筋力低下(4.8~8.9%,p<0.05)が持続したが,Ex.肢は有意な減少を認めずストレッチング後の筋力低下は解消した。</p><p></p><p>【結論】ストレッチングによる低下筋力は,筋収縮を加えることで即時的に解消することが確認できた。静的ストレッチングは筋力低下をもたらすため,スポーツ現場ではウォーミングアップに静的ストレッチングを取り入れることは考慮すべきという意見がある。しかし,今回の結果から静的ストレッチング後に筋収縮を加えれば筋力低下に対する問題は解決できることが分かった。成長期には,柔軟性を改善することが成長期障がいの予防につながるため,ウォーミングアップ時に静的ストレッチングの励行は有効であると考える。</p>

1 0 0 0 OA 法律新辞典

著者
前田運吉, 東川徳治 著
出版者
帝国法律学会
巻号頁・発行日
1908

1 0 0 0 OA 六法辞解

著者
前田運吉, 東川徳治 著
出版者
法林館
巻号頁・発行日
1904

1 0 0 0 OA 法律と家庭

著者
前田運吉, 東川徳治 著
出版者
法政館
巻号頁・発行日
1903
著者
井手 淳二 山鹿 眞紀夫 北村 歳男 田上 学 前田 智 高木 克公 森澤 佳三
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.311-314, 1997-06-25 (Released:2012-11-20)
参考文献数
7

(Purpose)We Studied the diagnosis and surgical management of suprascapular nerve entrapment neuropathy in athletes.(Materials and methods)Eighteen patients with infraspinatus muscle atrophy were studied. Fourteen were men and 4 women. Their mean age was 27 (range 14 to 40) years. The diagnosis was confirmed by physical and electromyographic examinations. As an ancillary test, MRIs of the shoulder joint were obtained. Those patients with rotator cuff tear were excluded from this study.(Results)Electromyographic examinations showed an abnormality in 8 patients. Two of them had isolated paralysis of the infraspinatus muscle. We operated on 4 patients with suprascapular nerve entrapment. We performed a release of the superior scapular transverse ligament on 2 patients with paralysis of the supraspinatus and infraspinatus muscles, a shaving of the spinoglenoid notch on a patient with isolated paralysis of the infraspinatus muscle and removed the ganglion cyst in 1. All the patients had good results, however, they needed 1 or 2 years to recover from paralysis.(Conclusion)Early diagnosis and treatment are important for the management of suprascapular nerve entrapment neuropathy in athletes.
著者
竹前栄治 [著]
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
1988
著者
大前 暁政
出版者
京都文教大学臨床心理学部
雑誌
臨床心理学部研究報告 (ISSN:18843751)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.49-67, 2017-03-31

An elementary school teacher teaches children and is in-charge of a classroom immediately in the first. Thus, an elementary school teacher has various responsibilities with respect to subject instruction and class management. During class management, children are taught to be independent, which is necessary in the modern education system.An elementary school teacher had to train Tsutomu to behave himself, cooperate within a group, and solve problems like the other children. A questionnaire-based survey was carried out for an elementary school teacher, and an elementary school teacher identified the kind of difficulties faced in class management, which aimed to train children to become independent.A questionnaire-based survey was conducted with a teacher of an elementary school. The results showed that an elementary school teacher experiences several difficulties in class management. Even an inexperienced teacher is a teacher with abundant experience. The difficulties experienced by the elementary school teachers are related to subject instruction and student guidance. Thus, teacher-training courses must focus on teaching a mechanism to balance subject instruction and class management.Many elementary school teachers find it difficult to manage the governing activities and self-actualization of children. It is evident that an inexperienced elementary school teacher is unable to guide children during the governing activity. It is suggested that teachers in teachers must establish rules in the classroom and build relationships with the children to resolve the difficulties faced.
著者
上野 修 前川 督雄 本田 学 仁科 エミ 河合 徳枝 大橋 力
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.24, 2010

私たちは、現在の地球環境問題を自然だけでなく社会・文化を含む文明の次元で捉えることを試みている。<死生観>に関わる生命モデルを創り、増殖進化における優位性の検討が可能な人工生命研究と、モデルに対応する生命機構の実在性を検証する生命科学実験との相補的アプローチを進めてきた。その有効性を示す例として、不死の生命よりも有死の利他的生命の優越性を示した「プログラムされた自己解体モデル」を紹介する。
著者
金子 康智 渡邉 敏生 前田 茂稔 鷲尾 宰司
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.855, pp.17-00184-17-00184, 2017 (Released:2017-11-25)
参考文献数
22
被引用文献数
3

Although bladed disks of turbomachinery are nominally designed to be cyclically symmetric (tuned system), the vibration characteristics of all blades on a disk are slightly different due to the manufacturing tolerance, the deviation of the material property, the wear during operation, and so on. These small variations break the cyclic symmetry, and split the eigenvalue pairs. The actual bladed disks with the small variations are referred to a mistuned system. Many researchers have studied mistuning, and main conclusions are while mistuning has an undesirable effect on the forced response, it has a beneficial (stabilizing) effect on the blade flutter (the self-excited vibration). Although such mistuning phenomena of bladed disks have been studied since 1980s, almost all studies focused on the amplification factor of the displacement response, and few studies researched the amplification factor of the vibratory stress response. Therefore, in the previous paper, authors studied the amplification factor expressed by the vibratory stress for the lower modes of the bladed disk, using the simple assumption. In this study, the mistuning effect expressed by the vibratory stress for the lower and higher modes are examined, using the reduced order model without any assumptions. First, formulation for evaluating the mistuning effect expressed by the vibratory stress is derived, using the reduced order model SNM (Subset of Nominal Modes). Second, the frequency response analysis of the mistuned simple bladed disk consisting of flat plates is carried out systematically. Finally, comparing the amplification factor of the displacement response with that of the vibratory stress response including the synthesized stress (Mises stress and the principal stress), mistuning phenomena expressed by the vibratory stress are clarified.