著者
時田 喬 宮田 英雄 牧 達夫 浅井 徳光 橋本 正彦 前田 正徳 棚橋 聰子
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.73, no.6special, pp.1124-1130, 1980-06-25 (Released:2011-11-04)
参考文献数
4

We report herein the examinations required for evaluation of the effects of treatment of Meniere's disease. Prior to the discussion, it is indispensable to clarify the design of the treatment. In the treatment, the authors take into consideration the following three subjects: (1) treatment of vertigo, (2) treatment of damage to the inner ear, and (3) treatment of recurrence of attacks of vertigo.(1) For evaluation of effects of treatment of vertigo in attacks and dizziness in the chronic stage of the disease, complaints of vertigo and spontaneous nystagmus as objective evidence of vertigo should be investigated. Furthermore, righting reflex and deviation test should be performed in order to demonstrate the mechanism of improvement of the vertigo. Despite the improvement obtained by inhibitory effects of drugs on the vertigo, the righting function and deviation phenomenon remain unchanged. On the contrary, when the pathological condition of the inner ear is healed there is an improvement of these signs.(2) Effects of the treatment for damage of the inner ear are evaluated by hearing and caloric tests. In cases where the labyrinthine excitability is not reversible, compensatory process of balancing activity of the body should be examined using the standing test, tests for spontaneous nystagmus, deviation and caloric tests and tests for postrotatory nystagmus. Disappearance of spontaneous nystagmus and deviation phenomenon reveal a recovery of static balance of the vestibular system. Disappearance of asymmetry of postrotatory nystagmus indicates a restoration of balance in the kinetic labyrinthine reflexes.(3) Recurrences of attacks of vertigo are treated on the basis of the results of examination of etiologic factors of Meniere's disease in each patient. Effects of this treatment should be evaluated by long-term follow-up of the vertiginous attacks.
著者
山元 翔 赤尾 優希 室津 光貴 前田 一誠 林 雄介 平嶋 宗
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J100-D, no.1, pp.60-69, 2017-01-01

筆者らは単文統合型の作問学習支援システムを加減算と乗算の領域で設計・開発し,システムが問題の構造理解に有用であることを確認してきた.本研究では学習の次の段階として,システムを乗除算の領域に拡張することが目的である.ただし,システムは単に加減を乗除に置き換えて実現できるものではなく,対象とする乗除算文章題の構造モデルを作成し,モデルに基づいたシステムの設計が必要となる.このモデルを提案し,作成したシステムを授業に組み込むことで,単文統合型の作問学習による乗除算算数文章題の教授が実現した.この効果を,対象領域を学習した小学生に対して11時限に及ぶ実践利用から検証した結果,対象授業が問題なく受け入れられ,特に構造理解の不十分な学習者に対して成績の向上が見られたので報告する.
著者
前田 勇
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.113-118, 2017-01-20 (Released:2018-01-20)
参考文献数
16

窒素からアンモニアを合成する化学的窒素固定は高温・高圧下で行われ生成物は肥料原料となる.一方,常温・常圧の温和な条件下で進行する生物学的窒素固定は細菌のニトロゲナーゼにより触媒される.ニトロゲナーゼは酸素やアンモニアにより負の制御を受ける.このため特定の細菌は自然環境下での窒素固定を可能にする阻害回避機構をもつ.一方,独自の阻害回避機構をもたない細菌の窒素固定は嫌気環境などで限定的に行われるため,そのような細菌の一般環境下での窒素固定を可能にすることは持続的な肥料生産を考えるうえで有益であろう.そこで共生微生物の助けを借りて,細菌に自然環境下での窒素固定を行わせるための取り組みについて紹介する.
著者
西本 登志 信岡 尚 前川 寛之 後藤 公美 東井 君枝 泰松 恒男 木矢 博之 吉村 あみ 平山 喜彦 峯岸 正好 佐野 太郎 米田 祥二
出版者
奈良県農業総合センター
雑誌
奈良県農業総合センター研究報告 (ISSN:18821944)
巻号頁・発行日
no.41, pp.1-10, 2010-03

'古都華'は、2002年に奈良県農業総合センター育成系統の'7-3-1'に'紅ほっぺ'を交配し得られた実生個体から選抜されたイチゴの新品種であり、2009年に品種登録出願し、同年に出願公表された。特性は以下の通りである。1.花芽分化期は、'アスカルビー'より僅かに早い。促成栽培作型における開花期は'アスカルビー'より早く、'章姫'より遅い。2.促成栽培作型における収量は、'アスカルビー'と比較して80〜95%、'章姫'と比較して65〜80%と少なく、15g以上の正常果の収穫果重は'アスカルビー'と比較して同等以上である。3.果実の糖度、酸度および硬度は収穫期間を通して高い。4.促成栽培作型における草高と草丈は、12月は'アスカルビー'並びに'章姫'と同程度であるが、厳寒期の2月には'アスカルビー'と比較して明らかに大きい。5.花房は長く、伸長促進のためのジベレリン処理は必要としない。6.二酸化炭素施用を行うことで20%近い収量増が見込まれる。7.おがくずを培地とする雨除け下のベンチ無仮植育苗では、ランナーと子苗の発生がやや少ない。8.ランナー発生から判断される休眠覚醒に要する5℃以下低温遭遇時間は'女峰'と同程度である。9.萎黄病、うどんこ病および炭疽病のいずれに対しても抵抗性を有しない。
著者
斎藤 彰宏 南 聖二 岡野 一恵 倉前 裕成
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.573-591, 2018-04-15

Software Defined Storage(SDS)は,コモディティサーバを利活用することで,ストレージ機能を実現する新しい技術分野である.市場からの注目度が高く,著しい速度での技術革新が進んでいる.一方で従来のストレージ専用機器と比較してデータ可用性/保護について不十分な点があり,高信頼性が求められる企業の基幹システムへの導入には障壁がある.筆者らはこれまで実業務で多くの試行錯誤を繰り返しており,その中で蓄積された実績と経験を踏まえ,データ複製技術等の適切な活用で不足は補えることを,障害分析(CFIA)と実機での概念実証により確認した.読者の皆様が本稿をSDS導入設計の検討の手引書として利用いただくことにより,SDSの導入を円滑かつ適正に実施いただくための手助けになることを企図している.
著者
西村 桂一 前田 樹海 中村 きよみ
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.91-97, 2018 (Released:2018-04-16)
参考文献数
12

わが国では, 栄養学の観点から類似した数種の食品を野菜類や肉類などの「食品群」としてまとめ, 食育や食事療法などに活用されている。一方, 中医営養学においては, 食味すなわち食品の持つ味そのものが何らかの効能を持つと考えられており, 食味に基づいて食品はいくつかのカテゴリーに分類されている。この考え方は, 五行論, すなわち中国の5要素理論に由来しており, これらの5要素は臓腑ならびに食味と関連がある。本研究の目的は, これまで研究が皆無であった中医営養学の「食味」と「日本食品標準成分表」との関連性を明らかにする。『食物性味表』 (日本中医食養学会編著) 記載 (類推食品を除く) の379品中291品を『日本食品標準成分表』の「食品群」で分類し, 「食品群」と「食味」との関連性をFisherの正確確率検定で解析した。その結果, 解析対象の食品の約半数が「甘」であった。統計的に有意な関連性が示されたのは, 「甘」と「砂糖及び甘味類」, 「甘」「酸」と「果実類」, 「鹹」と「藻類」であった。これらの情報は健康作りへの活用が期待される。
著者
金子 真 和田 充雄 前川 仁 谷江 和雄
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.437-444, 1991-08-15 (Released:2010-08-25)
参考文献数
14
被引用文献数
1

This paper discusses transmission characteristics of tendon-sheath driving system typically used to actuate robotic finger joints, and also their effects on force control system. For a simple tendonsheath model, we first formulate the transmission characteristics with the newly introduced two physical parameters apparent tendon-stiffness and equivalent backlash. An interesting aspect is that apparent tendon-stiffness changes when the tendon is pulled or loosened, while tendon-stiffness itself keeps constant. This unexpected behavior is confirmed by simulations as well as experiments. We also consider the effect of apparent tendon-stiffness on force control precisely and show that the direction-dependent behavior ofapparent tendon-stiffness eventually brings about a direction-dependent response in the force control system.
著者
前川 喜久雄
出版者
日本音声学会
雑誌
音声研究 (ISSN:13428675)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.1-15, 2010-08-30 (Released:2017-08-31)

Weakening of stop articulation in Japanese voiced plosives was analyzed using the phonetically annotated part of the Corpus of Spontaneous Japanese (CSJ). It turned out that the weakening of/b/ and /d/ into [ß] and [ð] could be best described as a function of TACA (time allotted for consonant articulation) as was the case in the affricate-fricative variation of Japanese /z/. The location of the voiced plosive phonemes in a linguistic unit showed secondary importance as the factor of the variation, but it was the location in a higher-level unit like accentual phrase or utterance that played a crucial role. The weakening of /g/ into [ϒ] or [η], on the other hand, is somewhat different in that it should be treated differently depending on whether the phoneme was immediately preceded by a moraic nasal /N/. When it was preceded by an /N/, the TACA-RSA (rate of stop articulation) relationship reached a plateau much earlier (at around 70%) than in /b/, /d/, and /g/ not preceded by an /N/ (where the RSA values reaches the level of 90%). It also turned out that the curve of TACA-RSA relationship changed systematically reflecting the complexity of phonological contrast at the point of articulation of the phoneme in question. The more complex the contrast is, the earlier the curve reaches a plateau. Statistical modeling by means of logistic regression analysis revealed it was possible to predict the variation with 68-76% accuracy (closed data) using only the TACA information. The accuracy reached 72-81% when TACA and all other linguistic and extra-linguistic variables were used.
著者
池永 有弥 前野 深 安田 敦
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

伊豆大島では, 1777年から15年間にわたり安永噴火と呼ばれる大規模な噴火が発生し, 溶岩の流出と数億トンにのぼるスコリアおよび火山灰の噴出が起きた(小山・早川, 1996). 地質調査や歴史記録の解析(Nakamura, 1964; 一色, 1984; 津久井ほか, 2009)によって, 噴火はスコリアの放出(基底スコリア)から始まり, 溶岩を流出させた後, 数年間の火山灰期を経て噴火が終息したと考えられている. このように噴火の大枠は明らかになっているが, 溶岩は様々な方向に複数回流出しており, 基底スコリアも広範囲に分布しているため, 噴火様式および推移と堆積物との対応については未解明な部分が多い. 基底スコリアについては, 層準により粒子の特徴に違いがあることが本研究でわかってきた.伊豆大島において, 安永噴火の降下火砕堆積物および溶岩の観察を行った. その結果, 基底スコリア層が大きく下部の斜長石斑晶に乏しい層(Unit A)と, 上部の斜長石斑晶に富む層(Unit B)の2層に分けられることがわかった. さらにUnit Aのスコリア(Aスコリア)は島の西側を除く広範囲に堆積している一方で, Unit Bのスコリア(Bスコリア)は島の東側の狭い範囲にのみ堆積していることがわかった. このことから, 層準によって噴煙の特徴が異なっていた可能性が高く, 複数の方向へ流下した溶岩と基底スコリアの前後関係を理解する上で, 溶岩に接する基底スコリアの斜長石斑晶量が鍵となることがわかった.次にA・Bの各スコリア, および溶岩について全岩組成分析を行ったところ, 分析値がNakano and Yamamoto(1991)などで示されている斜長石濃集トレンドに乗り, Bスコリアが最も高いAl2O3量を示した. 溶岩のAl2O3量は最も低く, AスコリアについてはBスコリアと溶岩の間の値になった. ただしAスコリアのうち最下部のものについては, Al2O3量がUnit Aの他の層準のスコリアよりもさらに低く, 溶岩に近い値を取るという特徴がある. 伊豆大島の山頂火口から噴出するマグマは, マグマだまり内での斜長石の浮上・濃集により斜長石に富むという考えがあり(荒牧・藤井, 1988), この説に基づけば噴火初期に斜長石に富むマグマが噴出することが予想される. しかし安永噴火の基底スコリアは山頂火口から噴出したと考えられているにもかかわらず, 露頭観察および岩石学的分析から, 噴火初期には斜長石に乏しいマグマが噴出し, その後斜長石に富むマグマが噴出した.EPMAを用いて斜長石の分析を行ったところ, 基底スコリアに含まれる斜長石斑晶のコア組成については, Aスコリアに比べてBスコリアのAn値が有意に高くなる傾向が見られた. 溶岩についてはAスコリアに近い値となった. また溶岩およびAスコリアの石基にのみ斜長石微結晶が多く含まれるが, Aスコリアの中には石基に微結晶をほとんど含まない粒子も多くある.このように安永噴火の噴出物は層序毎に特徴がかなり異なることが明らかになったが, 単一のマグマだまり内での斜長石濃集のみでマグマプロセスを説明できるかどうかや, マグマ上昇プロセスがユニットにより異なる可能性など, 噴出物の特徴に違いが生じる原因の解明については今後の課題である.
著者
篠崎 真 田島 洋 前田 秀一
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.217-228, 2000
被引用文献数
2

溶融型熱転写方式カラープリンターにて三種の用紙に同一条件で印刷しその画質を評価した.<br> 画像境界部の評価ではTEPおよびNEPを評価し,合成紙,多孔性塗膜塗工紙,上質紙の順に画質が優れているという結果が得られた.多孔性塗膜塗工紙はTEPでは合成紙に近い値を,NEPでは上質紙に近い値を示した.<br> 階調再現性においては,合成紙は階調再現性が忠実であり,上質紙はややアンダー気味,多孔性塗膜塗工紙はややオーバー気味,という傾向が見られた.多孔性塗膜塗工紙は30%程度以下の網点面積率においては合成紙とほぼ同等の性能を示し,また網点面積率の高い領域では本実験の印字モードでは過剰に転移するという結果が得られた.<br> モトル評価および粒状性評価では,上質紙に比べて合成紙と多孔性塗膜塗工紙は優れているという結果を得た.<br> 上述の印刷品位は表面粗さでほとんど説明できると思われるものの,なかで多孔性塗膜塗工紙は特異な傾向を示している.多孔性塗膜塗工紙は表面の多孔性塗膜によって吸液性,断熱性,クッション性が付与され,それらが上記の特徴を与えたものと考えられる.