- 著者
-
直原 康光
安藤 智子
菅原 ますみ
- 出版者
- 一般社団法人 日本教育心理学会
- 雑誌
- 教育心理学研究 (ISSN:00215015)
- 巻号頁・発行日
- vol.71, no.2, pp.117-130, 2023-06-30 (Released:2023-06-14)
- 参考文献数
- 66
本研究の目的は,第1に,離婚後の父母コペアレンティングと子どもの適応の相互関係,第2に,子どもの適応のうち「外在化問題行動」,「内在化問題行動」,「向社会的な行動」の相互関係について,交差遅延効果モデルを用いて,経時的な相互関係について検討することであった。離婚して2年未満で2―17歳の子どもと同居する母親500名に,3か月後,6か月後に追跡調査を行った。3時点のデータを用いて,交差遅延効果モデルによる分析を行った結果,「葛藤的なコペアレンティング」は,「外在化問題行動」に正の影響を及ぼし,「外在化問題行動」は「内在化問題行動」に正の影響を及ぼし,「内在化問題行動」は「向社会的な行動」に負の影響を及ぼすことが明らかになった。また,「内在化問題行動」と「向社会的な行動」の間には,互いに負の影響関係が認められた。変数相互間の関係性については,発達カスケードを踏まえて考察を行った。本研究の結果を踏まえた介入や支援への示唆として,離婚後の「葛藤的なコペアレンティング」を抑制することの重要性および子どもの「外在化問題行動」に着目することの重要性が示された。