著者
星原 徳子 岡 真由美 河原 正明
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.229-235, 2016 (Released:2017-02-28)
参考文献数
24

【目的】麻痺性斜視における融像の異常な状態(融像状態)別の視能訓練成績を分析し、家庭訓練を中心とした視能訓練方法を検討した。【対象および方法】対象は、視能訓練を施行した麻痺性斜視58例で、年齢は30~87歳であった。融像状態は、潜伏融像、部分融像、狭い融像野に分類した。視能訓練は、衝動性眼球運動訓練、輻湊訓練、fusion lock training、プリズム療法を行った。治癒度は4段階とし、治癒度Ⅰは融像野が30°以上とした。【結果】融像状態は、潜伏融像27例、部分融像27例、狭い融像野14例であった。治癒度Ⅰの獲得が高率であったのは部分融像21例(78%)と狭い融像野11例(79%)であった。潜伏融像は治癒度Ⅰの獲得が低率であった。治癒度Ⅰを獲得できた狭い融像野では、プリズム療法が高率であった。全ての融像野で衝動性眼球運動訓練の実施率が高く、狭い融像野と部分融像においては衝動性眼球運動訓練とfusion lock trainingの組み合わせが多かった。【結論】家庭訓練は、融像野が存在する場合にはプリズム装用下で衝動性眼球運動訓練とfusion lock trainingを組み合わせ、潜伏融像では衝動性眼球運動訓練が有用であった。
著者
上山 さぎり 若原 正明 鴫原 孝佳 駒田 匡史 野尻 昌利 山田 宜伸
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.240-245, 2022 (Released:2022-02-11)
参考文献数
13

風切音の透過経路ではドアガラスの寄与が大きい.このガラス透過音は,従来,板厚増やアコースティックガラスの設定等で低減されてきたが,質量・コストが増加する対策である.そこで本研究では,ガラスランの減衰に着目し,ガラスとのインピーダンスマッチングを活用してガラス透過音を低コストで低減する方法を提案する.
著者
栗田 健 若林 雄介 水島 文夫 山崎 展博 山田 晴夫 原 正明
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
年次大会講演論文集 : JSME annual meeting
巻号頁・発行日
vol.2009, no.2, pp.253-254, 2009-09-12

To increase the speed of Shinkansen trains, it becomes more important to reduce the noise generated from Shinkansen cars. We developed the high-speed test trains "FASTECH360" that have new equipment such as low-noise pantographs, pantograph noise insulation plates and sound-absorbing panels for the noise from the lower area of car bodies. We conducted running tests using "FASTECH360" from June of 2005 to June of 2009. As a result, the noise level of "FASTECH360S"(runs only on Shinkansen line) at the speed of 360km/h is reduced by more than 4 dB compared to that of series E2-1000, present commercial trains, at the speed of 360 km/h (at a distance of 25 m from the track). We also performed the noise analysis of "FASTECH360S" at 360 km/h. Consequently, we estimated that pantograph noise contribution to the overall noise level was reduced by about 7dB compared to that of E2-1000 at 360 km/h and contribution of noise from the lower part of cars to the overall noise level was reduced by about 1dB as well.
著者
神原 正明
出版者
佐賀大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

本年度は主に具体的なデ-タを収集するため東京及び関西方面に調査に出かけた。作家の死因についてデ-タを整理するとともに、彼らの生活態度、及び作風に「結核」や「ガン」の影響がどういうかたちで現われるかに注目した。何か一貫性があるものと考えて結果を期待したが、作風の展開を決定するには様々な要因が複雑に重なりあっており、死に対する恐怖のみが、大きくクロ-ズアップされるとは限らず、作家の個性によって、思ったより多様な現われ方をするようだ。ことに現代は「死」に遭遇する様々な機会があり、「ガン」だけを特定するわけにはゆかず、多かれ少なかれ死に対する恐れは、日常生活の中で埋没しており、時折何らかの体験が引きがねになって顔を出す。中には常に死にこだわり続ける作家もいるが、それはむしろ特例といってよい。こうした現代の美術家についての個別的なデ-タ集めとあわせて、主に国会図書館や東京大学、京都大学など大学附属図書館で、時代そのものが、あるいは集団が死に向かう態度について研究した欧米の文献を調査した。その場合、美術作品をデ-タとして利用しているものも多く、ことに心理的に緊迫した時代に秀作が頻出する点は興味深い。そうした中で、中世末期ことに西暦1500年を前後した時期に「最後の審判」の主題とともに、多くの名作が生まれており、そこでは死に対する恐れが下敷きにされている。しかし重要なのは、実際の死よりも死に対する恐れの方が上まわったという点であり、そこに芸術作品の必要性が準備されたといえるようだ。様々な怪物が画面に現われるのもその時である。またそうした恐怖を笑いとばそうとした「阿呆船」というような諷刺的テ-マの出現も見のがせない。来年度はさらに「流行病」「地獄」「終末思想」といった死の恐れを喚起するこの時代の文脈を調査し、再度現代へと投げ返してみる計画である。
著者
金永 圭祐 岡 真由美 星原 徳子 橋本 真代 森 壽子 河原 正明
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.249-255, 2014 (Released:2015-03-19)
参考文献数
18
被引用文献数
1

【目的】注意欠陥多動性障害(以下、ADHD)児は眼球運動異常を伴うことが報告されている。今回我々はADHD児において文字間隔と行数が読みの眼球運動に与える影響について検討した。【対象および方法】対象はADHD児5例(平均年齢6.4 ± 0.5歳)(以下、ADHD群)とした。このうち間欠性外斜視が2例であった。対照は正位または斜位5例を対照群(6.4 ± 0.5歳)、間欠性外斜視5例(7.0 ± 0.6歳)を斜視群とした。読みの眼球運動発達検査はDevelopmental Eye Movement test(DEM)を用いた。DEMはテストA、テストBおよびテストC で構成されている。テストA、Bでは数字が縦(2行)に等間隔に、テストCでは横(16行)に不等間隔に配列されている。DEM測定中の眼球運動の記録にはEye Mark Recorder-9®を用いた。分析はテストCの1行あたりの読み時間、文字間の視角別(<2º、 2º≤ <4º、 4º≤ <6º、 6º≤ <10º、≥10º)の衝動性眼球運動(saccade)回数、saccade速度、停留時間とした。【結果】DEM比率の平均はADHD群が1.90±0.3、対照群が1.47±0.1、斜視群が1.40±0.2であった。ADHD群は対照群に比べ1行あたりの読み時間が3、4、5、6、7、13行目で延長した。saccade回数は文字間の視角が4º未満の場合、両群に差はなかった。しかし文字間の視角が4º以上ではADHD群のsaccade回数が有意に増加した。両群のsaccade速度および停留時間に差はなかった。【結論】ADHD児は文字間隔と行数が読みの眼球運動に影響していた。ADHD児には眼球運動の側面から視覚教材の文字配列を工夫し、学習障害の早期発見と予防を行う必要がある。
著者
星原 徳子 岡 真由美 通堂 小也香 橋本 真代 森 壽子 長島 瞳 河原 正明 藤本 政明
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌
巻号頁・発行日
vol.46, pp.119-128, 2017

<p><b>【目的】</b>言語聴覚士(ST)が所属する医療機関より精査目的で受診した発達障害児の眼科的評価および治療法を分析し、視能訓練士(CO)の発達障害児に対する視能評価を通した医療連携と発達支援について検討した。</p><p><b>【対象・方法】</b>対象は、発達障害児17例(未就学児9例、就学児8例)で、初診時年齢は2歳8か月~12歳9か月(中央値6歳1か月)であった。発達障害にかかわる診断名は、自閉症スペクトラム障害、注意欠如多動性障害、学習障害、発達性協調運動障害、言語発達障害、構音障害、これら合併例であった。</p><p><b>【結果】</b>STからの紹介理由は、視覚的問題12例、視行動の問題6例、家族歴に伴う精査目的3例に大別された(重複例を含む)。視覚的問題の内訳は、眼位異常4例、頭位異常3例、片目つぶり2例、注視・追視困難1例、眼鏡装用不十分3例であった。これら12例中11例が弱視または斜視等による視能障害があると診断された。視行動の問題を有していた6例全例が、弱視または斜視と診断された。治療は、外斜視手術施行2例、健眼遮閉法1例、両下眼瞼内反症手術1例(重複例を含む)であった。また、全例に屈折異常があり、等価球面値±0.75D以上の症例14例(82%)において屈折矯正を行った。</p><p><b>【結論】</b>COとSTの医療連携により、COは早期に視能評価と視能矯正を実施することが可能であった。COは、視知覚認知課題の遂行に視覚入力系を整える役割があった。</p>
著者
袴田 航 室井 誠 西尾 俊幸 奥 忠武 高月 昭 長田 裕之 福原 潔 奥田 晴宏 栗原 正明
出版者
日本応用糖質科学会
雑誌
Journal of applied glycoscience (ISSN:13447882)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.149-154, 2006-04-20
参考文献数
20
被引用文献数
9

現在,新H5N1型インフルエンザやSARSなど続々と出現する新興ウイルス感染症や鳥インフルエンザのヒトへの伝播等,新興ウイルス感染症は人類の脅威となっている.しかし,ウイルス感染症に対する有効な薬剤の開発は,細菌感染症の抗生物質に比べ遅れている.そこで,ウイルス共通の感染機序に基づいた薬剤の開発が重要と考え,外被を有する多くのウイルスの感染・増殖には複合型のN-結合型糖鎖が関与している知見を基にして,小胞体N-結合型糖鎖プロセシング酵素を標的酵素とした分子標的薬の開発を目指して研究を行っている.分子標的薬の開発には,標的酵素である糖鎖プロセシング酵素の基質特異性の解明が必要であると考えた.そこで,合成プローブを用いてN-結合型糖鎖プロセシングの第1段階を担うプロセシンググルコシダーゼI (EC 3.2.1.106)と第2段階を担うプロセシンググルコシダーゼII (EC 3.2.1.84)のグリコンおよびアグリコン特異性を調べ,&alpha;-グルコシダーゼ (EC 3.2.1.20, GH13 and GH31) のそれと比較した.その結果,グルコシダーゼIのグリコン特性はGH13 &alpha;-グルコシダーゼと,グルコシダーゼIIのグリコン特性はGH31 &alpha;-グルコシダーゼと同様であった.またグルコシダーゼIとグルコシダーゼIIのアグリコン認識は同様であり,GH13およびGH31 &alpha;-グルコシダーゼとは異なっていた.そこで,プロセシンググルコシダーゼIおよびIIを標的として,酵素阻害剤候補化合物の設計と合成を行った.これら候補化合物の<i>in vitro</i>酵素阻害活性と細胞レベルでのウイルス外被糖タンパク質の合成・成熟・転送阻害およびプラーク法による感染性ウイルス数の測定を行った.その結果,<i>in vitro</i>においてヘプチトール誘導体,スルフォニル誘導体の一部にIC<small>50</small>約50 &mu;Mの阻害活性を,カテキン誘導体の一部にIC<small>50</small> 0.9 &mu;Mの強力な阻害活性を見いだした.さらに,細胞レベルではカテキン誘導体の一部にプロセシンググルコシダーゼ阻害を作用点とするとみられる比較的強い抗ウイルス活性を見いだした.今後,ウイルス外被糖タンパク質の糖鎖構造解析等により詳細な作用機序の解明を行う予定である.
著者
江原 正明 土屋 幸浩 大藤 正雄
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.78, no.7, pp.1443-1451, 1981-07-05 (Released:2007-12-26)
参考文献数
38
被引用文献数
6

閉塞性黄疸例および急性胆管炎例に対し,経皮的胆汁ドレナージをX線透視下穿刺により187例,超音波映像下穿刺により66例,計253例に施行した.両方法はともに著者らが開発した新しい経皮的胆汁ドレナージ法であり,安全性と確実性の高いことが確認された.とくに,超音波映像下穿刺法は,選択的胆管穿刺が容易かつ確実に行なえるため,手技が簡便である上に,きわめて安全性の高い方法であり,手技に伴なう重篤な合併症を全く認めなかつた.なお,ドレナージ施行後の黄疸軽減効果,急性胆管炎に対する治療効果などの臨床効果についても検討を加えた.
著者
三村 治 河原 正明 清澤 源弘 中馬 秀樹 不二門 尚 山本 紘子 若倉 雅登
出版者
日本眼科学会
雑誌
日本眼科學会雜誌 (ISSN:00290203)
巻号頁・発行日
vol.115, no.7, pp.617-628, 2011-07-10
参考文献数
65
被引用文献数
2
著者
星原 徳子 岡 真由美 山本 真代 金永 圭祐 森 壽子 長島 瞳 河原 正明 藤本 政明
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.59-65, 2013 (Released:2014-03-13)
参考文献数
29

【目的】発達障害の早期発見は、社会生活での自立の促進において重要である。視能訓練士(以下CO)は小児の視覚だけでなく他機能との関わりにも注目し、成長発達の支援に関わる必要がある。今回、COと他院耳鼻科言語聴覚士(以下ST)が連携し、発達障害の評価と支援が可能であった症例を報告する。【対象・方法】2004年6月~2012年6月にK眼科で弱視または斜視と診断された18歳未満の症例412例中、発達障害を疑いSTが所属する専門医療機関への受診を促した12例であった。症例は未就学児8例(2歳5か月~5歳8か月)、就学児4例(6歳6か月~14歳3か月)であった。発達評価には遠城寺式・乳幼児分析的発達検査表、同旧版(以下遠城寺式発達検査表)を使用した。【結果】生活年齢に相応した視機能検査ができなかったのは5例であった。発達障害を疑った視機能検査時の特徴は、発音不明瞭6例、多動4例、クレーン現象1例、コミュニケーション不良2例であった。12例全例の親が現状を否定する言動をし、ペアレントトレーニングを要した。STによる積極的訓練を開始できたのは7例、STによる6か月毎の経過観察を要しているものが2例だった。ST受診を拒否または一度受診したが訓練拒否したものが3例であった。【結論】遠城寺式発達検査表の項目を考慮して視機能検査を施行することは、小児の発達状態の評価に有用であった。COがSTと連携することで発達障害児の早期発見と就学前後での支援につながった。
著者
福嶌 五月 仲原 正明 荻野 信夫 城戸 哲夫 黒住 和史 久原 章雄 西 宏之 木村 一隆 中尾 量保 辻本 正彦
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.34, no.8, pp.1321-1325, 2001-08-01
参考文献数
15
被引用文献数
2

症例は15歳の女性. 主訴は下腹部痛. 13歳時, 腹痛にて施行したCT検査で脾膣(容積1,150cm^3)を指摘されるも位置異常を認めなかった. 今回, ジェットコースターに乗った後に下腹部痛を来し来院. CT検査にて脾臓を正位に認めず, 下腹部に腫瘤(容積810cm^3)を認めた. 超音波検査, 血管造影にて広範な脾梗塞を伴う遊走脾と診断し, 腹膣鏡下脾臓摘出術を施行した. 術中所見では脾周囲靱帯は欠失し, 脾臓は腹膣内に遊離していた. 脾動静脈をEndo GIA40mm^Rにて切離後, 腹膣内で脾臓をTissue Morcellator^R を用いて粉砕し摘出した. 手術時間は145分, 出血量は50mlであった. 病理所見は梗塞を伴った正常脾であった. 第6病日に退院し, 術後2年目の現在経過良好である. 遊走脾に対する腹膣鏡下手術の報告は自験例を含め5例で, メッシュによる脾固定3例, 脾摘2例であった. 自験例は広範な脾梗塞と脾腫をともなっていたため, 脾摘を行った.