著者
柳原 正明 YANAGIHARA Masaaki
出版者
宇宙航空研究開発機構(JAXA)
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発資料 = JAXA Research and Development Memorandum (ISSN:24332224)
巻号頁・発行日
vol.JAXA-RM-20-006, pp.1-65, 2021-02-19

航空技術開発の初期段階から最終段階まで,コンピュータにより運動方程式を解くことで行われる飛行シミュレーションが重要な役割を持つ.近年,そのための汎用プログラムが簡単に手に入る時代になっているが,研究開発を目的としてシミュレーションを行う場合には,その内容を十分に理解し,自らシミュレーションプログラムを構築することも重要であると考える. 本稿は,そのような場合の助けになるよう,近距離飛行を行う旅客機などを対象とした地球平面モデルに基づく飛行シミュレーションと,大陸間飛行を行う航空機や宇宙往還機を対象とした地球回転楕円体モデルに基づく飛行シミュレーションの演算アルゴリズムについて纏めたものである.
著者
馬場 悠男 松井 章 篠田 謙一 坂上 和弘 米田 穣 金原 正明 茂原 信生 中山 光子
出版者
独立行政法人国立科学博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

上野寛永寺御裏方墓所から発掘された徳川将軍親族遺体のうち保存の良い15体の人骨について、修復・保存処理を施し、形態観察・写真撮影・CT撮影・計測を行って、デジタルデータとして記録保存した(馬場・坂上・河野)。さらに、遺骨の形態比較分析(馬場・坂上・茂原・中山)、ミトコンドリアDNAハプロタイプ分析(篠田)、安定同位体による食性分析および重金属分析(米田他)、寄生虫卵および花粉分析(松井・金原他)を行い、親族遺体の身体的特徴と特殊な生活形態を明らかにした。
著者
栗原 正明
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.146, no.6, pp.315-320, 2015 (Released:2015-12-10)
参考文献数
20

危険ドラッグや違法薬物を速やかに規制する場合,動物実験や生物学的試験には多くの時間を要するため,インシリコによる活性予測が必要となる.薬物が作用する標的タンパク質が不明であるか,判明しているが三次元構造が明らでない場合は,リガンド側の構造情報のみで活性予測を行うQSAR(Quantitative Structure-Activity Relationship:定量的構造活性相関)法が一般的である.QSAR法とは化合物の構造と生物学的(薬学的あるいは毒性学的)な活性とを定量的に数学的な関係であらわしたものである.すでに危険ドラッグ規制の根拠となる活性データとしてQSAR法による予測活性が用いられてきた.一方,ここ数年ある構造の危険ドラッグを規制すると,少し構造の違った危険ドラッグが流通するといういわゆる「いたちごっこ」の状態が続いている.その対策として平成25年にある範囲の化合物群(数百化合物)を一度に指定する包括規制を導入した.それにより,今後流通すると予測される活性を有する化合物群を事前に規制することができる.この包括規制においては,指定する化合物の中には,まだ合成されていない化合物も含まれ,その活性を求めることはインシリコで行うしかない.今後ますます,インシリコよる活性予測の重要性が高まるだろう.
著者
高井 康宏 上原 誠一郎 宮原 正明
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会 2007年度年会
巻号頁・発行日
pp.215, 2007 (Released:2008-09-02)

1864年にニューカレドニアで発見された緑色の鉱物は発見者のGarnierにちなんでgarnierite(珪ニッケル鉱)と名づけられた。その後garnieriteは数種類の含ニッケル含水珪酸塩鉱物の混合物であることが分かり,現在では野外名として用いられている。現在,各地のgarnieriteについて再検討しており,今回は特に大分県豊後大野市若山鉱山(旧ニッケル鉱山跡)のものについて報告する。光学顕微鏡下で針状結晶と腎臓状組織が特徴的に見られ,それぞれをSEM-EDSで分析した。どちらの組織も非常に微細な組織を持っており,特に腎臓状組織部ではNiに富む部分とMgに富む部分が互層している複雑な組織などが見られた。化学組成はquartz (opal), Ni-serpentineとtalcの混合物的な組成を示した。TEM-EDSでした結果,Niに富む部分とMgに富む部分がnmオーダーで複雑な組織を形成していた。
著者
柳原 正明
出版者
東京大学 工学系研究科航空宇宙工学専攻
巻号頁・発行日
2007-03-16

報告番号: 乙16756 ; 学位授与年月日: 2007-03-16 ; 学位の種別: 論文博士 ; 学位の種類: 博士(工学) ; 学位記番号: 第16756号 ; 研究科・専攻: 工学系研究科航空宇宙工学専攻
著者
福嶌 五月 仲原 正明 荻野 信夫 城戸 哲夫 黒住 和史 久原 章雄 西 宏之 木村 一隆 中尾 量保 辻本 正彦
出版者
The Japanese Society of Gastroenterological Surgery
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.34, no.8, pp.1321-1325, 2001
被引用文献数
3

症例は15歳の女性. 主訴は下腹部痛. 13歳時, 腹痛にて施行したCT検査で脾腫 (容積1,150cm<SUP>3</SUP>) を指摘されるも位置異常を認めなかった. 今回, ジェットコースターに乗った後に下腹部痛を来し来院.CT検査にて脾臓を正位に認めず, 下腹部に腫瘤 (容積810cm<SUP>3</SUP>) を認めた. 超音波検査, 血管造影にて広範な脾梗塞を伴う遊走脾と診断し, 腹腔鏡下脾臓摘出術を施行した. 術中所見では脾周囲靭帯は欠失し, 脾臓は腹腔内に遊離していた. 脾動静脈をEndo GIA40mm<SUP>R</SUP> にて切離後, 腹腔内で脾臓をTissue Morcellator<SUP>R</SUP> を用いて粉砕し摘出した. 手術時間は145分, 出血量は50mlであった. 病理所見は梗塞を伴った正常脾であった. 第6病日に退院し, 術後2年目の現在経過良好である. 遊走脾に対する腹腔鏡下手術の報告は自験例を含め5例で, メッシュによる脾固定3例, 脾摘2例であった. 自験例は広範な脾梗塞と脾腫をともなっていたため, 脾摘を行った.
著者
本山 智洋 Ali Baratov Rui Shan Low 浦野 駿 中村 有水 葛原 正明 Joel T. Asubar 谷田部 然治
出版者
公益社団法人 日本表面真空学会
雑誌
日本表面真空学会学術講演会要旨集 2021年日本表面真空学会学術講演会 (ISSN:24348589)
巻号頁・発行日
pp.2Ca10S, 2021 (Released:2021-12-24)

GaN系パワー・高周波デバイスのゲート絶縁膜として有望なAl2O3薄膜を低コストな酸化物薄膜形成手法であるミストCVD法により作製し評価した。ミストCVD法で作製したAl2O3薄膜は禁制帯幅など、ALD法で作製したAl2O3薄膜と同等の物性値を示した。またAl2O3/AlGaN/GaNキャパシタの容量-電圧特性から、良好なAl2O3/AlGaN界面が形成されていることが示唆された。
著者
岡 真由美 星原 徳子 河原 正明
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.13-20, 2020 (Released:2021-02-06)
参考文献数
15

超高齢社会において、加齢性斜視であるsagging eye syndrome(以下SES)が注目されている。本研究では、SESの鑑別疾患としてあげられる眼球運動神経麻痺との相違を検討し、画像診断の前に視能訓練士が行うべき病態分析と視能評価について述べた。1.年齢区分別の斜視の種類 年齢区分が高くなるほど共同性斜視が減少し、非共同性斜視(眼球運動障害を伴う斜視とする)が増加した。非共同性斜視のうち、年齢区分が高くなるにつれて増加傾向にあったのは滑車神経麻痺、SES、Parkinson 病関連疾患であった。2.SESと眼球運動神経麻痺における複視の発症様式 SESは滑車神経麻痺および外転神経麻痺よりも発症から初診までの期間が長く、複視の発症日が不明確であった。3.SESと眼球運動神経麻痺の眼位・眼球運動 内斜視を伴うSES は外転神経麻痺よりも斜視角が小さく、わずかな上斜視および回旋偏位を伴っていた。上斜視を伴うSESは下転眼に外回旋がみられた。滑車神経麻痺では健眼固視のとき外回旋が上転眼にみられたが、麻痺眼固視のとき一定の傾向がなく、両者を回旋眼で評価することは困難であることがわった。 高齢者の斜視ではSESおよびその合併例が多い。SESと眼球運動神経麻痺との区別は困難であることから、病歴聴取と患者の観察、回旋偏位の検出が有用であり、むき運動検査と合わせて総合的に評価することが重要である。
著者
吉本 麻美 千葉 哲也 松井 理絵子 渡邉 真巨 五十嵐 麻子 酒匂 啓輔 谷口 亜図夢 戸田 雄 菊池 佑至 松原 正明
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C0350, 2005 (Released:2005-04-27)

【目的】近年人工股関節置換術(以下THA)施行後の治療プログラムは、早期離床、早期荷重に移行している。当院では、2週間プログラムを施行し、術後2日目より歩行練習を開始し、歩行自立とともにADL動作の自立を目標に行ってきた。ところで荷重能力の改善は歩行自立にあたり重要な因子と考えられる。今回、荷重能力と股関節外転筋力、歩行能力、ADL動作の関係を検討した。【対象】2003年1月より2004年9月までに当院にてTHAを施行した88例(両側同時THAを除く)を対象とした。平均年齢は63歳、男性6例、女性79例であり、平均体重は55.6kgであり、全例、術後2日目より全荷重が許可された。【方法】術前および術後7日目の荷重能力と股関節外転筋力を測定し、術後の歩行能力、ADL能力を評価した。立位にて術側足底に体重計を設置し、体重に対する比として荷重能力を測定し、背臥位における股関節外転筋の等尺性収縮による最大筋力(Nm/kg)を外転筋力として測定した。T字杖連続歩行400m、階段昇降、床上動作、正座動作、靴下着脱動作については、その自立達成までの日数を各々記録した。なお、荷重能力80%を概ね荷重が可能となった時期と判断し、術後7日目に荷重能力が80%以上となった群(以下、可能群)と80%以下の群(以下、不十分群)に分け、比較検討した。【結果】外転筋力は、不十分群0.28Nm/kgに比し、可能群0.45Nm/kgと有意に可能群で高値を示した(p<0.01)。また、術前の非術側筋力ならびに術側筋力に対する回復率はそれぞれ不十分群35%、53%に比し、可能群71%、85%であり、いずれも可能群にて有意に高い回復を示した(p<0.05)。T字杖歩行は、可能群9.3日、不十分群14.2日、階段昇降は、可能群9.7日、不十分群13日、床上動作は、可能群12日、不十分群15.9日、正座は、可能群11.8日、不十分群15.3日であり、可能群で有意に動作獲得までの期間が短かった(p<0.05)。しかしながら、靴下着脱動作は、可能群9.7日、不十分群10.7日であり、両群間に有意差は見られなかった。【考察】可能群では不十分群に比し、股関節外転筋力の回復が有意に早く、T字杖歩行達成までの期間も有意に短かった。歩行自立と外転筋力の回復が、股関節の安定性をもたらした結果、早期に階段昇降、床上動作、正座動作も可能となり、ADL動作の早期自立が達成できたと考えられる。靴下着脱動作については、荷重能力とは無関係に11日以内に可能となり、2週間プログラムに影響は及ぼさなかった。当院では2週間プログラムを施行してきたが、術後7日目で荷重能力が80%以上可能であれば、T字杖歩行とADL動作の自立が2週間プログラム内でほぼ達成できた。このことから、術後7日目での荷重能力は、T字杖歩行やADL動作自立が2週間以内に達成できる有効な指標の一つと考えられた。
著者
青木 智史 小島 和人 金原 正明
出版者
奈良教育大学
雑誌
奈良教育大学紀要. 自然科学 (ISSN:05472407)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.1-7, 2013-11-30

In the present paper, the authors report the results of thermoluminescence (TL) dating of the bricks from a modern structure, and discuss the validity of this method. TL method is a typical and well-used tool for estimating the age of heated relics. In this research, TL dating method applied to the bricks of the brickwork foundation of an officer' s mess hall which were excavated at the site of the 53th Infantry Regiment on the campus of Nara University of Education. In 1909, the 53 Infantry Regiment was located in the site, where the campus of Nara University of Education is now located. The Infantry Regiment site was first discovered in 2008. This site was excavated continuously between 2008 and 2011. And, the samples were collected at the Infantry Regiment site in 2011. The samples were measured according to the protocol of multiple aliquot additive dose. The TL age averaged for all samples is 96±10 years before present. Thus the results of the present work indicate that the bricks were burnt in the period around the early 20th century. The results are consistent with the ages shown from the archaeological aspects of view. The TL dating method was successfully applied to the modern burnt bricks. And the above result suggest that TL dating method is a valid technique for the research on the history of modern times.
著者
尾本 正 四津 良平 申 範圭 又吉 徹 三丸 敦洋 井上 仁人 長 泰則 茂呂 勝美 加島 一郎 中尾 佳永 堤 浩二 前原 正明 古梶 清和 川田 志明
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR ARTIFICIAL ORGANS
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.56-58, 1998-02-15
被引用文献数
1

当施設で施行した高齢者(65歳以上)に対するMICSの手術成績について検討を行った。対象は96年12月より97年8月までに施行した65歳以上のMICS症例5例で内訳は、僧房弁置換術2例、僧房弁形成術1例、左房粘液腫腫瘍摘出術1例、大動脈弁置換術1例であった。全例に対し術前に自己貯血を行った。胸部切開線は7~10cmであった。大動脈遮断時間は127±29分で人工心肺灌流時間は240±49分であった。輸血は2名に対して行い、術後合併症、手術死亡、遠隔期死亡を認めず、平均術後在院日数は20±7日であった。手術に際しては、MICS用開胸器、MICS用人工心肺回路、IVC用デシャン、体外式除細動パッド、胸骨リトラクター、経食道エコー等工学的支援を必要とした。高齢化社会をむかえた現在、MICSの導入によって、術後疼痛からくる肉体的精神的負担の軽減、入院期間の短期化による経済的負担の軽減等が期待される。
著者
丹沢 秀樹 佐藤 研一 熱田 藤雄 高原 正明
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

口腔悪性腫瘍は多段階的に発癌すると考えられているが、具体的モデルは提唱されていない。大腸癌では遺伝子的発癌モデルのもとにAPC遺伝子による集団検診も検討されている。口腔癌発生の具体的遺伝子モデルを求めることができれば遺伝子的スクリーニングも可能と考えられる。この場合に使用する遺伝子の候補として、発癌過程の早期に異常を起こすと言われているAPC遺伝子は非常に有望と思われる。我々は既に、口腔癌においてAPC遺伝子異常を高率に報告し、腺癌の癌抑制遺伝子と考えられていたAPC遺伝子が、実は、口腔扁平上皮癌においても重要な役割を果たしている可能性を世界で初めて報告した。本研究において、(1)口腔悪性腫瘍の組織分化度とAPC遺伝子異常の関係、(2)口腔内腫瘍発生部位別のAPC遺伝子異常率、(3)前癌病変におけるAPC遺伝子異常の検出率等を調べた。その結果、APC遺伝子は(1)分化度の高い腫瘍におけるほうが分化度の低い腫瘍におけるよりもその異常率が高く、(2)口腔内のどの部位においても悪性腫瘍発生に関与している可能性があり、(3)前癌病変の代表である白板症においては約8%の異常が検出され、この異常率は推定される白板症の癌化率とほぼ一致していた。今後の課題としては、APC遺伝子異常が癌化の結果なのか原因なのかを考察するために、(1)APC遺伝子周囲のマイクロサテライト領域を調べる、(2)さらに多くの前癌病変を調べる、(3)口腔癌に伴った前癌病変を調べる等が考えられる。また、臨床診断への応用も試みる段階になってきたと考えている。
著者
宮崎 浩 北川 裕一 安木 剛 桑原 正明 松岡 章雄
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.1159-1164, 2009-09-25
参考文献数
8

Flexインパクタによる歩行者脚部保護性能評価が検討されている.本研究では,衝突挙動や力学応答に影響するインパクタ地上高と付加質量について,人体FEモデルと比較することで適正な条件を検討した.Flexインパクタの力学応答は,地上高75mmとし,SUVでは更に質量6kgを付加する場合が人体応答に近いことが明らかになった.
著者
前原 正明 村澤 七月 中橋 良信 日高 智 加藤 貴之 口田 圭吾
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.79, no.4, pp.507-513, 2008-11-25
被引用文献数
4 3

黒毛和種572頭のロース芯から得た脂肪交雑の脂肪酸組成をガスクロマトグラフィーにより分析した.ロース芯を画像解析した値と,各脂肪酸との関連性を調査した.モノ不飽和脂肪酸(MUFA)割合の平均値は57.0%(去勢 : 56.4%,メス : 58.3%),ロース芯脂肪割合の平均値は44.4%(去勢 : 45.6%,メス : 41.6%)であった.MUFA%は出荷月齢およびBFSナンバーと正の相関を示した(それぞれ0.27,0.25 : <I>P</I> < 0.01).BMSナンバーと有意な相関を示した脂肪酸はステアリン酸(-0.11 : <I>P</I> < 0.01)のみであった.MUFA%はあらさ指数(0.16)および最大あらさ指数(0.11)と正の,細かさ指数(-0.17)と負の相関係数を示した(<I>P</I> < 0.01)が,ロース脂肪割合(0.04)とはほぼ無関係であった.脂肪交雑の平均階調値はMUFA%と負(-0.38)の,パルミチン酸と正(0.43)の相関係数を示した(<I>P</I> < 0.01).
著者
飯田 慎一郎 松本 吉矢 大搗 泰一郎 河原 正明
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.179-182, 2016-05-25 (Released:2016-06-07)
参考文献数
14

背景.気管支蔓状血管腫は,気管支動脈が蔓状に走行し,しばしば肺動脈と異常吻合を来す稀な疾患である.発見動機のほとんどが喀血である.症例.症例は70歳女性,繰り返す喀血と呼吸困難を主訴に来院された.胸部単純CTで右B2気管支からの出血を疑い,造影CTでは,右気管支動脈の拡張,蛇行を認めた.気管支鏡検査では気管下部膜様部から右第2分岐部にかけて拍動のある隆起性病変を認め,異常気管支動脈(後に気管支蔓状血管腫と判明)に由来する所見と思われた.しかし,可視範囲に明らかな出血源がなく,気管支動脈造影を行って,右上葉気管支の蔓状血管腫と診断した.肺動脈との明らかな異常吻合は認めなかったが,気管支蔓状血管腫が喀血の原因と判断し,スポンゼルⓇを用いて気管支動脈塞栓術を行い,治癒を得た.施行後1年経過した時点で喀血の再発を見ていない.結語.気管支動脈塞栓術が有効であった気管支蔓状血管腫を経験した.肺動脈との異常吻合のないタイプであったため,長期にわたり再発なく経過することが期待できると考えるものの,慎重な観察の継続を予定している.
著者
山中 望 藤森 亜希 南部 正人 阪 聡 櫻井 健治 守屋 利佳 東原 正明 鎌田 貢壽
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.97-107, 2002-02-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
29

【目的】CRIT-LINETMモニター (CLM) を用いたplasma refilling rate (PRR) の測定法は研究者毎に異なり, 確立された方法がない. そこで本研究では, 11通りのPRR測定法の有用性と限界について検討し, 臨床的に利用価値の高いPRR測定法を明らかにすることを目的とした. 【対象および方法】慢性腎不全患者で, 透析中の血圧が安定している患者を対象とした. 透析条件は, 除水速度以外は透析中一定とした. 除水は, 異なる3種類の除水方法 (UF-A, -B, -C) で行った. 透析開始時の有効循環血液量 (BV(0)) は, 生体計測法 (8%法) と回帰I法 (Hct I法, ΔBV% I法), UF-A, -B, -C法の組み合わせから推定した. PRRの測定は, 生体計測法と回帰I法, 回帰II法 (Hct II法, ΔBV% II法), UF-A, -B, -C法を組み合わせた11通りの方法を行い比較検討した.【結果】8%-A法で測定されたPRR値は, 8.7±1.6mL/minであった. 種々のBV(0)測定法とUF-C法との組み合わせで得られたPRRは, 8%-A法のPRRと有意差を認めなかった. UF-B法で測定したPRRは, UF-A, -C法で測定したPRRに比べ有意に低値 (p<0.01, n=13) であった. 【考察】UF-A法より得たPRRは, 除水施行中のPRR値であるといえる. UF-B法より得たPRRが低値を示した理由は, 除水が行われない条件下の測定であったためであるといえる. UF-C法は, PRR測定直前に大きな除水をかけるため, 適用できる患者が限られるという欠点があるが, 膠質とPRRの関係について検討することが可能である.【結論】透析中の除水を考慮したPRRを測定する場合には8%-A法が, 非除水時のPRRを測定する場合には8%-B法が臨床的に有用である. 8%-C法では, 膠質のPRRへの効果を検討することができる.