著者
原 聡介
出版者
教育哲学会
雑誌
教育哲学研究 (ISSN:03873153)
巻号頁・発行日
vol.1971, no.24, pp.27-42, 1971-12-15 (Released:2010-01-22)
参考文献数
34

ヘルバルトが、特にフィヒテをやり玉にあげながら、そのIdealismusに対するRealismusを自己の理論的立場として明確化しようとしたことは周知のことである。そのことをもっともよく示すのはフィヒテの『ドイツ国民に告ぐ』 (1806-7) の批判としての『教育学とIdealismusとの関係について』 (1831-2) であるが、その他若干の作品を参考にして、ここでは、フィヒテの国民教育論にもひとつの解釈を与えながら、ヘルバルトの教育学のRealismusのありかたに立ち入ってみたい。そして、そのことを通じて、一般に近代教育思想におけるIdealismusとRealismusとの関係づけについて、若干の手がかりを得たいと思う。
著者
桑原 聡
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.8, pp.2275-2281, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
15
被引用文献数
3 1

Crow-Fukase(POEMS)症候群は形質細胞の単クローン性増殖に伴い,多発ニューロパチー,浮腫・胸腹水,臓器腫大,内分泌障害,皮膚症状(色素沈着,血管腫),M蛋白血症などを呈する全身性疾患である.患者血清中には血管内皮増殖因子(VEGF)の著明高値がみられ,VEGFが有する強力な血管透過性亢進,血管新生作用により多彩な臓器病変をきたすことが想定されている.症状の多彩さから初診は循環器,呼吸器,消化器,腎臓,内分泌,神経,血液の内科系の各診療科の多岐にわたるが,この疾患の認知度は未だ高いとは言えず,早期診断に至らない患者が多数存在する.致死率の高い重篤な疾患であるが,従来型の副腎皮質ステロイドによる治療から,2000年以後に自己末梢血幹細胞移植を伴う大量化学療法,サリドマイド療法などの新規治療が導入されて以来,機能予後,生命予後は飛躍的に改善している.本症候群は治療可能な疾患であり,一般内科および各内科サブスペシャリティーにおいて見逃してはならない疾患として認識されるべきである.
著者
林 祐介 吉原 聡 吉田 久雄 見川 彩子 林 明人 藤原 俊之
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.417-422, 2019 (Released:2019-12-20)
参考文献数
28

【目的】人工膝関節置換術(以下,TKA)術後患者における術後早期膝関節可動域が自立歩行獲得期間および在院日数に及ぼす影響を検討した。【方法】TKA 術後患者78 例を対象とした。年齢とBody Mass Index,術後4 日時点の膝関節可動域(自動・他動屈曲,自動・他動伸展),運動時痛と歩行時痛(Visual analogue scale),炎症所見(血清C 反応性蛋白)と術後7 日時点の膝関節伸展筋力(ハンドヘルドダイナモメーター)を評価し,在院日数および自立歩行獲得期間に与える影響を重回帰分析(ステップワイズ法)にて検討した。【結果】重回帰分析の結果,在院日数および自立歩行獲得期間に有意に影響する因子は,それぞれ自動膝屈曲可動域と年齢,および自動膝屈曲可動域と自動膝伸展可動域が抽出された。【結論】TKA 術後患者において,術後早期の自動膝関節可動域の拡大は,自立歩行獲得期間および在院日数の短縮に影響を与える可能性がある。
著者
藤原 聡子 辻 大士 近藤 克則
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.67, no.11, pp.828, 2020-11-15 (Released:2020-12-23)

第67巻第10号(2020年10月15日発行)「藤原聡子,他.ウォーキングによる健康ポイント事業が高齢者の歩行時間,運動機能,うつに及ぼす効果:傾向スコアを用いた逆確率重み付け法による検証」において,以下の箇所に誤りがありました。お詫びとともに下記のとおり訂正いたします。P744 Methods 7∼11行目 下線部が訂正箇所誤Changes in walking time, physical function, and depression were designated as independent variables, and participation status in the YWP was designated as the dependent variable in the multiple regression analysis with inverse probability of treatment weighting (IPTW), after adjusting for demographic variables, socioeconomic status, health status, and behavior.正Changes in walking time, physical function, and depression were designated as dependent variables, and participation status in the YWP was designated as the independent variable in the multiple regression analysis with inverse probability of treatment weighting (IPTW), after adjusting for demographic variables, socioeconomic status, health status, and behavior.
著者
桑原 聡 平山 惠造 小島 重幸
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.104-112, 1993-04-25 (Released:2009-09-03)
参考文献数
26
被引用文献数
1

小脳・小脳脚梗塞47例において臨床症状とMRI所見を分析し, 病変部位と運動失調の予後との関係および小脳内体性局在を検討した.四肢の運動失調は41例でみられ, 発症後1年以内に消失した予後良好群は32例 (78%) で, 1年以上持続した予後不良群は9例 (22%) であった.小脳皮質または下小脳脚病変側の予後は良好であるのに対し, 歯状核+上小脳脚あるいは中小脳脚全体の病変例の予後は不良であった.小脳求心系病変 (中, 下小脳脚) と遠心系病変 (歯状核, 上小脳脚) の運動失調に差異はみられなかったが, 後者では後に企図振戦, 律動性骨格筋ミオクローヌスが出現し日常生活動作を妨げた.四肢の運動失調と小脳病変局在との関係は認められなかったが, 失調性構音障害は小脳上部病変で, 眼球測定異常は小脳下部病変で多く発現し, 小脳における体性局在を示唆するものと思われた.
著者
鈴木 康秋 伊藤 啓太 上原 聡人 上原 恭子 久野木 健仁 藤林 周吾 芹川 真哉
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.5, pp.923-930, 2018-05-10 (Released:2019-05-10)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

68歳,男性.肝障害精査にて当科受診.トランスフェリン飽和度,血清フェリチンが高値のため,鉄過剰症が疑われた.肝MRI(magnetic resonance imaging)IDEAL(Iterative Decomposition of water and fat with Echo Asymmetry and Least-squares estimation)IQのR2*MapによるR2*値が著明に高く,高度の肝内鉄沈着所見を呈した.肝組織生検の鉄染色では,肝実質細胞内に高度の鉄沈着をびまん性に認め,肝ヘモクロマトーシスの診断となった.MRI IDEAL IQによる新たな鉄測定法は,ヘモクロマトーシスの非侵襲的検査法として有用である.
著者
藤原 聡史 福井 康雄 伊達 慶一 齋坂 雄一 上月 章史 尾崎 和秀 中村 敏夫 志摩 泰生 西岡 豊
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.679-682, 2015-07-31 (Released:2015-10-31)
参考文献数
19

症例は84歳女性で高血圧症,関節リウマチ,逆流性食道炎がありcelecoxib,lansoprazoleなど内服中であった。発熱,下痢,血便が出現し,発症から17時間後に前医で腹膜刺激症状を指摘された。腹部単純CTで穿孔性腹膜炎が疑われ,当科に紹介された。腹部CTで結腸脾弯曲部からS状結腸にかけて壁外にair densityを伴う全周性の壁肥厚を認めた。虚血性腸炎による後腹膜穿通と診断し緊急手術を施行した。手術所見では下行結腸壁が菲薄化,穿孔しており,穿通部位を切除しハルトマン手術を施行した。病理組織学的検査でcollagenous colitisと診断された。celecoxib,lansoprazoleの内服を中止し,術後12ヵ月以後再燃なく外来経過観察中である。
著者
佐藤 季久恵 高屋 英知 小川 亮 芦原 佑太 栗原 聡
雑誌
行動変容と社会システム
巻号頁・発行日
vol.1(2017), 2017-03-02

近年,都市部にて発生する交通渋滞は,ドライバーの時間的損失だけでなく,輸送の遅延や燃料消費の増加に伴う経済的損失を引き起こしている.さらに排気ガスによる大気汚染や騒音,追突事故等の主要な要因としても指摘されている.交通渋滞の解消における主なアプローチとして,適切なナビゲーションにより交通流の分散を図るアプローチや信号制御によりスムーズな交通流を生みだすアプローチがある.今回は後者について交通渋滞を解消する手法を提案する.信号制御の手法として,これまでにも GA やマルチエージェントなどによる手法が提案されている.いずれの先行研究も高次元な交通情報からあらかじめ必要な情報を定め,その情報をシステムの入力値として与えている.しかし,あらかじめ定められていない情報にも信号制御に重要な情報が含まれている可能性があり,交通に関する高次元な情報量から信号制御を行うために必要不可欠な特徴をいかに抽出するかが課題となっている.本研究では,道路交通画像という高次元な情報からエージェント自身が信号制御に必要な情報を抽出し,適切な信号機のパラメータ操作を出力することを目的とする.そこで,高い特徴抽出能力を持つ深層学習法と,報酬に基づいた最適な行為を学習する強化学習法を組み合わせた Deep Q-Network を用いた制御手法を提案する.その結果,エージェントに道路交通画像を与えると,エージェント自身が学習し,効率的に信号制御できることが確認された.
著者
川野 陽慈 宇都宮 悠輝 高屋 英知 山野辺 一記 栗原 聡
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.3D5OS22b04, 2020 (Released:2020-06-19)

近年ゲーム業界は拡大しており,必要とされるシナリオの数も増加している.そのためにシナリオ自動生成が求められている.シナリオの自動生成手法には完成稿を直接作成する方法もある.しかし,本研究ではより自由度が高くシナリオの崩壊が起きづらい方法として,シナリオの大筋の流れを記載したプロットを物語の共通構造で生成する手法を提案する.シナリオの自動生成には素材となるシナリオのプロットデータが必要となるが,人手で大量のデータを用意するのは難しい.そのため,現存するシナリオからプロット作成のためのデータを抽出し素材として用いることが必要となる.そこでシナリオ自動生成のため映画脚本に着目した.映画脚本をシナリオ自動生成の素材とするためにはストーリー展開を構造化したプロットが必要となる.それを映画脚本から抽出するためにストーリー展開の変化する点で映画脚本を分割することを試みた.映画の登場人物に着目することで,ストーリー展開の変化を捉えられることが示唆された.また,シナリオの素材を元にしたプロット生成において,作品性の調整を自由に行えるシステムを作成し有効性の検討を行った.