著者
栗原 聡 鳥海 不二夫 平 博和 須川 賢洋 長倉 克枝 江間 有沙
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.61, no.7, pp.700-705, 2020-06-15

アルゴリズムやフェイクニュースが"兵器"として使われる事例が相次ぐ中,技術者は何に気をつけ,どうしていけばよいのか.情報系研究者,メディア研究者,法学者といったさまざまな立場の専門家に語っていただいた.
著者
渡部 真志 二宮 怜子 近藤 総一 鴨川 賢二 冨田 仁美 藤原 聡 奥田 文悟 岡本 憲省
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
2020

<p><b> 要旨:</b>症例は41 歳男性.習慣的に行っていた頸部回旋直後に後頸部痛を自覚した後,ふらつき,呂律困難,右半身の脱力が順に出現した.意識はJCS 1 で,右同名半盲,構音障害,右片麻痺,左上下肢の運動失調がみられた.頭部MRI,DWI で左小脳と左視床内側に急性期脳梗塞を認めた.頭頸部MRA ならびに造影CT にて右椎骨動脈解離による動脈原性塞栓症と診断した.脳血管撮影では左回旋位で右椎骨動脈の血流の途絶がみられた.撮影中,右頸部回旋時に後頸部痛を生じた.左椎骨動脈に狭窄性変化と右回旋位で血流の途絶を認めた.検査後から一過性の浮動感が出現した.翌日の頭部MRA にて新たに左椎骨動脈解離を認めたため,両側椎骨動脈解離によるbow hunter 症候群(BHS)と診断した.抗血小板剤内服と頸部硬性カラー装着にてBHS に関連する症状は速やかに改善した.頭蓋頸椎移行部における椎骨動脈解離を疑って脳血管撮影を行う際には,頸部回旋により新たな動脈解離を来す恐れがあることに最大限の注意を払うべきと考える.</p>
著者
栗原 聡
出版者
横断型基幹科学技術研究団体連合(横幹連合)
雑誌
横幹連合コンファレンス予稿集 第9回横幹連合コンファレンス
巻号頁・発行日
pp.D-1-1, 2018 (Released:2018-11-10)

In this paper, discussion about the future works of current AI technologies for which how to coexist with human society is described. Important break through is autonomy, meta-planning, multimodal information data processing, and deep abduction.
著者
坂本 祐二 桒原 聡文 藤田 伸哉
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-05-17

東北大学が主として開発または協力した3衛星、DIWATA-2、RISESAT、ALE-1が2018年10月からの3か月間で、立て続けに打ち上げられた。東北大学構内に設置している2.4m口径パラボラアンテナを有する地上局を用いて、3衛星を日々観測している。本講演では、2009年より継続・発展してきた運用システムをハード・ソフトの両面で解説する。また、フィリピン、スウェーデン、函館、福井など、連携中または準備中の地上局ネットワークについても紹介する。 本地上局は、東北大学の1号機衛星SPRITE-SATのために整備され、超小型衛星を対象として使用を開始した。基本的に低高度地球周回衛星が対象であり、約10~12分のパスにおいて、アンテナ指向方向を制御し、送受信機の周波数を制御して、通信を確立する。衛星追尾は対象衛星を登録するだけで、自動的に最新の軌道を収集し、上空通過時に自動追跡を開始・終了する。運用者は、衛星との通信に集中し、地上局の管理に気を払う必要はない。 現在、前期の最新3衛星に加え、DIWATA-1、RISING-2、SPRITE-SATとの通信も不定期に実施している。本地上局が対応できる通信仕様は、ITU国際通信連合にJCUBES-Bの群衛星として登録されており、今後も兄弟衛星が打ち上げられる予定である。国際機関への電波申請には申請準備も含めて、1年以上の時間を要する。企画から打上まで1年半以内で実現できる現状において、電波申請作業はプロジェクトにおいてトラブル要因となりうる。本地上局を使用する衛星ネットワークの輪が広がることで、衛星開発者に大きなメリットをもたらすと考えている。
著者
石川 孝 澤井 秀文 栗原 聡
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.1_21-1_25, 2011-01-25 (Released:2011-03-25)

人工知能が生物の知能を理解するための手段であるように,シミュレーションは複雑ネットワークを理解するための有用な手段の1つである.この解説は,複雑ネットワーク研究におけるシミュレーション手法について主要な文献に沿って概説し,その研究の流れが模倣から創造へと向かっていることを紹介する.
著者
増田 幸宏 堀 英祐 川合 廣樹 佐土原 聡 中嶋 浩三 尾島 俊雄
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.15, no.31, pp.833-838, 2009-10-20 (Released:2009-10-26)
参考文献数
14

One example of the evaluation of Japanese cities from the viewpoint of a foreign country is “A natural hazard index for megacities” published by Munich Re Group, one of the world’s major reinsurance companies.Among 50 large cities from around the world that were evaluated, Tokyo and Yokohama showed an exceptionally high score by the index. It is necessary to consider such a report as a warning regarding the safety measures in Japan, to behave responsibly as the world’s second leading economic power. However, it should be noted that the content of the evaluation is limited.
著者
上原 聡 ウエハラ サトシ Satoshi Uehara
雑誌
嘉悦大学研究論集
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.1-14, 2010-10-25

消費者行動研究では、消費者をコンピューターに見立てた情報処理アプローチが1970年代における主要な研究パラダイムであった。情報処理アプローチのような、認知過程を中心に展開された消費者意思決定モデルの中では、感情は認知過程の付随的要素として扱われてきた。しかし、さまざまな領域で感情の研究が進展したことを受け、1980 年代から現在にかけて、消費者行動研究のテーマとしての感情研究の重要性は徐々に高まっている。 このように、感情研究の重要性は認められてはいるが、その機能および構造が体系化された先行研究がみられないことが問題点として指摘できる。 そこで本稿の目的は、人間が日常的に行う社会的判断(意思決定)に焦点を絞り、感情を考慮した消費者行動研究を拡充していくための理論的基盤として、感情がどのような機能を果たしているか、さらに、感情をどのような構造として理解すべきかを解明することにある。そして、感情の機能と構造を解明するために社会心理学や感情心理学の知見を導入している。 結論として、感情構造を「快楽-覚醒」の2 軸により分類し、これにポジティブ感情とネガティブ感情を対応させ、それぞれをムードと情動に区分した上で、4 つの感情タイプ別に感情機能を説明することができた。最後に、この仮説を裏づけるため、社会的判断の場面である購買行動について実際にフィールド調査を実施し、データによる実証分析から、選択され易い認知処理方略を含む購買行動特性を感情タイプ別に明らかにしている。
著者
桑原 聡
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.504-508, 2015-12-01 (Released:2016-12-30)
参考文献数
12

3カ月の経過で左手内筋の筋力低下・萎縮を呈した69歳女性例を提示した。臨床的に母指球筋 (APB) と第一背側骨間筋 (FDI) が高度に萎縮し, 小指球筋 (ADM) が保たれていたことから筋萎縮性側索硬化症 (ALS) を疑い, 系統的な針筋電図で広汎な脱神経所見を認めた。ALSではsplit handと呼ばれる特異的な小手筋萎縮のパターンが認められ, 注目されている。APBとFDIが優位に萎縮し, ADMが保たれるために手の外側筋群が萎縮し内側が保たれて萎縮の有無を分割するような線が引ける (split) ことから命名された。いずれの筋肉も同じ髄節 (C8–T1) 支配であり, この解離性筋萎縮は解剖学的には説明できず, ALSに特異的とされている。Split handは神経伝導検査において上記3筋の複合筋活動電位振幅で定量できる。Split handのメカニズムとして皮質運動ニューロンレベルで母指球側筋が優位に障害される中枢説と, 脊髄運動ニューロンにおいて母指球筋支配軸索の興奮性が生理的に高いことによる末梢説が提唱されている。母指球筋は小手球筋と比べてヒトの日常動作において使用頻度が高いために, 代謝要求が高く, 酸化ストレスに暴露されやすい。Split handはALSにほぼ特異的に認められ, 臨床診断における意義は非常に高い。
著者
桑原 聡
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.1319-1321, 2013-11-01 (Released:2013-11-29)
参考文献数
8
被引用文献数
1

Fisher症候群は1956年にCharles Miller Fisherにより「外眼筋麻痺,運動失調,腱反射消失を三徴とする疾患」として末梢神経病変を推定して報告され,Guillain-Barré症候群類縁疾患として位置付けられて現在にいたっている.Bickerstaff型脳幹脳炎は,1951年にBickerstaffとCloarkにより「意識障害,外眼筋麻痺,運動失調を中核症状とする中枢神経疾患」として報告された.1980年代にこの二疾患の異同に関する論争があったが,1990年代に入り血清抗GQ1b抗体が両疾患でともに陽性となることが報告され,共通の病態が存在することが明らかになった.その後の症例集積の結果から,Bickerstaff型脳幹脳炎における外眼筋麻痺・運動失調は末梢神経病変によると考えられており,この疾患を「中枢神経障害を合併したFisher 症候群の亜型」としてとらえる考え方が優勢となっている.
著者
星野 義延 笠原 聡 奥富 清 亀井 裕幸
出版者
森林立地学会
雑誌
森林立地 (ISSN:03888673)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.62-72, 1996
参考文献数
24
被引用文献数
1

建設残土によって造成された東京湾の臨海埋立地のひとつである大井埠頭の一角にある樹木侵入期の草原において,樹木の侵入と定着についての調査を1986年に行った。調査地はヨシ,セイタカアワダチソウ,チガヤ,オギなどの地下茎で繁殖する風散布型の多年生草本植物の優占する群落が形成されており,樹木はその中に点在していた。樹木個体の分布は電線の下や排水溝がある場所で多くなる傾向が認められ,これらの構造物の存在が調査地の樹木個体を多くしている要因と考えられた。樹高3m以上の樹木の位置は,調査地に設けられている排水溝の近くに分布する傾向が認められた。出現した樹木のほとんどはヤマザクラ,エノキ,マルバシャリンバイ,ネズミモチ,アカメガシワなどの動物被食散布型の樹木であり,調査地への樹木種子の供給は鳥散布によるものが多いと考えられた。電線は鳥類の休息場所となり,電線下は周辺の公園などの植栽樹の種子が多く供給されていた。このような種子供給は都市域の埋立地にみられる特徴と考えられる。また,排水溝の掘削は植物の生育に不適な埋立地の土壌の改良と,栄養繁殖によって広がる多年生草本植物群落の分布拡大を抑制し,樹木が定着し,生育できるサイトを提供するものと考えられた。埋立地に発達する初期の森林群落としては,エノキ林やアカメガシワ林が考えられた。
著者
山本 希 三浦 哲 市來 雅啓 青山 裕 筒井 智樹 江本 賢太郎 平原 聡 中山 貴史 鳥本 達矢 大湊 隆雄 渡邉 篤志 安藤 美和子 前田 裕太 松島 健 中元 真美 宮町 凛太郎 大倉 敬宏 吉川 慎 宮町 宏樹 柳澤 宏彰 長門 信也
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-03-10

蔵王山は,東北日本弧中央部に位置し宮城県と山形県にまたがる第四紀火山であり,現在の蔵王山の火山活動の中心となる中央蔵王においては,火口湖・御釜周辺での火山泥流を伴う水蒸気噴火など多くの噴火記録が残されている.一方,蔵王山直下では,2011年東北地方太平洋沖地震以後,深部低周波地震の活発化や浅部における長周期地震や火山性微動の発生が認められ,今後の活動に注視が必要であると考えられる.そのため,地震波速度構造や減衰域分布といった将来の火山活動推移予測につながる基礎情報を得るために,「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」の一環として,人工地震を用いた構造探査実験を実施した.本人工地震探査は,全国の大学・気象庁あわせて9機関から21名が参加して2015年10月に行われ,2箇所のダイナマイト地中発破 (薬量200kgおよび300kg) によって生じた地震波を132点の臨時観測点 (2Hz地震計・500Hzサンプリング記録) および定常観測点において観測した.測線は,屈折法解析による火山体構造の基礎データの取得およびファン・シューティング法的解析による御釜周辺の地下熱水系の解明を目指し,配置設定を行った.また、地中発破に加え、砕石場における発破も活用し、表面波解析による浅部構造推定の精度向上も目指した.得られた発破記録から,解析の第一段階として,初動到達時刻を手動検測して得られた走時曲線のtime term法解析を行った結果,P波速度5.2~5.5 km/sの基盤が地表下約0.5kmの浅部にまで存在することが明らかとなった.また,本人工地震探査時および2014年に予備観測として行った直線状アレイを用いた表面波の分散性解析の結果も,ごく浅部まで高速度の基盤が存在することを示し,これらの結果は調和的である.一方,ファン状に配置した観測点における発破記録の初動部および後続相のエネルギーを発破点からの方位角毎に求め,御釜・噴気地帯を通過する前後の振幅比から波線に沿った減衰を推定した結果,御釜やや北東の深さ約1km前後に減衰の大きな領域が存在することが示された.中央蔵王においては,これまで主に地質学的手法により山体構造の議論が行われてきており,標高1100m以上の地点においても基盤露出が見られることなどから表層構造が薄い可能性が示唆されてきたが,本人工地震探査の結果はこの地質断面構造とも整合的である.一方で,得られた速度構造は,これまで蔵王山の火山性地震の震源決定に用いられてきた一次元速度構造よりも有意に高速度であり,今後震源分布の再検討が必要である.また,御釜やや北東の噴気地帯直下の減衰域は,長周期地震の震源領域や全磁力繰り返し観測から推定される熱消磁域とほぼ一致し,破砕帯およびそこに介在する熱水等の流体の存在を示唆する.今後のさらなる解析により,震源推定の高精度化など,火山活動および地下流体系の理解向上が期待される.
著者
内田 直希 東 龍介 石上 朗 岡田 知己 高木 涼太 豊国 源知 海野 徳仁 太田 雄策 佐藤 真樹子 鈴木 秀市 高橋 秀暢 立岩 和也 趙 大鵬 中山 貴史 長谷川 昭 日野 亮太 平原 聡 松澤 暢 吉田 圭佑
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

沈み込み帯研究のフロンティアである前弧の海域下において,防災科学技術研究所は新たに日本海溝海底地震津波観測網(S-net)を構築した.S-netは東北日本の太平洋側の海岸から約200kmの範囲を海溝直交方向に約30km,海溝平行方向に50-60km間隔でカバーする150点の海底観測点からなり,その速度と加速度の連続データが,2018年10月より2016年8月に遡って公開された.観測空白域に設置されたこの観測網は,沈み込み帯の構造およびダイナミクスの解明に風穴をあける可能性がある.本発表ではこの新しいデータを用いた最初の研究を紹介する.まず,海底の速度計・加速度計の3軸の方向を,加速度計による重力加速度および遠地地震波形の振動軌跡を用いて推定した.その結果,2つの地震に伴って1°以上のケーブル軸周りの回転が推定されたが,それ以外には大きな時間変化は見られないことがわかった.また,センサーの方位は,5-10°の精度で推定できた.さらに得られた軸方向を用い,東西・南北・上下方向の波形を作成した(高木・他,本大会).海底観測に基づく震源決定で重要となる浅部の堆積層についての研究では,PS変換波を用いた推定により,ほとんどの観測点で,350-400mの厚さに相当する1.3 – 1.4 秒のPS-P 時間が観測された.ただし,千島-日本海溝の会合部海側と根室沖の海溝陸側では,さらに堆積層が厚い可能性がある(東・他,本大会).また,雑微動を用いた相関解析でも10秒以下の周期で1.5 km/s と0.3 km/sの2つの群速度で伝播するレイリー波が見られ,それぞれ堆積層と海水層にエネルギーを持つモードと推定された(高木・他,本大会).さらに,近地地震波形の読み取りによっても,堆積層およびプレート構造の影響を明らかにすることができた.1次元および3次元速度構造から期待される走時との比較により,それぞれ陸域の地震の海溝海側での観測で3秒程度(岡田・他,本大会),海域の地震で場所により2秒程度(豊国・他,本大会)の走時残差が見られた.これらは,震源決定や地震波トモグラフィーの際の観測点補正などとして用いることができる(岡田・他,本大会; 豊国・他,本大会).もう少し深い上盤の速度構造もS-netのデータにより明らかとなった.遠地地震の表面波の到達時間の差を用いた位相速度推定では,20-50sの周期について3.6-3.9km/sの位相速度を得ることができた.これはRayleigh波の位相速度として妥当な値である.また,得られた位相速度の空間分布は,宮城県・福島県沖の領域で周りに比べて高速度を示した(石上・高木,本大会).この高速度は,S-netを用いた近地地震の地震波トモグラフィーからも推定されている.また,このトモグラフィーでは,S-netの利用により海溝に近い場所までの速度構造がよく求まることが示された(豊国・他,本大会).雑微動解析によっても,周期30秒程度の長周期まで観測点間を伝播するレイリー波およびラブ波を抽出することができた.これらも地殻構造の推定に用いることができる(高木・他,本大会).また,海域の前弧上盤の構造についてはS-net 観測点を用いたS波スプリッティング解析によって速度異方性の特徴が明らかになった.プレート境界地震を用いた解析から,速いS波の振動方向は,海溝と平行な方向を向く傾向があり,マントルウエッジの鉱物の選択配向や上盤地殻のクラックの向きを表している可能性がある(内田・他,本大会).プレート境界においては,繰り返し地震がS-net速度波形によっても抽出できることが示された.プレート境界でのスロースリップの検出やプレート境界の位置推定に役立つ可能性がある(内田・他,本大会).さらに,S-net加速度計のデータの中には,潮汐と思われる変動が観測されるものもあり,プレート境界におけるスロースリップによる傾斜変動を捉えられる可能性があるかもしれない(高木・他,本大会).以上のように,東北日本の前弧海洋底における連続観測について,そのデータの特性が明らかになるとともに,浅部から深部にわたる沈み込み帯の構造や変動についての新たな知見が得られつつある.これらの研究は技術的にも内容的にもお互いに密接に関わっており,総合的な解析の推進がさらなるデータ活用につながると考えられる. 謝辞:S-netの構築・データ蓄積および公開に携わられた皆様に感謝いたします.
著者
三浦 勉 飯尾 能久 SIBSON Richard H. 岡田 知己 松本 聡 PETTINGA Jarg BANISTER Stephen 平原 聡 中山 貴史 中元 真美 山田 真澄 大見 士朗 米田 格 濱田 勇輝 高田 陽一郎 深畑 幸俊 小菅 正裕 TOWNEND John REYNERS Martin GHISETTI Francesca C.
出版者
京都大学防災研究所
雑誌
京都大学防災研究所年報. B = Disaster Prevention Research Institute Annuals. B (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.94-101, 2014-06

We observe the seismic activity in the northern part of the South Island in New Zealand since Nov. 2009. New Zealand is located at the border between the Pacific plate and the Australian plate and the Alpine Fault runs along the boundary from southwest to northeast in the South Island. A lot of earthquakes occurred there, e.g., 1929 Murchison (M7.7), and 1968 Inanghua (M7.2). We observed aftershocks of the 2011 Christchurch earthquake for 2 years since Mar. 2011. Now, We expand the observation network with about 40 seismometers in northern part of the South Island.
著者
杉原 聡子 米山 直樹
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.13-23, 2015

研究の目的 自閉スペクトラム症児への運筆訓練における親の指導行動の改善に対して未編集のビデオ映像を用いたビデオ・フィードバックの効果について検討した。研究計画 研究デザインはABC+フォローアップデザインであった。場面 大学内の観察室であった。参加者 自閉スペクトラム症のある双子の男児をもつ母親1名であった。介入 母親の指導スキルは、把持修正、環境調整、トークンエコノミー、プロンプト、強化の5項目で構成した。ベースライン(A)ではビデオ撮影の方法のみ教示した。介入I期(B)では支援者と母親でビデオを視聴し、適宜ビデオ映像を停止して5項目についてその実施と未実施を母親に示しコメントした。介入II期(C)では介入Iに加え、支援者が子どもの標的行動を強化するためのトークンボードを用意し、母親に手渡した。行動の指標 指導台本の実施率を指導行動の正確率と定義し、従属変数とした。また、併せて子どもの行動変容について、図形における運筆逸脱率を測定した。介入後に、母親より社会的妥当性アンケートへの回答を得た。結果 介入後に母親の指導行動の正確率が改善し、子どもの運筆逸脱率が減少した。結論 未編集のビデオ映像を用いたビデオ・フィードバックによる支援は母親の運筆指導行動の正確性を改善するのに有効であることが示された。
著者
原 聡
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

深層学習モデルはその複雑な内部のネットワーク構造がゆえに、モデルがどのような認識機構に基づいて画像認識を行っているかを人間がうかがい知ることはできない。このモデルのブラックボックス性を緩和して説明性を高めるために、特に画像認識の分野において視覚的な説明性を向上させる方法の研究が進めらている。これら視覚的な説明では、深層学習モデルが画像中のどの領域を根拠に認識を行なっているか、その認識対象を特定してハイライトする。本研究では鮮明なハイライトを得るための前処理方法として活性固定化を提案する。活性固定化ではまず前処理として深層学習モデルの認識に寄与している主要な構造だけを残して、残りの非主要部を枝刈りする。その後で既存の視覚的説明法でハイライトを生成する。このように前処理として活性固定化によりモデルの非主要部を枝刈りすることで、非主要部に由来するノイズを除去した鮮明なハイライトを生成できる。
著者
原 聡 小野 貴史 岡本 亮 鷲尾 隆 竹内 繁樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第31回全国大会(2017)
巻号頁・発行日
pp.2I3OS10a4, 2017 (Released:2018-07-30)

量子情報処理における量子ビット列の状態は密度行列により記述される。本研究では複数の実験で得られた密度行列の集合から異常な行列を検知する問題を扱う。密度行列はその量子的な性質のために揺らぎを内包しており、異常を検知するには異常と揺らぎとを識別する必要がある。従来技術では行列要素の絶対値の変化しか検知できなかったが、本研究では機械学習のスパース正則化を用いて位相変化をも検知できる手法を提案する。
著者
上原 聡
出版者
嘉悦大学
雑誌
嘉悦大学研究論集 (ISSN:02883376)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.1-15, 2009-10-01
被引用文献数
2

1990 年代以降、マーケティング研究における中核的な概念として顧客満足(CustomerSatisfaction)が再認識されることとなった。このような顧客満足に関する先行研究においては、利益面の経営成果に対して顧客満足が直接的に影響することが示されていることが特に重要な視点となる。先行研究の中では、期待と経験値のギャップが顧客満足に及ぼす影響を扱ったギャップモデルが多く散見されると同時に、顧客満足に対する期待水準自体の直接的な効果も提起されている。本稿では、サービス・プロフィット・チェーンのような有効な理論モデルが提唱され、特に今後の産業構成上に占めるウェイトがより高まることが予想されるサービス企業に焦点をあてる。サービス企業を研究の調査対象とするため、顧客満足に先行する要因としてサービス品質を考慮する。具体的なサービス企業としてホテル業を選んで実証分析を行い、SERVQUAL モデルに立脚した分析枠組みを用いてサービス品質と顧客満足間の関係を調査した。実証分析の結果、期待水準および期待-経験値間ギャップの双方が顧客満足に影響を与えることを明らかにしている。