著者
吉田 清 稲橋 正明 野呂 二三 村上 英也
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.80, no.7, pp.471-475, 1985-07-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
10

1. 柿渋の原料である天王柿より, それぞれ性質の異る酵母を8株分離し, その特性を調らべた結果レモン型の両極性出芽酵母でCellobioseを良く発酵するKloeckera javanicaと思われる4株と, 胞子を良く形成し柿果汁, 合成培地においても比較的芳香を出す酵母4株を分離し, これらをSaccharomyces bayanusであると同定した。2. 分離した酵母の多くはアルコール耐性があり, またpH2.0の酸性下でも良く生育するタンニン酸耐性の強い酵母であった。3. 原料渋柿搾汁液を熱処理し, 分離酵母F菌を添加して発酵させた柿渋液はアルコールやエステル様の芳香が幾分あり, 柿渋特有の腐敗臭などの異臭が少なく清澄効果も従来の柿渋と変らず, 所期の目的にそった柿渋液を製造することができた。
著者
酒井 洋 鈴木 文直 吉井 章 米田 修一 野口 行雄 吉田 清一
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.941-945, 1990-10-20

16歳女性.健診の胸部X線写真で右後縦隔に5×4cm大, 第10胸椎の破壊を伴った球形の腫瘤陰影を指摘され, エコー下生検で骨巨細胞腫と診断, 手術にて全摘, 胸椎掻爬, 腓骨移植が行われた1例である.胸椎より発生したものとしては本邦11例目であり, 縦隔腫瘍像を塁した胸椎巨細胞腫としては本邦で2例目である.
著者
吉田 清
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:09162151)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.29-46, 1999-02

D. H. Lawrenceは(古代)エトルリア民族に本能的な関心をいだき、彼等と彼自身を同一視した。Lawrenceが晩年の1927年に執筆したEtruscan Places (1932)はエトルリア地方の気候、風土、自然について述べると同時に、エトルリア民族の歴史、性格、芸術、宗教を考察し、彼の思想が端的に表われた紀行文である。本論はエトルリア民族の主要な芸術石棺像、奉献像、墳墓内の壁画、キマイラ等の考察を通して、彼等の死生観を分析し、その生の世界を探ることを目的とする。エトルリア文化はその初期段階において、死に直面し、死を意識した文化であった。しかし、一方において、彼等が生に目を向けた時、意識下より意識の表面へと湧きでた生の芸術、宗教が発達した。その結果、当時の地中海諸国はギリシヤ芸術、文明の影響を免れることは不可能であったが、エトルリア民族特有の芸術、宗教が生まれるに到った。エトルリア民族最大の関心は生の世界であり、生きることそのもの、つまり、生を鋭敏に意識することで彼等の芸術は表現された。生は喜びであると同時に驚異であり、死後も永遠、無限の生の世界へ永続すると言う考えのもとにエトルリア民族の宗教は生まれた。エトルリア民族の芸術、宗教を考慮する時、ローマのVilla Giulia博物館所蔵の石棺の夫婦像に認められる微笑はエトルリア民族の死生観を象徴し、彼等(夫婦)は死後、喜ばしき驚異の生の旅へ、生の始源、永遠、無限へと旅立つ姿を表わしていると考えられる。
著者
鹿川 修一 吉田 清英 寺岡 靖剛
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1994

本研究は,ディーゼル排ガス中の炭素微粒子(パティキュレート;PM)と窒素酸化物(NOx)の有害成分を同時に除去,無害化する新しい排ガス浄化システムの開発を目指したものである.1.触媒とPMの混合物を反応ガス中で連続昇温しながら反応を追跡する昇温反応法を用いて,ペロブスカイト型酸化物(ABO_3),K_2NiF_4型酸化物(A_2BO_4),スピネル型酸化物(AB_2O_4)のPM-NOx同時除去活性を調べた.(1)PM-NOx同時除去活性は,ペロブスカイトおよびK_2NiF_4型酸化物のBサイト,スピネル型酸化物のA,Bサイトに入る遷移金属イオンの種類に大きく依存し,CoやMnを含むものは活性は高いがNOxのN_2への還元選択性が低く,CuやFeを含むものが適度な活性と高い選択性を示す.(2)アルカリ金属,特にKの添加により活性と選択性が同時に向上し,高性能なPM-NOx同時除去触媒を得るにはKの添加が必須である.(3)複合金属酸化物は遷移金属単独酸化物やそれらの機械的混合物および担持白金触媒よりもNOxの還元能が高く,PM-NOx同時除去反応に対して複合金属酸化物が有効である.2.反応の速度論的検討から,NOの酸化によるNO_2の生成,NO_2の解離吸着による原子状吸着酸素の生成,PM表面での原子状吸着酸素により活性化された中間体(C^*[O])の生成,気相酸素の関与によるC^*[O]中間体濃度の増加をキ-ステップとするPM-NOx同時除去反応機構を提案した.3.ぺロブスカイト型La_<0.9>K_<0.1>CoO_3をハニカムフィルターに担持し,実排ガスから直接PMを捕集した後に,SO_2,H_2Oを含む模擬ディーゼル排ガス中でのPM-NOx同時除去特性を測定した.PM/触媒混合物を用いた基礎研究と比較して,着火温度が約100°C高くなり,またNOx還元率も低下したが,比較的良好な同時除去特性を示し,本プロセスの実用化の可能性が強く示唆された.