著者
小林 昭彦 小関 廣明 増子 毅 大和田 康夫
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.634-638, 2000-05-01
参考文献数
11
被引用文献数
9

術前診断に小腸造影検査が有効であった内ヘルニアを2例経験したので報告する.症例1は44歳の女性.腹痛・嘔吐を訴え, 腹部単純X線でイレウスと診断した.保存的治療が奏効せず, 33日目に開腹したところ大網裂孔ヘルニアを認め, 陥入した空腸は小網と癒着し, 絞扼性変化をきたしていた.空腸部分切除とヘルニア孔閉鎖を施行した.症例2は57歳の男性.腹痛を訴え, 腹部単純X線でイレウスと診断した.保存的治療が奏効せず, 21日目に開腹したところS状結腸間膜内ヘルニアを認め, 陥入した回腸は後腹膜と癒着していた.腸管切除は行わず, 癒着剥離とヘルニア孔閉鎖を施行した.2症例とも開腹歴はなく, イレウス症状をきたし, 小腸造影では狭窄部位で腸管の先細り像を認めたが, 血管造影, CTなどの検査では異常を認めなかった.このような症例においては, イレウスの原因として内ヘルニアを念頭に置く必要があると考えられた.
著者
増子 恵一
出版者
専修大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

ノコギリハリアリ1個体から抽出できるDNA量を働きアリを材料にしてまず検討した。ノコギリハリアリは体長4mmの微小な種だが、個体あたり400-700ngの高分子DNAが抽出できることがわかった。次にこのDNAを鋳型に用いたPCR法によって、ノコギリアリ個体間のDNA多型の検出を試みた。次のような種々のプライマーを合成し用いた。:(1)CAP-PCR法におけるdegenerateプライマー:(CA)_7および(AC)_7の3'端にDG,DA,DT,DCをつなげたもの(Dはnot C)。さらに(CA)_7および(AG)_7の3'端にHG,HA,HT,HCをつなげたもの(Hはnot G)。(2)(GA)_7および(AG)_7の3'端に4塩基をつなげたもの。(3)(GA)_7および(AG)_7の3'端に2塩基の配列をつなげたもの。)(4)アンカー配列を繰り返し配列の5'端につなげたもの(Wu et al. 1994による):CCAG(GT)_6、CCC(GT)_6、CCT(GA)_6、CCC(GA)_6、GCTTG(GT)_6、GCCA(GA)_6。(6)マイクロサテライトなどの基本単位の数回の繰り返し:(CAG)_5、(TAG)_5、(GATA)_4、(GCGT)_4。さらに制限酵素を併用して、鋳型DNAまたは増殖産物を4塩基識別の制限酵素で消化し泳動する方法も検討した。その結果、特異性の高い(3)のプライマーの1つで常に個体間の多型が生じる別のプライマーも確認した。さらにアガロース電気泳動に加えて、ポリアクリルアミド(+銀染色)も併用し、アガロースでは検出できないわずかな断片長の差異を検出することができた。今回の研究効果だけではまだ手法的には十分とは言えないが、近い将来にノコギリハリアリの血縁解析とreproductive skewの研究に本格的に取り組めるだろうと予測される。
著者
増子 和男
出版者
梅光学院大学
雑誌
日本文学研究 (ISSN:02862948)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.197-208, 1991-11-01
著者
増子 裕典
巻号頁・発行日
2012

筑波大学博士 (医学) 学位論文・平成24年3月23日授与 (甲第6237号)
著者
増子 博調
出版者
山野美容芸術短期大学
雑誌
山野研究紀要 (ISSN:09196323)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.53-60, 1993-03-25

日本の古典芸能は一口に言って「間」の芸術である。西洋の時間芸術がリズムにのって流動するのに対して,日本の時間芸術は流れるよりもむしろ止まる。絶え間なく流れ行く時間の中で,いかにして静止するかに腐心する芸術であるといってよい。日本舞踊の「間」という形こうしたテーマをとりあげたこの小論では,邦舞の「間」の問題を三つのステージで捉え,第一のステージでは,いわゆる「常間」という規則正しい間拍子のとり方を吟味の対象とし,第二のステージでは,「常間」では一応の舞踊の形は整うけれども,芸術としての面白味(踊り手の側からみれば「個性」)を出すには,一歩進んでことさらに間のリズムを壊して,変則の間拍子を工夫する必要のあることに触れ,第三のステージでは,間拍子の工夫がただ技術的巧拙の段階にとどまる限り,そこに芸術としての味わいを醸し出す余地はなく,ここで一段飛躍して,芸術に精神性の表出を求める立場から,いわば「気合の芸術」として,日本舞踊の「間」の問題に迫ろうとする。これらの作業が,日本文化の特質解明の一助ともなりうれば幸である。
著者
増子 崇 武田 信司 長谷川 雄二
出版者
社団法人エレクトロニクス実装学会
雑誌
エレクトロニクス実装学会誌 (ISSN:13439677)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.116-124, 2005-03-01

デカメチレンビストリメリテート二無水物(DBTA)を酸成分として合成したポリイミド, エポキシ樹脂, および銀フィラーからなるコンポジットフィルムを調製し, それらの種々特性を検討した。硬化前においては, Tgを超える温度領域でメルトダウンし, 熱可塑型フィルムに特有の挙動を示したが, 硬化後においては, 含有するエポキシ樹脂成分の橋かけ化の効果により, 上記の温度領域での流動が抑制された。これらのフィルムを介して, 異なる熱ひずみを有する材料同士を貼り合わせたときの接着強度は, 主としてフィルムの弾性率と応力緩和特性の影響を受けることがわかった。本報では、ポリイミドの構造とフィルム特性との関係について詳細に論じた。
著者
増子 正
出版者
仙台大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

平成12年に施行された社会福祉法で、平成15年以降、市町村における地域福祉は、地域福祉計画に基づいて推進されることになった。策定する地域福祉計画を具現化したり、策定された地域福祉計画の達成度を評価するための進行管理と計画の達成度を評価、モニタリングすることが重要になる。全国社会福祉協議会は、行政機関の政策評価で採用しているベンチマーク方式の積極的な活用を推奨しているものの、ベンチマーク方式に関しては、わが国でもアメリカ・オレゴンベンチマーク方式を活した行政機関の政策評価に関する研究が近年行われているものの、福祉領域での研究はほとんど行われていないのが現状である。政策評価で多く用いられる4つの象限を用いたベンチマーク方式の評価では、各象限にプロットされた事業の、取り組みの詳細な優先順位付けに限界があることから、本研究では医療分野で有用性が確立されている分布関数分析の手法を用いて詳細な事業の優先順位付けを試みた。また、策定された計画の達成状況を評価するために、地域福祉事業については、その性質上、スケールメリット効果を定量的に測定することが困難なものも多く存在するが、本研究では定量的に評価が可能であると考えられる事業の目標値の設定と評価指標の検討を行って、実際のフール度でその妥当性を検証た結果、本研究の手法が宮城県柴田町社会福祉協議会の地域福祉活動計画策定段階に採用され実用化に寄与することができた。
著者
秋吉 祐子 増子 隆子
出版者
日本マクロエンジニアリング学会
雑誌
MACRO REVIEW (ISSN:09150560)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.3-11, 2009 (Released:2010-01-28)
参考文献数
22

20世紀後半以降は人類の生存に直接関係する食の安全性が世界的な共通課題となっている。食肉を提供する家畜の病気(BSE、鳥インフルエンザ)、その人間への感染性をきっかけに世界的に食品安全行政への真剣な取組が行われてきた。本稿はその事例として日本、アメリカ、EU、中国の状況とその方向性を概観する。事例にみる共通性は、農場から食卓に至るフードチェーンをリスクアナリシスの手法を用いて安全性を確保することにある。ことの重大性に鑑みて食品安全委員会のような組織の導入が行われる事例もある。事の判別の困難さおよび複雑性において予防原則の導入の事例や、食の安全性意識の醸成を社会の根本的役割である教育に求める食育教育を強調する事例もある。本考察から示唆されることは現在の社会的危機において、安全な食の提案を起点とする社会システムモデルの構築とそれを創造する意識•認識の必要性である。
著者
増子 治信 小林 達治 梅原 俊彦 田村 恒 岡本 謙一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.95, no.435, pp.17-24, 1995-12-15

シャトル映像レーダC/Xバンド合成開口レーダ(SIR-C/X-SAR)は米国、ドイツ及びイタリアが共同で1994年に実施した初めての宇宙機搭載用多周波(L,C,Xバンド) ・多偏波(ポラリメトリック)合成開口レーダである。通信総合研究所は日本から唯一参加を認められ、システムの較正実験及び日本周辺海域で海洋油汚染観測を中心とする海洋観測実験を実施した。本報告では、疑似油汚染観測を中心にレーダ映像の周波数依存性及び偏波特性について述べる。
著者
稲谷 順司 増子 治信 JEM/SMILESミッション・チーム
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.98, no.153, pp.45-51, 1998-06-26

国際宇宙ステーションJEM曝露部に、超伝導技術を利用したサブミリ波サウンダを搭載し、成層圏大気に含まれる微量ガス成分の高感度観測を行う。オゾン層破壊、気候変動のメカニズム解明に資するとともに、サブミリ波、超伝導、宇宙用冷凍機などの新観測技術の宇宙実証を目指す。
著者
相馬 幸作 増子 孝義 清水 千尋 山田 和典 蔡 義民
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.495-500, 2006-11-25
被引用文献数
4 3

北海道の基幹草種であるチモシーを対象に,地域,生育ステージ,刈取り時刻および品種などの要因を設定し,可溶性炭水化物(WSC)含量および糖組成に及ぼす影響を調べた.地域において,1番草のWSC含量は最大2.67%(乾物中),2番草では2.37%の差があった.生育ステージでは,6月30日(出穂期)にWSC含量がピークに達した.しかし,グルコース,フルクトースおよびスクロース含量は増加しなかった.刈取り時刻では,7時からWSC含量が増加し始め,17時に最大値に達し,その差は3.00%(乾物中)になった.グルコースおよびフルクトース含量は13時に最大値に達した.品種では,1番草はクンプウ(極早生)とノサップ(早生),2番草はノサップがそれぞれWSC,グルコースおよびフルクトース含量が高かった.ただし,グルコースおよびフルクトース含量の増加はわずかであった.以上の結果から,チモシーのWSC含量と糖組成は,地域,生育ステージ,刈取り時刻および品種などの要因により著しく変動することが明らかになった.