著者
内海 由美子 澤 恩嬉
出版者
山形大学国際センター
雑誌
山形大学留学生教育と研究 = Yamagata University working papers in international education
巻号頁・発行日
vol.2, pp.13-29, 2010-03-31

Abstract:Results of interviews with Korean women who married Japanese men through matchmaking brokers and migrated to Japan, reveals certain types of women, for example women raised in poor families such as single-mother homes, women over marriageable age, and divorced women with children. They have been pushed from Korean society by gender, social and cultural factors. Gender factors are the low status of women in their families and their workplaces, and the emphasis on women's age and appearance in choosing their partners. Social factors are the undeveloped social security system including the pension system and social welfare, and the impoverishment of women, especially single-mothers. Cultural factors include high marriage expenses caused by the feelings towards marriage within families, and widespread and accessible matchmaking brokers. In addition, personal problems such as being crime victims, involved in bad relationships, or company bankruptcies, trigger Korean women to marry Japanese and emigrate to Japan.
著者
内海 由美子 澤 恩嬉
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.155, pp.51-65, 2013 (Released:2017-02-17)
参考文献数
12
被引用文献数
1

本稿では,外国人の母親31人を対象とした聞き取り調査の結果から,幼稚園・保育園における読み書きの必要性とその課題を明らかにし,読み書き能力支援について提案する。園と連携して子育てに当たるには日本語使用が不可欠で,連絡帳やお便り等の読み書きが重要となる。しかし調査の結果から,全ての母親が連絡帳を書くことに苦手意識を持ち,困難を感じていることがわかった。また,連絡帳によって園と信頼関係を築いたり,子育て上の問題を相談したりする等,日本人の母親が行う利用の仕方は外国人の母親には見られなかった。さらに,連絡帳を書くかどうかには,子どもの入園時にすでに日本語学習歴があり,ひらがなカタカナの読み書きができるかどうかが大きく関わっていた。園との文字によるやりとりを支えるには,連絡帳に特徴的な言語形式や談話の流れを自習可能な教材にすることが求められる。また,書くか書かないかの判断や,書くか話すかの技能選択のポイントを示すことも必要である。
著者
武冨 奈菜美 山本 和嬉
出版者
一般社団法人 日本統計学会
雑誌
日本統計学会誌 (ISSN:03895602)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.69-112, 2023-03-01 (Released:2023-03-01)
参考文献数
74

生存時間解析・信頼性解析は,患者の生存時間や機器の故障時間など,ある個体に対して特定の事象が生起するまでの時間に関するデータを扱う,統計学の一分野である.本稿は,生存時間解析・信頼性解析に用いられる統計モデルの歴史的背景や統計的性質について,初学者向けに書かれた総説である.生存時間や生存関数,ハザード関数などの基本的な生存時間解析の道具や概念を定義し,それらの統計的性質・解釈を解説する.また,指数分布・ワイブル分布・対数正規分布などの,一般的なパラメトリックモデルや,Cox比例ハザードモデル・加速故障時間モデルなどの回帰モデルについて解説する.競合リスクモデルについても簡単に触れる.本稿で使用したデータ,式の導出,解析に使用したRコードを付録に与える.
著者
高 吉嬉
出版者
東京大学
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.1-10, 1997-12-12

There is a wide gap of understanding modern history of East Asia by Koreans and Japanese people. It sometimes prevents two contries from improving the relationship. The aim of the present paper is to clarify such a gap in order to open the mutual educational horizon. The focus is a gap of understanding the separation and reunification of Korean Peninsula. The author summarizes recent surveys on mutual recognition between the two contries. Japanese indifference and ignorance of history and Koreans misperception were analized. By pointing out both Japan's and Korea's responsibility in the separation of Korean Peninsula, the present paper proposes the Japan's task and role for the reunification of North and South Korea to establish the peace of East Asia.
著者
佐藤 嘉一 中川 勝雄 森田 浩平 池内 靖子 木田 融男 佐々木 嬉代三 奥川 桜豊彦
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1994

本研究は国内外の社会移動に注目し、(1)移住の動機・誘因、(2)移住後の生活実態、(3)UターンやJターン現象にみられる「帰郷意識」、(4)移住に伴うアイデンテイテイ問題などの実証的研究によって、社会移動についての社会学的分析を試みたものである。具体的には、戦前・戦後を通じて海外や本土に大量の移民・出稼ぎ者を供給してきた沖縄県の北部地域である今帰仁村を対象地域に選定し、現地の移住体験者と移住先の今帰仁村出身者についての綿密な聞き取り調査を実施した。本研究によって明らかにされたことは、次のような諸点である。第1に、移住の誘因としては後進的農業地域ゆえの現地での雇用機会の少なさがあるにしても、個人レベルに立ち入ってみると大きな夢や高い理想の実現をめざそうとする気概をもって出て行く者も少なからず存在した。第2に、移住の経路として先行する移住者の親戚・知人を頼る「呼び寄せ」を経由する者が大半である。第3に、にもかかわらず多くの移住者は沖縄文化と異質の異郷にあってさまざまな苦労を体験することで、ある者は移住先で郷友会に入り沖縄文化を享受し、ある者は再び帰郷している。その結果、母村と各地の郷友会の濃密な社会的ネットワークが形成される。第4に、この社会的ネットワークが母村を支え人口増、農業振興など本土農村と異なる様相がみられる。第5に、移住先で郷友会に組織されなかった者のなかには、異郷に適応できず社会的転落を余儀なくされる事例があり、また沖縄本島においてもハンセン病患者に対するような深刻な差別があったことも看過できない。第6に、移住者一世によって形成されてきた社会的ネットワークは近年世代交代の局面を迎えており、一世から二世・三世への継承のありかたが課題となっている。
著者
藤原 眞砂 久場 嬉子 矢野 眞和 平田 道憲 貴志 倫子
出版者
島根県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

子育てや看護をはじめとする家庭生活の多様な環境に配慮した企業および行政のワーク・ライフ・バランス(WLB)施策は、勤労者の生活に安心とゆとりをもたらし、ひいては企業、社会の活性化(少子化の克服も含む)に資する。本研究は総務省社会生活基本調査ミクロデータの独自の再集計値をもとに家庭内の男女、成員の役割関係の実態を解明し、WLBを実現する政策的含意の抽出を試みた。あわせて理論的研究も行った。
著者
イアンシティ マルコ 椙山 泰生 羅 嬉頴
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.17-34, 2011-09-20 (Released:2022-08-27)

IT産業におけるイノベーションの相互依存的性質を考慮し た時,3つの中核的な原理,すなわち選択,機会,そして相互運用性の原理が,エコシステムの原理として指摘できる.本稿では,PCを中心とした時代のソフトウェアのイノベーションから,近年のウェブを中心としたソフトウェアのイノベーションに移行していく際に,これらの原理が継続して重要であったことを確認する.
著者
後藤 典子 熊坂 聡 三瓶 典子 澤 恩嬉 齋藤 美穂 山上 龍子
出版者
山形短期大学
雑誌
山形短期大学紀要 (ISSN:13477366)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.13-26, 2010-03

はじめに インドネシア・フィリピンとの経済連携協定(EPA)による看護師・介護士を目指す外国人の来日で、看護・介護分野と日本語教育との連携の必要性が認識され始め、介護のための日本語の教科書や補助教材が作成されてきている。本学には、日本の大学に進学するための日本語を学ぶ留学生別科と介護士を養成する人間福祉学科があり、人間福祉学科では今年度から留学生も受け入れることになった。しかし、山形で外国人介護士の教育を行う場合、上記のような教材を利用しても、特に地域語を話す介護保険施設利用者(以下利用者)との会話などは簡単ではないと予想されることから、両学科の教員が連携して、介護のための地域語教材を開発することになった。実際には外国人介護士に対してどのような日本語が話されることになるのかを調査するために、まず利用者と留学生の実際の会話を録音し、その録音資料を基に、どのような方言が使用され、それらは外国人にどのように聞こえ、どのように理解されているかをみることにした。
著者
任 眞嬉 元 ナミ[訳] 金 甫榮[訳]
雑誌
GCAS report : 学習院大学大学院人文科学研究科アーカイブズ学専攻研究年報 (ISSN:21868778)
巻号頁・発行日
no.4, pp.6-22, 2015-02

韓国では、1999年「公共機関の記録物管理に関する法律」の制定と相まって電子政府が進められ、多くの公共記録が電子文書で作成されるようになった。この法律は2007年に「公共記録物の管理に関する法律」と改正され、電子記録管理システムを中心に更新された。公共部門の記録管理の発展とともに、民間分野におけるアーカイブズへの関心も高まり、さまざまな民間アーカイブズが構築されつつあるが、その過程で公共記録の管理方法やツールをそのまま適用することは難しいという学問的、実践的課題が提起された。特に記録システムの構築には多くの課題が存在している。本講演では、その解決策の一つとして「AtoM」や「Archivematica」「Omeka」などのオープンソース・ソフトウェアを利用して構築された記録システム「人間と記憶のアーカイブ」、「マウル・アーカイブ」「セウォル号アーカイブ」の事例を紹介する。このような民間アーカイブズのための記録システムの普及活動は、記録保存の重要性に対する共感を広げ、記録文化を浸透させることに大きく貢献している。
著者
浅野 孝平 全 眞嬉 徳山 豪
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

近年,深層学習をはじめとする高い識別性能をもつ機械学習モデルが様々な分野に応用されている.それらのモデルの多くはブラックボックスであり,ユーザがモデルの挙動や予測の原因について知ることが困難になっており,モデルや予測結果に解釈性に関する研究が活発に行われている.予測の原因となる特徴を特定する手法としてLocal Interpretable Model-agnostic Explanations (LIME) がある.しかしながらLIMEでは,個々の特徴の重要性を測ることはできるが,重要な特徴の組み合わせを特定することはできない.そこで,本研究では予測に影響を与えた特徴の組み合わせに着目した,新たなモデル依存性のない説明手法を提案する.提案手法では,特徴の組み合わせの中から,対象となる予測結果を得るために必要な特徴の組み合わせを探索アルゴリズムによって発見する.計算機実験によって従来のLIMEよりも高い予測能力を持つことが示された.また,画像分類への応用を行い,提案手法の有用性を検証した.
著者
任 眞嬉 元 ナミ[訳] 金 甫榮[訳]
雑誌
GCAS report : 学習院大学大学院人文科学研究科アーカイブズ学専攻研究年報 (ISSN:21868778)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.6-22, 2015-02 (Released:2017-09-01)

韓国では、1999年「公共機関の記録物管理に関する法律」の制定と相まって電子政府が進められ、多くの公共記録が電子文書で作成されるようになった。この法律は2007年に「公共記録物の管理に関する法律」と改正され、電子記録管理システムを中心に更新された。公共部門の記録管理の発展とともに、民間分野におけるアーカイブズへの関心も高まり、さまざまな民間アーカイブズが構築されつつあるが、その過程で公共記録の管理方法やツールをそのまま適用することは難しいという学問的、実践的課題が提起された。特に記録システムの構築には多くの課題が存在している。本講演では、その解決策の一つとして「AtoM」や「Archivematica」「Omeka」などのオープンソース・ソフトウェアを利用して構築された記録システム「人間と記憶のアーカイブ」、「マウル・アーカイブ」「セウォル号アーカイブ」の事例を紹介する。このような民間アーカイブズのための記録システムの普及活動は、記録保存の重要性に対する共感を広げ、記録文化を浸透させることに大きく貢献している。