著者
吉井 美穂 八塚 美樹 安田 智美
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.1_125-1_129, 2009-04-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
7

近年,入院患者におけるペットボトル飲料の利用は増加しており,直接口を付けて飲むいわゆる口飲みが多く行われている。そのため,細菌が混入する確率は高く,免疫力が低下している患者にとっては問題であると考えられる。今回,入院患者のペットボトル保有状況と保存方法の実態を把握し,それに基づいた細菌学的調査を行うことを目的に研究を行なった。結果,飲用頻度は多いものから茶,スポーツ飲料,ミネラルウォーターの順であり,保存方法としては常温保存と冷所保存ともにほぼ同数であった。また,実際に被験者によって口飲みされた飲料水を用いて検証したところ,スポーツ飲料水からは室温,冷所ともにほとんど菌の増殖は認められなかった。茶飲料水では室温保存において時間の経過とともに細菌の増殖が認められ,24時間以降,細菌増殖が著しく測定不能となった。一方,冷所保存では24時間まで平均46CFU/mlと一定菌数を維持していたもののそれ以降抑制されていった。また,ミネラルウォーターにおいても室温保存において経時的な細菌増殖が認められ,冷所保存でも10時間までは細菌増殖が認められたが,それ以降菌数の減少を認めた。 今回の結果より,スポーツ飲料水からは,保存方法の違いに関係なく細菌増殖が抑制されていることが明らかとなった。しかし,茶およびミネラルウォーターの一度口をつけたペットボトル飲料水からは菌が検出され,保存方法によっては飲料水基準を満たさず,衛生学的に問題であることが示唆された。
著者
北山 育子 今井 美和子 安田 智子 澤田 千晴
出版者
東北女子短期大学 研究活動推進委員会(紀要・年報部会)
雑誌
東北女子短期大学紀要 (ISSN:09142711)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.1-8, 2019-02-08

【目的】青森県に残されている特徴ある家庭料理について聞き書き調査をし、主菜を中心としたおかずの特徴を明らかにすることを目的に報告する。【方法】平成25年~27年に、県内を6地域に区分し、津軽、下北、南部地域の計25地区で調査した。調査対象者は41名で60~80歳代であった。さらに、平成29年~30年に4ヶ所において取材、料理撮影を行なった。【結果】本県は新鮮な魚介類が入手し易い環境であるため、豊富な魚介類中心の主菜があげられた。特徴としては、魚の乾物を利用した料理や、豊富にとれる米を利用した飯ずしなどが見られた。また、冬が長く厳しいため、魚介類をたっぷり使用した汁物が各地域であげられた。地域別では津軽地域で魚介類の加工品を利用した料理のほか、甘い味付けの茶碗蒸しなどが見られた。下北地域では鮮度の良い魚介類を利用した刺身や焼き物、南部地域で馬肉料理も見られた。
著者
北山 育子 真野 由紀子 澤田 千晴 下山 春香 安田 智子 今村 麻里子 花田 玲子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.24, 2012

【目的】本県では大晦日に祝い膳を家族で囲み、年越し料理を食べて祝う風習があり、その行事食も特徴的なものが多い。また、お盆には法界折を墓前にお供えし、下げていただく習慣がある。近年、伝統的な行事食の伝承が少なくなっている傾向にあるが、本研究ではこの風習がどの程度残っているのか、更に青森県の年越しとお盆の行事食の特徴について明らかにすることを目的とした。【方法】調査は平成21,22年度の日本調理科学会特別研究として全国統一様式による調査票とともに配布した独自の調査用紙により、青森県在住の一般240名(50~60歳代57.1%)を対象に集合自記法及び留め置き法にて実施した。また、学生75名(19~20歳)には大晦日における料理、主な材料、写真撮影を課しレポートに記入させた。調査期間は平成21年12月から平成22年5月までとした。【結果】年取りの祝い膳については、認知度、喫食経験率がともに100%であった。喫食経験率の高いものから煮物、茶碗蒸し、数の子、なまこ、昆布巻き、なますであり、特徴的なものとして子和え72.1%、酢ダコ66.7%であった。また、市販品の利用も多く、カニ67.5%、握りずし63.3%、オードブル(各種料理の盛り合わせ)45.0%などが行事食として根付いている様子が伺えた。地域別にみると、津軽はけの汁66.9%やエビ・鯛の雲平59.3%、南部はいちご煮34.6%、南部・下北はくじら汁35.8%が食されていた。お盆の行事食については、喫食率の高いものから煮しめ、赤飯、ところてんであり、その他に季節のものである枝豆、とうもろこしが食べられていた。
著者
北山 育子 真野 由紀子 澤田 千晴 下山 春香 安田 智子 今村 麻里子 花田 玲子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成24年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.70, 2012 (Released:2012-09-24)

【目的】本県では大晦日に祝い膳を家族で囲み、年越し料理を食べて祝う風習があり、その行事食も特徴的なものが多い。また、お盆には法界折を墓前にお供えし、下げていただく習慣がある。近年、伝統的な行事食の伝承が少なくなっている傾向にあるが、本研究ではこの風習がどの程度残っているのか、更に青森県の年越しとお盆の行事食の特徴について明らかにすることを目的とした。【方法】調査は平成21,22年度の日本調理科学会特別研究として全国統一様式による調査票とともに配布した独自の調査用紙により、青森県在住の一般240名(50~60歳代57.1%)を対象に集合自記法及び留め置き法にて実施した。また、学生75名(19~20歳)には大晦日における料理、主な材料、写真撮影を課しレポートに記入させた。調査期間は平成21年12月から平成22年5月までとした。【結果】年取りの祝い膳については、認知度、喫食経験率がともに100%であった。喫食経験率の高いものから煮物、茶碗蒸し、数の子、なまこ、昆布巻き、なますであり、特徴的なものとして子和え72.1%、酢ダコ66.7%であった。また、市販品の利用も多く、カニ67.5%、握りずし63.3%、オードブル(各種料理の盛り合わせ)45.0%などが行事食として根付いている様子が伺えた。地域別にみると、津軽はけの汁66.9%やエビ・鯛の雲平59.3%、南部はいちご煮34.6%、南部・下北はくじら汁35.8%が食されていた。お盆の行事食については、喫食率の高いものから煮しめ、赤飯、ところてんであり、その他に季節のものである枝豆、とうもろこしが食べられていた。
著者
北山 育子 真野 由紀子 中野 つえ子 安田 智子 今井 美和子 澤田 千晴 鎌倉 ミチ子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.19, pp.155, 2007

<BR><B>【目的】</B><BR> 本学会東北・北海道支部課題研究として、青森県における米の利用状況を明らかにするために、摂取状況や調理法、米に対する意識調査等をした。また、津軽、南部地域の米の伝統料理を調べ、地域性を検討した。<BR><B>【方法】</B><BR> 津軽地域(弘前市中心)287名、南部地域(八戸市中心)112名の調理担当者を対象に自記式でアンケート調査を行った。質問紙には選択肢法と自由記述形式を取り入れ、調査期間は平成18年12月から平成19年1月までとした。<BR><B>【結果】</B><BR> 米料理の嗜好は高いものから、白飯、炊き込みご飯、にぎり鮨、炒飯の順であった。摂取頻度は白飯、おにぎり、炒飯が多く、リゾット、押し寿司は少なかった。調理状況では、家で作ることが多い料理はおにぎり、炊き込みご飯であり、行事への利用は正月、慶祝時に餅、赤飯、ちらし寿司、仏事では団子、おはぎが多かった。米料理の特徴として、おにぎりの具材に筋子を使用している人が60%と多いことや、残った白飯の利用でご飯もちが作られていた。また、いなり寿司や赤飯の味つけには砂糖を多く使用し、特に赤飯では砂糖を加えるが91%であった。米の入手先は自家栽培やもらうが目立ち、青森県が米作の主要産地であることが伺えた。また、銘柄では県産米を食べている人が85%と多く、郷土に対する愛着が感じられた。米についての意識調査では米は日本人の主食として大切であるとの考えがほとんどであったが、今後はさらに米に対する関心が低くなり、消費量が減ると考えている人も多かった。また、地域独特の料理を見ると、米作中心の食文化の津軽地域ではごまご飯、干し餅、しとぎ餅等もち米の使用が多く、畑作中心の南部地域では豆しとぎやイカめし等であった。
著者
細田 恵莉奈 道券 夕紀子 梅村 俊彰 安田 智美
出版者
富山大学看護学会編集委員会
雑誌
富山大学看護学会誌 = The journal of the nursing society of university of Toyama (ISSN:1882191X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.135-149, 2017-03

長時間同一体位におけるポジショニングの安楽性の検証を行うことを目的として,20 歳代の学生10 名を対象に,ポジショニング無しと有りそれぞれの状態で2 時間測定し,比較検討した.調査内容は,基本属性(性別,年齢,身長,体重,BMI),寝床内環境(寝床内温度,寝床内湿度),自覚症状(痛み,こわばり感・筋緊張,動かしたさ,不快感),実験終了後の感想とした.その結果、寝床内環境では,ポジショニングの有無にかかわらず,寝床内温度と寝床内湿度は時間の経過と共に上昇していた.自覚症状では,ポジショニング無しでは痛み,こわばり感・筋緊張,動かしたさの症状が多くみられ,不快感ではポジショニングの有無にかかわらず,背部,腰部,臀部,下肢に訴えが聞かれたが,ポジショニング有りの方が多かった.実験終了後の感想では,「ポジショニング有りでは痛みやこわばり感・筋緊張が少なく感じた」「ポジショニング有りでは背や足が蒸れて不快だった」といった声が聞かれた. 以上のことから,ポジショニングを行うことで同一体位による苦痛の軽減をもたらすと考えられる.一方,同一体位は体動による寝床内の温度・湿度の調整が出来ず,クッションやマットレスと身体が密着しやすいところでは蒸れが生じて不快に繋がると考えられる.
著者
北山 育子 熊谷 貴子 真野 由紀子 中野 つえ子 澤田 千晴 下山 春香 安田 智子 今村 麻里子 花田 玲子 竹村 望
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.23, pp.86, 2011

【目的】近年、行事食を家庭で作る機会が減り、伝統的な行事食の伝承が少なくなっている傾向にある。そこで、平成21,22年度の日本調理科学会特別研究として行事食の認知状況および摂取状況等の実態調査をすることにより、青森県の行事食の現状を把握するとともに、世代間による違いを明らかにすることを目的に研究した。【方法】調査は全国統一様式による調査票により、青森県在住の学生324名とその家族及び一般306名(50~60歳代56.1%)の計630名を対象に選択肢法と自記式でアンケート調査を実施した。調査期間は平成21年12月から平成22年5月までとした。【結果】学生の行事の認知については、重陽の節句(25.2%)、盂蘭盆(48.6%)、春祭り(44.2%)、秋祭り(22.9%)は低かったが、他はほとんどが90%以上であった。また。経験については正月・クリスマス(99.4%)、大みそか(98.7%)、節分(94.6%)が高く、重陽の節句(2.6%)、秋祭り(19.5%)は極端に低かった。喫食経験についてはクリスマスのケーキ、大みそかの年越しそば、土用のうなぎの蒲焼き、冬至のかぼちゃの煮物が非常に高く、行事に食される特徴ある料理が根付いている結果となった。一般と比べてみると、行事の認知・経験ともにほとんどが低い傾向にあるが、仏事の行事(盂蘭盆30.9%、秋分の日65.2%、春分の日66.9%)の経験が特に低かった。喫食経験においては一般に比べて正月の屠蘇、上巳の白酒、七夕の煮しめなどが低かった。一般の回答も同傾向であるが、その割合はほとんどの行事において高かった。
著者
小池 潤 田澤 賢次 並川 宏英 伊藤 佳代子 八塚 美樹 安田 智美 小林 祐子 梶原 睦子 大上 英夫 斎藤 智裕
出版者
富山医科薬科大学看護学会
雑誌
富山医科薬科大学看護学会誌 (ISSN:13441434)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.153-160, 2000-04

十全大補湯, 四物湯, 補中益気湯, 小柴胡湯の経口投与は実験的ラット肝転移を抑制し, 十全大補湯と四物湯はマクロファージを, 補中益気湯はNK細胞を活性化するが, これら漢方方剤における活性酸素消去能の特徴を検討した.上記を含めて9種類の漢方方剤を検討したところ, ・O_2^-と・OH(Fenton反応・UV照射)の消去能の総和では小柴胡湯が最も強く, 温清飲, 補中益気湯十全大補湯四物湯人参養栄湯の順であった.更にこれら9種類の構成生薬23種類別における活性酸素消去能の検討の結果, 漢方方剤の特徴として十全大補湯, 四物湯温清飲は・O_2^-を, 補中益気湯と小柴胡湯は・OHを抑える傾向がみられ, ・O_2消去能の高い漢方方剤はマクロファージ活性に, ・OH消去能の高い漢方方剤はNK細胞活性に関与するという可能性が示唆された.
著者
吉井 美穂 八塚 美樹 安田 智美
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.1_125-1_129, 2009

近年,入院患者におけるペットボトル飲料の利用は増加しており,直接口を付けて飲むいわゆる口飲みが多く行われている。そのため,細菌が混入する確率は高く,免疫力が低下している患者にとっては問題であると考えられる。今回,入院患者のペットボトル保有状況と保存方法の実態を把握し,それに基づいた細菌学的調査を行うことを目的に研究を行なった。結果,飲用頻度は多いものから茶,スポーツ飲料,ミネラルウォーターの順であり,保存方法としては常温保存と冷所保存ともにほぼ同数であった。また,実際に被験者によって口飲みされた飲料水を用いて検証したところ,スポーツ飲料水からは室温,冷所ともにほとんど菌の増殖は認められなかった。茶飲料水では室温保存において時間の経過とともに細菌の増殖が認められ,24時間以降,細菌増殖が著しく測定不能となった。一方,冷所保存では24時間まで平均46CFU/mlと一定菌数を維持していたもののそれ以降抑制されていった。また,ミネラルウォーターにおいても室温保存において経時的な細菌増殖が認められ,冷所保存でも10時間までは細菌増殖が認められたが,それ以降菌数の減少を認めた。<br> 今回の結果より,スポーツ飲料水からは,保存方法の違いに関係なく細菌増殖が抑制されていることが明らかとなった。しかし,茶およびミネラルウォーターの一度口をつけたペットボトル飲料水からは菌が検出され,保存方法によっては飲料水基準を満たさず,衛生学的に問題であることが示唆された。
著者
北山 育子 真野 由紀子 中野 つえ子 安田 智子 今井 美和子 澤田 千晴 下山 春香 鎌倉 ミチ子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.20, pp.162, 2008

<BR> 【目的】<BR> 前報では地域性のある米の伝統料理が以前ほど家庭や地域に伝わっていないことを報告した。その伝統料理の伝承をたやさないために、今回は津軽地域と南部地域に伝わる米料理の調理方法や伝承の仕方などを調査した。<BR> 【方法】<BR> 平成18年12月~平成19年1月に青森県在住の調理担当者399人(40~50才代が79.7%)を対象に選択肢法と自記式でアンケート調査を行った。その中から家庭や地域に伝わる米料理についてまとめた。<BR> 【結果】<BR> 津軽地域は津軽平野を有した米作地帯であり、豊富にとれるうるち米のほかに、もち米や米粉を使用した米料理が作られていた。一例としてはうるち米ともち米を使い、たっぷりの砂糖を入れた太巻き寿司、米粉と砂糖を練ってかまぼこ形にしたお菓子のうんぺいなどがあった。干し餅は寒さの厳しい冬に寒気を利用して切り餅を乾かして作られるこの地方独特のものである。また、沿岸地方ではコンブの若芽で包んだ若生(わかおい)おにぎりなどがあった。南部地域はヤマセのために稲作に厳しい土地柄で、昭和の中頃までは雑穀や粉食が多かった。そのため、米の不足を補うためにかぼちゃを加えて食されていたかぼちゃ粥が今も作られていた。また、ウニやアワビを使った炊き込みご飯や茹でた長芋とごはんを混ぜた味噌餅などがあった。カワラケツメイ(マメ科の一年草)を乾燥して作るお茶を使った茶粥は上北郡野辺地町独特の料理である。米料理の多くは母親、祖母、義母(姑)から教わっており、家庭における世代間で伝承されていた。その他に地元や近所の人など、地域の交流が伝統料理の伝承の場として大切になってきている。
著者
八塚 美樹 和田 重人 原 元子 松井 文 駒井 希望 安田 智美 吉井 美穂 田澤 賢次
出版者
Japanese Society for Thermal Medicine
雑誌
日本ハイパーサーミア学会誌 (ISSN:09112529)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.231-236, 2005-12-01 (Released:2010-01-29)
参考文献数
9
被引用文献数
4 6

遠赤外線温熱療法は, 免疫賦活作用を有する癌治療法として, 今改めて注目されている.その特徴は相補・代替医療の特徴を備え, 西洋医学単独では解決しえない病態や未病への治療となる新たなる領域である.そこで, 今回, 肩こり, 不眠, 冷え等の体調の不良を訴える人を対象に, 遠赤外線温熱刺激による効果を, 気分プロフィール尺度 (POMS) を用いて心理的側面の変化から検討した.結果として, 温熱刺激により「抑うつ-落ち込み」, 「怒り-敵意」, 「混乱」においてPOMS評点の有意な低下, 「緊張-不安」, 「疲労」の低下傾向が認められ, 温熱刺激が心理的側面に影響を与えることが示唆された.
著者
佐々木 祐子 安田 智美 八塚 美樹 田澤 賢次
出版者
新潟青陵大学・新潟青陵大学短期大学部
雑誌
新潟青陵大学紀要 (ISSN:13461737)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.133-139, 2003-03-10
被引用文献数
1

本研究では,スイートオレンジ精油の吸入が人に及ぼす影響を,自律神経と心理面の両側面から検討した.被験者は健康な若年成人女性15名とし,影響評価の指標として,自律神経系に関してはストレスアナライザーを,心理面に関しては日本語版感情プロフィール検査(POMS)と官能評価(評定法)を用いた.その結果,ストレスアナライザーではストレス負荷前後でコントロール群,アロマ群共に導電率,静電容量で有意な減少を確認することが出来た.また,コントロール群とアロマ群の間については有意な差は確認できなかったが,静電容量においてアロマ群は減少傾向にあった.次にPOMSに関しては,ストレス負荷前後においてコントロール群は「活気」と「抑うつ」に有意な差がみられた.これに対してアロマ群では「抑うつ」のみ有意な変化がみられ,「活気」に関しては有意な差がみられなかった.最後に官能評価においては,スイートオレンジを「好き群」と「どちらでもない群」では「気分が休まる」,「快い」の項目で差がみられ,嗜好の差によって違いがみられた.
著者
安田 智美 吉井 忍 道券 夕紀子
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

在宅では血液検査や身体計測などによる栄養評価は困難である。そこで、非侵襲的かつ簡便で、介入点がわかりやすいスクリーニング表を作成した。75歳以上の444名の在宅療養者及び施設入所者を対象に、食事環境、食生活、口内環境・嚥下、体調・身体状況に関する34項目の質問と、上腕筋面積の測定を実施した。JARD2001による上腕筋面積の年齢別中央値を100とした対象者の上腕筋面積の割合を算出し、質問34項目との関連を検討した。さらに、判別分析にて項目数と配点を検討し、男女別で34項目の質問からなり、要介入、要注意、良好の3段階に分類できる在宅栄養スクリーニング表(Home Nutritional Screening Test ; HN-test)が完成した。このスクリーニング表の感度は男性93. 3%、女性90. 6%であり、高い確率で低栄養状態の判別が可能となった。
著者
安田 智
出版者
国立医薬品食品衛生研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

Ras/B-Raf/C-Raf/MEK/ERK経路(ERK経路)は、細胞増殖を含む細胞機能の制御に重要な役割を果たしている。HeLa細胞にsiRNAをトランスフェクトし、ジアシルグリセロールキナーゼη(DGKη)の発現を抑制すると、上皮増殖因子(EGF)刺激によって誘導されるERK経路の活性化の阻害が認められた。またDGKηの発現は触媒活性非依存的にERK経路を活性化したことより、DGKηはアダプタータンパク質として機能していることが考えられた。B-RafとC-Rafのキナーゼ活性を測定したところ、DGKηの発現抑制によりC-Raf活性のみが減少することが明らかになった。さらにDGKηの発現抑制によって、EGF刺激によって誘導されるB-RafとC-Rafのヘテロ二量体形成も顕著に抑制された。またDGKηはB-RafおよびC-Rafと相互作用し、EGF刺激によって誘導されるB-Raf およびC-Raf の細胞膜への移行も制御した。以上の結果は、DGKηはERK経路を制御する新規の因子であることを示唆している。