著者
中村 慎吾 田中 聡 Ignacia Braga-Tanaka III 小野 瑞恵 神谷 優太 小木曽 洋一
出版者
Journal of Radiation Research 編集委員会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.55, 2011

低線量率(20 mGy/ 22 h/ day)のγ線を連続照射したB6C3F1雌マウスでは、非照射対照マウスと比較して、有意に体重が増加することが分かった。この照射マウスに認められる体重増加の機構を明らかにするために、20 mGy/ 22 h/ dayのγ線を9週齢から44週齢まで連続照射したB6C3F1雌マウスの脂肪組織重量、肝臓及び血清中の脂質含有量、糖代謝及び脂質代謝に関連した因子(インスリンやアディポサイトカイン等)と卵巣の機能変化を調べた。組織の脂肪化を伴う有意な体重の増加は、20 mGy/ 22 h/ dayのγ線を連続照射したB6C3F1雌マウスにおいて28週齢から44週齢に至まで認められた(集積線量2.7-4.9 Gy)。卵巣及び膣垢標本の病理学的解析から、連続照射マウスでは、卵母細胞の枯渇による早期の閉経と同時に体重増加が起こることが分かった。以上の結果から20 mGy/ 22 h/ dayのγ線を連続照射したB6C3F1雌マウスでは、早期の閉経が引き金となって、体重増加が起こることが示唆される。本研究は、青森県からの受託事業により得られた成果の一部である。
著者
小野束 江川雄毅
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.880-890, 2004-03-15
参考文献数
7
被引用文献数
3

デジタルコンテンツの著作権保護手段として電子透かしが用いられている.しかし,最近は不正コピーの形態も変化しつつある.デジタルデータを不正にコピーする問題以外に書店などでカメラ付き携帯電話により書籍のコンテンツを無断撮影することが社会問題となっている.本論文ではこのような印刷物からの画像撮影に対して抑止力として電子透かしが利用できるか否かを主眼に,印刷耐性のある電子透かしの提案と問題点について検討した.A digital watermark is used as a copyright protection of digital contents. However, illegal copy tools are changing and developing recently. These becomes such a social problem as taking a picture of the book without permission by using the cellular phone with the camera in the bookstore. In this study, a digital watermarking scheme which is robust against such pictures is proposed. Moreover, the watermark is examined for the robustness when the scheme is applied to the image of printed media.
著者
辻本 広紀 平木 修一 木下 学 愛甲 聡 小野 聡 山本 順司 長谷 和生
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.711-715, 2009-07-30 (Released:2009-09-08)
参考文献数
19

sepsisに派生する免疫抑制状態は,時に重篤な多臓器障害を併発するため,それらの病態形成メカニズムの解明やそれに基づいた対策が重要である。そこでsepsisに続発する免疫抑制状態に関して,制御性T細胞(以下,Treg)の役割に着目して,最近の文献および著者らの検討結果を概説した。TregはCD4+CD25+Foxp3+などの特徴を有し,ほかのT細胞の増殖・活性化を強力に抑制すると考えられている。sepsis患者や腹膜炎マウスの末梢血では,Tregの割合が著明に増加しており,この増加がsepsisにおける免疫抑制状態に深く関与しているものと考えられる。抗IL-10抗体や抗TGF-β抗体投与は,腹膜炎マウスで認められるTregの増加を阻害することができ,さらに抗TGF-β抗体投与により予後が改善した。sepsisに派生する重篤な免疫抑制状態に対して免疫学的特徴,特にTregに着目したimmunomodulation therapyは,今後sepsisの救命率向上に向けた新たな治療法となりうるものと考えられる。
著者
小野 俊樹
出版者
日本社会事業大学
雑誌
日本社会事業大学研究紀要 = Study report of Japan College of Social Work : issues in social work (ISSN:0916765X)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.5-16, 2020-03

介護保険制度では、介護保険施設と短期入所を利用する低所得者に対し、食費・居住費の負担を軽減する特定入所者介護サービス費、いわゆる補足給付が支給されている。この補足給付については、社会保険である介護保険制度の給付ではなく、低所得者対策として社会福祉制度で実施すべきであるという指摘がある。また、在宅生活者との公平性の観点から、補足給付に資産要件などを設けることについて様々な意見がある。補足給付を全額公費負担による社会福祉制度に移行させれば、社会保険と社会福祉の役割分担を明確にして、きめ細かな低所得者対策を実施できるかも知れないが、現在の国と地方の財政状況に鑑みれば、全額公費負担化は容易ではない。補足給付を介護保険制度の給付として存続させる場合、相対的に高額なユニット型施設を普及させつつ、低所得者が介護保険施設を利用しにくくならないように配慮することが必要である。
著者
小野塚 知二
出版者
社会政策学会
雑誌
社会政策 (ISSN:18831850)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.28-40, 2011-06-01 (Released:2018-02-01)

政策の背後にいかなる思想が作用し,また,政策にいかなる価値観が表現されているのかはときに不明瞭にされるが,思想の作用がなければ問題は発見できないし,解決の方向性も政策目標も決定できない。この2世紀の間の社会政策は,概括するなら古典的自由主義の社会設計から介入的自由主義のそれへの転換と描くことができるが,この転換を必然化したのは「強くたくましい」人間観から「弱く劣った」人間観への変化であった。この介入的自由主義のお節介な性格への忌避感が20世紀末以降のネオ・リベラリズムの伸張を支えたが,それ自体は目的合理性を喪失しており,社会を設計できる思想ではない。では,古典的自由主義の社会設計が不可能であり,介入的自由主義が拒否されたのだとすると,社会政策にはいかなる方向性がありうるのだろうか。本稿は人間観の逆転の可能性と,介入的自由主義の介入的な性格を修正する可能性がどこにあるかについて素描を試みる。
著者
小野寺 翔 山本 智清 内坂 直樹 寺川 偉温
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.109, no.3, pp.590-597, 2020

<p>長野県在住の40歳代女性が,1カ月間の増悪寛解を繰り返す発熱で受診した.血液培養からブルセラ属菌が検出されたが,このブルセラ属菌は既知のブルセラ属菌のいずれでもなく,2017年に同じく長野県内で発症した患者より分離されたブルセラ属菌と近縁であった.また,同様に発熱等を呈した家族も抗体検査で陽性を示し,ブルセラ属菌に感染していたことが判明した.長野県内に当該新規ブルセラ属菌の宿主動物の生息が推測される.</p>
著者
小野 元治 大久保 裕行 岡崎 真一郎
出版者
大分県農林水産研究センター
雑誌
大分県農林水産研究センター研究報告 農業編 (ISSN:18819206)
巻号頁・発行日
no.2, pp.11-39, 2008-03

イチゴの主要害虫に対し、天敵や微生物農薬および天敵に影響の少ない化学農薬を中心に防除効果を検討するとともに、既存の防除技術を組み入れた防除体系について検討した。1.灰色かび病に対して、サンクリスタル乳剤およびジーファイン水和剤の散布、ボトキラー水和剤のダクト散布が有効であり、うどんこ病に対しては、硫黄くん煙およびボトキラー水和剤のダクト散布に防除効果が認められた。2.主要病害に対して、天敵や微生物農薬を組み入れた防除体系による現地実証試験を行った結果、ボトキラー水和剤のダクト散布により、うどんこ病に対する効果は少発生により判然としなかったが、灰色かび病に対しては散布剤と併用することで十分な防除効果が認められた。3.ハダニ類に対して、チリカブリダニとミヤコカブリダニの4回放飼、ハスモンヨトウに対しては、フェニックス顆粒水和剤、プレオフロアブルおよびトルネードフロアケルの散布が有効であった。4.主要害虫に対して、天敵や微生物農薬を組み入れた防除体系による現地実証試験を行った結果、チリカブリダニとミヤコカブリダニの4回放飼は、ハダニ類の密度が上昇しないように薬剤散布と併用しながら放飼することで十分な防除効果が得られた。ハスモンヨトウ、アブラムシ類に対しても、適期防除を行うことや、防虫ネットの設置により防除可能なことが実証された。5.総合防除体系の確立により、本圃における慣行防除回数30回に比べ9回以上削減が可能となった。
著者
堤 泰行 草野 善照 小野 訓 藤井 寛一 檜垣 勝
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌A(基礎・材料・共通部門誌) (ISSN:03854205)
巻号頁・発行日
vol.111, no.11, pp.979-987, 1991-11-20 (Released:2008-07-15)
参考文献数
9
被引用文献数
4 4

Effect of discharge inception voltage on electromagnetic noise spectra in VHF and UHF region from spark discharge at hemisphere-plane electrodes in atmosphere is studied. The discharge inception voltages are changed by several means, such as increasing gap length from 2mm to 6mm, or UV-ray irradiation, or increasing stress concentration at the electrode tip, or spreading dust such as cotton cloths, acylic resin particles, copper particles, or alminum particles on the plane electrode.When the discharge inception voltage is increased, macroscopic slope of noise spectra from 100MHz to 1 GHz decreases generally, that is, high frequency components of noise increase with thevoltages.These phenomena can be explaned by theoretical analysis based onToepler's Law of spakdischarge and Hertz's dipole EM radiation law. As the exceptional cases, low dicharge inception voltages by metal particles or by positive stress concentration at the electrode tip do not contribute much to suppression of high frequency components of the noise.
著者
小野 真由子
出版者
関西大学臨床心理専門職大学院 心理臨床センター
雑誌
関西大学心理臨床センター紀要
巻号頁・発行日
no.11, pp.67-76, 2020-03-15

本研究では、事例提供者の観点からPCAGIP法の効果を探索していくにあたり、事例提供者の体験をとりまとめ、PCAGIP法における体験の特徴を検討することを目的とした。PCAGIP法にて検討された2つの事例において、事例提供者の発言をKJ法にて分析した結果、事例提供者の体験は3つに分けられた。1つ目は、「見立てや登場人物の状況や関係性に関する情報を説明している体験」、2つ目は、「IP (Identified Patient) や支援対象者に対して事例提供者の想いを含んだ理解を伝えている体験」、3つ目は、「質問を通じて今ここで気がついて支援の方向性について話している体験」であった。考察では、PCAGIP法において、事例提供者の想いが自発的に言語化され、参加者に共有されていくという体験が特徴的であると推察された。また、事例提供者は想いを自発的に言語化していく体験を通して、自分なりの実感を伴ったヒントを見出すことが出来る点が、従来の事例検討法やインシデント・プロセス法と異なるPCAGIP法における特徴的な体験であると仮定された。特集 : パーソン・センタード・セラピーの展開
著者
小野 理恵 橘 一也 松浪 薫 木内 恵子 宮川 慈子 香河 清和 渡辺 高士 奥山 宏臣
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.213-218, 2008-04-01 (Released:2008-11-01)
参考文献数
7

気管無形成は予後不良の先天性疾患で,長期生存例の報告はほとんどない。今回,退院に至った気管無形成患児の集中治療管理について報告する。患児は出生直後よりチアノーゼを呈し,食道挿管によって換気可能となった。気管無形成と診断し,出生当日に食道皮膚瘻造設術,食道絞扼術,胃瘻造設術を行った。術後,気道として利用している食道と気管食道瘻が容易に閉塞し,換気不全を繰り返した。鎮静や高いPEEPにより気道の開存維持を図ったが著効せず,呼吸管理に難渋した。生後52日目,人工心肺下に食道気管吻合と食道外ステント術を施行し,術後呼吸状態が安定した。2回目の術後34日目に人工呼吸からの離脱が可能となり,生後10ヶ月で退院となった。気管無形成では,出生直後の適切な蘇生処置とそれに続く姑息的手術により生存可能であるが,呼吸管理が困難であり,気道の開存を維持するために更なる外科的治療を考慮する必要がある。
著者
小野 武夫
出版者
東京帝国大学
巻号頁・発行日
1925

博士論文