著者
小西 智也 小野寺 康 田中 宏昌 杉村 丈一
出版者
一般社団法人 日本トライボロジー学会
雑誌
トライボロジスト (ISSN:09151168)
巻号頁・発行日
pp.21-00010, (Released:2021-09-17)
参考文献数
20

Smoothing surface roughness by the use of additives is one of the promising approaches to reduce friction loss and wear under boundary lubrication. Effect of phosphorus anti-wear agents on controlling surface roughness is focused in this study. Zinc dithiophosphate (ZnDTP), generally used as an anti-wear agent for engine oil, formed rough surface by forming inhomogeneous phosphorus and sulfur films. In contrast, a particular neutral phosphorus agent that reduced surface roughness and prevented wear was found, which forms homogeneous phosphoric acid film. An acidic phosphorus agent also reduced surface roughness and reduced friction and promote low shear stress molybdenum disulfide film formation with Molybdenum dithiocarbamate (MoDTC), but it was accompanied with a large amount of wear. Use of the neutral and the acid phosphorus agents together realized low friction, reduced wear, and very smooth surface by forming reaction films composed of sulfur and phosphorus type films. The study indicates that forming a homogeneous phosphoric film of low shear strength by the use of specific phosphorous agents is one of a promising approach to establish and sustainable boundary film of low friction and low wear.
著者
小野 庄士
出版者
日本蘚苔類学会
雑誌
日本蘚苔類学会会報 (ISSN:02850869)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.16-17, 1977-08-10
著者
小野 幸一 孫 珠煕 宮武 恵子
出版者
ファッションビジネス学会
雑誌
ファッションビジネス学会論文誌 (ISSN:13489909)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.57-66, 2010-03

ファッションを学んでいる女子学生を対象に意識・行動に関してアンケート調査を行い分析した結果、名古屋、京阪神、九州の3地域には地域性があることが明らかとなった。1)一か月のこづかいは、名古屋、京阪神では約4万円であるが、九州では約2万5千円である。被服費として名古屋、大阪で約半額の2万円、九州では約1万円支出している。2)定期購読ファッション雑誌では、名古屋はギャル系ファッション志向が強い。京阪神、九州は元祖赤文字系、ストリート、モード系の各志向の雑誌が読まれている。九州での1位はヤングベーシック系non-noである。名古屋、九州での憧れの女性有名人第1位はギャル系の象徴である浜崎あゆみであるが、九州ではTOPlOには入っていない。3)好きなへアースタイルでは名古屋がボリュームのあるゴージャスなスタイルの割合が高い
著者
小野塚 大介 萩原 明人
出版者
国立研究開発法人国立循環器病研究センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究は、日本全国47都道府県のインフルエンザ患者1,851万人、感染性胃腸炎患者1,598万人、救急搬送患者3,552万人、病院外心肺停止患者約118万人を対象とし、気候変動による脆弱性が、地域や個人の効果修飾因子によってどのように異なるかについて、環境疫学的手法と社会疫学的手法を融合して解明することを目的とする。本研究により、効果修飾因子による気候変動への脆弱性の違いを全国規模で定量的に推定することが可能となり、地域や個人の特性に応じた気候変動-疾患発症予測モデルの構築、早期警報システムへの応用、疾病予防管理プログラムの改善、医療機関における医療従事者の確保や設備整備等、日本における気候変動適応策を進める上で重要な意義があると考えられる。研究2年目である令和元年度については、(1)文献レビューによる先行知見の整理、(2)データの取得、データクリーニング、データセットの突合、データベースの構築、(3)統計解析及び論文化、を行った。文献レビューによる先行知見の整理については、気候変動による健康影響(感染症、救急搬送、病院外心肺停止)について、国際誌を中心とした文献レビューを行い、先行知見について整理した。また、気候変動の指標として、地域の気象変化(気温、相対湿度、降水量等)のデータを、アウトカムの指標として、感染症発生動向調査に基づく患者情報、全国救急業務実施状況調査に基づく救急搬送データ、ウツタイン調査に基づく病院外心肺停止データをそれぞれ入手し、データベースを構築した。さらに、文献レビューの結果をもとに、研究デザイン、研究対象、データ収集、解析方法について検討し、統計解析及び論文化を進めているところである。
著者
久保 秀文 中須賀 千代 多田 耕輔 宮原 誠 長谷川 博康 小野寺 学
出版者
山口大学医学会
雑誌
山口医学 (ISSN:05131731)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.161-164, 2013-08-01
参考文献数
9

われわれは急性の閉塞に対してステント留置を行い一期的な切除手術が可能であったS状結腸癌の1例を経験したので報告する.症例は71歳,男性.北海道を旅行中に突然の腹痛を来して地域の病院へ入院となった.検査でS状結腸に腫瘤を診断されたが,患者が地元(山口県)での手術を希望したため閉塞に対して金属ステントが留置された.ただちに腹痛は消失し多量の排便を認め,その後当院へ紹介入院となった.S状結腸切除術が施行されたが術後経過は良好であり術後第10病日目に軽快退院した.患者は現在も再発徴候なく健在である.急性の大腸閉塞に対して術前の金属ステント留置は侵襲が少なく複数回の手術を回避することができ有用な方法と考えられる.
著者
小野 晃典 菊盛 真衣
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.22-37, 2018 (Released:2020-01-24)
参考文献数
26

イノベーション普及論の分野における有名な古典理論において,早期に採用した消費者はいまだ採用していない消費者に対して正の口コミを発信するというテーゼがあるが,これに対して,近年,消費者はしばしば高い独自性欲求を有しており,そのような場合には,正の口コミ発信は控えられ,その結果,普及は生じない,という主張が展開されるようになった。しかしながら,この主張は,独自性欲求を一次元的にとらえた上で展開されている点に問題を抱えている。本論は,独自性欲求を三次元に分類した上で,正の口コミを抑制する効果を有するのは特定の種類の独自性欲求のみであり,独自性欲求の高い消費者が必ずしも正の口コミ発信を控えるとは限らないと主張する。
著者
小野寺 一 高橋 直之 福本 一朗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.95, no.286, pp.41-46, 1995-09-30
参考文献数
8
被引用文献数
6

本研究の目的は、バイオフィードバックの手法を用い仮性近視の自己治療を行うことである。バイオフィードバック情報を水晶体厚みの変化とし、この計測をするためにPurkinje-Sanson像を検討した。この計測法は、簡単な光学系を用いて非侵襲かつ実時間で水晶体厚み計測が可能である。初めに水晶体の代わりに両凸レンズを用いてPurkinje-Sanson像の有用性を確認し、これを基に豚の眼球を用いて基礎実験を行った。その結果、計測データと実測データの間で良い関係が得られた。
著者
小野 博通
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.105, no.8, pp.522-529, 2010-08-15

一昨年発覚した事故米の不正流通問題や酒米の差し替え事件などにより,清酒,焼酎に対して消費者に少なからぬ不安や不信感を与えた。このような事件の再発を防止するため,昨年公布された米トレーサビリティ法がいよいよ施行される。米の取引等に係る記録の作成保存関係が本年10月1日から,また来年7月1日からは消費者に対する米に関する産地情報の伝達が施行されることとなる。<BR>その施行に先立ち,具体的な事例なども含めて,トレーサビリティ法の詳細について解説をお願いした。
著者
小野 譲司
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.20-34, 2010-06-30 (Released:2021-03-18)
参考文献数
22
被引用文献数
5 4
著者
岡谷 恵子 小野田 舞 柏木 聖代 角田 直枝 川添 高志 小西 美和子 斎藤 大輔 澤柳 ユカリ 重富 杏子 任 和子 橋本 幸
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.559-563, 2021-07-10

救急外来を受診する高齢患者の約半数は入院に至らずに帰宅する患者である。これらの患者が再受診や予定外の入院をすることなく,住み慣れた場所で生活の質を維持しながら療養を継続するためには,初回受診時に帰宅後の生活を見据えた医療機関と地域・在宅での療養をつなぐ統合的な療養生活支援が必要である。 日本看護管理学会では,2022(令和4)年度の診療報酬改定に向けて,「救急外来における非入院帰宅患者に対する看護師による療養支援」への評価を要望する。これは上述の療養生活支援の役割を外来看護師が担うことへの診療報酬上の評価を求めるものである。救急医療の限られた資源を適切に活用することにもつながり,病院経営上,組織運営上の効果も大きいと思われる。 本稿では要望作成に当たった検討委員会の立場から,要望の目的と意義を述べる。
著者
小野 美咲 今井 克己 安武 健一郎 渡邉 啓子 岩本 昌子 大和 孝子 竹嶋 美夏子 森口 里利子 上野 宏美 中野 修治
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.641-648, 2021 (Released:2021-11-01)
参考文献数
8

大学付属医療施設を利用した参加型臨床実習が受講者の意識に及ぼす影響について、独自に設定した科目の到達目標に対する教育効果評価指標を用い評価した。実習内容は大学付属医療施設に通院している患者の栄養支援の見学と、グループワークによる担当症例の検討、および栄養支援計画の立案とした。効果の検討はアンケートにより行った。アンケートは本科目受講により認識の変化が期待される管理栄養士の能力としてのコミュニケーションおよび専門的知識に関する10項目とし、項目に対する受講者の重要性の認識の変化と、自己評価の変化を把握した。受講前後および栄養支援見学後に実施したアンケートの継時変化をFriedman検定にて解析した。重要性の認識では、身だしなみ、態度、対話力、想像力、記録力、聴き取り力、意思疎通力、調理および食材の知識の8項目が受講により上昇傾向を示した(全てp <0.05)。栄養学の専門的知識の重要度は変化しなかった(p=0.064)。自己評価では10項目全て上昇傾向に変化した(p <0.001)。大学付属医療施設を利用した参加型臨床実習は、コミュニケーションおよび専門的知識に対する重要性の認識の強化および自信の向上に貢献する可能性がある。
著者
小野 直哉 田上 麻衣子 高澤 直美 東郷 俊宏
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.17-32, 2013 (Released:2013-06-17)
参考文献数
4

現在、 鍼灸をはじめ、 伝統医学を取り巻く国際環境は、 従来の我々の認識を超え、 急激に変化している。 近年、 極東アジアのいくつかの国々では自国の伝統医学の古典医学書や伝統医学の一部分を、 国連教育科学文化機関 (UNESCO) の世界記録遺産や無形文化遺産へ登録した。 また、 世界保健機関 (WHO) では疾病及び関連保健問題の国際統計分類 (ICD) のICD-10からICD-11への改訂に伴い、 伝統医学をICD-11に盛り込む作業が行われている。 更に、 国際標準化機構 (ISO) では極東アジアの伝統医学の国際標準化の作業が進められている。 WHOと公的関係を持つ世界鍼灸学会連合会 (WFAS) でも鍼灸の国際標準化の作業が進められている。 更に、 生物多様性条約 (CBD) では伝統医学にも関わる遺伝資源と伝統的知識の議論が行われている。 伝統医学に関する事柄は、 他にも世界知的所有権機関 (WIPO) や世界貿易機構 (WTO/TRIPS)、 国連食糧農業機関 (FAO) など、 多岐に亘る国際機関で個別に議論されている。 本パネルディスカッションでは、 最初に、 CBD及び名古屋議定書における伝統的知識の保護に関する要点を整理し、 WIPOにおける議論の状況と伝統医学に関わる伝統的知識のUNESCOでの無形文化遺産の登録の現状を明らかにし、 鍼灸の伝統的知識の保護に関する今後の課題について検討した。 次に、 WFASがWHOから委託された形で鍼灸の国際標準化を進めている現状と経過を整理し、 JSAMの立場とWFASの鍼灸の国際標準化作業における問題点を明らかにし、 WFASでの鍼灸の国際標準化作業とISOでの鍼灸の国際標準化作業の関係について検討した。 最後に、 WHOで鍼灸の国際標準化が初めてなされた1980年代から、 ISO/TC249において鍼灸の国際標準策定が進行している現在までの鍼灸の国際標準化の流れを整理し、 鍼灸の国際標準化を主に担っている国々における伝統医学の国際標準化の現況を概観し、 伝統医学の国際標準化の背後に潜む伝統医学のヘゲモニー争いの様相と今後の伝統医学の国際標準化の課題について検討した。
著者
内藤 政人 茅野 真男 堀川 宗之 名越 秀樹 中村 芳郎 小野 泰志 宇田川 宏之
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.7, no.10, pp.1159-1164, 1975

狭心症や発作性不整脈の診断には,発作中およびその前後の心電図記録が必要である.<br>Holterらの装置は長時間連続記録であり,しかも高価である.また発作と同時に患者にスイッチを押させて心電図を記録する装置もあるが,発作前からの連続記録がぜひ必要と思われる.<br>われわれはエンドレスカセットテープを用いて,発作と同時に患老に押させたスイッチによるトリッガー信号で発作前後の制御を行ない,発作中およびその前後の心電図記録が連続して得られる装置を開発した.<br>電源は乾電池を使用し,約12時間の連続使用が可能で発作前後3分間ずつ計6分間,2回の発作まで記録ができる.<br>この装置により,狭心症のある例では自覚症状発現前よりST-T部分の変化が始まっていることがわかり,また狭心症と思われた例が,単なる頻脈発作であることがわかるなど,非常に有用と思われたので,装置の概略と使用成績を報告する.
著者
小野 真一 伊藤 芳久 石毛 久美子 井口 法男 小菅 康弘 浅見 覚 泉澤 恵 小林 弘子 林 宏行 鈴木 孝 岸川 幸生 畑 春実 小瀬 英司 田畑 恵市
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.137, no.11, pp.1419-1423, 2017-11-01 (Released:2017-11-01)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

It has been recommended that active learning methods, such as team-based learning (TBL) and problem-based learning (PBL), be introduced into university classes by the Central Council for Education. As such, for the past 3 years, we have implemented TBL in a medical therapeutics course for 4-year students. Based upon our experience, TBL is characterized as follows: TBL needs fewer teachers than PBL to conduct a TBL module. TBL enables both students and teachers to recognize and confirm the learning results from preparation and reviewing. TBL grows students' responsibility for themselves and their teams, and likely facilitates learning activities through peer assessment.
著者
小野 秀昭
出版者
日本物流学会
雑誌
日本物流学会誌 (ISSN:13493345)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.10, pp.41-48, 2002

国内景気を判断する短観、とりわけ日本銀行により作成される「日銀短観」は景気の判断として最も注目されている。日銀短観の結果によって株式や債権の価格が敏感に反応することから、経済動向に大きな影響力をもつ指標の1つでもある。<BR>本研究では、この日銀短観とトラック運送業界により作成されている「トラック短観」を比較分析することにより、景気判断の関連性、特にトラック短観の先行性について検討することを目的としている。
著者
植田 義夫 小野寺 建英 大谷 康弘 鈴木 晃
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.175-185, 2001-08-30 (Released:2017-03-20)
参考文献数
31
被引用文献数
2

The Myojin-sho volcano is one of the active submarine volcanos in the northern part of the Izu-Ogasawara arc about 400 km south of Tokyo. This volcano is a somma edifice of the Myojin-sho caldera, 6.5 km×8 km in diameter and 1000 m deep. The topography, seismic profiler, magnetic and gravity surveys around the Myojin-sho caldera were conducted by the Hydrographic Department, Japan (JHD) in 1998 and 1999. The geophysical structures of the caldera were derived, and the possible cause of the caldera formation is discussed. The residual gravity anomalies were calculated from the observed free-air anomalies by subtracting the gravity effect of 2-layer subbottom model structure, which amounts to 10 m Gals in a localized zone from the caldera to the northern somma. Bouguer gravity anomalies with the assumed density of 2.0 and 2.4 g/cm3 also show the positive anomaly over the same zone, which is accompanied by the acoustic and magnetic basement depression. Moreover, it seems that the sediment volume nearby Myojin-sho caldera cannot compensate the volume loss of caldera (20 to 41 km3). These features insist that the Myojin-sho caldera is caused by the collapse of the pre-caldera edifice rather than the explosion. The origin of the high gravity caldera may be ascribed to the magma pocket causing the depression, instead of the high density erupted material filling the caldera floor. The magnetization intensity of 4.8-5.3 A/m at the Myojin-sho volcano is derived from the magnetic anomaly, which may claim that the Myojin-sho volcano consists of andesitic to basaltic rock rather than dacitic rock. On the other hand, magnetization of the central cone of Takane-sho volcano is estimated to be 1.1-1.9 A/m, which is consistent with the fact that dacite pumices were sampled.
著者
杉浦 令人 鈴木 美保 村田 元徳 亀頭 千鶴 江島 幸子 小野 早智子 佐藤 ゆかり 花輪 千草
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.C0162, 2006

【目的】脳卒中後遺症患者の大腿骨頚部骨折の発生率は、一般高齢者にくらべ4から12倍といわれている。大腿骨頚部骨折後のリハビリ訓練においても、脳卒中後遺症が阻害因子となり、骨折前の状態に復帰するまでに長期間かかる傾向にある。今回、当院回復期リハビリテーション病棟(以下、回復期病棟)における脳卒中後の大腿骨頚部骨折患者の特徴を調査し、脳卒中後の大腿骨頚部骨折リハビリ訓練の強化点を検討したので報告する。<BR><BR>【対象】2003.4.1から2005.8.31までに、当院回復期病棟入院の大腿骨頚部骨折患者で、脳卒中既往のある37例(以下、脳卒中群)中、脳卒中に対しても当院でリハビリを行った7例を対象に、詳細な調査・検討を行った。年齢は平均73.7±9.4歳、全員女性、脳梗塞6例、くも膜下出血1例であった。また、この期間内に当院回復期病棟に入院した脳卒中の既往のない大腿骨頚部骨折患者は13例(以下、既往なし群)であった。<BR><BR>【方法】当院データベースをもとに、大腿骨頚部骨折の受傷側、受傷事由、入院期間、麻痺側運動機能変化、関節可動域変化、ADL変化、歩行率、歩行速度などについて調査した。また、脳卒中退院時評価と、大腿骨頚部骨折退院時評価の比較もおこなった。麻痺側運動機能はBrunnstrom Recovery Stage(以下、BRS)、関節可動域はRange Of Motion(以下、ROM)、ADLはFunctional Independence Measure(以下、FIM)にて評価した。<BR><BR>【結果】7例について受傷側は7例とも麻痺側、受傷事由はトイレへの歩行移動時での転倒6例、ベッドからの転落1例、入院期間101.1±51.0日、BRS下肢II:1例、III:3例、IV:1例、V:1例、VI:1例、ROM膝関節伸展脳卒中退院時0°:7例、頚部骨折退院時0°:2例、-5°:2例、-10°:3例、FIM運動合計脳卒中退院時71.7±5.4点、頚部骨折退院時72.3±8.5点、認知合計脳卒中退院時31.9±3.8点、頚部骨折退院時31.4±3.2点、歩行率脳卒中退院時60.424.2step/min、頚部骨折退院時43.3±15.2 step/min、歩行速度脳卒中退院時13.6±8.2m/min、頚部骨折退院時8.9±2.7 m/minであった。脳卒中群と既往なし群の比較では、入院期間は脳卒中群86.3±41.0日、既往なし群67.8±40.6日であり脳卒中群が18.5日長かった。FIMは、運動合計入院時:脳卒中群55.9±17.2点、既往なし群58.3±24.1点、退院時:脳卒中群68.3±16.1点、既往なし群71.1±21.8点であった。<BR> <BR>【考察】受傷側は、7例では100%麻痺側、脳卒中群全体でも92%であり、諸家の報告どおりであった。女性が多いのは、骨粗鬆症の関与も考えられるが、受傷事由も考え合わせると、介護者への遠慮により能力以上の行動をしがちな状況の可能性がある。今回の調査から、脳卒中後の大腿骨頚部骨におけるリハビリの強化点としては、不十分な関節可動域および効率の悪い歩行・歩容の改善が挙げられた。また、家屋改修や介護指導も、再度評価しなおす必要があると思われた。 <BR><BR>