著者
土井 剛彦 牧浦 大祐 小松 稔 小嶋 麻有子 山口 良太 小野 くみ子 小野 玲 平田 総一郎
出版者
社団法人 日本理学療法士協会近畿ブロック
雑誌
近畿理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.30, 2009

【目的】転倒に対する恐怖は、高齢者において身体活動量低下を引き起こす要因の一つであり、身体機能や健康関連QOLなどの心理面と強く関連する。一方、身体活動量は、高齢者の全身状態・身体機能を反映し、個別特性を考慮する上で重要とされているが、ある程度の身体活動量を有していても、一定の割合で転倒に対する恐怖を持っている人は存在する。つまり、身体活動量が高い者と低い者では転倒恐怖感に対する要因が異なると考えられるが、その関係は明らかとなっていない。本研究の目的は、転倒恐怖の有無に、健康関連QOLがどのように関連するかを、身体活動量を考慮した上で検討することである。【方法】対象者は地域在住女性高齢者312名とした (年齢 : 79±7.2歳)。転倒恐怖感は質問紙にて転倒恐怖感ありと返答したものを転倒恐怖感あり群 (Fear of falling : FF) 、転倒恐怖感なしと返答したものを転倒恐怖感なし群 (No fear of falling : No-FF) とした。身体活動量は生活習慣記録機 (Lifecorder EX, Suzuken) を一週間装着して一日平均歩数 (Physical activity : PA) を算出し、PAが対象者全体の中央値より高い者を高活動群、低い者を低活動群とした。その他の測定変数はTime up & Go (TUG)、年齢、BMIとした。健康関連QOLについては、SF-36を用いて測定し、国民標準値を50点とするスコアリングを行い下位尺度別 (身体機能 : PF, 身体的日常役割機能RP, 身体の痛み : BP, 社会的生活機能 : SF, 全体的健康感 : GH, 活力 : VT, 精神的日常役割機能 : RE, 心の健康 : MH) に算出した。統計解析は、群間比較をunpaired t testにて行い、転倒恐怖の有無を目的変数、QOLの下位尺度と調整因子であるTUG、年齢、BMIを独立変数とし強制投入した名義ロジスティク解析を活動群別に行い、統計学的有意水準を5%未満とした。【結果】FF群は124名(60% ;78.4±7.5歳)、No-FF群は188名(40%;79.3±7.0歳)であり、年齢、身長、体重、TUGの対象特性に有意な群間差はみられなかった。身体活動量は対象者全体では5750±3467歩 (中央値:4990歩)であり、低活動群の方が高活動群に比べ、転倒恐怖有する者の割合が高かった (高活動群;54%, 低活動群;66%)。FF群はNo-FF群に比べPA、SF-36の下位尺度全項目ともに有意に低値をとった。転倒恐怖の有無に対して有意に関連性の認められた項目は、高活動群ではPF (オッズ比;14.6)、GH (オッズ比;74.7) が、低活動群ではBP (オッズ比;9.8) であった。以上のことから転倒恐怖に関連する健康関連QOLの要素が身体活動量レベルにより異なることが示唆された。【考察】転倒恐怖によりPA、健康関連QOLがともに低下し、高齢者の健康を阻害する要因の一つであることが示唆された。また、高活動の者においては身体機能や健康状態が、低活動の者においては身体の痛みが、転倒恐怖感と強く関連した。つまり、健康状態を低下させる転倒恐怖感を消失させるためには、個々の活動レベルを考慮した上で異なったアプローチを行う必要性があると考えられる。
著者
藤田 郁代 物井 寿子 奥平 奈保子 植田 恵 小野 久里子 下垣 由美子 藤原 由子 古谷 二三代 笹沼 澄子
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.179-202, 2000-04-20 (Released:2010-06-22)
参考文献数
35
被引用文献数
5 13

本委員会は, 1993年から「失語症語彙検査」の開発に着手し, 現在までに中核部分の諸検査: 語彙判断検査, 名詞・動詞検査, 類義語判断検査, 意味カテゴリー別名詞検査を作成した.本検査の目的は, 脳損傷患者の単語の表出・理解機能を多面的に評価し, 言語病理学的診断, 治療方針の決定, 治療効果の測定等に役立てることにある.今回は, 本検査を健常者に実施し, データを分析した.健常者の成績は, すべての検査において満点に近く, 本検査の課題は健常者にとって容易であることが明らかとなった.年齢および性による成績の差は大部分の検査において有意ではなかった.語の頻度効果を語彙判断検査, 名詞表出検査, 名詞理解検査において, 心像性効果を語彙判断検査, 名詞理解検査, 類義語判断検査において認めた.以上および先行研究の結果から, 本検査は脳損傷患者の単語の理解, 表出機能を評価する上での手段になりうると考えられた.
著者
鯉渕 幸生 小野澤 恵一 中村 格之 原本 英二 片山 浩之 古米 弘明 佐藤 愼司 岡安 章夫 磯部 雅彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
no.52, pp.886-890, 2005
被引用文献数
4

お台場海浜公園周辺において, 栄養塩類, 大腸菌, アデノウイルスなど雨天時越流水起源物質の時空間変動過程を詳細に観測した. 微生物の変動傾向は, 栄養塩類のそれとは異なり, 大腸菌については数mmの降雨でも, 降雨後数日間にわたって遊泳には不適切な糞便汚染を疑わせるレベルとなった. これらの微生物は下水管路内の堆積物に存在していると考えられ, 降雨量よりも先行晴天日数により濃度が大きく変動する. 現在では, 糞便性大腸菌群数により感染リスクを評価しているが, 細菌類とウイルスの変動過程は異なるため, 今後はアデノウイルス等の観測結果を蓄積することが, 都市沿岸域での感染リスクを正しく評価するために望ましいと考えらえる.
著者
白﨑 愛里 並木 崇浩 山根 倫也 小野 真由子
出版者
関西大学臨床心理専門職大学院 心理臨床センター
雑誌
関西大学心理臨床センター紀要
巻号頁・発行日
vol.12, pp.93-103, 2021-03-15

本稿は、Schmid(2001)の"Acknowledgement: The art of responding. Dialogical and Ethical Perspectives on the Challenge of Unconditional Relationships in Therapy and Beyond" の紹介とそれに基づく考察である。Schmidは無条件の肯定的関心を、対話や出会いの哲学、社会倫理の視点に基づいて「承認」として再提起した。承認とは、他者の、具体的で、特徴的な、独自のあり方に開かれることを意味する。他者とは、同一化もコントロールもできない、私とは本質的に異なる存在である。それゆえ他者を知ること(knowledge)はできない。他者の他者性を破壊せず関係を結ぶには、ただ共感し、承認すること(acknowledge)である。また理解し得ない謎を含んだ、無限の他者こそが、自己の限界を克服する。他者に出会うには、何よりもまず、他者が真に「向こう側に立っている」と理解する必要がある。反対側に立たずして出会いはない。この隔たりが、他者を、自立的な価値ある個人として尊重する。Schmidの言う承認に基づくセラピーでは、セラピストは、自身の内的照合枠を脇に置くどころか、クライエントの影響を受けて自己を問いただしながら応答することになる。これはセラピー関係の中にTh自身を投入し、Th自身が変化することであり、まさに勇気が問われる在り方といえる。またSchmidは、「(承認が重要なのは)承認が実現傾向を育てるから、というだけではない。これこそがパーソン・センタードという在り方の表れなのだ」と述べ、パーソン・センタード・アプローチの本質にも迫っている。
著者
長谷川 正哉 金井 秀作 島谷 康司 大田尾 浩 小野 武也 沖 貞明 大塚 彰 田中 聡
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48101851, 2013

【はじめに,目的】転倒予防や足部障害の発生予防,パフォーマンスの維持・向上には適切な靴選びが重要である.一般的な靴選びは,まず自覚する足長や靴のサイズに基づき靴を選び,着用感により最終的な判断を行うものと考える.しかし,加齢による足部形態の変化や過去の靴着用経験などから,着用者が自身の足長を正確に把握していない可能性が推測される.また,靴の選択基準はサイズや着用感以外にも,デザイン,着脱のしやすさ,変形や疼痛の有無など様々であることから,自覚している靴サイズと実際の着用サイズが異なる可能性が考えられる.そこで,本研究では地域在住の中高齢者を対象とし,自覚する靴サイズおよび実際に着用している靴サイズ,足長や足幅の実測値から抽出したJIS規格による靴の適正サイズを調査し,比較検討することを目的とした.【方法】独歩可能な中高齢者68名(男性20名,女性48名,平均年齢64.0±6.5歳)を対象とした.調査項目は左右の足長および足幅の実測値,足幅/足長の比率,実測値を基に抽出したJIS規格による左右別の適正サイズ,2Eや3Eなどで表わされる適正ウィズ,自覚する靴サイズ(以下,自覚サイズ),および現在着用中の靴の表示サイズ(以下,着用サイズ)とした.なお,各項目間の比較にはフリードマン検定およびScheffe法による多重比較を行い,統計学的有意水準は5%とした.また,自覚サイズと着用サイズの一致率,適正サイズと着用サイズの一致率,および適正サイズおよび適正ウィズの左右の一致率を求めた.【倫理的配慮、説明と同意】実験前に書面と口頭による実験概要の説明を行い,同意と署名を得た後に実験を実施した.なお,本研究は全てヘルシンキ宣言に基づいて実施した.【結果】左右足型の実測値は右足足長22.6cm (21.8-23.85),左足足長22.7cm (21.75-23.7),右足足幅9.5cm (9.0-9.9),左足足幅9.3cm (8.9-9.9)であり,足幅/足長比率は右足41.5%(39.8 -42.5),左足41.0%(39.5-42.6)であった.また, JIS規格により抽出した右足適正サイズは22.5cm (22.0-24.0),左足適正サイズ22.5cm (21.5-23.5)であったのに対し,自覚サイズは23.5cm(22.5-24.5),着用サイズは23.5cm (23.0-25.0)となった(結果は全て中央値および四分位範囲).着用サイズおよび自覚サイズと比較し左右適正サイズ(p<0.001),左右足長実測値は(p<0.001)は有意に小さい結果となった.次に各項目の一致率について,まず自覚サイズと着用サイズの一致率は37%であり,被験者の63%は自身で認識する足サイズとは異なる靴サイズを選択し着用していた.また同様に,右足適正サイズと着用サイズの一致率は7%,左足適正サイズと着用サイズの一致率は4%と極めて低い結果となった.なお,適正サイズの左右の一致率は52%であり,これに適正ウィズの結果をふまえた場合,左右の靴の一致率は4%に低下した.【考察】中高齢者が実際に着用している靴サイズおよび自覚する足のサイズは,JIS規格に基づく適正サイズや足長の実測値より大きいことが確認された.また,自覚サイズと着用サイズ,適正サイズと着用サイズの一致率が極めて低く,中高齢者では自身の足の大きさを自覚していないだけではなく,自覚する足サイズに基づく靴選びをしていないものと考えられた.中高齢者の靴の選択基準には装着感や着脱の容易さ,デザインなど複数の要因が関与することが過去に報告されており,本研究でもこれらが影響した可能性が示唆される.次に,実測値から抽出した左右の靴適正サイズの一致率が極めて低いことが確認された.これは,左右同一サイズの靴を購入した場合,いずれか一方の靴が足と適合しないことを意味している.先行研究により靴の固定性の低下が動作時の不安定性や靴内での足のすべりを増加させ運動パフォーマンスの低下を引き起こすことが報告されており,靴の不適合が中高齢者の転倒リスクを増加させる可能性が示唆された。これらの靴の不適合に対し,靴内部での補正や靴紐などによるウィズの調整,片足づつ販売する靴を選択するなどの対応が必要になるものと考える.また,本研究の被験者の多くが自身の足サイズについて適切に認識しておらず,正しい評価や知識に基づく靴選びが重要と考える.【理学療法学研究としての意義】適切な靴の選択は転倒予防や障害発生予防,パフォーマンスの維持・向上を考える際に重要である.また,インソールの処方時や内部障害者のフットケアなどの場面では適切な靴の着用が原則となる.そのため理学療法士は対象者の足型と靴のフィッティングについて理解を深め,適切な靴の着用について啓発していく必要がある.
著者
小野 太郎
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
日本鍼灸治療学会誌 (ISSN:05461367)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.9-14, 1980-07-15 (Released:2011-05-30)
参考文献数
12

“-Concerning the Essence of the Meridians”- without a background of understanding and perception of the structural, motor and physiological functions of the living body it is not easy to discuss this theme. I would like to present my opinions from the point of view of the theory of ZOFU (visceral) meridianology, major in physical function as explained by Oriental medicine.1) Discussion of Ancient Medical TextsCentered on the writings of the SOMON, REISU and NANGYO, discussing the meridian points from the aspect of KI, the central teaching is that the meridian points are the “windows of KI.”2) Relationship with the MeridiansUntil the present the meridian points have been related with the meridians and the front-back body theory. For example, the selection of GV-20 for the treatment of hemorrhoids, LI-4 for the treatment of facial carbuncles and BL-54 for the treatment of lumbago, has been explained by the induction and distant part function theories, however, ignoring the fact that these points exist on their specific meridians it becomes impossible to explain these functions. With an understanding of the meridian paths and the areas these control this explain is easily accomplished.3) Clinical ApproachAccepting the GOZORUPU concept as functional anatomy, the meridians as the physiological function of KI, the meridian points as the windows of KI, the acpuncture-moxibustion concepts as Oriental medicine, and applying these in the clinic it is possible to obtain most clinical results.More concretely using brushing acupuncture methods (TOHOKUKAI style) one of 9 types, tonification acupuncture at LV-8 for liver deficiency, at KI-7 for kidney defificiency, at SP-3 for spleen deficiency, major complaints are relieved or may disappear completely.I shall introduce a sample pattern and present my opinions.4) The Essence of the Meridian PointsTouching on in addition to the above the point selection theory and meridian characteristics I'd like to conclude that the essence of the meridian points is indeed their status as the windows of KI.
著者
三木 千栄 小野部 純 鈴木 誠 武田 涼子 横塚 美恵子 小林 武 藤澤 宏幸 吉田 忠義 梁川 和也 村上 賢一 鈴木 博人 高橋 純平 西山 徹 高橋 一揮 佐藤 洋一郎
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Ed0824, 2012

【はじめに、目的】 本学理学療法学専攻の数名の理学療法士と地域包括支援センター(以下、包括センター)と協力して、包括センターの担当地域での一般高齢者への介護予防事業を2008年度から実施し、2011年度からその事業を当専攻で取り組むことした。2010年度から介護予防教室を開催後、参加した高齢者をグループ化し、自主的に活動を行えるよう支援することを始めた。この取り組みは、この地域の社会資源としての当専攻が、高齢者の介護予防にためのシステムを形成していくことであり、これを活動の目的としている。【方法】 包括センターの担当地域は、1つの中学校区で、その中に3つの小学校区がある。包括センターが予防教室を年20回の開催を予定しているため、10回を1クールとする予防教室を小学校区単位での開催を考え、2010年度には2か所、2011年度に残り1か所を予定し、残り10回を小地域単位で開催を計画した。予防教室の目的を転倒予防とし、隔週に1回(2時間)を計10回、そのうち1回目と9回目は体力測定とした。教室の内容は、ストレッチ体操、筋力トレーニング、サイドスッテプ、ラダーエクササイズである。自主活動しやすいようにストレッチ体操と筋力トレーニングのビデオテープ・DVDディスクを当専攻で作製した。グループが自主活動する場合に、ビデオテープあるいはDVDディスク、ラダーを進呈することとした。2010年度はAとBの小学校区でそれぞれ6月と10月から開催した。また、地域で自主グループの転倒予防のための活動ができるように、2011年3月に介護予防サポーター養成講座(以下、養成講座)を、1回2時間計5回の講座を大学内で開催を計画した。2011年度には、C小学校区で教室を、B小学校区で再度、隔週に1回、計4回(うち1回は体力測定)の教室を6月から開催した。当大学の学園祭時に当専攻の催しで「測るんです」という体力測定を毎年実施しており、各教室に参加した高齢者等にそれをチラシビラで周知し、高齢者等が年1回体力を測定する機会として勧めた。A小学校区内のD町内会で老人クラブ加入者のみ参加できる小地域で、体力測定と1回の運動の計2回を、また、別の小地域で3回の運動のみの教室を計画している。また養成講座を企画する予定である。【倫理的配慮、説明と同意】 予防教室と養成講座では、町内会に開催目的・対象者を記載したチラシビラを回覧し、参加者は自らの希望で申し込み、予防教室・養成講座の開催時に参加者に対して目的等を説明し、同意のうえで参加とした。【結果】 A小学校区での転倒予防教室には平均26名の参加者があり、2010年11月から自主グループとして月2回の活動を開始し、現在も継続している。B小学校区では毎回20名程度の参加者があったが、リーダーとなる人材がいなかったため自主活動はできなかった。2011年度に4回コースで再度教室を実施し、平均36名の参加者があった。教室開始前から複数名の参加者に包括センターが声掛けし、自主活動に向けてリーダーとなることを要請し承諾を得て、2011年8月から月2回の活動を始めた。A・B小学校区ともにビデオあるいはDVDを使用して、運動を実施している。C小学校区では2011年6月から教室を開始し、平均14名の参加者であった。教室の最初の3回までは約18名の参加であったが、その後7名から14名の参加で、毎回参加したのは3名だけで自主活動には至らなかった。2010年度3月に予定していた養成講座は、東日本大震災により開催できなかったが、25名の参加希望者があった。A小学校区内の小地域での1回目の予防教室の参加者は16名であった。大学の学園祭での「測るんです」の体力測定には139名の参加者があり、そのうち数名であるが教室の参加者も来場された。【考察】 事例より、予防教室後に参加者が自主活動するには、活動できる人数の参加者がいること、リーダーとなる人材がいること、自主活動の運営に大きな負担がないことなどの要因があった。自主グループの活動やそれを継続には、2011年3月の地震後、高齢者の体力維持・増進が重要という意識の高まりも影響を及ぼしている。C小学校区の事例で、自主活動できなかった要因を考えるうえで、A・B小学校区と異なる地域特性、地域診断を詳細にする必要性があると考える。リーダーを養成することでC小学校区での高齢者が自主活動できるか検討する必要もある。高齢者の身体状況に合わせて、自主活動できる場所を小学校区単位、小地域単位で検討する必要がある。【理学療法学研究としての意義】 介護予防事業を包括センター、予防事業所などだけが取り組む事業ではなく、理学療法士が地域の社会資源としてそのことに取り組み、さらに介護予防、健康増進、障害、介護に関することなどの地域社会にある課題を住民とともに解決するための地域システムを構築していくことは、現在の社会のなかでは必要であると考える。
著者
小野 朗子
出版者
近畿大学工業高等専門学校
雑誌
近畿大学工業高等専門学校研究紀要 = Research reports Kindai University Technical College (ISSN:18824374)
巻号頁・発行日
no.14, pp.65-69, 2021-03-15

In this study, we analyzed the vegetation changes in the semi-arid regions of Tanzania in Africa using a normalized difference vegetation index (NDVI) and a normalized difference water index (NDWI) calculated from Terra/MODIS satellite data. NDVI and NDWI are the most widely used vegetation index. They have a relatively higher value in the wet season between November and April and represent the change and spread of land cover (vegetation coverage). From 2009 onwards, during drought conditions, the NDVI and NDWI time series have shown a gradual decrease.
著者
小野寺 博義 鵜飼 克明 岩崎 隆雄 渋谷 大助 松井 昭義 小野 博美 町田 紀子 阿部 寿恵
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
健康医学 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.211-214, 2000

1991年度から1998年度までの宮城県対がん協会の腹部超音波検査を併用した成人病健診(現在はがん・生活習慣病検診)受診者を対象として,脂肪肝の頻度およびBMIと血液生化学検査結果の変化を検討した。脂肪肝の頻度は16.6%から32.6%と7年間で2倍となった。総コレステロール,中性脂肪も有意に上昇しているのが確認された。生活習慣指導に役立つ事後指導システムの開発が急務である。
著者
斎藤 貴 杉本 大貴 中村 凌 村田 峻輔 小野 玲 岡村 篤夫 井上 順一朗 牧浦 大祐 土井 久容 向原 徹 松岡 広 薬師神 公和 澤 龍一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに,目的】近年がん医療においては疾病の早期発見,治療法の発展により生存率が向上している一方で,治療による副作用が問題視されている。化学療法の副作用の1つに化学療法誘発性末梢神経障害(chemotherapy-induced peripheral neuropathy,以下,CIPN)があり,その好発部位から「手袋・靴下型」と称されている。リハビリテーション実施場面においても,化学療法実施中の患者にはしばしば見られる症状である。CIPNは多様な感覚器の障害様式を呈するが,その評価は医療者による主観的な評価が中心であり,どのような感覚器の障害様式なのかはについて詳細な評価はなされていない。本研究の目的は感覚検査の客観的評価ツール用い,CIPNを縦断的に調査し,その障害様式を明らかにすることである。【方法】本研究は前向きコホート研究であり,任意の化学療法実施日をベースラインとし,フォローアップ期間は3ヶ月とした。本研究の対象者は,2015年2月から7月までの期間内に,神戸大学医学部附属病院の通院治療室にて,副作用としてCIPNが出現する化学療法を受けているがん患者35名であり,脊椎疾患を有する者,フォロー不可能であった者,欠損値があった者を除く18名(63.7±11.3歳,女性11名)を解析対象者とした。CIPNの評価は下肢末端を評価部位とし,客観的評価として触覚検査,振動覚検査,主観的評価としてしびれについて検査を行った。触覚検査はモノフィラメント知覚テスターを用い,母趾指腹,母趾球,踵部,足首の四カ所の触覚を測定し,測定方法にはup and down methodを用いた。振動覚検査は音叉を用い,内果の振動覚を測定し,測定方法はtimed methodを用いた。しびれの主観的検査はVisual Analog Scale(以下,VAS)を用い前足部,足底部,足首の三カ所の主観的なしびれを評価した。測定はベースライン,フォローアップ時ともに化学療法実施日に行い,薬剤の投与前に上記評価を完了した。統計解析は対応のあるt検定およびWilcoxonの符号付順位検定を用い,それぞれの評価項目におけるベースライン時からフォローアップ時の値の変化を検討した。【結果】触覚検査では踵部のみに有意な変化がみられ,フォローアップ後に有意に触覚が低下していた(<i>p</i><0.01)。振動覚検査においてはフォロー後に有意に増悪がみられた(<i>p</i><0.01)。下肢末端のしびれの主観的検査においては前足部,足底部,足首部ともにフォロー後に有意差は見られなかった。【結論】三ヶ月のフォローアップ調査により,CIPNの障害様式は主に踵部の触覚低下および振動覚の低下であることが明らかとなった。一方で,主観的なしびれは変化がなく,客観的評価ツールで足底した触覚や振動覚の方が鋭敏に神経障害を反映しており,患者が障害を認知する前から感覚障害が生じていることが示唆された。
著者
小野田 純
出版者
日経BP社
雑誌
日経ネットビジネス (ISSN:13450328)
巻号頁・発行日
no.62, pp.134-137, 2000-09

大企業の枠に収まりきらず、ネットベンチャーという新天地を求めた男がいる。ホテル予約サイト「旅の窓口」の中心人物だった小野田純は2000年4月に独立、わずか3カ月で新たなサイトを立ち上げた。抜群の行動力を支える彼の長年の思いとは……。(文中敬称略) インターネットでホテルを予約する。
著者
小野 昌彦
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.61-71, 2003-03-31 (Released:2019-04-06)

水泳授業参加困難を契機とした小学6年生女子不登校Y(11歳)へ、再登校行動の形成および維持を目的として、専門機関の立場からおもに家庭、学校へ行動論的支援を実施した。その有効性と問題点を検討した。本事例は、不登校発現前の要因として、水泳のスキル不足が考えられた。そして、Yが水泳不参加の訴えをした時点で、親が学校を休ませる対応をしたことにより、不登校が誘発されたと考えられた。Yが家庭に滞留する行動は、祖母による世話やきといった強化刺激で維持されていると分析された。再登校行動形成のための行動論的支援は、Yへの水泳スキルの形成を目的として行われた。専門家からは、家族による話し合いの実施、家族によるYへの水泳指導、Yの訴えに対する親の対応の指導、担任のYの水泳授業参加援助への助言を実施した。援助期間は2か月間であった。面接4回、学校訪問1回、家族による水泳指導2回、担任による家庭訪問2回が実施された。結果、Yは再登校を開始し1年間登校行動が維持した。特定学校場面の回避による不登校事例の場合、その特定学校場面に関する綿密な行動アセスメントの必要性が示唆された。
著者
小野 良平
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.409-412, 1996-03-28 (Released:2011-07-19)
参考文献数
37

東京の上野公園は, 明治初期に内務省の主導の下, 博物館事業や内国勧業博覧会を推進する国家的公園として開設された。本稿では, 明治期の国家的イベントとして最も重要である天皇が臨幸した儀礼的行為に着目し, たびたびその会場となった上野公園を対象に明治期の公園の空間構造の形成に及ぼした影響について考察した。現在に至る空間の骨格は明治初期に形成され, はじめに上野に国家的性格を与える儀礼が行われ, つづいて天皇を視覚化して国民に示すという政治的要請が, 公園の空間的特性を規定する一要因となったこと等が明らかになった。
著者
小野 克重
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.118-125, 2017-07-06 (Released:2018-04-16)
参考文献数
17

心電図におけるJ点とは,QRS群の終末部分とST部分の始まりの接合部(Junction)を指す.このJ点は,ときにnotch,またはslurとして観察され,このnotch(slur)全体をJ波と呼ぶ.心電図のST部分は,心室筋の脱分極が終了し再分極が始まるまでの間に,すべての心室筋がほぼ等電位にある時間帯であり,活動電位の第1~2相に相当する.ST部分は基線上に水平に位置することが原則とされるが,実際の心電図では脱分極の終了時点と再分極の開始時点が重なり合っている場合が多く,ST部分が基線に一致しないことも多い.このSTの上昇が1mm未満であるときは有意な所見であると見なされないが,心筋梗塞や心筋症の診断が否定されているにもかかわらず,著明なST上昇が認められる場合がある.この現象は心筋の早期再分極によるものとされ,早期再分極症候群(Early Repolarization Syndrome)と呼ばれる.Wasserburgerはその判断基準として,(1)ST接合部での1~4mmのST上昇,(2)凹状ST,(3)QRS波下行脚のnotch,あるいはslur,(4)ST上昇の認められる誘導でのT波増高所見,をあげている1).この早期再分極症候群に認められるQRS波下行脚のnotchはJ点そのものであるが,低体温症などの際に出現するOsborn波2)と極めて類似しており,両者は同一機序によって説明されるものと考えられている.本稿では,心電図のJ波の成り立ちを心筋の活動電位と膜電流異常によって概説する.
著者
小野 朋典 Midorikawa Yoshiyuki Yamamoto Satoshi Ujiie Hiroshi 小野 朋典 緑川 義行 山本 聰 氏家 宏
出版者
琉球大学理学部
雑誌
琉球大学理学部紀要 (ISSN:02869640)
巻号頁・発行日
no.47, pp.p115-151, 1989-03
被引用文献数
1

本報告は1984年から1987年にかけて実施された琉球大学海洋学科の乗船実習RN-84,-86,及び-87航海で得られた,沖縄本島南方沖,慶良問ギャップ,石垣・西表島周辺海域からの底質サンプルの記載を主目的とする。採取されたサンプルはピストン・コアが8点,グラブ・サンプルが6点, ドレッジ・サンプルが25点に及んだ。記載に先立って行なった予察的研究の結果,次のような点が示唆された。1) 慶良問ギャップ(海裂)では,in situ の島尻層群最上部の泥岩を抜くピストン・コアや,同層群の鮮新銃から最下部更新統部分にわたる泥岩礁を含むドレッジ・サンプルのほかに,浮遊性有孔虫殻を多く含む lime-grainstone (更新統石灰岩?)が採取された.今後の調査で音波探査や深海カメラ等による海底観察と並行した底質サンプリングが行なわれるならば,本海裂の形成運動解明に貢献するであろう。2) 石垣・西表島南方の海溝斜面が先島海段に達する区域の水深2675mの地点より,石灰質砂層と半深海性シルト層の繰り返しから成る turbidite のピストン・コアを採取した。島弧の傾動運動との関連性を,今後追及すべきであろう。そのほかにも,径約5cmに達する大型底性有孔虫・Cycloclybeus carpenteriの生態に関する情報や,西表海底火山が想定されていた位置からの lime-grainstone の採取など,注目すべき材料が得られた。