著者
尾崎 タイヨ
出版者
日本経済政策学会
雑誌
経済政策ジャーナル (ISSN:13489232)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.21-50, 2022-04-27 (Released:2022-04-27)
参考文献数
25

本マクロ計量モデルは、従来のマクロモデルとは異なり、家計における所得階級別の消費構造を詳細に展開し、世帯収入、家計消費、労働供給を明示的に定式化すると共に、企業における正規・非正規雇用、賃金、設備投資決定、さらにマクロ経済とリンクさせた。これより、最低賃金の引き上げ、税還付、教育費や医療費などの所得補償、累進社会保険料負担などの各種政策が格差・貧困や賃金、雇用、マクロ経済にどう影響するか分析した。
著者
尾崎 誠
出版者
日本ホワイトヘッド・プロセス学会
雑誌
プロセス思想 (ISSN:21853207)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.43-62, 2020 (Released:2021-11-20)

There are two different Japanese translations of the phrase “time as perpetual perishing”: incessant perishing and eternal perishing. The perished past is never ascribed to sheer nothingness but rather remains as causally efficacious upon the superseding actualities. Arising is incessantly mediated by perishing, and thus time is continuously created by actual entities in supersession through the mediation of discontinuity of perishing. This is because to perish is to arise due to the efficient causality of the perished past qua objective immortality to produce a new present actuality in unity with the final causation of the subjective aim successively. Therefore, Whitehead identifies “perpetual perishing” as supersession, in that perishing, presupposed by the antecedent arising, entails succeeding arising in transition with the asymmetrical irreversibility of time towards the future. Hence, Hammerschmidt remarks that occasions are perpetually perishing, perpetually arising. Perpetual perishing implies perpetual arising as well. This meaning of perpetual perishing is examined with reference to the usages of the words in question through the various literature concerned.
著者
尾崎 真奈美
出版者
北ヨーロッパ学会
雑誌
北ヨーロッパ研究 (ISSN:18802834)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.79-90, 2021 (Released:2022-07-03)

本研究は、フィンランドにおける社会距離拡大におけるポジティブな人間関係とwellbeingの可能性を、オンラインインタビューを通してケーススタディしたものである。2020年のロックダウン直後の6,7月にフィンランド在住フィンランド人9人を対象にオンラインによる半構造化面接を行った。その結果、以下の特徴が報告された。すなわち、物理的隔離においても様々な工夫により、対人関係の貧困化は見られずむしろ豊かになった。また、自然との触れ合いが増して自己との対峙の時間ができ、より内省的になった。社会問題により意識的になった。このようなポジティブな変化は、秀逸なIT環境・社会福祉制度という外的な要因が大きいと推測されるが、本研究は、社会距離拡大を通して、一人でいることを楽しむ精神性や態度が個人のwellbeingに関与している可能性を示した。
著者
尾崎 俊哉
出版者
北ヨーロッパ学会
雑誌
北ヨーロッパ研究 (ISSN:18802834)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.53-66, 2020 (Released:2021-07-01)

デンマークは、EUでも小国の1つである。しかしOECDによると、直近5年の平均GDP成長率は年2%程度と、先進国としては顕著に経済が拡大している。その理由の1つが、世界的に高い競争力を持つ企業を多く輩出している点である。なぜかくも小さな経済から、これほど多くの世界的企業が輩出されているのか。その国際的な競争優位は、何らかの「デンマーク的な経営モデル」によってもたらされているのだろうか。 本稿は、企業経営の特徴を国の次元で考察する意義と理論を検討し、導かれた仮説をケーススタディの手法で検証する。そこから、デンマークの主要な多国籍企業が、小国でグローバル競争のなかに翻弄されていることを、労使が政策立案者と共有していることを示す。その上で、ガバナンス、労使関係、能力構築、企業間取引において、きわめてユニークな制度を持つこと、そのような制度的な条件を比較優位として取り込む経営努力を行っていることを明らかにしたい。
著者
尾崎 良智 井上 修平 藤野 昇三 紺谷 桂一 澤井 聡 鈴村 雄治 花岡 淳 藤田 美奈子 鹿島 祥隆 古川 幸穂
出版者
The Japanese Association for Chest Surgery
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.14, no.6, pp.726-730, 2000-09-15 (Released:2010-06-28)
参考文献数
14
被引用文献数
3 2

入院中に喀毛症 (trichoptysis) を認め, 左上葉気管支と交通のあった縦隔奇形腫の1手術例を経験した.症例は36歳, 女性.1995年6月の検診で左上肺野に異常陰影を指摘され, 血疾が出現したため当科に入院した.入院中に喀毛をきたし, 縦隔成熟型奇形腫の気道内穿破と診断された.同年7月に縦隔腫瘍摘出および左上区切除術を行った.切除標本で腫瘍は左B3気管支に穿破していた.縦隔成熟型奇形腫は比較的高頻度に隣接臓器, 特に肺・気管支への穿孔をきたすが, 画像診断が進歩した現在では, 喀毛症により診断される例は極めてまれである.穿孔する原因としては腫瘍内の膵, 腸管組織による自家消化作用が注目されているが, 本症例では, 膵, 腸管組織は認められず, 腫瘍内容物の増大に伴う嚢胞内圧の上昇と周囲組織との炎症性癒着が穿孔の主たる原因と考えられた.
著者
高村(山田) 由起子 尾崎 泰助
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.86, no.6, pp.488-492, 2017-06-10 (Released:2019-09-26)
参考文献数
18

グラフェンのケイ素版といえるケイ素の蜂の巣格子であるシリセンは,1994年の論文1)でその存在が理論的に予言されていたものの,実験的な合成報告があったのは最近である.黒鉛からの機械的剥離により得られるグラフェンと異なり,炭素と同じ14族元素の蜂の巣格子であるシリセンやゲルマネン,スタネンなどは母材となる層状物質が存在しないため,実験的な合成報告は単結晶基板上へのエピタキシャル成長によるものがほとんどであり,結晶構造と電子状態への基板の影響が無視できない.加えて,同定の決め手となる評価方法が存在せず,複数の相補的な分析法を併用する必要があり,なおかつ,得られた実験結果,特に電子状態の解釈を行うには,第一原理電子状態計算が不可欠であるなど,1つの研究室ではなかなか歯が立たない.本稿では,シリセンのような未知の2次元材料の研究を行うにあたって,実験と計算の協奏(競争?)がいかに重要であるかを,我々のこれまでの共同研究の成果を交えて論じてみたい.
著者
小松 恵美 向井 加奈恵 中島 由加里 尾崎 紀之 中谷 壽男
出版者
コ・メディカル形態機能学会
雑誌
形態・機能 (ISSN:13477145)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.17-24, 2014 (Released:2015-05-08)
参考文献数
12
被引用文献数
1

我々は三角筋への筋肉内注射(筋注)部位決定方法である、肩峰より三横指下に代わる新しい方法として、対象者の肩峰外側端の前後中間点(a 点)を決め、この点から三角筋に沿って下ろした線が前後腋窩線と直交する交点(b 点)を決定し、ab 間の距離を布メジャーで三角筋に沿うように測定して、3等分した上1/3ab 点、2等分した1/2ab 点、b 点を適切な筋注部位として発表した。さらに近年、この筋注部位を簡便に決定するための曲尺を用いた器具を作製した。今回この器具で決定した点と、この器具を使用しない布メジャーで決定した点の位置を、ご遺体(男性:11名で83.6 ± 9.3歳、女性:8名で84.3 ± 10.9歳)を用いて比較し、器具の有用性を検討した。各筋注部位の安全性を検討するため、剥皮前に布メジャーで決定した筋注部位の1/2ab 点にゲルを注入した後、三角筋深層の腋窩神経とゲルとの位置関係を観察した。同じく布メジャーで決定した筋注部位の上1/3ab 点、1/2ab 点、b 点の皮膚・筋層の厚さを測定し比較した。器具で決定した点は布メジャーで決定した筋注点よりも、上1/3ab 点で男性は平均5.8 mm、女性は平均7.0 mm、1/2ab 点で男性は平均4.4 mm、女性は平均5.3 mm 低かった。下1/3ab 点は両方法でほぼ同じであり、ここに腋窩神経が位置していた。器具での1/2ab 点は腋窩神経の観察された下1/3ab 点よりも男性は平均14.8 mm、女性は平均13.5 mm高い位置になった。注入したゲルは広がっていたが、腋窩神経はゲルの広がりの中央には位置せず、ゲルの下縁に接するか、ゲルより下方に位置していた。筋の厚さの平均は1/2ab 点とb 点でほぼ同じであり、上1/3ab 点と比べて、男性は約4.0 mm、女性は約5.0 mm 厚かった。これらのことから、器具を用いて測定した上1/3ab 点は、布メジャーを用いた測定と同じように、筋注に適した部位であるので、我々の作製した器具は三角筋の筋注部位を決定するのに有用なものであることが示された。さらに、b 点は上1/3ab 点よりも筋が厚く、1/2ab 点よりも腋窩神経との距離が離れているため、b 点がより安全な筋注部位として適していると思われる。

1 0 0 0 咢堂清談

著者
尾崎行雄 著
出版者
未來社
巻号頁・発行日
1947