著者
関島 恒夫 森口 紗千子 向井 喜果 佐藤 一海 鎌田 泰斗 佐藤 雄大 望月 翔太 尾崎 清明 仲村 昇
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
pp.1922, (Released:2021-08-31)
参考文献数
55

オオヒシクイが集団飛来地あるいは渡りのルートとして主に利用する北海道道北地方から本州にかけての日本海沿岸域は、良好な風況が見込まれることから、現在、多数の風力発電施設の建設が進められている。大型風車の設置は、鳥が風車に衝突するだけでなく、風車群を回避することによる迂回コストの増大などにより、中継地や越冬地利用の放棄など生息地の劣化あるいは消失に繋がる可能性があり、地域個体群に対する負の影響が懸念されている。オオヒシクイなど大型水禽類の生息地を保全しつつ、再生可能エネルギーの拡大を目指して風力事業を推進するには、鳥類への影響が大きい区域を提示したセンシティビティマップに基づき、風力発電事業の計画段階で事前に衝突リスクの高いエリアを回避する手続きが有効である。本稿では、はじめに大型水禽類を対象にしたセンシティビティマップの現状と課題を説明し、続いて、オオヒシクイを対象として、全国の主要な集団飛来地における風車回転域飛行確率を考慮したセンシティビティマップと、北海道道北地方から本州日本海沿岸域にかけての主要な渡りルートにおいて渡り中の飛行高度規定要因を考慮したセンシティビティマップの 2つのマップ作成手順を紹介する。最後に、これらセンシティビティマップを用いた風力発電施設の立地に係る検討手続きを提案する。
著者
山内 健生 尾崎 清明
出版者
公益財団法人 山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.97-99, 2007
被引用文献数
2

2005年8月21-22日に沖縄島国頭村西銘岳で2雌の <i>Ornithoica exilis</i>(ハエ目:シラミバエ科)を2個体のヤンバルクイナ <i>Gallirallus okinawae</i> 幼鳥の体表から採集した。宿主のヤンバルクイナはいずれも良好な健康状態であった。今回の記録は沖縄島における <i>O. exilis</i> の初記録であり,ヤンバルクイナは <i>O. exilis</i> の新宿主記録となる。
著者
尾崎 清明 馬場 孝雄 米田 重玄 金城 道男 渡久地 豊 原戸 鉄二郎
出版者
公益財団法人 山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.136-144, 2002
被引用文献数
14

沖縄本島北部のやんばる地域において,ヤンバルクイナの分布を,音声プレイバック法を用いて調査し,結果を過去の調査結果と比較した。その結果1996~1999年は,調査した95メッシュのうち49メッシュでヤンバルクイナの生息が確認され,確認できたメッシュの割合は51.6%であった。2000~2001年にヤンバルクイナの生息が確認されたのは,調査した255メッシュのうち116メッシュでその割合は45.5%であった。生息域の南限が,1985~1986年からの15年間に約10km北上し,生息域の面積は約25%減少したものと考えられた。一方沖縄県によってマングースの駆除が実施されたが,捕獲された地域はヤンバルクイナが見られなくなった地域と一致することがわかった。このことから,ヤンバルクイナの生息域の減少には,マングースが関与していることが強く示唆された。
著者
恩田 将維 和田 良太 尾崎 雅彦
出版者
公益社団法人 日本船舶海洋工学会
雑誌
日本船舶海洋工学会論文集 (ISSN:18803717)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.77-90, 2020 (Released:2021-04-02)
参考文献数
24

The purpose of this study is to investigate the feasibility of catenary chain mooring with sinker in the shallow waters of 50 to 100 meters depth facing the open ocean. Although the effect of the sinker can be expected to reduce the hardening nonlinearity of the catenary characteristics statically, it is necessary to consider the dynamic effects of sinkers ascending or sitting off the sea floor. As the procedure, we set the environmental design conditions assuming the coastal area of Japan and the semi-submersible type floating offshore wind turbine model, and perform static analysis to investigate the effect of parameters on the mooring characteristics, and then dynamic analysis to judge the strength feasibility of the mooring chains in storm conditions. Catenary theory is applied to the static analysis, and OrcaFlex is used for dynamic analysis to consider the interaction between the floating body, mooring system and sea floor in time domain. The pros and cons of using sinker in “Catenary chain with intermediate sinker type” and “Catenary with Hinged Arm Sinker Mooring type” are discussed to clarify the design considerations.
著者
尾崎 麻子 北原 絹代
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
vol.31, 2012

【目的】<BR>住民主導の地域づくりは介護予防事業の重要な視点であり、事業推進において住民ボランティアを育成、活用することが求められている。前橋市では介護予防サポーター(以下、サポーター)と名付けたボランティアの養成をしている。本研究の目的は、サポーター活動を5年間継続している女性へのインタビュー内容からサポーターへの参加及び継続のプロセスを明らかにすることである。<BR>【方法】<BR>サポーター活動を5年間継続している60歳代の女性1名を対象にサポーター参加前から現在の生活について半構成インタビューを実施し逐語録を作成した。その内容を修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(以下、M-GTA)を用いて分析した。本研究は介護予防事業主管課の了承を得たうえで「疫学研究に関する倫理指針」を遵守して実施した。対象者には本研究への参加について書面と口頭にて説明し、同意を得た。<BR>【結果】<BR>分析結果から4つのカテゴリーが生成された。サポーター活動を継続している女性は、サポーター参加前に[感謝される体験]や[市の事業という意識]を持っており、サポーターとしての経験の中で[他者との交流から得る感動][地域のサポーターとしての自覚]というプロセスを経て現在に至っていた。<BR>【考察】<BR>[市の事業という意識]から参加へのきっかけになったのは市の事業である安心感や民生委員等の市からの委嘱を受けている者特有の使命感であると思われた。<BR>[他者との交流から得る感動]では市が独自作成したピンシャン!元気体操等を用いてサロンを運営し参加者と交流を持つ中で参加者の変化に感動を得ていた。この感動から、参加者や地域づくりに役に立っている実感を得、地域のサポーターとしての自覚を新たにしていた。この感動から自覚へというプロセスが長期継続に必要な要素として示唆された。介護予防事業を担う理学療法士は、サポーターが参加者との交流を持ち、感動や実感を得られるような活動場所やプログラムの情報提供などを行う中で、サポーターと協働した地域づくりをすることが求められると考えられた。<BR>本研究の対象は1名であり理論的飽和には至っておらず、今後、対象を拡大し比較検討する必要がある。<BR>【まとめ】<BR>前橋市の介護予防サポーターを5年間継続している女性へのインタビュー内容からM-GTAを用いてサポーターへの参加及び継続のプロセスを明らかにした。得られたプロセスから、参加の要因として[感謝される体験][市の事業という意識]、継続の要因として[他者との交流から得る感動][地域のサポーターとしての自覚]が考えられた。
著者
尾崎 承一
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.17, no.6, pp.696-698, 1994-12-31 (Released:2009-02-13)
参考文献数
7
著者
熊崎 祐介 多木 俊裕 小谷 淳二 尾崎 史朗 新井田 佳孝 美濃浦 優一 西森 理人 岡本 直哉 佐藤 優 中村 哲一 渡部 慶二
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J104-C, no.12, pp.352-359, 2021-12-01

本論文では,高効率なGaN基板上GaN HEMTのデバイス開発と動作実証を行った.GaN基板の利用により結晶欠陥を大幅に低減し,電流コラプス現象が抑制できることを確認した.また,結晶成長前にウェットケミカル処理を施すことで,基板表面のコンタミを除去し,結晶成長後の基板/エピ界面のSi不純物を低減することに成功した.Si不純物の低減により寄生損失を抑制し,2.45 GHzにおいて効率82.8%と極めて高い値を達成した.これは,同周波数帯にて報告されている異種基板上GaN HEMTの効率と比較して高い値であり,GaN基板上GaN HEMTの優れたポテンシャルを示す結果であるといえる.
著者
熊澤 一将 赤塚 肇 平井 力 尾崎 尚也 石突 光隆 加藤 怜 中村 竜 鈴木 大輔 松下 将士
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
交通・物流部門大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, 2018

We report on the results from a survey which aimed to perceive the state of achievement of one - man operation implementation by railway operators. We conducted a questionnaire survey on railway operators carrying out one-man operation. At the questionnaire survey, we investigated things concerning operation handling, response to abnormalities, reasons for setting up various facilities, etc. We calculated the rate of the installation of facilities and the conduction of various kind of operation handling considered to be related to one-man operation, and extracted facilities with a high installation rate at the time of one-man operation. In addition, through hearing surveys, we confirmed that there are differences in the safety confirmation method at door closing and departure, according to the situation of each railway operator, such as transport volume and length of train.
著者
武田 敏秀 島田 武彦 野村 啓一 尾崎 武 土師 岳 山口 正己 吉田 雅夫
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.21-27, 1998-01-15
参考文献数
16
被引用文献数
2 21

アンズの系統分類にRAPD分析法を適用した.DNA多型を効率的に検出するために, 5種類の代表的な品種を供試して, 225種類のオペロンプライマーについてスクリーニングを行い, 各系統間で複数のDNA多型を示す有効な18種類のプライマーを選抜した.次にこれらのプライマーを用いてアンズ33品種・系統と近縁の野生2種の分類を試み, 検出されたRAPDsをもとにクラスター分析と数量化理論第三類を用いてデータの解析を行った.その結果, 本実験で供試したアンズ(Prunus armeniaca)の品種・系統は中国西部からヨーロッパにかけて分布する"西方品種群"(A)と中国東部, 日本などに分布する"東方品種群"(B)の2群に大別された.しかしながら, 近縁野生種のP. sibiricaとP. brigantina, 中国の西部から北部に分布し, 諸特性が不明である'白杏', およびスモモとアンズの自然交雑種とされる'仁杏'はこれらの群に属さなかった.また, 中国の品種はA群およびB群の両方に属し, 遺伝的変異が大きいことから日本アンズ, ヨーロッパアンズの祖先種である可能性が高いと推察した.
著者
尾崎 尚代 千葉 慎一 嘉陽 拓 西中 直也 筒井 廣明
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48101619, 2013

【はじめに】古くから諸家によって肩関節機能に関する研究がなされてきている。腱板機能訓練に関しては筒井・山口らの報告を契機に多くの訓練方法が用いられ、近年では肩甲骨の機能が注目され、肩関節求心位を得るための訓練方法が多々報告されている。しかし、肩関節の動的安定化機構である腱板を構成する各筋が肩関節求心位を保つための機能について報告しているものは渉猟した限りでは見つからない。今回、腱板断裂症例の腱板機能を調査し、肩関節求心位を保持する腱板機能について興味ある知見が得られたので報告する。【方法】2011年9月末までの2年間に当院整形外科を受診し、初診時に腱板断裂と診断された症例のうち、「Scapula-45撮影法」によるレントゲン像を撮影し、手術した症例35名(年齢60.8歳±12.7、男性19名・女性16名、罹患側 右22名・左13名)について、術前MRI所見および手術所見からA群(棘上筋単独断裂 23名)、B群(棘上筋+棘下筋断裂 5名)、C群(肩甲下筋を含む断裂 7名)の3群に分類した。 「Scapula-45撮影法」によるレントゲン像のうち肩甲骨面上45度挙上位無負荷像を用い、上腕骨外転角度、肩甲骨上方回旋角度、関節窩と上腕骨頭の適合性について、富士フィルム社製計測ソフトOP-A V2.0を用いて計測した。上腕骨外転角度および肩甲骨上方回旋角度は任意の垂線に対する上腕骨および関節窩の角度を計測し、関節窩と上腕骨頭の適合性は、関節窩上縁・下縁を結ぶ線を基準線として関節窩に対する上腕骨頭の位置関係を計測した値を腱板機能とした(正常範囲-1.11±2.1、大和ら1993)。統計学的処理は、Kruskal-Wallis検定、Mann-Whitney検定、χ²検定を用いて危険率5%にて行い、上腕骨外転角度、肩甲骨上方回旋角度、腱板機能について3群を比較検討し、さらに腱板機能については正常範囲を基に3群間で比較検討した。【説明と同意】当院整形外科受診時に医師が患者の同意を得て診療放射線技師によって撮影されたレントゲン像を用いた。なお、個人情報は各種法令に基づいた当院規定に準ずるものとした。【結果】測定平均値をA群、B群、C群の順で示す。上腕骨外転角度(度)は43.59±8.84、45.64±7.04、33.83±7.54、肩甲骨上方回旋角度(度)は10.17±13.46、0.96±5.02、24.87±22.92であり、上腕骨外転角度および肩甲骨上方回旋角度については3群間で有意差は認められなかった。腱板機能は-0.75±4.76、5.44±12.61、7.84±5.07であり、3群間で有意差は認められ(p=0.007)、なかでもC群はA群と比較して関節窩に対して骨頭の位置が上方に移動していた(p=0.0008)。腱板機能について正常範囲を基に各群間で比較した結果、A群では正常範囲に入るものが23名中10名(43.5%)であり、関節窩に対して骨頭が上方に移動しているもの、下方に移動しているものがそれぞれ26.1%、30.4%あったが、B群、C群では正常範囲に入るものが0%、14.3%であった。B群は骨頭の上方移動および下方移動を呈するものが半数ずつであったが、C群では7名中6名(85.7%)が骨頭の上方移動を呈しており、有意差が認められた(p=0.03)。【考察】腱板断裂の指標として用いられる肩峰骨頭間距離は下垂位前後像で計測し、その狭小化を認める症例は腱板断裂の疑いがあるとされているが、今回用いた機能的撮影法は肩甲骨面上45度拳上時における肩甲骨と上腕骨の位置関係を調査している。 当院では、肩関節疾患患者に対し理学療法実施時に疼痛誘発テストとして肩甲骨面上45度挙上位での徒手抵抗テストを行ない、理学療法プログラム立案の一助としているが、このテストと同一の撮影肢位であるレントゲン像を用い、腱板断裂症例の腱板機能を断裂腱によって分類して調査することによって肩関節の求心位に作用する筋が明らかになると考えた。その結果、棘上筋の単独断裂では約半数は正常範囲にあり、残りの半数および棘下筋を含む断裂では関節窩に対して上腕骨頭が上方あるいは下方へと移動するが、肩甲下筋を含む断裂では関節窩に対して上腕骨頭の上方移動が認められたことから、肩甲下筋の機能不全が肩関節求心位に大きく影響することが示唆された。また、上腕骨外転角度および肩甲骨上方回旋角度は各群間で差がなかったことから、腱板機能不全を呈する症例は上腕骨を空間で保持するために肩甲骨が様々な反応を示すことが推測でき、前回報告した結果を裏付けするものと考える。 臨床上、肩甲下筋を選択的に収縮させることによって肩関節可動域が改善する症例を経験するが、肩甲帯の土台である肩甲骨の機能はもちろんのこと、腱板機能不全に対し肩関節求心位を確保するために選択する理学療法プログラムは肩甲下筋を考慮する必要があると考える。【理学療法学研究としての意義】今回の結果から肩関節疾患症例に対しておこなわれる腱板機能に関する理学療法プログラム立案を再考する必要性が示唆された。
著者
石橋 敬介 伴 正隆 尾崎 幸謙
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.89-97, 2020 (Released:2021-04-21)
参考文献数
23
被引用文献数
2

We propose a model that consider the stage of purchase decision making by dividing it into deciding whether to purchase and deciding how many products to purchase. For this purpose, we used a hurdle model that combines a binomial logit model and a Poisson regression model. The hurdle model is suitable for analyzing zero-inflated data. In our analysis, we incorporated marketing variables in each model and compared which stage the marketing variables affect more. We compare several models using WAIC and show that the proposed model is superior. Results from the proposed model can be used for sales promotion activities targeted at individual consumers.
著者
尾崎 祐介 小川 一仁 中村 恒 藤井 陽一朗
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

少子高齢化と長寿化の進展によって、「老後の備え」が社会的に重要な問題となっている。豊かな老後を送るためには、金融面だけではなく、健康面も重要である。つまり、老後の備えは、金融面と健康面の両方を考える必要がある。本研究では、曖昧性と後悔という概念を用いて、将来の不確実な健康を健康不安として捉えることを提案する。そして、理論と実験を統合して、健康不安を取り入れた家計ファイナンスの構築を目指す。
著者
村上 幸人 久枝 良雄 尾崎 俊章 横野 照尚 谷 祐太郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.4, pp.445-451, 1988-04-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
27

ビタミンB12誘導体の反応性に関するアキシアル配位塩基の効果を明らかにするために,α-配位座に分子内塩基を有する疎水性ビタミンB12[Cob(II)(α-Im)6C1ester]ClO4,β-配位座に分子内塩基を有する疎水性ビタミンB12[Cob(II)(β-Im)6C2ester]ClO4,配位塩基でキャップした疎本性ビタミンB12[Cob(II)(Im:cap)5C1ester]CIO4,を合成した。電子スピン共鳴(以下ESRと略記する)スペクトルおよびサイクリックボルタンメトリーによる検討から,これらの錯体はほぼ完全なbase-on型で存在し,分子内配位塩基をもたない疎水性ビタミンB12[Cob(II)7C1ester]ClO4に50倍モルのN-ひメチルイミダゾールを添加した状態に匹敵することを明らかにした。アルキル化反応においては,コバルト+1価は四配位構造のためアキシアル配位塩基の影響は小さいが,アルキル錯体の光開裂反応におヘセいては,アキシアル配位塩基の立体的および電子的効果により反応はいちじるしく促進された。また,β-配位面側に分子内配位塩基が導入された錯体では,コパルト-炭素結合生成反応が抑制された。
著者
本間 かおり 三上 篤 水嶋 好清 福士 勝 尾崎 恒一 藤田 晃三
出版者
札幌市衛生研究所
雑誌
札幌市衛生研究所年報 = Annual Report of Sapporo City Institute of Public Health (ISSN:09170294)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.62-69, 2002

妊婦甲状腺機能スクリーニングの過去5年間の検査成績と,その児の甲状腺機能への影響についてまとめた。バセドウ病,橋本病は妊婦において高頻度に認められ,スクリーニングは早期発見と治療管理に有効であった。また,新生児の先天性甲状腺機能低下症スクリーニングにおいては,一部の例で妊娠中に母親から抗甲状腺剤または抗TSH受容体抗体の移行による一過性甲状腺機能異常が認められた。
著者
亀田 孝彦 尾崎 明仁 李 学成
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成30年度大会(名古屋)学術講演論文集 第6巻 温熱環境評価 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.185-188, 2018 (Released:2019-10-30)

近年の住宅は,室内温熱環境の改善および冷暖房負荷の削減による省エネルギーを目的とし,高断熱・高気密化される傾向にある。れに伴い,室内で発生した水蒸気は屋外に排出されず,壁体内で結露を生じ建物の耐久性や断熱性能を低下させる危険性が高くなる。 本研究では,水分容量が大きく,吸放湿性能に優れたセルロースファイバー断熱材を使用した壁体において,実測と数値シミュレーションによる露性能評価を行い,その有用性を検討する。