著者
尾崎 まみこ 針山 孝彦 永田 仁史 綾部 早穂 金山 尚裕 小早川 達 大坪 庸介
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-07-18

「赤ちゃんの匂いはいい匂い」とは、経験的によくいわれてきたが、これまで科学的に証明されたことはなかった。私たちは生後、数時間から数日の20名の新生児の頭部からストレスフリーで非侵襲な方法で採集し、そのうち19名の匂いを個別に分析した。19名のうち16名の匂いは相互によく似た成分構成を示し、残りの4名の匂いは、1,2の成分の含有量が他と異なっていた。この結果から、新生児の頭部の匂いには、“標準的な”化学成分構成が存在することが示唆された。化学分析結果をもとに、含有量の上位を占める20成分を使って19名の匂いを再現する調香品をそれぞれ作成した。それらの調香品の匂いについて、20名の学生(男女10名ずつ)から、匂いに関連する50のタームへの当てはまり度を回答する心理学的感覚評価の結果を得た。この回答のスコアに対する因子分析を行うため、スクリープロットから妥当と考えられる3因子解を求めた。得られた第1、第2、第3因子は、それぞれ、「快い情動を引き起こす匂い」に関与する因子、「快い質の匂い」に関与する因子、「不快な情動を引き起こす匂い」に関与する因子であり、寄与率は順に0.32、0.13、0.11であった。ちなみに「不快な質の匂い」に関係の深い13タームはいずれも極めて低いスコアしか獲得していなかったので、あらかじめ因子分析の対象から除外した。このように、本研究から、化学―心理学的な根拠を示すことにより、「赤ちゃんの匂いは快い情動を引き起こす匂いである」ことを、世界で初めて証明することができた。最後に、学生による調香品の匂いの評価と父母などによる本物の赤ちゃんの匂いの評価を同じ感覚評価テストで比較したところ、およそ矛盾の無い結果が得られた。
著者
尾崎 貴久子
出版者
三田史学会
雑誌
史学 (ISSN:03869334)
巻号頁・発行日
vol.87, no.3, pp.61(285)-88(312), 2018-02

はじめに第一章 十・十一世紀の医療批判と女性の医療第二章 十三世紀の女性の医療第三章 十四世紀の女性医療者おわりに論文
著者
尾崎 秀生 佐野 翼 野吹 幸男 林 昇
出版者
全国自動車短期大学協会
雑誌
自動車整備技術に関する研究報告誌
巻号頁・発行日
no.11, pp.37-40, 1983-08

大型車両のスパイクタイヤ騒音は,ノーマルタイヤにくらべてかなり大きいであろうと予測して,バス用のスパイクタイヤとノーマルタイヤについて,通常定行状態での騒音を計測し比較検討した。その結果,スパイク騒音がとりたてて著しく高いとはいえず,むしろスパイクによる路面損傷の方に問題があるのではないかという事がわかった。
著者
尾崎 拓郎
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.176-180, 2022-03-15

GIGAスクール構想により,初等中等教育において児童生徒向けの1人1台端末と大容量高速ネットワーク環境が整備された.本稿では,このGIGAスクール構想の実現に向けた背景と環境整備の実際について,実際の構築事例を交えながら,留意すべき点について述べる.
著者
木村 大樹 尾崎 紀夫
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.14-17, 2019 (Released:2019-12-28)
参考文献数
18

統合失調症の発症に強い影響力を持つまれなゲノム変異として,コピー数多型(CNV)が挙げられるが,CNVを起点として如何なるメカニズムによって統合失調症の発症に至るのかは不明である。筆者は日本人統合失調症の全ゲノムCNV解析から発症に強い影響力を持つと判明したCNV領域内の神経発達関連遺伝子を対象としたシークエンス解析を実施し,統合失調症の発症に強い影響力を持つ一塩基変異(SNV)の探索と,同定したSNVに基づく分子病態解明研究を行った。その結果,22q11.2領域内に存在するアミノ酸置換RTN4R‐R292Hや,16p13.11領域内に存在するNDE1‐S214Fが統合失調症と有意な関連を示すことが示唆された。さらに,これらのSNVによって,神経細胞の発達異常が引き起こされることも証明された。今後は,多発家系例などを対象とした全ゲノムシークエンス解析による新たな発症ゲノム変異の同定や,変異を模したモデル動物や変異を有する患者由来のiPS細胞を対象とした解析により,統合失調症の病態解明や,病態に基づく診断法・治療薬開発につなげていきたい。
著者
的場 章悟 三浦 健人 尾崎 藍 田村 勝 小倉 淳郎
出版者
公益社団法人 日本繁殖生物学会
雑誌
日本繁殖生物学会 講演要旨集 第113回日本繁殖生物学会大会
巻号頁・発行日
pp.P-89, 2020 (Released:2020-10-13)

【目的】性を持つ生物では器官ごとに雌雄で異なる表現型を示し,これらの雌雄差は「性スペクトラム表現型」と呼ばれている。哺乳類の性スペクトラム表現型はY染色体の有無によって決定されていると考えられるが,Sry遺伝子が精巣決定因子であること以外に,Y染色体上の各遺伝子が性スペクトラム表現型に与える影響はほとんど不明である。本研究では,マウスY染色体上の遺伝子についてTriple CRISPR法を用いてノックアウト(KO)マウスを作出し,Y染色体上遺伝子が性スペクトラム表現型にどの程度関わるかを網羅的かつ定量的に明らかにすることを目的とした。【方法・結果】Y染色体上の10個の遺伝子(Sry, Eif2s3y, Kdm5d, Uty, Usp9y, Ddx3y, Rbm31y, Uba1y1, Zfy1, Zfy2)について,Triple CRISPR法によってC57BL/6J系統の受精卵から直接KOマウスを作出した。既報通り,SryをKOすると全個体が雌へと性転換し,Eif2s3yをKOすると全個体で精巣の顕著な委縮が認められた。これらのマウスおよび野生型の雌雄マウスの性的表現型を表現型解析パイプラインに乗せて網羅的かつ定量的に解析した。その結果,野生型の雌雄マウス間に存在する新規に記載するべき性スペクトラム表現型(顔面相貌・骨格および臓器サイズ・BMIなどのボディバランス)をいくつも発見した。さらにY染色体上遺伝子のKOによって変動する形態的な性スペクトラム表現型(体重・体長・BMIなど)も同定した。【結論】まず,Triple CRISPR法によりY染色体上遺伝子についても高効率でKOマウスを作出できることを示した。また,Y染色体上に存在するSry以外の遺伝子も様々な性スペクトラム表現型に関与しうることを示した。本研究の結果は,マウスの性スペクトラム表現型とY染色体上遺伝子との関係を詳細に記載するだけでなく,ヒト性スペクトラム異常症の新規モデルを提供しうるものである。
著者
尾崎 勝
出版者
日経BP社
雑誌
日経ア-キテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.713, pp.98-101, 2002-03-04

出雲ドーム,長野市オリンピック記念アリーナ,西武ドームなど話題の大架構を手掛けた鹿島の尾崎勝建築設計エンジニアリング本部次長。ドーム設計で難しい個所として開口部を挙げる。採光,換気,快適性などの確保を兼ねる必要があるからだ。「そのつど,オリジナルのディテール開発が不可欠だった」と振り返る。
著者
尾崎 典子
出版者
広島大学学校教育学部下向井研究室
雑誌
史人
巻号頁・発行日
no.2, pp.27-38, 1998-12-20

本稿は、一九九七年一月に提出した卒業論文を補訂したものである。
著者
尾崎 和海
出版者
東邦大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究計画では、原生代の大気組成(酸素(O2)、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4))を制約し、それらを規定する物質循環についての理解を得るための基礎的研究を行う.具体的には、研究代表者が開発を行ってきた海洋物質循環モデル(CANOPS カノープス)を大気化学や陸域風化作用を考慮した地球システムモデルへと高度化し、地質記録を制約条件とした統計的手法を適用することで、原生代と呼ばれる地質時代(約25~6億年前)の地球大気組成の進化を物質循環に基づいた理論的見地から解明することを目指すものである.
著者
千野根 勝行 佐藤 宏樹 尾崎 啓次
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2013, 2014

【はじめに,目的】急性期など侵襲が特に強い場合,あるいは持続的な場合には迷走神経の活動が退縮しその防御機構が破綻,交感神経が過緊張を呈し主要臓器障害から多臓器不全にいたることがしばしばである。このようなクリティカルケア領域の治療手段として用いられている呼吸介助手技は,生体にとって外部からのストレッサーとなり交感神経活動の亢進を助長していないのであろうか。そこで,今回,用手的呼吸介助手技の安全性を明らかにすることを目的に,呼吸介助手技が自律神経に与える影響を検討した。【方法】対象は自律神経障害の既往がなく,薬物の服用をしていない健常学生18名(男性9名,女性9名)とした。年齢は20.9±0.7歳,身長は170±0.1 cm,体重は63.9±13.4kgであった。測定項目は心拍数,呼吸数,血圧,唾液アミラーゼ活性値,心拍変動(HRV)解析から得られる諸指標とした。測定肢位は枕のない背臥位で自由呼吸とし,十分に安静が取れた時点(安静時)から測定を開始した。その後,呼吸介助を実施(介助中)した。データは各5分間ずつ記録した。心拍数および心電図は,Daily Care BioMedical社製ポータブル心拍変動測定器チェック・マイハートを用いて測定した。血圧はオムロン・コウリン社製の自動血圧計(コーリンST-12B)を使用,唾液アミラーゼ活性値はニプロ(株)社製の唾液アミラーゼ式交感神経モニタ(COCORO METER)を使用し,安静時と介助中の各終了30秒前に呼吸数とともに測定した。解析方法は,チェック・マイハートHRV解析ソフトウェアを用いてRR間隔を自動算出した後,波形の誤認識をマニュアルで校正した。HRVの周波数解析は,超低周波数成分(VLF),低周波数成分(LF),高周波数成分(HF)とした。LF/HFを交感神経活動,HFを副交感神経活動の指標とし,正規化(normalized unit,以下nu)して自己回帰(AR)法で分析した。また,RR間隔については,ローレンツプロット法を用いて解析し,Toichiら(1997)が示したL(対称軸方向の広がり)とT(対称軸を横切る方向の広がり)から,L/Tを交感神経の指標,log(L×T)を副交感神経の指標として比較検討した。統計解析はSPSS ver.21(IBM社製)用い,安静時と介助中のHF成分,LF/HF比,唾液アミラーゼ活性値,血圧,呼吸数の各測定値の比較をWilcoxonの符号付き順位検定で行った。また,各測定値の相関をspearmanの順位相関で求めた。いずれも有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮,説明と同意】本研究は,演者所属施設の倫理委員会の承認を得た後に実施した(承認番号:414)。対象者にはヘルシンキ宣言の趣旨に沿い,本研究の目的,方法,期待される効果,不利益が生じないこと,および個人情報の保護について説明を行い,書面にて研究参加への同意を得た後に実験を実施した。【結果】実験中に不整脈など著明な症状を示すものはなかった。また,各指標の性別による差は認めなかった。心拍数(bpm),拡張期血圧・平均血圧(ともにmmHg),唾液アミラーゼ活性値(kIU/L)はそれぞれ,66.3±8.7と65.3±8.2,66.1±8.1と64.8±8.2,83.6±8.9と83.0±8.6,44.8±26.8と42.2±17.9であり,いずれも有意な変化はなかった。呼吸数(回)は,14.1±2.9と9.7±1.6,収縮期血圧(mmHg)は118.3±2.4と114.9±11.8で有意に減少した。HRV周波数解析の変化ではHF成分・LF成分(nu),LF/HFはそれぞれ,51.2±12.9と47.6±21.1,48.8±12.9と52.4±21.1,1.1±0.6と1.7±1.7であり,いずれも有意な変化はなかった。log(L×T)は3.4±0.2と3.5±0.2で,介助中でより有意に増加した。自律神経の各指標の関連では,安静時のHFとlog(L×T)はかなりの正の相関を認めた(r=0.55 p<0.05)。安静時のLF/HFは安静時L/Tとかなりの負の相関を認めた(r=0.56 p<0.05)。介助中のHF.とlog(L×T),介助中のLF/HFとL/T,唾液アミラーゼ活性値に有意な相関はなかった。【考察】用手的呼吸介助手技は収縮期血圧を下げ,log(L×T)がより有意に増加したことから,従来の報告と同様に呼吸数をコントロールしたことで交感神経の活動を高めず,副交感神経を賦活したものと考えられた。また,唾液アミラーゼ活性値やHRV周波数解析パワースペクトル分析よりもローレンツプロット法は感度が高いことが示唆された。【理学療法学研究としての意義】用手的呼吸介助手技は,交感神経が緊張を示すクリティカル領域の理学療法実施におけるリスク管理の観点から,少なくとも健常成人において副交感神経を賦活させる安全な手技であることが示唆された。心拍(脈拍)数の変動を解析することで,Vital signとしての全身モニタリングとして応用できる可能性を示した点で意義がある。