著者
井上 修平 藤野 昇三 紺谷 桂一 澤井 聡 手塚 則明 花岡 淳 尾崎 良智 鹿島 祥隆 元石 充 古川 幸穂
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.57-64, 2002-01-15
被引用文献数
10 7

従来,胸膜中皮由来とされ限局性胸膜中皮腫(localized mesothelioma)と呼ばれた腫瘍は,近年,胸膜中皮下の間葉系細胞由来と考えられるようになり,solitary fibrous tumorまたはlocalized fibrous tumor of the pleuraという呼び名が一般化しつつある.胸腔鏡下に摘出し得た有茎性の3症例を報告する.3例中2例は臓側胸膜から発生し,1例は壁側胸膜から発生していた.本症は肺腫瘍,胸壁腫瘍,縦隔腫瘍等との鑑別が困難であるが,3例中2例は体位変換によって腫瘤陰影の移動が認められ,術前に有茎性腫瘍の診断が可能であった.3例各々の最大径は6.3cm,4.9cm,3.5cmであったが,全例胸腔鏡下摘出は容易であり,再発等認めていない.
著者
安本 亮二 浅川 正純 尾崎 祐吉 堀井 明範 梅田 優 田中 重人 森 勝志 西島 高明 山口 哲男 川喜多 順二 西尾 正一 前川 正信
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.79, no.11, pp.1765-1768, 1988-11-20
被引用文献数
2

最終濃度3,000μg/mlになるように作成したHPC-PEPを8例に,Saline-PEPを3例に投与し,両群における,1)尿中PEP濃度の経時的推移,2)PEPの血液内への移行,さらに,3)尿中PEP濃度を用いた薬物動態力学的パラメーターの違いを検討した.HPC-PEP法では,尿中PEPの時間的推移は投与後6時間後では61.0μg/ml(15〜90μg/ml),12時間後では16.4μg/ml(0.09〜73μg/ml),1日目では18.3μg/ml(0.3〜105μg/ml),2日目では13.1μg/ml(0.24〜50μg/ml),3日目では6.25μg/ml(0.07〜53μg/ml),4日目以降は平均値0.03μg/ml以下でいずれも測定限界以下であった.一方,Saline-PEPを膀胱内へ注入した場合,投与後3時間後では0.05μg/ml(0.04〜0.06μg/ml)を示したが,それ以降3日目まですべて測定限界値以下であった.薬物動態力学理論で解析すると,Saline-PEP法では半減期が平均4.18時間であるのに対し,HPC-PEP法では平均51.0時間と有意に延長しており,PEPの膀胱内での貯留性が示唆された.以上より,HPC-PEPの膀胱内注入療法は薬物動態の検討より,従来のSaline-PEP法より優れている臨床的に有用な膀胱内注入療法と考える.
著者
尾崎 文太
出版者
日本フランス語フランス文学会
雑誌
フランス語フランス文学研究 (ISSN:04254929)
巻号頁・発行日
no.83, pp.77-89, 2003-10-21

L'ecrivain martiniquais Aime Cesaire publia en 1963, aux editions Presence Africaine, sa piece intitulee ≪La Tragedie du Roi Christophe≫. Elle a pour cadre la societe hai'tienne, apres la revolution qui avait eclate dans l'ile. Le roi negre Henry Christophe y est confronte aux difficultes de l'etablissement de nouvelles bases sociales dans un pays qui vient de se liberer du colonialisme europeen. Il doit y faire face tant a des problemes sociaux et politiques qu'a la quasi-impossibilite d'y eriger une conscience nationale. Le titre de ≪Tragedie≫ que Cesaire donne a sa piece exprime done les ecueils de cette construction d'une nation apres la conquete revolutionnaire de son independance. Comme le desordre regnait dans la jeune nation haitienne, Christophe voulut la consolider en lui donnant la forme d'un Etat. C'est pourquoi il tanta de batir un royaume, a ses yeux le seul regime susceptible de doter Haiti de valeurs autonomes. L'edification de la citadelle La Ferriere fut l'ultime symbole de son entreprise. Christophe, cependant, par exces d'idealisme, avait trop exige de son peuple, et son gouvernement s'etait mue en une tyrannic, creusant un profond fosse entre la conscience du roi et celle de sa nation. La philosophic christophienne, valable dans l'ideal, se revele inoperante au niveau de la societe reelle. Aime Cesaire avertit ainsi ses lecteurs que la est le piege tragique ou risquent de tomber les leaders noirs des jeunes nations. On peut done voir dans l'echec du roi Christophe un enseignement qui leur est destine. La signification politico-sociale de cette oeuvre et sa valeur esthetique et litteraire apparaissent en definitive d'egale importance.
著者
草野 源次郎 芝野 真喜雄 渡辺 斉 尾崎 和男
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.123, no.8, pp.619-631, 2003-08-01
参考文献数
37
被引用文献数
4 9

重要薬用資源のウラルカンゾウとスペインカンゾウ(マメ科)について,その優良品種候補を選抜し,国産甘草を実現することを目標にこの研究を開始した.現在研究は進行中であり,目標達成には困難な問題が山積している.しかし,優良品種の候補は選抜できたと結論するに至ったので,現在まで蓄積した知見をまとめて報告する.日本薬局方第14局では,生薬カンゾウ(甘草)Glycyrrhizae RadixはGlycyrrhiza uralensis FisherまたはG.glabra Linneの根及びストロン(走出茎)で,ときには周皮を除いたもの(皮去り甘草)で,グリチルリチン(グリチルリチン酸)2.5%以上を含むと規定されている.前者は中国東北部,中北部,西北部,あるいはモンゴルに自生し,後者は中国西北部,中東,ヨーロッパ諸国,旧ソ連の一部に自生している.甘草の大部分は自生種を採集して調製しているが,乱獲による砂漠化が大きな社会問題になっている.そこで,一部には自生種を計画的に管理する方式の栽培,あるいは種苗からの栽培が試みられている.4)また,わが国の製薬企業によるオーストラリアでの本格的な栽培も行われている.中国政府は2年半前に甘草の輸出禁止令を布告するとともに,甘草の取り扱いを許可制にした.中国ではわが国及び諸外国の数社が参画する形で,付加価値を高めるための製品化も進み,中国から生薬としての甘草輸出は激減している.甘草輸出における最低価格制も噂されている.このことは周辺諸国にも影響を与え,モンゴルにおける乱獲など甘草を取り巻く事情は予断を許さない状況にある.以上の考察から国内で消費する甘草のうち,数%を目標に国産甘草の生産を現実のものにするのが重要であると考えた.国産甘草の生産を試みるために,わが国の環境下で検討することにした.国内生産を目的とする研究では,種苗を外国に依存することは新たな問題を起こす心配がある.そこで,この研究では国内薬用植物園から長年植栽された種苗の分与を受けた.すなわち,これらの中からわが国の環境に適応した種の選抜が期待できると考えたからである.
著者
安岡 劭 中西 嘉巳 藤沢 謙次 林 秀樹 前田 道彦 尾崎 敏夫 北谷 文彦 松崎 圭輔
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.312-320, 1986
被引用文献数
1

気道粘液糖タンパク(粘液)は気道液の粘弾性の中心となる物質で, この作用で粘液一線毛運動に関与している。また, その表面構造は微生物の侵入に対して防御的に働くことも推定されている。気道粘液は主鎖のポリペプタイド部分と側鎖の糖部分から構成されている。フコースとシアル酸はこの気道粘液の側鎖の末端, 従って粘液の表面を占めているため, 粘液におけるシアル酸/フコース比は上述の粘液の物理学的性状や生物活性に関連すると考えられる。本報では, 慢性気道疾患における気道粘液の性状の変動や, 喀痰中のフコースやシアル酸の診断的意義などを解明するため, これら疾患患者の喀痰中のフコースとシアル酸を痰原液と精製気道粘液レベルで分析した。その結果, 粘液痰と膿性痰では, これらの糖の診断的意義が異なることや, 気道粘液の糖側鎖が疾患や薬剤により変動することが示唆された。
著者
儀同 政一 並里 まさ子 熊野 公子 後藤 正道 野上 玲子 尾崎 元昭
出版者
Japanese Leprosy Association
雑誌
日本ハンセン病学会雑誌 = Japanese journal of leprosy (ISSN:13423681)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.65-67, 2004-02-28
被引用文献数
5 1

日本ハンセン病学会は、2000年に「ハンセン病治療指針」<SUP>1)</SUP>発表し、化学療法をはじめ診断と治療、後遺症の予防と治療についてのガイドラインを、2002年には、治療指針に基づいて治療を受けた患者の「ハンセン病治癒判定基準」<SUP>2)</SUP>を示した。ハンセン病の治療は、治療指針またはWHO/MDT(1997)<SUP>3)</SUP>に基づいて治療されるが、すでにMDT3薬中2薬に対しては多くの耐性報告がある。その対応策としてニューキノロン系薬であるオフロキサシン(OFLX・商品名タリビット)が多用された結果、OFLX耐性も増加してきている。厚生労働省「新興・再興感染症研究事業ハンセン病感染の実態把握及びその予防(後遺症の予防を含む)・診断・治療法に関する研究」の一環として、ニューキノロンの使用基準に関する小委員会はOFLXの耐性症例を調査しOFLX耐性の発生を防止する方法を検討した。その結果を踏まえて、小委員会はここにニューキノロンの使用指針を提示する。
著者
尾崎 敦夫 松下 和隆 白石 將 渡部 修介 古市 昌一 佐藤 裕幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CST, コンカレント工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.118, pp.13-18, 2007-06-21

本論文では,移動体が道路網上を移動する道路交通シミュレーションを取り上げ,模擬結果を変えずに移動体間の同期及び模擬コストを低減し実行性能向上を図る,道路交通向け動的タイムステップ制御方式を提案する.本方式を災害シミュレータの代表例であるロボカップレスキューの道路交通サブシミュレータへ適用した結果,酷い渋滞状態がなければ従来方式の約2〜3倍の性能向上が実現できることが確認できた.
著者
尾崎 敦夫 松下 和隆 白石 將 渡部 修介 古市 昌一 佐藤 裕幸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.48, no.13, pp.1-12, 2007-08-15

我々は計算機クラスタ環境上において、航空機、艦船、車両等を主対象とする移動体シミュレーションの高速化手法である、動的タイムステップ制御方式(DTSS: event aware Dynamic Time Step Synchronization method)をすでに考案している。しかし、問題が大規模になった場合には、1 つの計算機上でも多数の移動体を高速に模擬することが求められる。本論文では、移動体が道路網上を移動する道路交通シミュレーションを取り上げ、模擬結果を変えずに移動体間の同期および模擬コストを低減させて実行性能向上を図る、道路交通向け動的タイムステップ制御方式(DTSS-RT: DTSS for Road Traffic simulation)を提案する。本方式を災害シミュレータの代表例であるロボカップレスキューの道路交通サブシミュレータへ適用した結果、ひどい渋滞状態がなければ従来方式の約 2~3 倍の性能向上が実現できることが確認できた。We have already proposed DTSS (event aware Dynamic Time Step Synchronization method) for speeding up moving objects (MOs) simulation, e.g. aircraft, ships, vehicles and so on, in a computer cluster environment. However, speeding up the simulation for a number of MOs on a single processor is required as well, when the problem size is enlarged. In this paper, we propose DTSS-RT (DTSS for Road Traffic simulation), which can speed up the simulation by reducing the simulation cost of each MO and synchronization cost between MOs without changing the simulation result. For evaluating DTSS-RT, we employed a road traffic sub-simulator of RoboCupRescue simulation. The results show that the performance of the simulation based on DTSS-RT is improved approximately 2~3 times over that of the conventional method except when the situation includes a heavy traffic jam.
著者
尾崎 知伸 渡沼 智己 大川 剛直
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.173-182, 2007 (Released:2007-01-25)
参考文献数
43
被引用文献数
1

Recently, the research area of mining in structured data has been actively studied. However, since most techniques for structured data mining so far specialize in mining from single structured data, it is difficult for these techniques to handle more realistic data which is related to various types of attribute and which consists of plural kinds of structured data. Since such kind of data is expected to be going to rapidly increase, we need to establish a flexible and highly accurate technique that can inclusively treat such kind of data. In this paper, as one of the techniques to deal with such kind of data, we propose data mining algorithms of mining classification rules in multidimensional structured data. First, an algorithm with two pruning capabilities of mining correlated patterns is introduced. Then, top-k multidimensional correlated patterns are discovered by using this algorithm repeatedly in the fashion like a beam search. We also show the algorithms for constructing classifiers based on the discovered patterns. Experiments with real world data were conducted to assess the effectiveness of the proposed algorithms. The results show that the proposed algorithms can construct comprehensible and accurate classifiers within a reasonable running time.