著者
山口 剛
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.380-391, 2012 (Released:2013-06-04)
参考文献数
26
被引用文献数
11 9

本研究は, 高校生における英単語学習方略使用の規定要因である, 認知的要因(方略の有効性の認知・コスト感, 学習観)と動機づけ要因(達成目標)のどちらがより方略使用を規定するかを検討した。また, 定期テスト後に方略使用の程度を変えようとするかという方略使用への意志の規定要因も検討した。その際に, 直前に実施された英語の定期テストに対する得点予想の高低における個人差によって規定要因が異なるかについても注目した。予想得点低群(84名), 中群(94名), 高群(112名)に分けて, 「学習方略の実際の使用」と「方略使用への意志」に対する各変数からのパスを仮定したパス解析を行った。その結果, 方略使用には一貫して有効性の認知から有意なパスがみられ, 方略使用への意志には方略使用と有効性の認知から有意なパスがみられた。しかし, 多母集団同時解析によるパス係数の大きさの比較を行ったところ, 得点予想高群はその他の群に比べてテスト前後では方略の使用程度を変えないのに対し, 低群では有効性やコスト感に介入することで使用程度が変わる可能性が示された。教育実践において, 動機づけ要因だけでなく認知的要因にも注目することが重要であろう。
著者
柏木 孝介 貴志 真也 奥田 智史 木村 侑史 川上 基好 小林 啓晋 高崎 恭輔 山口 剛司 鈴木 俊明
出版者
社団法人 日本理学療法士協会近畿ブロック
雑誌
近畿理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.98, 2008

【目的】今回、試合中のバッティング動作において、腰痛を発症した高校野球選手のバッティングフォームを三次元動作解析したので、フォームと腰痛発症要因の関係について若干の考察を加え報告する。<BR>【対象】本研究に同意を得た年齢18歳の高校野球選手で右投げ右打ちの外野手である。試合のバッティング時に内角低めを空振りして腰痛発症し、腰部椎間板障害の診断を受け、3ヶ月の理学療法により症状消失した症例である。<BR>【方法】野球のティーバッティング動作を6台の赤外線カメラ(180Hz)を有する三次元動作解析装置UM-CAT_II_(ユニメック社製)を使用して分析した。そして、内角・外角の2コースを設定し、各コースのティーバッティング動作における腰部の回旋と脊柱の側屈の動きについて測定した。腰部の回旋や側屈は、15ヶ所に貼付したマーカーのうち両肋骨下縁のマーカーを結んだ線(胸郭線)に対する両上前腸骨棘を結んだマーカーの線(骨盤線)のX軸に対する水平面上の回旋や前額面上の傾きで計測した。回旋は上から見て反時計回りを左回旋とした。また、腰椎の回旋は骨盤線に対する胸郭線の回旋とした。側屈は後方から見て骨盤線が胸郭線に対し反時計回りに傾いた状態を左凸の右側屈とした。<BR>【結果】バッティングにおける体幹の動きは、内角や外角のボールを打つのに関係なく軸脚加重期(ステップ足が離床から膝最高点)では右凸の左側屈・右回旋、踏み出し期(ステップ側の膝最高点からステップ足の床接地)では左凸の右側屈・腰椎右回旋(骨盤左回旋>胸郭左回旋)、スウィング期からフォロースルー期にかけては左凸の右側屈と腰椎左回旋(骨盤左回旋<胸郭左回旋)を行う。内角と外角のボールを打つときのバッティングフォームの違いは、スタンス期の左側屈角度、スイング期、フォロースルー期における体幹右側屈角度と腰椎回旋角度が内角を打つ動作より外角を打つ動作のほうが大きかったことである。<BR>【考察】今回行ったティーバッティング動作の体幹の動きについての分析では、内角のボールを打つときにくらべ、外角のボールを打つときには体幹の側屈角度や回旋角度は大きくなった。このことから、関節角度が大きくなる外角のボールを打つ動作は、腰椎へのストレスが大きく障害発生の危険性が高いと思われる。しかし、今回の症例では、内角のボールを打つ際に空振りをして腰痛発症している。これは、脊柱の動きが少ない内角打ちを空振りしたため脊柱の動きが急に大きくなり、関節中心軸から逸脱した腰椎回旋を生じ腰痛を発症したと考えられる。今後は、実際にボールを打ったときの脊柱の動きと空振りをしたときの脊柱の動きについて検討する必要があると思われる。
著者
山口剛玄著
出版者
東京書店
巻号頁・発行日
2008

1 0 0 0 空手道教範

著者
山口剛玄著
出版者
東京書店
巻号頁・発行日
1998
著者
山口剛玄
出版者
栄光出版社
巻号頁・発行日
1966
著者
山口剛玄著
出版者
成美堂出版
巻号頁・発行日
1984
著者
山口 剛史 中込 一之 宇田川 清司 高久 洋太郎 佐藤 長人 杣 知行 萩原 弘一 金澤 實 永田 眞
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.657-664, 2009-06-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
19

【背景】局所麻酔薬に対する副反応は,しばしば,局所麻酔薬アレルギーと診断されているが,これらのほとんどは非アレルギー性の機序によることが明らかとなっている.【方法】局所麻酔薬に対する副作用の既往があり,歯科治療を予定している20名に対し,リドカインなどの局所麻酔薬に対する,皮膚テスト(プリックテスト,皮内テスト)及び漸増皮下注射で行うチャレンジ・テストにより,局所麻酔薬アレルギーの有無について評価した.【結果】17名(85%)で,リドカインに対する即時型アレルギー反応が陰性であった.これらの症例では,同薬による局所麻酔が可能となった.一方,3名(15%)ではリドカインに対して陽性反応を示した(プリックテストで1名,皮下注射で2名).【結語】局所麻酔薬アレルギーが疑われた患者における,局所麻酔薬に対する即時型反応の頻度は少ないが稀ではないと考えられる.従って,局所麻酔薬アレルギーを確認する診断アプローチは,臨床的に重要であり,今後はより多くの集団を対象に検討する必要があると思われる.
著者
山口 剛
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究
巻号頁・発行日
2018
被引用文献数
6

<p>Previous studies have shown a positive correlation between the use of a learning strategy and perceived benefits. However, the impact of perceived benefits as conditional knowledge in metacognitive knowledge has not been examined. The present study investigated the effect of perceived benefits about when (short and long) and how (persistent and suitable) to use learning strategies using two surveys. Each survey utilized a sample of undergraduate students from three different Japanese universities, and the Bayesian hierarchical modeling and within-person variance were used to verify the relationship between the use of a learning strategy and perceived benefits. The students completed questionnaires regarding cognitive (Survey 2a) and metacognitive (Survey 2b) strategies (Survey 1 included two strategies), and achievement goals (without Survey 1). Findings revealed the effects of long-term and short-term persistent perceived benefits on the use of a learning strategy in all the surveys. These results suggest that persistent benefits be emphasized in order to promote the use of learning strategies, and that the appropriate perceived benefits be emphasized in order to become an adaptive learner.</p>
著者
樋口 宗史 山口 剛 仁木 剛史
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.127, no.2, pp.92-96, 2006 (Released:2006-04-01)
参考文献数
16
被引用文献数
2 3

摂食行動は中枢視床下部摂食中枢の神経細胞に存在する10種あまりの摂食関連神経ペプチド遺伝子の発現により精密に調節されている.その主体をなすものは視床下部弓状核にある摂食誘導性のNPY/AgRP神経と摂食抑制性のα-MSHを産生するPOMC(proopiomelanocortin)神経の拮抗的支配であることが明らかになってきた.NPYは弓状核NPY-Y1とY5受容体を介して最も強い摂食誘導を引き起こす中枢内在性の神経活性ペプチドである.絶食負荷は摂食行動を強く誘導するが,これは末梢での血糖,インスリン,レプチンの低下が摂食中枢の神経ペプチドNPY/AgRP遺伝子転写を誘導し,逆に摂食抑制性のPOMC,CART遺伝子を抑制することに依る(血糖恒常説,脂肪恒常説).摂食関連ペプチド群の中でNPY遺伝子発現系が摂食調節にどのように関わるかを調べるために,NPY-Y5受容体ノックアウトマウスの摂食行動と脳内摂食関連ペプチド遺伝子発現の変化が調べられた.急性投与ではNPY受容体Y1,Y5アンタゴニストはそれぞれ摂食行動を有意に抑制するが,NPY-Y5受容体の生後よりの持続的遮断を反映するY5受容体ノックアウトマウスでは逆に特徴的な肥満と,それに伴う自由摂食時と絶食負荷時の摂食量の増加が認められた.自由摂食時の視床下部弓状核でのNPY遺伝子発現は著しく減少していたが,摂食抑制性のPOMC遺伝子発現は弓状核で有意に減少していた.絶食負荷時にはこれらの遺伝子発現の変化が増強された.NPY受容体ノックアウトを用いた実験から,NPY神経系が持続性遮断されるような状態では他の摂食関連遺伝子発現,特にPOMC遺伝子発現が視床下部摂食中枢で代償的に変化する代償機構の存在が明らかになった.
著者
所 功 川北 靖之 黒住 祥祐 小林 一彦 宮川 康子 若松 正志 海野 圭介 山口 剛史 飯塚 ひろみ 石田 俊 今江 廣道 宇野 日出生 岸本 香織 京條 寛樹 久世 奈欧 (野村 奈欧) 嵯峨井 建 笹部 昌利 篠田 孝一 宍戸 忠男 末松 剛 土橋 誠 橋本 富太郎 松本 公一 村山 弘太郎 山本 宗尚 吉野 健一 米田 裕之 若杉 準治
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

近世(江戸時代)の賀茂大社(上賀茂・下鴨両社)では、世襲の社家神職たちにより、朝廷と幕府の支援をえて、葵祭や社務が運営されてきた。私共は、その実情を伝える社家の記録や祭礼の絵巻などを、朝廷の御記や公家の日記などと照合しながら、相互関係の解明に努めた。その成果は、本学日本文化研究所の紀要や所報などに発表し、また本学図書館所蔵の賀茂関係絵巻などは大半をデジタル化し詞書(ことばがき)の解読も加えて貴重書アーカイブスに公開している。
著者
山田 千夏 朱宮 哲明 山口 剛 山田 慎吾 白石 真弓 柳田 勝康 中村 崇仁 梅田 巧 伊藤 美香利 尾崎 隆男
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.106-111, 2013 (Released:2013-10-09)
参考文献数
6

当院では2010年に,がん化学療法中の入院患者の給食として8日間サイクルの化学療法食を導入し,現在までに258名に提供した。今回,2011年10月~2012年3月の6か月間に化学療法食を提供した23名 (肺癌8名,急性骨髄性白血病5名,悪性リンパ腫3名等) に食事のアンケート調査を行ない,その結果を基に幾つかの改善を行なった。 食べ易さに対する回答では,96%の患者が食べ易いと評価した。食事量については,朝食について29%の患者が少ないと回答し,昼食と夕食については83%の患者がちょうどいいと回答した。食べ難かった料理では,「冷たい茶碗蒸し」と回答した患者が7名と最も多く,その他の料理では魚料理が食べ難い傾向がみられた。 アンケート結果を基に,朝食量を増量すると共に,「冷たい茶碗蒸し」の献立を「温かい茶碗蒸し」に変更した。また,魚の臭いを抑えるために「煮付け」と「蒸魚」の献立を「蒲焼き」と「あんかけ」に変更した。今後も調査を継続し,より多くの患者に対応できる化学療法食を目指したい。
著者
山口 剛 山田 義法 佐野 常世
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.47, pp.385-386, 1993-09-27

電力会社では、電力供給信頼度の向上を目指した設備形成を進めているが、万一事故が発生した場合にも、事故区間を最小に抑えるとともに、需要家からの間合せに対しても迅速に対応することが求められている。現在、事故が発生した場合、停電している地域・需要家、事故原因、復旧予定時間などの情報は、供給システムや事務処理システム等の各種システムに分散しているため、需要家からの問合せに迅速に対応することが難しい状況にある。既に当社では、住宅地図と需要家情報を連係した地図システムを開発しているが、このシステム上に架空配電線の設備情報・系統情報・開閉器状態などの情報を取り込み、停電地域の推論を行うことで、タイムリーな情報把握・地図上への停電地域表示ができるマッピングシステムを検討している。架空配電系統は、開閉器を介して編目状に接続しており、供給障害を最小にするよう開閉器を操作する。そのため、開閉器状態が頻繁に変化するので、その間に停電区間を高速に特定しなけれぱならない。そこで、今回、電気的に同一条件となる配電線区間を「区間クラス」とし、それらを連結する開閉器の種類や状態により推論ができる「区間管理法」による「停電管理システム」を検討したので、その概念モデルについて報告する。
著者
山口 剛史 井島 亮一 塚本 和也 樫原 茂 尾家 祐二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.628, pp.293-298, 2006-02-23
被引用文献数
3

近年の無線LANの急速な普及に伴い,今後は複数の通信事業者が提供する公衆無線LANサービスが混在し,互いにオーバラップすることで,ユビキタス環境が形成されると予想される.このようなユビキタス環境では,(1)端末の移動,及び(2)干渉による通信品質の劣化が頻繁に発生すると考えられる.そのため,これらの品質劣化を適切に検知し,より良い通信品質を提供可能な無線LANヘハンドオーバすることが重要となる.先行研究ではハンドオーバ決定指標に着目し,既存のハンドオーバ決定指標の問題点に言及した上で,フレーム再送回数の有効性をシミュレーション実験により示した.しかし,電波の再現性などの問題から,電波強度との比較実験は行っていない.そこで,本論文では実環境においてFTP通信とVoIP通信を用いて,(1),(2)の検討項目に関して実験を行い,その結果からハンドオーバ決定指標としての電波強度の問題点とフレーム再送回数の有効性を明らかにする.