著者
山崎 正勝
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.56, no.8, pp.584-590, 2001-08-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
17

日本は第二次世界大戦期に核兵器を開発しようとした国の一つだったが,その正確な実態は,これまでほとんど知られてこなかった.計画に参加した物理学者たちの研究資料を分析することで,最近,彼らが行った研究の内容が次第に明らかになりつつある.ここでは,特に理化学研究所の人々が構想していた「ウラニウム爆弾」が,原子炉暴走型の爆弾構造であったことが示されている.
著者
山崎 正勝
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.71, no.12, pp.848-852, 2016-12-05 (Released:2017-10-31)
参考文献数
22

変わりゆく物理学研究の諸相 ―日本物理学会設立70年の機会に日本における物理学研究の転換点をふりかえる―平和問題と原子力:物理学者はどう向き合ってきたのか
著者
大橋 一智 上田 浩史 山崎 正利 木村 貞夫 安部 茂 山口 英世
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.112, no.12, pp.919-925, 1992-12-25
被引用文献数
19

The biological activity of a preparation of heat killed cells of Enterococcus faecalis, FK-23 which was isolated from the feces of a healthy human, was investigated in C3H/He mice. Intraperitoneal injection of the preparation caused an accumulation of neutrophils and macrophages in the peritoneal cavity of the mice 6 h later. As a parameter of the activation of macrophages, the effect of the FK-23 preparation on the production of tumor necrosis factor (TNF) was examined. The mice were given two consecutive intravenous injections of the preparation at a dose of 10μg/mouse and, 3 h later, of 300μg/mouse. The TNF level in the sera reached 99 U/ml in mice 2 h after the second injection. This preparation also stimulated peritoneal macrophages to produce TNF in vitro and increased the capacity of neutrophils to adhere to plastic plates and to release active oxygens, but did not induce blastogenic transformation of lymphocytes. These results suggest that the FK-23 preparation is a biological response modifier (BRM) with various activities on phagocytes similar to a streptococcal antitumor agent, OK432.
著者
山崎 正勝 雀部 晶 日野川 静枝 管 耕作 道下 敏則 藤村 淳
出版者
東京工業大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1984

1.史料収集:米国立公文書館等より市販されている原爆開発関係資料については、基本的に入手を終えた。主なものは、MED、ハリソン-バンディ、トップ・シークレット各ファイル、AEC関係資料、スチムリン日記などである。またブッシュ・コナント・ファイルの一部は、ゼロックス複写を得た。シカゴ治金研究所、ロスアラモス研究所関係の技術報告書の写しについても、重要資料については入手した。企業関係のものは、入手上の制約のため、デュポン社関係の一部を入手したに止まった。米国以外のものは、上記資料に含まれているものの他に、英国、日本における技術資料の一部を入手した。2.史料分析:爆弾構想の起源とその成立条件は、U、Pu爆弾についてほぼ全面的に明らかにされた。また、これと政策決定との相関についても明確となった。研究開発方式の選択・決定における軍の介入と科学者側との齟齬の問題については、その一部が明らかにされた。研究開発の諸側面については、軍事的要請が技術的変型を生んだ点がとくに注目され、平時では現実しない技術体系が、ウラン電磁分離法、プルトニウム分離における沈澱法、大型ウラン爆弾、大型インプロージョン装置などの採用と開発として、実現化したことが示された。投下目標については、政策決定者レベルでは、43年末まではドイツと日本が並列的に設定され、44年に、ドイツでの原爆開発が未完であることの察知と前後して、対日投下に一元化されたことが明らかにされた。また、投下の事前予測は相当正確になされたものの、その目的が実験と実戦使用における味方人員の安全確保におかれたため、不完全に終ったことが示された。科学者の動員、対応については、科学者がいくつかの階層構造を持つ点から分析が行われた。
著者
井上 薫 山崎 正之
出版者
東海大学
雑誌
東海大学紀要. 工学部 (ISSN:05636787)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.19-22, 2006-03-31

Some students in their study of wave motion have asked us "could you explain the contradiction that exists between the principles of superposition of waves and the energy conservation law?" We will answer the question in this paper. This question arises from their focusing only on either the constructive or destructive aspect of superposition of waves. They must pay attention to both aspects of superposition.
著者
山崎 正勝 菅 耕作 日野川 静枝
出版者
東京工業大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1988

(資料収集)今回、新たに入手した文書としては、米国ではロスアラモス研究所関係、英国ではO.フリッシュ、R.パイエルスの第二メモ、仏国ではジョリオ・キュリ-関係のものが代表的なものである。このうち後二者は、本研究でわが国では初めて入手されたもので、原爆問題をそれぞれの国の科学者たちがどのように考えていたかを知るうえで重要な文書である。また、日本の資料にもついても、GHQ関連の文書を入手した。(資料分析)(1)上記資料の入手により、シラ-ドら米国科学者と、仏、英の科学者の原爆に体する対応の共通性と相違点が明らかにされた。(2)シカゴ大学治金研究所の成立過程については、従来不明な点が多かったが、原資料の分析を通じて幾つかの重要な側面、例えば、同研究所が軍事研究所であったにもかかわらず、大学附置となったことによって、それまでの大学内の自治的な研究慣行が維持された、などが明らかにされた。(3)ロスアラモス研究所での原爆の研究開発過程についても、技術的開発過程を追うことによって、ウラン爆弾とプルトニウム爆弾の開発の競合の基本的過程が明らかになった。その中でとくに重要な点は、初期の砲撃型プルトニウム爆弾、スインマンの開発の挫折とその放棄で(44年夏)、これによって対独使用が技術的に不可能となり、対日投下が決定的となったことが示された。
著者
山崎 正勝 栗原 岳史 中尾 麻伊香
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

1954年3月の米国のビキニ水爆実験によって、第五福竜丸の乗組員が放射線被害を被った。その実態は、自らも調査に関わった当時大阪市立医科大学助教授だった西脇安によって各国に伝えられた。本研究では、遺族から提供された資料などの分析で、次のことが明らかにされた。(1)1954年の西脇の欧州訪問は、大阪の原水爆禁止運動が財政的に支えたこと。(2)訪欧中のジョセフ・ロートブラットとの出会いが、1955年の「ラッセル・アインシュタイン宣言」の重要なきっかけを与えたこと。(3)1957年のソ連及び東欧訪問でその影響が広がったこと。(4)1959年の訪米によってライナス・ポーリングの反核運動を支えたこと。
著者
山崎正友著
出版者
第三書館
巻号頁・発行日
2001
著者
柘植 弘光 原 友紀 道信 龍平 池田 和大 十時 靖和 井汲 彰 小川 健 西浦 康正 吉井 雄一 山崎 正志
出版者
日本肘関節学会
雑誌
日本肘関節学会雑誌 (ISSN:13497324)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.105-107, 2021 (Released:2021-11-26)
参考文献数
6

目的:大学硬式野球部員59名にメディカルチェックを実施し,肘スポーツ障害の特徴について検討した.方法:問診票で現在の症状の有無や既往歴を確認し,検診では上下肢体幹の可動域,筋力に加え,肩肘について圧痛,moving valgus test,尺骨神経の診察などを行った.55例に肘のMRIを実施し,UCL損傷を調査した.MRIでUCL損傷ありと判断された選手の肘内側障害や肩障害にについて解析した.結果:肘のMRIで70.1%にUCL損傷を認め,そのうち69.2%は無症状であった.肘内側症状のあるUCL損傷群は,それ以外の選手群と比較して肩外旋可動域の制限や肩甲下筋筋力の低下がある傾向があり,肩のインピンジメント徴候が多い傾向があった.考察:大学野球選手には無症候性UCL損傷所見が多くみられた.また有症状のUCL損傷群は肩の不調を併発する傾向がみられた.
著者
山崎 正勝
出版者
日本科学史学会
雑誌
科学史研究 (ISSN:21887535)
巻号頁・発行日
vol.58, no.290, pp.162-177, 2019 (Released:2021-01-24)

The "Russell-Einstein Manifesto" issued in 1955, a year after the Bikini incident, called upon the world for the abolition of nuclear weapons and war. It is well known that a similar assertion was made in a journal article in 1946 by Yoshio Nishina, one of Japanʼs prominent nuclear physicists who officially studied the damage of the atomic bombings of Hiroshima and Nagasaki. This paper shows that there were a wide range of arguments in Japan for the abolition and/or renunciation of war in the immediate aftermath of the atomic bombings. Naruhiko Higashikuni, the first Prime Minister after Japanʼs surrender, suggested the idea of "Peaceful Country Japan [Heiwa kokka Nippon]." Tanzan Ishibashi, an influential journalist and future Prime Minister in the 1950s, witnessed a drastic change in international relations caused by the atomic bomb, calling for Japan to become a "warrior for world peace [Sekai heiwa no senshi]." Kanji Ishihara, a former Army lieutenant general and military philosopher, understood that the emergence of atomic bombs and the pursuit of world peace under the United Nations after World War II as a sign of "world political unity [seijiteki sekai toitsu]" that he had anticipated prior to the war. Realizing that the atomic bomb had changed the way of war, Kijuro Shidehara, Prime Minister after Higashikuni, spoke to Supreme Commander of the Allied Forces Douglas MacArthur of the necessity of abolishing and renouncing war. MacArthur incorporated this idea into his demands concerning Japanʼs constitutional revision. All these individuals foresaw the meaning of Article 9 of the Japanese Constitution in the context of the nuclear age, hoping that Japan would be a pioneer of war abolition and renouncement.
著者
山崎 正勝
出版者
日本科学史学会
雑誌
科学史研究 (ISSN:21887535)
巻号頁・発行日
vol.29, no.175, pp.167-171, 1990 (Released:2021-08-30)

In his letter to Guidobardo Del Monte in 1602, Galileo Galilei claims that he derives the law of conjugate chords, Prop. 36 in Two New Sciences III. M. Yoshinaka, W. L. Wisan and S. Ito suggest that Galileo obtains the law of conjugate chords from the mean proportional theorem just like in Two New Sciences. In this paper it is shown that the law of conjugate chords can be derived from the theorem of De Motu. The historical significance of the laws of chords and conjugate chords is discussed and it is maintained that these laws are the link that joined old Aristotelian to new Newtonian dynamics.
著者
山崎 正勝
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.56, no.8, pp.584-590, 2001-08-05
参考文献数
19

日本は第二次世界大戦期に核兵器を開発しようとした国の一つだったが,その正確な実態は,これまでほとんど知られてこなかった.計画に参加した物理学者たちの研究資料を分析することで,最近,彼らが行った研究の内容が次第に明らかになりつつある.ここでは,特に理化学研究所の人々が構想していた「ウラニウム爆弾」が,原子炉暴走型の爆弾構造であったことが示されている.