著者
寺田 雅徳 寺岡 文男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MoMuC, モバイルマルチメディア通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.44, pp.51-58, 2012-05-14
参考文献数
9

現在,東海道新幹線では漏洩同軸(LCX)システムを利用して新幹線車内に安定性の高いインターネット接続環境を提供している.当研究室では1Gbpsの通信速度を提供するために高速ハンドオーバ手法を用いた赤外線(IR)システムについての研究を行ってきた.本稿では通信速度の高速化と対故障性を備えたシステムの実現のため,IRシステムとLCXシステムの協調について考察した.協調のため,既存のLCXシステムにIRシステムを導入するためのシステム構成と,システム切り替えのためにNetwork Mobility Basic Support Protocolを拡張した機構を提案した.提案方式をLinux上に実装し,実験ネットワークを構築してハンドオーバ時間を測定したがその時間は十分短いことがわかった.
著者
田原 淳子 真田 久 嵯峨 寿 近藤 良享 建石 真公子 舛本 直文 師岡 文男 來田 享子
出版者
国士舘大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

オリンピック競技大会を招致する上で、国際オリンピック委員会(IOC)から求められる諸条件と評価される点について最近の動向を明らかにした。さらに、日本における過去のオリンピックの招致活動をその後の状況を含めて検証し、問題点と評価される点を明らかにした。将来のオリンピック競技大会を招致、開催するにあたり、重視すべき観点は、環境・人権・教育の3 点に集約された。
著者
佐藤 友範 渡邊 大記 林 和輝 近藤 賢郎 寺岡 文男
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:21888647)
巻号頁・発行日
vol.2019-EIP-85, no.18, pp.1-8, 2019-09-12

第 5 世代移動通信方式 (5G) では超高信頼低遅延通信や大容量モバイル通信などの高機能な通信サービスが提供され,自動運転や高精細な拡張現実感 (AR) のようなサービスが普及すると考えられている.本稿はエッジサーバ,フォグサーバ,クラウドサーバを含むような 5G コアネットワークを 1 台の計算機のように見せる処理基盤として Application Function Chaining (AFC) を提案する.AFC は高精細 AR のようなアプリケーションを小機能(Application Function; AF) ごとに分割し,AF の連接によってアプリケーションを構成する.アプリケーションは Pub/Sub 方式または HTTP リクエストにより AFC を利用する.AFC 内ではアプリケーションメッセージ単位で AF が適用される.本稿では,プロトタイプ実装により AFC の基本性能を評価した.AFC の確立では AF の設置よりも AF の連接にかかる時間的オーバーヘッドが大きく,AFC 上でのデータ通信ではアプリケーションメッセージ長が10KB 以上の場合で 90% 以上の帯域使用率となった.
著者
日下部 俊吾 渡邊 大記 近藤 賢郎 寺岡 文男
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとパーベイシブシステム(MBL) (ISSN:21888817)
巻号頁・発行日
vol.2019-MBL-90, no.17, pp.1-6, 2019-02-25

我々は赤外線で高速列車内の Wi-Fi ネットワークに高速インターネット環境を提供する研究を続けている.列車走行時ハンドオーバにより周期的バーストパケットロスが発生する.そこで我々は 2014 年にバーストパケットロスが Streaming Application に与える影響について調査した.その後様々な環境が大きく変化した.トラフィックが増大し通信端末が多様化した.HTTP2 や QUIC 等の新たなプロトコルが台頭しプロトコル環境が変化した.それにより高速列車での Streaming Applicationに要求される通信品質が高まっている.本稿では高速列車でのハンドオーバを模擬したネットワークを構築し Streaming Application の特性を評価した.プラットフォーム毎に周期的バーストパケットロスのパラメータを変更し脆弱性を検証した.各 Streaming Application のプロトコルの違いや特徴を分析した.周期的バーストパケットロスヘの耐性は向上しており実環境でのハンドオーバの中で十分に QoE を満たす.
著者
桐山 沢子 谷山 健太 藤巻 聡美 岡田 耕司 湧川隆次 寺岡 文男 中村 修
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告高度交通システム(ITS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.116, pp.75-81, 2007-11-22
被引用文献数
2

近年,次世代無線技術として広範囲・高速通信サービスを提供できる WiMAX が注目を浴びている.慶應義塾大学ではその適合性を検証するためにモバイル WiMAX (IEEE 802.16e) のテストベットを構築し,実証実験を行っている.本論文では,モバイル WiMAX 上で IP モビリティサービスを提供できるかどうかを検証するために,モバイル WiMAX 上での IPv4 や IPv6,Network Mobility の通信品質やモバイル WiMAX と Wi-Fi 間でのメディアハンドオーバ時の通信品質に関しての評価を行った.その結果,WiMAX 上で Network Mobility を動作させることに成功したが,将来 WiMAX 上で IP モビリティサービスを提供するには IPv6 ネイティブやシームレスハンドオーバといった技術が必要である.WiMAX provides broad coverage area and high bandwidth. It is one of the candidates for the next generation wireless technologies. A mobile WiMAX testbed is operated in Keio University and we have started demonstration experiment in order to investigate IP compatibility of this next generation wireless system. In this paper, we analyze the measured data of network performance of IPv4, IPv6 and Network Mobility over mobile WiMAX and that of media handover performance between mobile WiMAX and Wi-Fi on our real testbed. As a result, although we successfully operated the Network Mobility protocol over WiMAX, we need more efforts such as IPv6 native service over WiMAX and seamless handover IP technology support to acheive the future IP mobility service over WiMAX.
著者
寺岡 文男
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.2_3-2_14, 2011-04-26 (Released:2011-06-26)

インターネットにはさまざまな新しい技術がいわば“つぎはぎ”のように追加されて発展してきた.このままではインターネットは破綻を来してしまうという危惧から,インターネットを一から設計し直そうという考え方(clean slateアプローチ)が2000年ころから出てきた.本稿ではclean slateアプローチに基づいて設計されたネットワークを“新世代ネットワーク”と呼ぶこととし,新世代ネットワークに関するいつかの研究を,(1)ネットワークアーキテクチャ,(2)ネットワーク仮想化,(3)超広帯域ネットワーク,という3つの観点から紹介する.
著者
斉藤 俊介 寺岡 文男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.354, pp.19-24, 2003-10-08

本稿では,無線ネットワーク環境に適したトランスポートプロトコルTCP-JをNetBSD1.6.1-Releaseのカーネル内に実装し,dummynetにより無線区間をエミュレートすることで既存のTCPとの性能比較を行った.その結果,TCP-Jは無線リンクでのランダムなセグメント損失率が2×10^<-2>のとき,NewRenoと比べて約128%,SACKと比べて約100%のスループット向上んを得ることができた.また,TCP-Jはセグメント損失率が0の場合は従来TCPと公平にバンド幅を分け合い,セグメント損失率が増加して従来TCPのスループット低下によって無線リンクの上のバンド幅に空きができた場合には,他のTCP通信を圧迫せず,その帯域を有効利用してスループットを改善できることが分かった.
著者
近藤 賢郎 寺岡 文男
雑誌
研究報告高度交通システムとスマートコミュニティ(ITS) (ISSN:21888965)
巻号頁・発行日
vol.2018-ITS-73, no.39, pp.1-6, 2018-05-17

近年OpenFlow, segment routing,network service header に代表される要素技術をもとに最短経路に基づかない end-to-end の通信路をプログラマブルに構成するトラフィック ・ エンジニアリング (TE) 手法の開発が盛んである.しかし,これらの TE 手法では network service provider (core entity) と application service provider (end entity) 間でのセマンティクスの共有がなされず,core entity は endentity のセマンティクスに基づかない通信路しか形成できない.また end entity による通信路構築が適切かを core entity で検証する機構も存在しない.本稿では,インターネットに代表される Open Network 環境を対象とする,core entity と end entity との間でのセマンティクス共有を前提としたTE手法を提案する.共通のセマンティクス理解する entity 群は closed な overlay network (vAS: virtualized autonomoussystem) に属する.vAS では end entity と core entity の双方のセマンティクスを考慮した end-to-end の通信路が構成され,その通信路に従ってパケットは転送される.vAS 上でのパケット転送は既存の OpenNetwork 環境のパケット転送に failover 可能なので,end-to-end に渡った柔軟な通信路形成とその到達可能性が両立する.
著者
渡辺 恭人 竹内 奏吾 寺岡 文男 植原 啓介 村井 純
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.234-242, 2001-02-15
被引用文献数
10

プライバシ保護を実現した地理位置情報システム(GLIシステム)を提案する.我々が提案しているGLIシステムは,インターネットに接続している移動体の地理位置情報を地球規模で管理するものである.位置登録者は自分の位置をサーバに登録し,検索者は移動体の識別子を鍵とした位置検索,および地理的領域を鍵とした移動体検索が可能である.GLIシステムは地球規模での動作を可能とするため,サーバの階層化による分散管理を導入している.本論文で扱うプライバシ保護とは,第三者による移動体の特定防止,位置特定防止,追跡防止,なりすまし防止およびインターネットにおける盗聴防止,データ改竄防止である.さらにサーバが管理するデータベースの盗難も考慮する.移動体の識別子としてHID(hashed ID)を導入することにより,信頼関係のある検索者のみに移動体の特定,位置特定,追跡を可能とし,信頼関係のない検索者には統計情報のみの利用を可能とする.なりすまし防止のため位置登録サーバを導入し,移動体の認証を行う.インターネットにおける盗聴防止および改竄防止にはIPsecを利用する.本論文では,プライバシ保護を実現したGLIシステムの性能も見積もる.We propose the Geographical Location Information (GLI)System with Privacy Proection.The GLI System we propose provides a way to manage geographicallocation information of mobile entities in the worldwide scale.Mobile entities regiter their location information withservers. Searching clients are able to look up location of mobileentities using specified identifier as a search key and look upidentifiers of mobile entities using speified geographical region as a search key. The GLI System has a distributed management method inorder to be scaled to the world.In this paper, we introduce HID (Hashed ID) to the GLI System forprivacy preservation. The privacy preservation means that a mobileentity must not be identified by unknown persons, the location ofa mobile entity must not be realized, and it is impossible to track amobile entity. We designed the new architecture of GLI System andestimate performance.
著者
厚谷 有輝 金子 晋丈 寺岡 文男
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.849-864, 2014-02-15

本論文はインターネットを通して提供される様々なサービスに対し,統一的な認証認可の仕組みを実現する汎用認証認可基盤ヤマタノオロチを提案する.汎用の認証認可基盤には"マルチドメイン環境で多様な認証方式をサポートすること","サービスによらないアクセス制御を実現すること","基盤の負荷を少なくしてスケーラビリティを確保すること"の3つが要求事項としてあげられる.本論文で提案するヤマタノオロチはこれらの要求事項を満たすような認証と認可の機能を提供するシステムである.AAAプロトコルのDiameterと認証フレームワークのEAPを利用することで,ユーザ情報の一元化とマルチドメイン認証を可能とした.またKerberosやXACMLを参考にしたチケットシステムを設計し,サービスによらないアクセス制御とスケーラビリティの確保を実現した.これらの設計に基づいて実装したシステムが複数のインターネットサービスにおいて正しく動作することを検証し,認証および認可の処理時間も実用上問題ない時間で処理が完了することも確認した.This paper proposes Yamata-no-Orochi, an authentication and authorization infrastructure for Internet Services. On the authentication and authorization infrastructure, service providers must authenticate users and authorize them by checking their privilege information. And the users obtain personalized services as specified by their privileges. A future authentication and authorization infrastructure should focus on "multi-domain extensible authentication", "service independent access control", and "high scalability". For multi-domain extensible authentication, Yamata-no-Orochi uses Diameter base protocol and Extensible Authentication Protocol (EAP). For service independent access control and high scalability, Yamata-no-Orochi introduces a ticket mechanism inspired to the Kerberos procedure and the XACML policy treatment. The evaluation results showed that all the authentication and authorization processes worked correctly and the processing time was short enough for practical use.
著者
田原 淳子 嵯峨 寿 真田 久 建石 真公子 舛本 直文 三浦 裕 師岡 文男 來田 享子 荒牧 亜衣
出版者
国士舘大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

人類にプラスになるレガシー(遺産)をもたらす持続可能なオリンピックについて調査・検討を行った結果、オリンピズムの現代的解釈のもとに、大会を含むオリンピックムーブメント全体の見直しが肝要であり、具体的には、人権保障の遵守、競技種目の実施形態の多様化、All for Sports for All概念に基づくスポーツの普及・推進、自然と人的・社会的環境への配慮、オリンピズムを核とした、国際教養としてのオリンピック教育の普及・推進と文化プログラムの展開、計画的なレガシー創造とその活用等を、グローバルにローカルを加えた「グローカル」な視点で展開することが求められるとの結論が導かれた。
著者
植原 啓介 湧川隆次 佐藤 雅明 渡辺 恭人 砂原 秀樹 寺岡 文男 村井 純
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.286-296, 2001-02-15
被引用文献数
6

現在の自動車の情報システムは,サービスごとにセンタシステムや通信基盤を含んだ独立したシステムとして構築されており,新たなサービスを始めるためのコストが高い.そこで我々は,安価にサービスを実現するための基盤として,通信部分をサービスから分離したインターネット自動車システムを提案している.本稿では,インターネットを利用した自動車用通信システムを設計・実装した.このシステムは,高速移動する自動車に安定したInternet Protocol(IP)通信環境を提供するため,インタフェース切替え等の新技術を導入している.車載コンピュータのハードウェアおよびインターネット自動車システムを基盤としたアプリケーションソフトウェアを開発し,実走行環境での実験を行った.実験では,複数の無線通信媒体が切り替わる環境において,連続的に安定したIP通信機能が実現できることが分かった.この結果,今回構築したシステムが自動車の情報化に十分利用できることが検証された.In current information systems for automobiles, each service is an independent system including its own communication system.For this reason it is costly to start a new service.In this paper, to realize an afordable service, we propose a new information system called InternetCAR.In this system the communication system and the service has been seperated.This paper describes the design and implementation of a automobilar communication system which utilized the Internet.The system makes use of interface switching and other new technologies to provide stable IP connectivity for automobiles moving at high speeds.On-board hardware and application software based on the InternetCAR system have been implemented and evaluated in an actual situation environment on board a moving car.The experiments proved that it was possible to provide stable IP connectivity in an environment where different wireless communication mediums are constantly being switched.As a result,it can be said that this system has the ability to safely and reliably connect automobiles to the Internet.
著者
寺岡 文男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.137, pp.15-20, 2008-07-17

我々はクロスレイヤアーキテクチャCEALを提案しており、これをネットワークレイヤにおける高速ハンドオーバ、TCPにおけるハンドオーバ時の最適な輻輳制御、SCTPにおける高速フェイルオーバや高速ハンドオーバなどに応用している。本稿はこれらの技術について概略を紹介する。
著者
原 史明 沼田 雅美 植原 啓介 砂原 秀樹 寺岡 文男
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.3112-3123, 2006-12-15
被引用文献数
7

ユーザの位置情報に基づき,インターネットを利用した様々な位置情報サービスが実用化されている.しかし,より利便性の高い位置情報サービスを提供するためには,多様な位置測位デバイスに対応することに加えて,多様な位置の表現形式(空間参照系)に対応する必要がある.そこで本論文はインターネット上で汎用的に位置情報を取り扱う機構であるUniversal Location Platform(ULP)を設計・実装する.ULP は位置情報取得・管理機能,空間参照系変換機能,位置情報提供機能を持ち,それぞれの機能ごとに分散化することで規模拡張性を確保する.汎用的に位置情報を記述するため,XML を利用して位置情報を取り扱う.また,多様な位置測位デバイスに対応し空間参照系変換機能によって指定した空間参照系により応答する.さらに,位置測位デバイスを抽象化した位置情報提供インタフェースを実現し,プライバシルールを利用したプライバシ保護機構を持つ.評価として位置情報検索処理時間の測定,位置情報基盤の必要要件に基づく考察を行い,ULP の実用性を検証した.In this paper, we present the design and implementation of Universal Location Platform (ULP). ULP is a location information platform, that has the location collection, location management, and location transform function. ULP separates each functions, and decentralizes on the Internet. ULP realizes the provision of locations that has variety location representations by location transform function, and privacy protection function by access control with privacy rules and the modification of location resolution. In evaluation, we did performance evaluation and verificated the practicality of ULP.