著者
山下 直美 葛岡 英明 平田 圭二 工藤 喬
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.1706-1715, 2014-07-15

本論文の目的はうつ病患者の家族看護者が直面する困難を明らかにし,家族看護者が生活の質を維持するために必要なICT支援について提案を行うことである.そのため我々は,家族のうつ病患者を看護した経験がある成人15名に対面インタビューを行い,分析を行った.その結果,家族看護者が抱える矛盾や葛藤,家族看護者が自身のストレス軽減のために取っている方策,そして情報技術が彼らの日常生活に果たしている機能が明らかになった.この調査結果に基づき,うつ病患者の家族看護者に対するICT支援方法を検討した.
著者
山内 拓真 根本 さくら 長野 恭介 中村 祥吾 斉藤 勇璃 宇田 朗子 村井 源 迎山 和司 田柳 恵美子 平田 圭二
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回 (2020)
巻号頁・発行日
pp.4C2GS1304, 2020 (Released:2020-06-19)

本論文では,与えられたゲームシーンに対し自動的にBGMを選曲するシステムについて述べる.本システムは,RPG自動生成システムの一部として機能することが想定されており,自動生成されたゲームシナリオが入力されると,各ゲームシーンの感情状態に合致したBGMをデータベースから選択する.まず,既存RPGにおける各シーンにユーザが感情状態をタグ付けして訓練データを作成する.各シーンに付与されているBGMの音響特徴量を算出し,ニューラルネットワークを用いて,その音響特徴量と各シーンの感情状態の対応関係を学習する.シーンの感情状態を表す指標にはHevnerが定義した音楽心理カテゴリを用いた.予めBGM候補となる楽曲群データベースを用意し,それらの音響特徴量を算出しておく.ゲームシナリオで指定されたシーンの感情状態がニューラルネットワークに入力されると,対応する音響特徴量が得られ,音響特徴量の類似した楽曲がBGM候補群の中から選択される.現在,RPG自動生成システムに組み込んで全体動作を確認しており,被験者実験の準備を進めている.
著者
中島 秀之 小柴 等 佐野 渉二 落合 純一 白石 陽 平田 圭二 野田 五十樹 松原 仁
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.1290-1302, 2016-04-15

筆者らは,デマンド応答型公共交通の一種であるSmart Access Vehicle System(SAVS)の社会実装を目指して,これまでにシミュレーション実験による利便性評価を行う中でその効率性を確認してきた.本論文では,SAVSの実装,実証実験,およびシミュレーション評価実験について述べる.2回にわたる実証実験において,SAVSが実際に稼働することを確認した.フルデマンド型乗合車輛複数台のリアルタイム自動配車は筆者らの知る限り世界初であり,このシステムを全自動で稼働できたことは,Smart Access Vehicleサービスの社会実装を行ううえで有用な成果であると考えている.
著者
中島 秀之 小柴 等 佐野 渉二 落合 純一 白石 陽 平田 圭二 野田 五十樹 松原 仁
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.1290-1302, 2016-04-15

筆者らは,デマンド応答型公共交通の一種であるSmart Access Vehicle System(SAVS)の社会実装を目指して,これまでにシミュレーション実験による利便性評価を行う中でその効率性を確認してきた.本論文では,SAVSの実装,実証実験,およびシミュレーション評価実験について述べる.2回にわたる実証実験において,SAVSが実際に稼働することを確認した.フルデマンド型乗合車輛複数台のリアルタイム自動配車は筆者らの知る限り世界初であり,このシステムを全自動で稼働できたことは,Smart Access Vehicleサービスの社会実装を行ううえで有用な成果であると考えている.
著者
山下 直美 葛岡 英明 平田 圭二 工藤 喬 荒牧 英治 服部 一樹
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.981-993, 2017-05-15

本論文では,2つの調査に基づいて,うつ病患者の家族介護者を支援するための知見を述べる.1つ目の調査では,患者の気分の上下や予期せぬ振舞いなどに対処する家族介護者の介護活動の現状とニーズを把握する.その調査結果をふまえて介護記録Webアプリケーション「みまもメイト」を開発する.2つ目の調査では,家族介護者がみまもメイトを6週間にわたって利用することによって,家族介護者のうつ病患者に対する関わり方や患者との人間関係がどのような影響を受けたかを調べる.利用後のインタビュー調査から,家族介護者がみまもメイトを利用することによって,自身の介護活動を客観的に見つめ直す効果がある(第三者視点の導入)ことが分かった.さらに興味深いことに,みまもメイトは患者,病気,家族介護者の間の関係を変化させ,これによって,家族介護者とうつ病患者間のコミュニケーションを改善する効果があることも分かった.具体的には,みまもメイトを用いることによって,家族介護者単独で病気をかかえる患者に対処するという構図(家族介護者vs.患者+病気)から,患者と家族介護者が協調しながら病気に立ち向かうという構図(家族介護者+患者vs.病気)へと変化した.
著者
松井 遼太 長谷川 麻美 竹川 佳成 平田 圭二 柳沢 豊
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.789-797, 2020-04-15

本稿では,ピアノ演奏時の悪癖アノテーション機能を持つ,ピアノ教師向け悪癖発見支援システムの構築について述べる. ピアノ演奏者にとって正しい指使いを身につけることは,高度な演奏技術を修得するうえで必須となる. 指使いは身体や運動に依存するため,個人の体格や弾き方に影響されやすい.そのため,演奏者が誤った指使いを身につけた場合,指使いは悪癖として定着しやすく,定着後に修正することが難しい.したがってピアノ教師は,生徒の指使いに関する悪癖を発見し,指導する. しかし,生徒に悪癖があっても上手に演奏できている場合もあり,教師が一聴しただけでは悪癖の発見が難しい.一方,悪癖を視覚的に判断する手段も存在するが,演奏時の手指の動きは素早いため,教師は実時間で単方向から見ただけでは生徒の悪癖を見逃してしまう. そこで,提案システムは生徒の演奏を3視点から撮影した映像それぞれをコマ送り再生できる機能,打鍵間隔や打鍵の強さを可視化する機能を持つ.これにより,教師は単に映像を見るよりも効率良く生徒の悪癖を発見できる.また,提案システムは深層学習を用いた悪癖アノテーション機能により,演奏中に悪癖がある箇所を推定し,教師の見逃しを防止できる. 一般的な動画再生機能を持つツールを使用した従来手法群と,提案システムを使用した提案手法群を比較した評価実験の結果,提案手法群が悪癖発見に役立つことが示唆された.
著者
落合 純一 金森 亮 平田 圭二 野田 五十樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.1B2OS11b03, 2018 (Released:2018-07-30)

本稿では,名古屋市のタクシー配車データに基づき,Smart Access Vehicle Service(SAVS)をシミュレーション評価する.近年,デマンド応答型交通(DRT)は地方だけでなく都市部でも注目されてきているが,数時間前までの予約が必要など,利便性が高い交通サービスとは言えない.一方,SAVSはリアルタイムに提供可能なドア・ツー・ドアの交通サービスであるため,独占型の交通サービスであるタクシーを共有型に変換することが可能である.ODパターンとデマンド数が異なる4つの時間帯を対象にシミュレーションを行った結果,乗り合いによりSAVSはタクシーより効率的に配車できることを確認した.
著者
落合 純一 金森 亮 平田 圭二 野田 五十樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.1B2OS11b03, 2018

<p>本稿では,名古屋市のタクシー配車データに基づき,Smart Access Vehicle Service(SAVS)をシミュレーション評価する.近年,デマンド応答型交通(DRT)は地方だけでなく都市部でも注目されてきているが,数時間前までの予約が必要など,利便性が高い交通サービスとは言えない.一方,SAVSはリアルタイムに提供可能なドア・ツー・ドアの交通サービスであるため,独占型の交通サービスであるタクシーを共有型に変換することが可能である.ODパターンとデマンド数が異なる4つの時間帯を対象にシミュレーションを行った結果,乗り合いによりSAVSはタクシーより効率的に配車できることを確認した.</p>
著者
梅澤 章乃 竹川 佳成 平田 圭二
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2017-EC-44, no.25, pp.1-5, 2017-05-25

対面コミュニケーションにおいて,人は対話者の顔の特徴から対話者の性格を推測するといったように,顔は人の印象を決める重要なパーツである.また,対話者の顔の印象が好ましいほど,対話者に対して親近感が湧く傾向があるということも知られている.自分自身の顔そのものを変えることができれば,他者に与える装着者自身の印象や雰囲気をより柔軟により強力に操作できると考えられる.そこで本研究では,ユーザの顔をアバタの顔に変えられる仮面型ディスプレイ e2 - Mask の提案を目的とする.
著者
奥平 啓太 平田 圭二 片寄 晴弘
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.84(2004-MUS-056), pp.21-26, 2004-08-02

ポップス系音楽においてドラムのグルーブ感 (groove) は,その違いにより楽曲全体の印象を変えるような重要な要素の一つであると言える.しかし,これまでグルーブ感と実際のドラムの発音時刻及び音量の関連については調べられてはこなかった.本研究では,プロのドラム奏者による 8 ビートと 16 ビートのリズムパターンの異なるグルーブ感を出した演奏から,スネア,ベースドラム,ハイハットの打点時刻と音量を測定し,これらのグルーブ感との関連を調べる.グルーブ感の違いは,実際の発音時刻や音量からも読み取ることが出来た.
著者
佐藤 僚太 竹川 佳成 平田 圭二
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:21888914)
巻号頁・発行日
vol.2019-EC-51, no.12, pp.1-6, 2019-02-15

本稿では,メドレー楽曲におけるマッシュアップを考慮した楽曲断片検出法について述べる.メドレー楽曲とは,複数楽曲の一部分の区間を接続することで作られる新たな形式の楽曲のことを指す.メドレー楽曲では原曲をテンポやキー,音の追加や削除などのアレンジやマッシュアップを行うことで,一曲であるかのように楽曲断片同士の接続を行っている.我々は,メドレー楽曲において何の曲がどこからどこまで登場しているか同定するため,Wang の音声指紋とカバーソング同定法 (Cover Song Identification, CSI) である Serrà らの相互再帰定量化 (Cross Recurrence Quantification, CRQ) を組み合わせた楽曲断片検出法の提案する.メドレー楽曲とその構成楽曲から音声指紋を抽出し,2 曲の類似度行列である行列 CR とカバーソングを定量的に評価するための累積値行列 Q を作成し,開始地点を同定することで楽曲断片の検出っを試みる.実験結果から,やや低い精度ではあるものの,パラメータの検討によって本手法の楽曲断片検出の精度が向上することが示唆された.
著者
奥平 啓太 平田 圭二 片寄 晴弘
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.19(2006-MUS-064), pp.53-58, 2006-02-23

ポップス系音楽においてドラムのグルーブ感は,楽曲全体の印象を変えるような重要な要素の 1 つと考えられる.我々はこれまで,タイトとルーズのグルーブ感を与えたドラム演奏から,スネア,ベースドラム,ハイハットの打点時刻と音量を測定し,これらのグルーブ感との関連を調べてきた.この結果からグルーブ感の違いは,実際の打点時刻や音量からも読み取ることが出来た.本研究では,グルーブ感を含んだ様々な演奏意図と打点時刻及び音量との関係を分析した.その分析結果をふまえてドラム演奏生成システムを実装した.そのシステムは連続する打点の相関を考慮すること,ゴーストノート付加できることなどの特徴を持つ.
著者
三浦 寛也 森 理美 長尾 確 平田 圭二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.942-950, 2015-03-15

ディスカッションマイニングとは,会議における活動を複数メディアで記録し,そこから再利用可能な知識を抽出するための技術である.音楽理論とは,音の時系列を構文解析する技術である.本研究の目的は,音楽理論Generative Theory of Tonal Music(GTTM)の楽曲分析アプローチに基づき,会議記録の各発言の重要度を階層的に表現する議論タイムスパン木の自動獲得である.本稿では,議論タイムスパン木の生成方式について計算機上に実装する手法を提案し,プロトタイプシステムの有効性を評価した.Discussion mining is a technology by which activities in meetings are recorded into some media, from which resusable data is extracted. Music theory is a technology that parses the chronological sequence of musical events. The aim of the research is automatic acquisition of discussion time-span tree, based on the approach to analysis music theory Generative Theory of Tonal Music (GTTM). It expresses a hierarchical importance of statements. The paper presents the method how to generate discussion time-span tree and the results of studying the prototyping system.
著者
野池 賢二 平田 圭二 片寄 晴弘
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.48, pp.45-50, 2003-05-16
被引用文献数
4

蓮根(Performance Rendering Contest)の演奏コンテストに参加するための"Rencon エントリキット第 1 版"の仕様について述べる."Rencon エントリキット"に含まれる,共通の土俵上でシステムを評価するための学習用データのファイル形式,提供するツールの機能について述べる.This paper reports a Rencon-Kit for Performance Rendering Contest. In this paper, we are going to examine an environment on which, the performance of the rendering systems are compared and evaluated. We illustrate the file format to describe the score and performance data and some tools, aiming at the competition of the Performance Rendering systems, which are equipped with learning or reasoning functions.
著者
澤田 隼 竹川 佳成 平田 圭二
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.941-950, 2018-03-15

本稿では,Generative Theory of Tonal Music(GTTM)を音楽のスペクトログラムに直接適用して階層的クラスタリングによってタイムスパン・セグメンテーションを生成する新しい方法を提案する.まず初めに,スペクトログラムを時間軸方向に分割し,周波数方向に縦長の矩形(bin)をピッチイベントとして,スペクトログラムを一連のbinの集合として考える.binのテクスチャの特徴は,グレーレベル同時生起行列(Gray level co-occurrence matrix: GLCM)を使用して抽出され,テクスチャ特徴量の時系列データを生成する.テクスチャ特徴量による隣接bin間の類似度によってフレーズの近接度および変化量が計算される.並列性および反復性などの大域的な構造は,一連のbinの自己相似性行列(Self-similarity matrix: SSM)によって検出される.隣接するbin間の境界の強さを表す時系列データが与えられ,隣接するbinをボトムアップに反復的に併合していくことで,最終的にタイムスパン・セグメンテーションに対応する系統樹を生成するアルゴリズムを開発する.MozartのK.331とK.550を入力して実験を行った結果,音高や調和などの音楽知識をほとんど考慮していないにもかかわらず,有望な結果が得られた.
著者
大村 英史 平田 圭二 東条 敏 柴山 拓郎
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.31, 2017

音楽聴取の楽しみは期待感の逸脱・実現や,緊張・弛緩などによって成立していると考えられている.これに基づく理論がいくつか提案されている.しかしながら,これらの理論は概念的あるいは心理学的なモデル化にとどまっており計算機上に実装は困難である.本研究では,音楽における期待感の逸脱・実現の計算機上の実装をめざし,音の物理的特性,情報理論,確率,論理に基づいて音楽における期待感の逸脱・実現の定式化を試みた.