著者
藤村 光 杉原 厚吉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers. D-II (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.87, no.3, pp.818-828, 2004-03-01
参考文献数
19
被引用文献数
12

本研究では,選手が特定のフィールド上を自由に動き回り,目標に対して競い合うチームスポーツを対象にして,チームワークの定量的評価を行う.この種のスポーツでは,各選手が支配するフィールドを把握することがチームワーク評価への道となる.そのため,フィールドを支配関係によって分割する優勢領域図の概念を応用し,それによるチームワークの定量的評価手法を提案する.また本研究においてはこの優勢領域図の作成にあたって,実験に基づいたより現実的な運動モデルを採用している.これにより,より経験者の直感に合うテームワーク評価を実現できた.
著者
杉原 厚吉
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
応用数理 (ISSN:24321982)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.280-299, 1991-12-16 (Released:2017-04-08)
被引用文献数
1

New approaches are presented to the problem of topological inconsistency caused by geometric algorithms implemented in finite-precision arithmetic. In geometric computation numerical errors often create inconsistency in topological structures and thus cause theoretically correct algorithms to fail. To overcome this problem two approaches are considered for the case of constructing the Voronoi diagram as an example. In the first approach, higher-precision arithmetic is used to construct a closed world in which topological structures are judged always precisely, and the symbolic perturbation technique is employed to avoid complicated branches of processing for degenerate cases. In the second approach, the highest priority is placed on the maintenance of topological consistency and numerical results are used as lower-priority information; the resultant algorithm is robust in the sense that inconsistency never arises and is correct in the sense that the output converges to the true solution as the precision becomes higher.
著者
杉原 厚吉
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.296-306, 2012 (Released:2018-08-18)
著者
友枝 明保 小野 隼 杉原 厚吉
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.3-9, 2016 (Released:2017-02-01)
参考文献数
18

クレーター錯視やホロウマスク錯視は,知覚する立体の凹凸が反転して見える錯視として有名である.クレーター錯視では,照明がもたらす陰影によって凹凸が反転すること,ホロウマスク錯視では,凹凸の反転に加えて,観察者の視点位置の変化に伴った立体の回転運動が錯視として観察されることが知られている.「矢印の幻惑」(友枝・杉原,2012)は,計算によって得られたくぼんだ構造を持つ矢印型の新しい錯視立体であり,クレーター錯視やホロウマスク錯視と同様の錯視現象が観察される.さらに,「陰影付き矢印の幻惑」(友枝・小野・杉原,2013)は,適切な陰影を与えることで,平面に描かれた矢印と錯視立体を同一のデザインとして見せることに成功している.本稿では,これらの作品を創作する数理的な方法として,くぼみ構造を持つ矢印型の錯視立体を構成する幾何計算,および,凹凸復元の手がかりとなる各面の陰影を計算する方法について解説する.
著者
杉原 厚吉 伊理 正夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.28, no.9, pp.962-974, 1987-09-15
被引用文献数
12 8

ソリッドモデラにおける最も重要な問題の一つは 図形の交差判定である.図形要素が非常に接近したとき 数値計算の誤差が図形の交差の順序を逆転させることがある.このような誤った判定に基づいて図形を操作すると たとえば立体の表面の表と裏が部分的にひっくりかえったりして システムの暴走の原因となる.これを防ぐために 従来のシステムでは"非常に接近した図形要素は同じ位置を占めているとみなす"という便宜的処理にたよっており 暴走を完全に防ぐことはできていない.本論文では 計算誤差による交差判定の誤りを完全に防止できる多面体モデラの一設計法を提案する.これは 最近 数値計算や計算量の理論などの分野で認識され始めている "有限の桁数で表された原始データを厳密に正しいものとみなすと それを用いた計算結果の符号判定もやはり有限の桁数の計算で厳密に行うことができる"という"新しい観点"を利用したものである.まず この観点からソリッドモデラにおける図形の表現法・操作法をみなおす.そして 多面体を構成する各面の方程式の係数を唯一の基礎的データとみなし すべての図形操作をこのデータにさかのぼって行うことにより 基礎的データの5倍の精度の計算で上の目的を達成できることを示す.また 予備的な計算実験例もあわせて報告する.
著者
杉原 厚吉
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.58-68, 2002-01-30 (Released:2008-12-25)
参考文献数
16
著者
杉原 厚吉 今堀 慎治
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

背景空間の計量的性質が時間とともに変わる環境の三つの事例に対してロバストな幾何計算アルゴリズムを構成した.第一に,時間変化する流れのもとでの船の最小到達時間として定義される距離の計算法を構成し,海難救助船経路計画などへ応用した.第二に,動画を見たときの主観的奥行き錯視量の推定法を構成し,不可能モーション錯視の創作へ応用した.第三に,材料から部品を切り取る際に材料の形状変化に起因する振動を避けるカッターパス計算法を構成した.
著者
大神 智洋 杉原 厚吉
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.13, pp.7-12, 2007-02-19
参考文献数
4

2次元の画像が複数枚与えられたときに、それらを投影面にもつ1個の立体が存在するか否かの判定法と、存在する場合にその立体形状を創作するアルゴリズムを提案する。このアルゴリズムでは、たとえば、まわりを一巡したとき、望の形が次々と現れる立体アートを設計するためなどに応用できる。また、複数の画像から3次元の情報を抽出するという問題は、コンピュータビジョンの分野における基本的な問題の一つでもある。本研究は、その特殊な場合とみなすことができる。このアルゴリズムでは、目標立体の各水平面での切断形状を設計する問題に帰着させ、それぞれの切断面での許容形状の組合わせの中から、最終的な立体形状を探索する。When three arbitrary silhouettes or 2D shapes are given, a 3D object which has these silhouettes doesn't necessarily exist. In this paper, we propose an algorithm for deciding whether there is a 3D object which has the given silhouettes, and a method for designing it, when it is exists. The problem of reconstruction of 3D shapes from silhouettes has been researched widely in computer vision; our problem is a special case of it in that the existance of the associated 3D object is not guaranteed. First, we solve the problem for designing 2D shapes from 1D silhouettes at each height. Next, combining all pieces compatibly, we obtain an algorithm for searching for the aimed 3D object.
著者
川原田 寛 杉原厚吉
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.85, pp.43-48, 2005-08-19

形状設計において、メッシュに対して施す「細分割(subdivision)」は、任意位相の滑らかな曲面を生成する手法として有名である、また細分割はメッシュ上でのウエーブレット変換と深い係わり合いがあり、これを利用した多重解像度解析はメッシュの編集において非常に有効な手段となっている.我々はこの細分割の双対構造「面に基づく細分割(dual subdivision)」を見出した.これは通常の細分割に対して射影幾何学における双対原理を適用することで得られたもので,双対性より従来の細分割と同様の性質を持っているだけでなく,細分割では解決できなかった閉居を解決できる.また、1ine geometryに基づく新たな細分割スキームを提案し「線に基づく細分割(1ine subdivision)」と名づける。この掛こ基づく細分割札通常の細分割と面に基づく細分割を含んでおり,両者を統一的な支店で議論することを可能にする.Subdivision is a wel1-known method for geometric design and for computer graphics, because the subdivision makes smooth surfaces with arbitrary topology. Moreover, there are many connections between subdivision and wavelet. So, multiresolution analysis derived by subdivision theory is extremely useful on mesh editing. Here, we found out "dual subdivision" which is a dual Structure of subdivision. Dual subdivision born from subdivision and the principle duality In projective geometry, and Ins similar properties with ordinary subdivision. Moreover, we propose "line subdivision" based on 1Ine geometry. This new subdivision scheme includes ordinary subdivision scheme and dual subdivision scheme. So, we can discuss ordinary and dual subdivisions uniformly by 1Ine subdivision.
著者
杉原 厚吉
出版者
一般社団法人日本応用数理学会
雑誌
応用数理 (ISSN:09172270)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.280-299, 1991-12-16
被引用文献数
12

New approaches are presented to the problem of topological inconsistency caused by geometric algorithms implemented in finite-precision arithmetic. In geometric computation numerical errors often create inconsistency in topological structures and thus cause theoretically correct algorithms to fail. To overcome this problem two approaches are considered for the case of constructing the Voronoi diagram as an example. In the first approach, higher-precision arithmetic is used to construct a closed world in which topological structures are judged always precisely, and the symbolic perturbation technique is employed to avoid complicated branches of processing for degenerate cases. In the second approach, the highest priority is placed on the maintenance of topological consistency and numerical results are used as lower-priority information; the resultant algorithm is robust in the sense that inconsistency never arises and is correct in the sense that the output converges to the true solution as the precision becomes higher.
著者
藤村 光 杉原 厚吉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.702, pp.145-152, 2001-03-16

本研究では、選手が特定のフィールド上を自由に動き回り、目標に対して競い合うチームスポーツを対象にして、チームワークの定量的評価を行う。この種のスポーツでは、各選手の支配領域を求めることがチームワーク評価への道となる。そのため、領域を支配関係によって分割するボロノイ図の概念を応用し、それによるチームワークの定量的評価手法を提案する。また本研究においてはこの優勢領域図の作成にあたって、実験に基づいたより現実的な運動モデルを採用している。これにより、より経験者の直感に合うチームワーク評価を実現できた。
著者
杉原 厚吉 小柳 義夫 山本 博資 室田 一雄 今井 浩 杉原 正顯 村重 淳
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2003

本研究の目的は,従来から開発されつつある分野ごとの個別のロバスト計算技術を横断的に整理し,分野の境界を超える共通で普遍的なロバスト計算のためのアルゴリズム設計パラダイムを構築することであった.この目的のために,本研究参加者がそれぞれの手法を持ち寄り,交流をくり返す中で,五つの設計原理を抽出することができた.その第一は,「計算対象の背後に存在する構造不変性の利用」で,位相構造の優先による幾何不整合の防止,物理法則を継承する数値解法,因果律に反しない計算順序の選択などの技術を含む.第二の原理は,「対象世界の拡大による計算の安定化」で,図形を超図形へ拡張することによるミンコフスキー演算の安定化,離散対象の連続緩和による整数計画法の高効率化,記号摂動による例外解消などの技術を含む.第三の原理は,「対象世界を制限することによる計算の安定化」で,連続関数の格子点への制限による計算の安定化,実数計算を整数計算へ制限することによる幾何計算の無誤差化,などの技術を含む.第四の原理は,「不確定性のモデル化による計算の安定化」で,物理パラメータを値から領域へ置き換えることによる制御安定化,値を区間に置き換えることによる特異積分方程式の解法などの技術を含む.第五の原理は,「仮定の排除による汎用性の確保」で,発生確率に関する仮定を排除することによるユニバーサル符号技術や異常検出技術などを含む.さらに,抽出した原理を指針に用いて,新しいロバスト計算技術も開発できた.その中には,第一の原理に基づいて,対象の背景構造をディジタル画像近似を介して統一的に抽出して利用する「ディジタル位相優先法」,第二の原理に基づいて,望みの例外のみを選択的に解消することによって摂動の副作用を防ぐことのできる「超摂動」などの技術がある.これらの活動を通してロバスト計算技術を新しく生み出すことのできるパラダイムが構築できた.
著者
稲垣 宏 杉原 厚吉
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告アルゴリズム(AL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.26, pp.41-48, 1994-03-17
被引用文献数
1

筆者らは,文献[1][2]において,位相構造を優先することで数値的安定化を図った3次元Voronoi図構成法を提案した.また,文献[3]では,このアルゴリズムを利用して,双対図形である3次元Delaunay図を生成する方法を提案した.本稿では,位相構造を優先させたVoronoi図構成法が,制約つきDelaunay図の構成にも利用できることを示す.ここで提案する算法では,制約を満たすように数値判定をねつ造しているために,正しいボロノイ図は出力されない.しかし,その双対を求めると,制約つきDelaunay図になっているのである.また,本算法を適用した3次元の制約つきDelaunay図構成プログラムを作成し,計算機実験により,その有効性を実証した.In our previous paper[2], we proposed a numerically robust algorithm for constructing the three-dimensional Voronoi diagram. In this paper, we show that this algorithm can be applied not only to the construction of the ordinary Delaunay triangulation but also to the construction of the constrained Delaunay triangulation. In order to construct the constrained Delaunay triangulation, we invent numerical results on the way to the construction of the Voronoi diagram in such a way that they satisfy the constraints. Moreover we implemented the algorithm as a computer program, and verified the validity of the algorithm by computational experiments.
著者
伊理 正夫 今井 敏行 久保田 光一 室田 一雄 杉原 厚吉
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1988

本研究は,代表者伊理正夫が1983年に発案した高速自動微分法のためのソフトウェア試作と実際問題への応用を発展させ,実用技術として確立することを目的とした。本研究によって得られた成果をその目的に沿って述べると次のようになる。(1)プリプロセッサの改良:C++による処理系を試作し,既に製作してあったFORTRANによるものとともに改良を重ね,実験用ソフトウェアとしては一応の完成をみた。それらを移植し,種々の計算機上で高速自動微分法を利用可能にした。さらに,勾配の誤差も計算できるようにするなど改良を加えた。現在,サブル-チン等の副プログラムに対する処理,ベクトルプロセッサ向けの処理を導入すべく,処理系をさらに改良中である。(2)丸め誤差の推定の理論の厳密化,丸め誤差の推定値を積極的に利用する算法の開発・実験,実際的な問題への応用:理論的に従来の区間解析よりも優れていることを証明しただけでなく,応用時に問題になる計算グラフの作成方法の改良の必要性を指摘し,解決のためグラフの縮小法を開発した。実用面では,演算増幅器の直流解析などを例にした非線形方程式系解法への応用や,幾何的アルゴリズムを利用した地理的最適化問題に適用し,精度,速度,特に収束性を詳しく調べることを通じ,従来の方法に比べて高速自動微分法が有効であることを確認した。(3)高速自動微分法と数式処理システムとの融合:プリプロセッサが改良中であること,実用面での高速自動微分法の有効性の証明を精密に行なうのに時間と労力を費やしたため,この方面に関する研究は,完成しておらず,今後の課題として残された。上記の成果をふまえて,国際数理計画シンポジウム,京大数理解析研研究集会,情報処理学会研究会,SIAM Workshopなどでの発表,内外の研究者との交流を行い,本研究の成果が国際的に先導的地位にあることを確認した。
著者
佐藤 洋平 杉原 厚吉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.669, pp.91-96, 2005-02-17
被引用文献数
6

Human-computer interactionに関連した研究でジェスチャの認識があるが、本稿は, その中でもPCへのマウスやキーボード以外の入力手段としてのジェスチャ認識について研究したものである.このシステムは実時間処理が要求されるが, 本稿では先行研究に比べより実時間処理に適した手法を用い, さらにその手法に対して認識率を上げるための改良も行った.そして結果として, 先行研究よりも計算コストを減らし, かつ認識率を上げることが出来た.また、実際に実装することによって, このシステムがPCと安価なUSBカメラのみで容易に実現可能であることも実証できた.