著者
村上 健太郎 上久保 文貴
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.820, 2005

大阪府南部から和歌山にかけての沿岸部は,温暖な地域として知られ,暖温帯から亜熱帯地域にかけて生育する植物の分布北限となっている。特に,年平均気温15℃,年最低気温平均値-3.5 ℃の等値線はヒガンバナ科ハマオモトの分布限界であり,ハマオモト線として知られている。しかし,近年,年間を通して気温は上昇傾向にあり,今後植物分布に大きな影響を及ぼす可能性がある。そこで本研究では,近年の気温上昇にともなって,大阪府周辺のハマオモト線付近を分布限界とする植物の分布について調べ,気温変化との関連を考察した。まず,1938年に描かれたハマオモト線に近い19府県の1980年代以降の気象観測所データと1990年代初めまでに作成された各県植物誌による植物分布データを,市民向けに開発された地理情報分析支援システムMANDARAに入力し,ミミズバイ,タイミンタチバナなど30種の分布限界域における気温データをえた。次に,大阪市立自然史博物館および兵庫県立人と自然の博物館のハーバリウムにおいて,大阪府および兵庫県の上記南方系植物30種の採集地および採集年代を調べ,1980年代以前と1990年代以降で,分布に差があるかを調べた。その結果,ヤナギイチゴなど,一部の種では,分布が北上している可能性が示唆された。また,先述した分布限界域の気温データを用いて,これらの植物の大阪府付近での現在の分布限界域について推定すると,多くの植物が現状では京都市付近まで分布拡大可能であると推定された。本研究でとりあげられた種のうち,自生個体が京都市付近にまで分布拡大している例は少ないが,都市域の石垣などの人工物に適応しているイヌケホシダや京都市内の二次林に移入したアオモジなど,人為によって持ち込まれた可能性が高い種については,大阪府_から_京都市において確実に分布を拡大している。今後は,各種の分散力やハビタットの選考性に関する調査を行い,より正確な分布拡大予測を行いたいと考えている
著者
村上 健 深浦 順一 山野 貴史 中川 尚志
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.27-31, 2016 (Released:2016-02-23)
参考文献数
20

変声は14歳前後に完了するといわれている.今回,20代で声の高さの異常を他者に指摘されて初めて症状を自覚し,当科を受診した変声障害2症例を経験した.2症例とも第二次性徴を完了しており,喉頭に器質的な異常は認められなかった.話声位は男性の話声位平均値よりも高い数値を示したが,声の高さの異常に対する本人の自覚は低かった.初診時にKayser-Gutzmann法,咳払い,サイレン法により低音域の話声位を誘導後,低音域の持続母音発声から短文まで音声訓練を行い,声に対する自己フィードバックも実施した.訓練は1~2週に1回の頻度で実施した.2例とも訓練初回に話声位を下げることが可能であったが,日常会話への汎化に時間を要した.個性を尊重するなどの学校社会における環境の変化が,本人の自覚を遅らせ,診断の遅れにつながったのではないかと推測した.
著者
山内 正仁 山崎 順一 渡辺 敏英 三橋 政次 安藤 孝 横田 明俊 久保山 智司 油谷 崇志 鈴木 崇弘 岩田 佳之 村上 健
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 25.75 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.27-32, 2001-11-16 (Released:2017-06-23)
参考文献数
10

これまでに、ハイビジョンカメラを宇宙で使用した場合、CCD上に白傷が多数発生することが確認され、映像劣化の観点から、映像素材や科学的データの取得に際して障害となることが報告されている。本報告では、CCDの耐放射線特性を調べる目的で、ハイビジョン用のCCDに対して地上照射実験を実施したので、その結果を報告する。
著者
村上 健
出版者
日本小児耳鼻咽喉科学会
雑誌
小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.4-8, 2020 (Released:2020-11-13)
参考文献数
5

難聴児の中には発達障害を伴う児童が増えている。このような児童には多職種が連携し個別に対応をする必要がある。言語聴覚士の役割としては聴覚管理だけでなく,全体発達および言語発達,コミュニケーションの評価を実施し,医療/療育/教育機関で連携をとりながら難聴児の発達段階に応じたコミュニケーション方法を習得させることが必要である。また評価結果に基づき,児童のもっている能力を最大限に引き出すことが求められる。言語聴覚士の立場から,様々な特性を持つ難聴児一人一人に対する療育・教育における医療/療育/教育機関の連携の重要性と,多職種連携の在り方を述べる。
著者
村上 健太郎 松井 理恵 森本 幸裕 前中 久行
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.139-144, 2004-08-31
被引用文献数
4 7

1996年に造成後,8年が経過した都市内復元型ビオトープ「いのちの森」において,現段階でのシダ植物の種多様性の評価を試みた。種数一面積曲線を用いて,「いのちの森」の近郊にある孤立林39箇所との比較を行ったところ,「いのちの森」の種数は,高い水準にあることがわかった。また,「いのちの森」の木道下では,シダ植物の種数は他の孤立林比較調査区に比較して多かった。ただし,木道下以外の林床では,種数,対数逆Simpson指数ともに高い程度にあるとは言えなかった。よって,「いのちの森」は,他の孤立林に比べると,種数が多いと言えるが,これは木道下の適度に暗く湿った隙間環境が種数を増加させていると考えられた。
著者
村上 健太郎
出版者
北海道教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

人為的硬質構造物(ハードスケープ;例えば壁、石垣、建造物間隙)はもともと崖や露岩地あるいは林床にすんでいた生物の代替生育地になりうるが、日本ではそのような視点の研究は少ない。そこで、ハードスケープが動植物の高い種多様性を保持し稀少種の生育場所として機能しうるかについて野外調査(歴史的遺産の古いハードスケープやどこにでもある市街地のハードスケープなどを対象とした生物調査)と文献調査(ハードスケープに生物が生育するという事例の整理)から検討し、ハードスケープを用いた緑化や、都市緑地保全あるいは人工構造物保全に役立つ知見を得るための研究を行う。特に石垣等に生育するシダ植物に焦点を当てて研究する。
著者
村上 健太郎 森本 幸裕
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.63-68, 2018-08-31 (Released:2019-05-10)
参考文献数
33
被引用文献数
1

近畿~中国地方の鉄道駅周辺の市街地におけるハードスケープ即ち人為的で硬質な景観構成要素からなるハビタット(壁,石垣,建造物間隙,路傍間隙)に生育するシダ植物群落4,473 箇所のデータを分析し,シダ植物のハードスケープハビタットの選好性に関する基礎資料を得るための研究を行った。分析の結果,4 種のハビタットの中で最も選好されていたのは石垣であった。もともと岩上や樹幹,崖に生育する種だけでなく,森林種も多くの種が石垣を選好していた。ただし,森林種の29.3%は建造物間隙選好種であった。さまざまなハードスケープにおける植物の選好性を理解することは,長期的な視野に立った都市の生物多様性保全手法の開発に役立つだろう。
著者
村上 健司 小川 普久 小林 泰之 中島 康雄
出版者
学研メディカル秀潤社
雑誌
画像診断 (ISSN:02850524)
巻号頁・発行日
vol.35, no.9, pp.1062-1063, 2015-07-25

症例1 80 歳台,男性.背部痛の精査にて造影CT が施行された.
著者
村上 健司 小川 普久 小林 泰之 中島 康雄
出版者
学研メディカル秀潤社
雑誌
画像診断 (ISSN:02850524)
巻号頁・発行日
vol.35, no.9, pp.1059-1061, 2015-07-25

症例1 70 歳台,男性.突然の背部痛を自覚し,救急受診.精査目的に造影CT が施行された.
著者
村上 健司 小川 普久 小林 泰之 中島 康雄
出版者
学研メディカル秀潤社
雑誌
画像診断 (ISSN:02850524)
巻号頁・発行日
vol.35, no.9, pp.1056-1058, 2015-07-25

症例1 70 歳台,男性.仕事中に突然の背部痛を自覚し救急搬送.原因精査のため造影CT が施行された.
著者
村上 健太郎
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.263-268, 2004-10-01 (Released:2010-02-09)
参考文献数
37
被引用文献数
2 2

Accurate assessment of the habitual dietary intake is pre-requisite to accurate studies on diet and health, but underestimation of the dietary intake has been apparent in numerous studies. If the underestimation of dietary intake was consistent, a solution to the problem would be relatively easy, because such techniques as energy adjustment should improve estimates of the food and nutrient intake. If, however, underestimation of the dietary intake was a selective phenomenon, it would be much more difficult to solve the problem. A limited number of studies in Western countries have examined whether all foods and nutrients are underestimated to the same degree or only specific foods and/or nutrients are selectively underestimated by using the observed food intake, the measured total energy expenditure with/without 24-hour urinary nitrogen excretion, and the Goldberg cut-off technique as reference methods. These investigations are summarized in the present review. The bulk of the data from these studies suggests that when the energy intakee has been underestimated, such underestimation of the food and nutrient intake is selective rather than consistent. However, little information about those foods that are selectively underestimated is available, so further research is needed to identify such foods.
著者
荒木 陽一 村上 健二 井上 昭司
出版者
農林水産省中国農業試験場
雑誌
中国農業試験場研究報告 (ISSN:09134239)
巻号頁・発行日
no.21, pp.41-58, 2000-12

湿害防止に有効な遮根シートを含め,各種資材を活用した圃場条件下における湿害防止技術について,根系の異なるスイートコーン,ホウレンソウならびにシュンギクを供試して検討した.また,湛水処理が根の酸素消費量に及ぼす影響を検討した. 1.スイートコーンの場合,栽培期間中の降雨とそれによる地下水位上昇の影響は高畝,ポリマルチならびに雨よけハウスのいずれによっても同程度に軽減された.遮根シートの敷設は土壌の乾燥を助長し,生育,収量の低下をもたらした. 2.ホウレンソウでは,雨よけハウスが最も効果的で,次いで遮根シート>ポリマルチ>高畝の順であった.遮根シートの敷設は露地の場合有効であったが,雨よけハウスでは土壌の乾燥による生育の抑制を引き起こした. 3.シュンギクはホウレンソウと同様の反応を示した. 4.根の酸素消費量からみると,湛水処理による影響はホウレンソウが最も大きく,次いでシュンギク,スイートコーンの順であった. 5.湛水処理による1株当たりの根の酸素消費量の減少は根量の減少によるもので,いわゆる根の呼吸活性(単位乾物当たりの酸素消費量)の低下によるものではなかった.
著者
村上 健
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.951, pp.85-88, 1998-07-27

ちくわ、かまぼこなど水産練り製品メーカーのカネテツデリカフーズ(神戸市)は1998年1月、神戸地裁に和議開始を申請しました。大口の取引先が不渡りを出したため、本体と子会社合わせて66億円もの焦げ付きが発生し、資金繰りが悪化したのが原因です。負債総額は子会社を含めて約170億円に上りました。この責任をとって、私は7月7日付で、代表取締役社長から専務に降格しました。
著者
山川 雄司 遠山 渉 黄 守仁 村上 健一 石川 正俊
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.84, no.858, pp.17-00364-17-00364, 2018 (Released:2018-02-25)
参考文献数
19
被引用文献数
2

Human motion is very flexible for performing various tasks but has low speed and low precision; therefore, support and assistance of human motion by robots is desirable in some situations. In this study, in order to achieve such functions, we developed a new portable module for accurately controlling the position of a human hand and constructed a high-speed, high-accuracy positioning control system using image tracking via a high-speed vision system. In order to evaluate its performance, we executed tracing tests of constant position, circular or linear trajectory. Finally, we performed the task of catching a falling small ball, as a significantly difficult positioning task. Although this task was nearly impossible to perform with the human hand alone, the success rate was dramatically improved by using the proposed method.
著者
村上 健 深浦 順一 山野 貴史 中川 尚志
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.27-31, 2016

変声は14歳前後に完了するといわれている.今回,20代で声の高さの異常を他者に指摘されて初めて症状を自覚し,当科を受診した変声障害2症例を経験した.2症例とも第二次性徴を完了しており,喉頭に器質的な異常は認められなかった.話声位は男性の話声位平均値よりも高い数値を示したが,声の高さの異常に対する本人の自覚は低かった.初診時にKayser-Gutzmann法,咳払い,サイレン法により低音域の話声位を誘導後,低音域の持続母音発声から短文まで音声訓練を行い,声に対する自己フィードバックも実施した.訓練は1~2週に1回の頻度で実施した.2例とも訓練初回に話声位を下げることが可能であったが,日常会話への汎化に時間を要した.個性を尊重するなどの学校社会における環境の変化が,本人の自覚を遅らせ,診断の遅れにつながったのではないかと推測した.
著者
村上 健司
出版者
秋田書店
雑誌
歴史と旅
巻号頁・発行日
vol.27, no.11, pp.212-215, 2000-09
著者
玉木 輝幸 村上 健一 潮田 浩作
出版者
一般社団法人 日本鉄鋼協会
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.101, no.3, pp.211-220, 2015 (Released:2015-02-28)
参考文献数
13
被引用文献数
1

A local curvature multi-vertex model was developed. This model is a straightforward two-dimensional topological network model based on physical principles that consider the local curvatures of grain boundaries and the grain boundary tensions at triple junctions. Virtual vertices are set on the grain boundaries in order to calculate the driving forces of grain boundary and triple junction migration. Therefore, the accuracy of the developed model is higher than that of the conventional curvature model and the vertex model. In the proposed model, the generation and annihilation of virtual vertices maintained a proper configuration of virtual vertices, and high accuracy is expected with a suitable set of simulation parameters. The proposed model was verified by the grain growth simulation using adequately determined parameters for the artificially generated specimens with 5040 grains.