著者
井上 哲也 皆川 邦朋 松田 岳人 山口 芳裕 村田 厚夫 島崎 修次
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.72-76, 2003-02-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
5
被引用文献数
1

A 40-year-old Japanese man was brought to our hospital presenting with a deterioration of consciousness and respiratory failure after being bitten by an imported snake. On admission, he was in a deep coma with generalized paralysis. Because of his difficulty in breathing, he was intubated orally and controlled mechanical ventilation was started. To identify the snake, we obtained a photocopy of the snake and transferred it to the Japan Snake Institute via E-mail. The snake was identified as Bungarus candidus, and the antivenom was transferred to our hospital by a police car. The antivenom was given 16 hours after the bite, and neostigmine was administered for 10 days. The patient recovered from the respiratory paralysis six days after admission. His muscle weakness gradually improved, and he was discharged from hospital on the 44th hospital day. He continues to complain of fatigue almost one year after the incident.
著者
高橋 浩平 内田 学 石村 加代子 櫻澤 朋美 村田 厚 石田 美幸 福井 隆弘 増田 智子 杉浦 康幸 岩田 知子 田村 清隆
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.839-842, 2015 (Released:2016-01-09)
参考文献数
17
被引用文献数
1

〔目的〕脊椎圧迫骨折患者の食事摂取状況を把握し,エネルギー摂取率とリハビリテーションの帰結である歩行能力との関連性を調査する.〔対象〕受傷前歩行が自立していた脊椎圧迫骨折患者31名とした.〔方法〕入院後7日間のエネルギー摂取率(摂取量/消費量)を評価し,1.0以上を充足群,1.0以下を不足群とした.歩行能力の指標であるFunctional Ambulation Category (FAC)を群間で比較した.〔結果〕対象全体の74%に摂取量の不足を認めた.充足群の方が歩行訓練開始時と退院時のFACが有意に高く,エネルギー摂取率とFACの間に関連性を認めた.〔結語〕脊椎圧迫骨折患者では,入院後食事摂取量が不足することが多く,それが歩行能力に影響を与えていることが示唆された.
著者
村田 厚生 杉足 昌樹
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.169-179, 2000-08-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
19
被引用文献数
1 2

スポーツにおいて重要となる視覚機能のことをスポーツビジョンと呼び, 近年これらの研究が大きく注目されている. 打撃能力と動体視力には強い関連性があることが指摘されている. しかし, 動体視力以外のスポーツビジョンの機能については, 打撃能力との関係が十分に検討されているとはいえないのが現状である.本研究では, 野球選手を対象として, 前後方向の動体視力, 深視力, 瞬間視, 眼と手の協応動作などの機能の測定結果と野球の打撃能力との関係, すなわちどのようなスポーツビジョンの項目において打撃能力と強い関係が認められるかについて考察した. 動体視力, 眼と手の協応動作, 選択反応時間, さらには視野の項目において打撃評価が上位の被験者は成績が有意に高くなるという結果が認められ, これらのスポーツビジョンの機能が打撃能力と深い関係があることが分かった. 瞬間視, 深視力などの視覚機能よりも, 動いている対象物に素早く注意を向けて認知情報処理を行うための視覚機能の多くが打撃能力との関連性が強いことが示唆された.
著者
村田 厚生 太田 幸雄
出版者
Japan Society of Kansei Engineering
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.447-454, 2013 (Released:2013-12-11)
参考文献数
12
被引用文献数
1

When solving a mathematical problem, in spite of mastering knowledge and formula necessary for the solution, we sometimes encounter a situation where we cannot reach the correct answer. The reason can be contributed to the lack in metacognitive abilities. Metacognitive abilities consist of comparing the difficulty of problem with own ability, proper plan of solution process, and conscious monitoring and control of solution process. The role and importance of metacognitive ability in mathematical problem solving of permutations and combinations was explored. Participants were required to solve five problems related to permutations and combinations. For each problem, the solution process was divided into (1) recognition of mathematical problem, (2) plan of solution, and (3) execution of solution. Participants were required to rate the anticipation whether they can solve it or not, and to rate the confidence of their own answer. According to the total score of five problems, the participants were categorized into the group of the higher test score and the group of the lower test score. As a result, at the plan and the execution processes, statistically significant differences were detected between the high and low score groups. As for the rating on the anticipation of result and the confidence of own answer, no significant differences were found between both group. Moreover, the relationship between the score of plan process and the score of execution process was statistically correlated. In other words, the more proper the plan process was conducted, the more proper solution the participants reached. In such a way, the importance of metacognitive ability in the solving process, especially the plan ability was suggested.
著者
菊地 充 村田 厚夫 行岡 哲男 葛西 猛 遠藤 重厚 松田 博青 島崎 修次
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.8, pp.386-392, 2000-08-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
15

洗浄回収式自己血輸血施行例において自己血輸血による血中サイトカインの影響について検討することを目的とした。15例の腹腔内出血例を,SATを行った(A)群7例と,同種輸血を行った(B)群8例の2群に分けた。術前,術後第1病日(POD 1)およびPOD 3に末梢血を採取し,IL-6, IL-8, TNF-α, IL-1raについてELISA法を用いて測定した。血中IL-6値はA群術前141.6±38.6pg/ml(平均±標準誤差),POD 1 369.1±53.2pg/mlであった(術前と比べてp<0.05)。 POD 3には121.0±7.3pg/mlと減少する傾向がみられた。B群は術前120.1±59.4pg/ml, POD 1 235.9±57.4pg/mlとA群と同様に上昇したが,その増加はA群と比べて軽度であった。B群もPOD 3は123.2±16.1pg/mlと減少する傾向がみられた。血中IL-8値は術前A群72.7±22.9pg/mlからPOD 1 237.9±13.5pg/mlに,B群は術前56.4±25.0pg/ml, POD 1 41.4±15.6pg/mlと変化はなかった。POD 1の両群間の値を比較すると,A群が有意に高値を示した(p<0.05)。血中TNF-α値はA群の術前値が13.6±2.1pg/ml, POD 1は13.7±2.8pg/mlで,B群も術前は10.9±2.5pg/ml, POD 1は17.1±4.9pg/mlとほとんど変化なく推移し,両群ともに正常範囲内での変動であった。A群の血中IL-1ra値は,術前が927.5±230.3pg/ml, POD 1は698.7±208.5pg/mlであった。B群は術前が1,239.4±361.0, POD 1に284.2±147.7と減少した。以上から,SATによりIL-8が活性化されることが示されたが,自己血輸血に伴う炎症反応などの副作用はなく,その原因は出血あるいは回収・洗浄システムによる赤血球の溶血が関与していることが推察された。
著者
黄 舜範 村田 厚夫 脇坂 晟 吉江 利香 土屋 克巳 斉藤 喬士 武市 俊明 阪井 哲男 高見 佳宏 林 潤一 会沢 勝夫
出版者
杏林医学会
雑誌
杏林医学会雑誌 (ISSN:03685829)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.391-399, 2004
参考文献数
28

レーザー光照射装置と光増感物質の進歩により,Photodynamic therapy(PDT)は近年,癌などの治療に用いられるようになってきた。その細胞に及ぼす影響を分子生物学的に解明することは,本療法の副作用を防止して,その効果を充分に引き出す上で重要であろう。そこでヒト培養細胞にPDTを施行した際に生ずる遺伝子発現の変動をcDNA発現アレーによって解析することを試みた。健常成人皮膚より調製した線維芽細胞を,光増感剤talaporphin(mono-L-aspartylchlorin e6,NPe6)10mg/dlとともに37℃1時間培養し,ダイオード,イオン,レーザー照射装置を用いて,664nmの可視光により1.00J/cm^2の線量で照射し,その後,さらに37℃で10分間培養した。この細胞からRNAを抽出し,逆転写反応により[^33P]標識cDNAプローブを調製した。このプローブとNylon membrane arrayとをハイブリダイズし,その結果をイメージング,プレートおよびイメージ,スキャナーを用いて解析した。その結果,PDTを受けた直後の線維芽細胞においては,アポトーシス関連遺伝子では,RARB(retinoic acid receptor beta)以外には有意の発現増大を示す遺伝子は見られず,むしろ膜輸送,細胞増殖,細胞内シグナル伝達および転写などに関連する遺伝子,特にCキナーゼ,S6キナーゼおよびCREBなどの発現増大が特徴的であった。この結果はPDT処理直後の細胞においては,細胞内シグナリング,カスケードが活性化されていることを示唆するものと考えられる。
著者
村田 厚生 早見 武人 山本 豪志朗
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究では,ドラーバーの安心感を高めるための警報システムの人間工学的設計基盤技術,居眠りによる自動車事故防止のための基盤を確立し,ドライバーの反応の正確さ・迅速さを保証するための触覚警報提示方法を同定した。また,ベイズ推定,多項ロジスティック回帰モデルを用いた居眠り予測ロジックを提案し,運転シミュレータを用いた検証実験によって, 90-96%の高い予測精度を得た。
著者
村田 厚生
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, 1995-03-27

マウスカーソルの移動軌跡に基づいてユーザがポイントしようとするターゲットを予測する方法が完成されれば,操作性の大幅な改善につながると考えられる。また,操作スペースを確保できない場合にマウスの動きをできる限り少なくする方法として,ユーザーがポイントしようとするターゲットを予測するルーチンをポイント・システムに組み入れる方法は有効である。これまでにこの種の研究はほとんど行われていない。本論文では,マウス・カーソルの移動軌跡に基づくターゲット予測法を提案し,ターゲット間の間隔,ターゲットの位置,マウスの移動軌跡のサンプリング時間,移動軌跡の選択回数が予測におけるパフォーマンスにいかなる影響を及ぼすかを検討した。
著者
早見 武人 村田 厚生 松尾 太加志
出版者
岡山大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

視線方向を高精度で検出する技術を獲得するために,視線の移動に伴って眼球が動く様子を特殊な照明を用いてハイスピードカメラで撮影した.録画に対して画像処理を施すことにより眼球の回転角を計測した.実験の結果,眼球が静止状態から視線方向を変えようとして加速する際は加速が急に始まるのに対し,目的の姿勢に近づき減速する際の回転は比較的滑らかであることが確認された.
著者
村田 厚生 越智 啓太 森若 誠
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.190-197, 2011-10-15 (Released:2011-12-20)
参考文献数
18
被引用文献数
1

視線データからディスプレイ上の視線位置を表示する手法として, 適応的移動平均法を提案して,移動平均法(10点),注視点直接表示とパフォーマンスを比較し,さらにカーソルを非表示にした場合のパフォーマンスへの影響を明らかにした.コマンド名の表示領域から隣接する選択領域に直接視線が入ることで選択したと見なすI-QGSM(Improved-Quick Glance Selection Method)法をメニュー選択法として用い,メニュー選択作業を被験者に実施させた.作業完了時間,エラー率,作業しやすさ・眼の疲労度の主観評価の観点から,提案した適応的移動平均法が望ましいことが示された.カーソル表示と非表示条件での作業完了時間とエラー率には,ほとんど差がなかった.また,主観評価を通して,カーソルを表示する場合よりカーソルを表示しない場合の方が,操作性の評価が高くなり,眼への疲労度も低いことがわかった.
著者
村田 厚生 林 和也 森若 誠
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.127-138, 2011-08-15 (Released:2011-10-05)
参考文献数
13
被引用文献数
1 3

視線入力インターフェースの研究が行われているが,実用化には,視線入力における優れたスクロール操作方法の提案が必要不可欠になる.スクロール位置とスクロール速度の関係を非線形化したスクロール方法の提案がなされていない,ブラウザでのスクロール領域の位置の影響が明らかにされていないといった課題がある.本研究では,ウェブページでの情報検索を想定した課題を用いて,スクロール方法(スクロールアイコン法,オートスクロール法,オートスクロール改良法)のパフォーマンス,使いやすさの主観評価を比較し,最適なスクロール方法を明らかにした.その結果,スクロール領域でのカーソル位置とスクロール速度の関係を非線形にしたオートスクロール改良法(2次式組み合わせ),オートスクロール改良法(2次式)の作業完了時間が短く,エラー率が低く,操作性の主観評価も高いことが示された.
著者
村田 厚生 三宅 貴士 森若 誠
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.226-235, 2009-08-15 (Released:2010-11-19)
参考文献数
19
被引用文献数
4 10

本研究では視線入力装置を利用し,視線入力で快適にパソコンを扱えるブラウザを開発するための基礎的な研究として,高いポイント精度,速いポイント速度を保証する条件を同定する実験と視線移動方向の影響を明らかにする実験を実施した.その結果,ターゲットの横方向配置のほうが縦方向配置よりもポイント精度が高かった.両配置ともに,ポイント精度を高めるには,20ピクセル以上のターゲット間隔,40ピクセル以上のターゲットサイズにすべきであることが示された.また,両配置ともにポイント速度を速くするためには,ターゲットサイズをできるだけ大きくすべきで,ターゲット間隔はポイント速度にほとんど影響しないことが示された.また,マウスと視線入力のポイント速度の差は,若年者よりも高齢者のほうが大きくなり,視線入力システムは手指の運動機能の低下した高齢者には有効であることが示唆された.視線移動方向の影響に関しては,下方向のターゲットに対するポイント時間が他方向よりも長くなった.
著者
松尾 哲子 村田 厚生
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.190-203, 2011-10-15

2007年9月の敬老の日に総務省が発表した65歳以上の高齢者数は,2,744万人であり,総人口に占める割合は21.5%となり,人口数,比率とも過去最高になっている.一方,居住域の郊外への転移やモータリゼーションの影響によって,郊外を中心に巨大な駐車場を備えた大型ショッピングモールが乱立し,さらにインターネット販売,カタログ通販やインターネット注文で,最寄りの店から品物を配達するネットスーパーも活発になり,地域の商店街は人通りも減少し,空洞化に歯止めがかからない.しかし,商店街は車を運転できない地域の高齢者や生活弱者の生活必需品購入の唯一の生活ライフラインである.本研究では,九州の玄関口である,福岡県北九州市若松区と戸畑区の2ヵ所の商店街の来街者のアンケート調査研究に基づき,今後の高齢者など生活弱者のライフラインとしての商店街の維持や地域活性化を促すための施策について検討する.
著者
村田 厚生 三宅 貴士 森若 誠
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 = The Japanese journal of ergonomics (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.20-30, 2011-02-15
被引用文献数
2 4

本研究では,使いやすい視線入力ブラウザを開発するための基礎として,視線入力を用いたメニュー選択方法(I-QGSM法)を提案し,従来法(垂直表示,水平表示,サークル表示,QGSM法)との比較実験を実施し,若年者と高齢者に対してユーザビリティの優れたメニュー選択方法を明らかにした.高齢者に関しては,いずれの方法もマウスと同程度の作業時間でメニュー選択が可能であることが明らかになった.若年者については、視線入力を用いたサークル表示は避けなければならないことが示唆された.また,I-QGSMを用いると,エラー率が減少することが分かった.主観評価については,高齢者では,I-QGSMの評価値が高かった.以上より,I-QGSMを用いてメニュー選択を実施する場合には,マウスと比較して,高齢者は同等以上,若年者についてはほぼ同等の作業スピードでメニュー選択ができることが分かり,I-QGSMの有効性が示された.