著者
松山 隆司 竹村 岳
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.2149-2158, 1998-07-15

本論文では,多重フォーカス画像(カメラのフォーカスを規則的に変化させながら撮影した複数枚の画像)を用いた実時間3次元距離計測のためのカメラシステムの開発,距離計測アルゴリズムの提案および,それらの性能評価について述べる.以前提案した距離計測法5)では多数枚の画像を用いる必要があったが,今回提案するアルゴリズムでは,3枚多重フォーカス画像から高精度に距離計測ができる.これは,多重フォーカス画像から生成したspatio?focal画像における明度分布の対称性を利用した高精度モデル当てはめ法によるものである.さらに,このアルゴリズムでは,最適モデル当てはめを反復計算なしに求める計算法をとっており高速計算が可能となっている.論文の後半では,3枚の多重フォーカス画像を同時に撮影することが可能なカメラシシステムの開発について述べ,カメラおよびアルゴリズムの性能を実験によって評価する.一般に距離計測精度は様々なカメラパラメータに影響されるが,今回開発したシステムでは,良い条件の下での計測誤差は0.3%となっている.
著者
松山 隆司 和田 俊和 波部 斉 棚橋 和也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.10, pp.2201-2211, 2001-10-01
被引用文献数
81

背景差分は, 画像中の移動対象を検出する有効な手法として広く利用されている.しかし, 背景差分を行うには, 背景部分での画像の変化が観測されないという前提条件が必要であるため, その適用範囲は限られている.本論文では, 照明変化による背景部分の画像の変化が起きた場合にも適用可能な背景差分による移動対象検出法を提案する.本手法は, 異なった考え方に基づく二つの対象検出法に基づいている.一方は, 照明に不変な特徴を用いて背景画像と観測画像の比較を行う手法である.他方は, 背景差分を行う前に観測画像の照明条件を推定し, 輝度の正規化を行う手法である.これら二つの手法は互いに相補的であり, 最終的に双方の検出結果を統合することで精度の高い検出結果を得ることができる.実験の結果, 実画像に対する本手法の有効性が示された.
著者
馬場口 登 栄藤 稔 佐藤 真一 安達 淳 阿久津 明人 有木 康雄 越後 富夫 柴田 正啓 全 柄東 中村 裕一 美濃 導彦 松山 隆司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.155, pp.69-74, 2002-06-20
被引用文献数
35

電子情報通信学会パターン認識・メディア理解研究会の下で検討,作成した映像処理評価用映像データベース(VDB:Video Data Base)について述べる.このデータベースは編集効果(シーン切替),カメラワーク,テロップの出現,音声品質という点においてテレビ放送に匹敵する品質の素材映像をもち,ニュース,ドラマ,ドキュメンタリー,情報番組(料理,観光)などのジャンルの映像からなる.また,ショット境界やシナリオ情報をMPEG7形式のメタデータとして付与している.各種の映像処理アルゴリズムを比較評価するためのベンチマークデータとして利用されることが期待される.
著者
川嶋 宏彰 西川 猛司 松山 隆司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.3715-3728, 2007-12-15
被引用文献数
2

円滑な会話を進めるうえでは,参与者間で自然な間合いの発話権受け渡し(話者交替)が行われる必要がある.従来研究では,一方の発話終了からもう一方の発話開始までの時間(発話移行区間長)がしばしば解析されてきたが,実際の対面会話においては,相手話者の視線や口元の動きなどの視覚的に観察可能な身体動作も,発話権受け渡しの「間合い」を支えていると考えられる.そこで本研究では,話者が1 人であるにもかかわらず複数の役柄間での円滑な話者交替を表現している落語に着目し,演者の頭部動作の開始と発話開始・終了の時間的構造の解析を行った.その結果,先行発話終了に対する頭部動作の開始タイミングは,二者間会話の漫才における後続話者の発話開始タイミングと類似しているという知見が得られた.これは,視覚的な刺激の制御が,話者交替において受け手が感じる冗長な間合いを補間可能であることを示唆し,実際に被験者実験によってその評価を行った.Coordination of turn-taking with natural timing is important to realize a smooth conversation among multiple speakers. The existing studies often analyze an utterance transition interval, which is the interval from the end of the previous speaker's utterance to the beginning of the succeeding speaker's utterance. However, the effect of visually observable motions (e.g., gazing and lip motions) is also important to coordinate timing of turn-taking in face-to-face interaction. In this paper, we therefore focus on Japanese traditional Rakugo performances, in which smooth conversations among multiple roles are displayed by only one performer's act based on the control of the head motion timing during switching the roles. The result of analysis shows that the dynamic structure of intervals from the end of the previous utterance to the beginning of the head motions in Rakugo performances is similar to the structure of utterance transition intervals in Manzai dialogs, which are two-speaker conversations. The result suggests that the control of visual stimuli have the capability of filling redundancies in the pauses of turn-taking. We therefore examined the effectiveness based on psychological experiments.
著者
松山 隆司 尾崎 正治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.191-204, 1986-02-15
被引用文献数
26

本論文では 画像処理に関する知識を利用して画像のセグメンテーションを自動的に行うエキスパートシステムについて述べる.システムに対する要求は 画像から抽出すべき画像特徴(長方形 線など)とその属性(面積 長さなど)に対する制約条件によって表される.システムは 要求された画像特徴を検出するための最も有効な処理方針を推論し それに従って実際の画像処理を実行する.また 処理が途中で失敗した場合には 処理方針 処理アルゴリズム 処理パラメータを適宜変更し 処理をやりなおす.こうした推論 処理の過程は 画像処理に関するヒューリスティックスを表すプロタクション・ルールによって制御されており 試行錯誤的な解析など柔軟な解析が実現できる.
著者
日浦 慎作 松山 隆司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-2, 情報・システム 2-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.82, no.11, pp.1912-1920, 1999-11-25
参考文献数
18
被引用文献数
13

有限の開口径をもつレンズで撮影した画像には,奥行に関する情報がぼけとして現れる.これを利用した距離計測はDepth from Defocusと呼ばれ多数の研究例があるが,高精度な距離計測と安定な完全合焦画像の復元はぼけの大きさに関するトレードオフの関係にあり両立は困難とされてきた.これはぼけの形態を決定する瞳(開口)形状を単なる円形としているからである.そこで我々は,先に提案した多重フォーカスカメラにテレセントリック光学系と構造化瞳マスクを組み合わせ,安定かつ高精度に距離画像と完全合焦画像を同時に求める手法を提案する.多重フォーカスカメラから得た複数の画像を用いることにより,表面テクスチャの種類に依存しない解析が可能となる.更にテレセントリック光学系を用いることで,ぼけ現象は位置不変な畳込み演算となり解析が容易となる.構造化された瞳形状により,ぼけによる情報損を最低限に抑え,高精度な距離計測と安定な合焦画像復元の両立が可能となる.結果として,ぼけを含んだ画像に含まれる距離とぼけのない原画像に関する情報をほぼ完全に分離し取り出すことが可能であることを示す.
著者
加藤 丈和 松山 隆司
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.6, pp.1-6, 2011-08-29
被引用文献数
3

本稿では,家電の状態や電力を計測する「スマートタップ」とホームサーバから構成する「スマートタップネットワーク」を用いた家電の電力見える化システムと,見える化システムを実装したスマートマンションルームにおけるエコ生活実証実験について述べる.本システムでは,家庭内の全ての家電や照明の消費電力を個別に計測し,リビングのテレビとゲーム機を用いたインターフェースによって居住者にリアルタイムに提示することで,消費電力を見える化し節電を促すことができる.また,各スマートタップは家電認識機能を実装し,あらかじめ家電を接続する場所を固定しなくても,どこでどの家電を利用したかを自動で判別し,家電ごとの電力使用量を計測することができる.提案する見える化システムをマンションの一室に実装し,実際に生活して本システムの効果を実証した.This paper describes electorical power visualization system based on smart tap network. The smart tap network is an electrical power sensing and control network constructed by from Smart Taps (intelligent outlet with voltage/current sensor, signal processor and wireless communication ). Our system monitor the power consumption for all appliances in a home and promotes saving electricity for the user. The function of appliances recognition is implemented on the smart-taps. We introduce the smart-tap netowrk and visualization system to the apartment room and eveluate effectiveness of our system by real-life experiments.
著者
和田 俊和 野村 圭弘 松山 隆司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.879-891, 1995-04-15
参考文献数
11
被引用文献数
15

画像の領域分割問題は、明度、色、テクスチャの統計的性質、境界のエッジ強度の極大性など各領域の「属性」に関する性質と、それらが互いに素であり、画像全体を被覆するという領域間の「関係」に関する性質を同時に満足する領域集合を求める問題である。このように、部分の属性と部分間の関係の両者を取り扱わなければならない問題に対しては、各部分を自律的に動作するプロセス(エージェント)によって表現し、それらの相互作用によって解析を行う分散協調処理が適している。本研究では、領域の属性情報と領域間の空間的関係情報の両者を分散協調処理を用いて統合する領域分割法を提案する。本手法では、まず画像中の領域を表す各エージェントが他のエージェントの位置・形状を参照することにより、領域間の関係、すなわち領域の境界位置に関する仮説を生成する。各エージェントは、生成した仮説とボトムアップ解析によって得た領域固有の属性情報を、スネークのエネルギー関数を通じて統合し、エネルギー関数の最適化によって領域形状の変形を行う。さらに、エージェント間で互いに矛盾する仮説が生成された場合、各エージェントは仮説を修正することによって矛盾の解消を行う。以上のように「仮説の生成」、「矛盾する仮説の検証と修正」という機能を持つ分散協調システムによって整合性のある領域分割が行えることを実験によって示す。
著者
関 真規人 和田 俊和 松山 隆司
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.66(1993-CVIM-084), pp.7-14, 1993-07-22

我々が以前提案したγ?ωHough変換は、通常のρ?θHough変換と比べ次のような優れた特長を持っている。() パラメータ空間を均一に標本化し全画素からの投票を行なっても、パラメータ空間に蓄積される投票度数に偏りが生じない。() 投票軌跡が2本の線分から成る折れ線となり、軌跡の描画やパラメータ空間を用いた直線の幾何学的性質の解析が容易に行なえる。しかし、従来のγ?ωHough変換アルゴリズムでは、1本のディジタル直線に含まれる画素集合からの投票がパラメータ空間中の複数のセル (標本化区間) に分散することがあり、ディジタル直線を構成する画素の数が投票度数として正しく捉えられないという問題点がある。これは、従来のγ?ωHough変換アルゴリズムが、画像空間中に存在する全てのディジタル直線を検出対象としていなかったことに起因する。本研究では、ディジタル直線の幾何学的性質を詳細に解析し、画像空間中に存在する全てのディジタル直線と1対1に対応したセル配置を持つようにγ?ωパラメータ空間を標本化する方法を求めるとともに、そのセル配置に対する妥当な投票方法を明らかにする。本論文で提案するセル配置と投票方法を用いた「高精度γ?ωHough変換アルゴリズム」を用いることにより、任意の方向、位置を持つディジタル直線が安定かつ高精度に検出できる。
著者
和田 俊和 浮田 宗伯 松山 隆司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.81, no.6, pp.1182-1193, 1998-06-25
被引用文献数
62

視点, 視線方向などのカメラパラメータの制御を行う能動視覚システムでは, 静止3次元シーンを対象にした場合でも, マ カメラパラメータの変更によって観測画像にさまざまな変化が現れる.この変化は, カメラパラメータだけでなくシーンの幾何学的・光学的特性にも依存するため, 能動視覚システムにおいて, テンプレートマッチングや背景差分, フレーム間差分といったシーンの見え方に基づく処理を正確に行うことは困難であると考えられてきた.本論文では, 見え方に基づく処理を正確に行うために, カメラパラメータを変更しても見え方が変化しない能動的画像観測法を提案する.この方法を用いれば, カメラパラメータを変更して撮影した画像を2次元的に変換することにより, 静止シーンの見え方を一定に保つことが可能であり, 固定カメラを用いた場合と同様に, 能動視覚においても見え方に基づく処理を正確に行うことができる.本論文では, 提案手法の原理と, その実現法, および視線制御システムへの応用について述べる.
著者
松山 隆司 浅田 尚紀 青山 正人 浅津 英樹
出版者
社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.10, pp.2310-2320, 1995-10-15
被引用文献数
3

本論文では、我々が開発中の並列画像理解用計算機RTA/1上でデータレベル並列処理を実現する方法について述べ、ボトムアップ解析による対象認識過程を効率的な並列プロセスの組み合わせとして構成できることを示す。RTA/1は先に提案した再帰トーラス結合アーキテクチャに基づいて設計したMIMD型分敵メモリ並列計算機で、PE(Processing Element)群によって構成される2次元トーラスの再帰的分割・統合を最大の特徴としている。論文の前半では、データセット(要素データの集合)に対する演算を丑つの基本演算バターンに分類整理し、その並列化がデータセットと処理関数の分割および複写、SPMD(SingIeProgramMuItipleData)型およびMPSD(Multip1e Programs Sing1e Data)型の並列関数適用および並列バイプライン処理の5種類の機能によって実現できることを示す。すなわち、ここでは五つの基本演算パターンを並列実行することによりデータレベル並列処理が実現でき、並列化された演算バターン(並列プロセス)を組み合わせることにより、複雑な並列処理過程が構成できると考える、こうした考えに基づき論文では、RTA/1上でのデータレベル並列処理の実現法を検討し、エッジ検出、Hough変換、Geometric Hashingを用いた対象認識過程をデータレベル並列プロセスの組み合わせとして設計する。
著者
浅野 哲 牧 淳人 松山 隆司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.38, pp.151-158, 2005-05-12

なぜ人は他人と目が合うとき強烈なインパクトをもって、そしてかくも鋭く気づくのか?従来、視線推定に関する研究は数多く行われてきたが、カメラを見ているか否かを精度良く検出することに特化した研究はあまり見受けられない。本稿では人のアイコンタクトを参考に、カメラを用いて人のカメラへの注視状態を検出する手法を検討する。まず、人がカメラを見ている状態を知る上で視覚的な手がかりとなり得る虹彩位置の検出及び顔向きの推定を行い、その上で両者の関係を解析する。特に、人がある点を注視している状態において、虹彩、眼球、頭部の回転角の間の幾何的関係を基に、上記の両者の間の線形性を示す。これに基づきカメラ注視の判別を行う手法を提案する。In this paper we propose a method for detecting direct gaze on a camera. Although many studies have been made for detecting gaze direction, only little have been reported as to precise detection of whether or not the subject is gazing at the camera.When someone is gazing into your eyes, you instantly notice that with a strong impression. The locus of iris among others as well as the head direction provide strong cues for the eye-contact in the case of human beings. In our study, hence, we also investigate the head direction and extraction of thedisplacement of iris as observable cues by a camera, and the relation between those factors. We then propose that we can deduce a linear mapping between aforesaid two elements in the situations of ``eye-contact'', by the geometric relationship between iris, eyeball, and head directions.
著者
浅野 哲 牧 淳人 松山 隆司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. CVIM, [コンピュータビジョンとイメージメディア] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.149, pp.151-158, 2005-05-12
参考文献数
8

なぜ人は他人と目が合うとき強烈なインパクトをもって, そしてかくも鋭く気づくのか?従来, 視線推定に関する研究は数多く行われてきたが, カメラを見ているか否かを精度良く検出することに特化した研究はあまり見受けられない.本稿では人のアイコンタクトを参考に, カメラを用いて人のカメラへの注視状態を検出する手法を検討する.まず, 人がカメラを見ている状態を知る上で視覚的な手がかりとなり得る虹彩位置の検出及び顔向きの推定を行い, その上で両者の関係を解析する.特に, 人がある点を注視している状態において, 虹彩、眼球、頭部の回転角の間の幾何的関係を基に, 上記の両者の間の線形性を示す.これに基づきカメラ注視の判別を行う手法を提案する.
著者
佐竹 純二 小林 亮博 平山 高嗣 川嶋 宏彰 松山 隆司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.491, pp.137-142, 2008-02-14
被引用文献数
7

本研究では,大型ディスプレイを用いた情報提示システムにおいて,ユーザの顔や視線の方向を推定し,ユーザの興味や反応を認識することで,コンテンツをインタラクティブに制御することを目指している.カメラ画像のみを用いた視線推定法では,視線を虹彩中心と眼球中心を結ぶ直線として求める方法が一般的であるが,目領域の解像度が低いために誤差の影響が大きかった.そこで,高解像度カメラ(UXGA 30fps)を導入し,角膜による屈折を考慮した詳細な虹彩形状モデルを用いて,より高精度に視線を推定する方法を報告する.
著者
松山 隆司 長尾 真
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.21, no.5, pp.p468-480, 1980-05-15
被引用文献数
10

近年,国土の高度利用を計るためのデータを得る手段として,計算機による航空写真の解析が重要視されるようになって来た.本論文では,領域の持つ各種のスペクトル的,空間的特徴に基づいて画像を構造的に解析し,航空写真中の対象物を自動的に認識するシステムについて述べる.航空写真のような大きな画像のあらゆる部分について複雑な処理を行うと膨大な時間がかかるため,本システムでは,「大局的分類から詳細な解析へ」という考え方を導入し,処理の効率化を計っている.これは人間における注意の集中(focs of attention)にあたるもので,複雑で時間のかかる処理は特定の局所領域内のみに対して行われるので,処理時間が大幅に短縮される.システムの制御構造は,"プロダクションシステム"の考え方に基づいて作られており,多種多様な対象物に関する知識は,互いに独立江多数の対象物認識ルーチンに分散して蓄えられている.各対象物認識ルーチンは,対象物が存在するであろうと考えられる局所領域に注目し,独自の知識を用いて特定の対象物を認識するこれらのルーチンによる解析結果はすべて共通の"ブラックボード"に書き込まれ,システムはプラックボード中の情報の矛盾を検出し,誤りの訂正を行い,統一のとれた解析結果を出力する.
著者
松山 隆司 東海 彰吾 杉本 晃宏 和田 俊和 波部 斉 川嶋 宏彰
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2001

3次元ビデオ映像の能動的実時間撮影・圧縮・編集・表示法の開発を目指して、平成13年度〜15年度の3年間の研究により以下の成果を得た。(1)Myrinet高速ネットワークでPC30台を結合し、IEEE1394首振りカメラ25台を持つ能動的実時間3次元ビデオ映像撮影用PCクラスタシステムを開発した。(2)首振りカメラを準視点固定型パン・チルト・ズームカメラとしてモデル化し、高精度にキャリブレーションを行う手法を開発した。(3)3平面視体積交差法およびPCクラスタを用いた並列パイプライン処理システムを開発し、毎秒10フレームを超える処理速度で人体動作の3次元ディジタル化を実現した。(4)より高精度な3次元形状復元、高精細テクスチャマッピングの実現を目指した、人体部位の分散協調的ズームアップ撮影のための多視点カメラワークの最適化法を考案した。(5)視体積交差法で得られた3次元形状の復元精度向上のため、弾性メッシュモデルの動的変形による高精度3次元形状復元アルゴリズムを開発した。(6)対象の観察視点・視線情報を利用した高品質テクスチャマッピングアルゴリズムを考案した。(7)複数のランバーシアン参照球を用いた光環境センシシグ法(複数光源の推定法)を考案した。(8)スケルトン・キューブ(枠のみからなる立方体)を用いたセルフシャドウに基づく光環境センシング法を考案した。(9)3次元ビデオと全方位パノラマ映像を素材として使った3次元ビデオ映像のインタラクティブ編集システムを開発した。(10)正多面体展開図を用いた全方位パノラマビデオ映像の符号化法を開発しMPEG会議へ標準化提案を行った。(11)3次元ビデオ映像の圧縮法を考案しMPEG会議へ標準化提案を行った。
著者
ウ 小軍 圓藤 康平 和田 俊和 松山 隆司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.633, pp.9-16, 2001-02-15
被引用文献数
4

3次元ビデオとは、実世界のダイナミックな視覚的イベントをすべて撮影、記録する究極の映像メディアのことである。すなわち、視覚情報として、時系列に変化する対象の立体的な形と表面属性(色とテクスチャ)を獲得し、記録するメディアである。本論文では、まず実時間3次元形状復元手法として、視体積交差法に基づいた新しい並列アルゴリズムを提案する。この手法では、平面間透視投影を用いて、多視点同時撮影された映像から対象の立体的な形を復元する。われわれはこの手法を超高速ネットワーク(1.28Gbps)に接続された10台のPCからなるPCクラスタシステム上に実装した。このシステムは2cm×2cm×2cmの空間解像度において、約秒10フレームのスピードで身体動作の3次元形状復元に成功している。次に、パン・チルト・ズームカメラを制御し、対象を追跡しながら3次元形状復元を行う機能をシステムに追加した。カメラ制御の遅延によってシステムのスループットは秒1フレームに落ちたが、対象を追跡することで、空間解像度を落とすことなく、広い範囲を動く対象の3次元形状を復元できるようになった。最後に、われわれが開発した対話的編集・表示プログラムのデモを通して、3次元ビデオの魅力を示す。
著者
杉本 晃宏 松山 隆司
出版者
国立情報学研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究では、ユーザが手にし、それを持ち変えて観測している物体を装着型視覚センサでとらえ、その物体の3次元形状、及び、表面情報を復元する手法の確立を目指している。本研究によって得られた成果は、以下のようにまとめられる。1.装着型能動視覚センサを用いた視線検出:視線測定装置とコンピュータ制御可能な2台の首振りカメラで構成される装着型能動視覚センサを構築した。そして、視線測定装置と2台の首振りカメラを強調させることによって、周囲の奥行きが場所毎に大きく変わる環境でも、正確にその視線情報を検出する手法を考案した。2.3次元把持物体の形状復元:把持物体の全形状を復元するためには、物体を手で持ち変える前後で復元された部分形状を張り合わせる必要がある。本研究では、復元された部分形状を距離画像として捉え、物体表面の局所構造を保持する距離画像の張り合わせ手法を考案した。3.3次元把持物体の表面情報の復元:対象物を手で持ち変える前後で得られた画像群の明度情報を解析して、環境中での証明の強度と物体表面の反射特性との両方を推定する手法を開発した。本手法は、複雑な分布をもつ一般照明下において反射率を正確に推定することが可能であるという点において従来手法にはない特長を備えている。4.装着型能動視覚センサを用いた運動推定:2台の能動カメラそれぞれを注視点制御することにより、3次元空間中を自由に移動する人物の運動を逐次的に推定する手法を考案した。本手法は、装着した2台のカメラの基線長に依存せずに、長い運動に対しても、高精度な推定を安定に実現する手法となっている。