著者
松浦 一貴 寺坂 祐樹 今岡 慎弥
出版者
医学書院
雑誌
臨床眼科 (ISSN:03705579)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.491-495, 2019-04-15

要約 目的:雪視症(visual snow)では,視野全体に雪が降っているような感覚が視野全体に持続する。片頭痛や耳鳴に加え,不安やうつ状態も本症に併発する。Visual snowの診断には,内視現象の強化,反復視,羞明,夜間視の障害が3か月以上持続する必要がある。心因性ストレスが先行するvisual snowの1例を報告する。 症例:25歳男性が受診した。大学卒業後2年間就職が決まらず,3か月前から視界に砂嵐が見え,眼内に残像が出る感覚と羞明が持続している。耳鳴が最近強くなった。片頭痛はない。 症状と経過:眼科と神経学的に異常はない。Wide-range assessment of vision-related essential skillsでは,視覚情報が手を介して出力される目と手の協力は正常であり,図形を認知する視知覚に著しい低下があった。羞明と夜間視の障害の併発があった。無治療で12か月経過を観察し,症状は残っているが,生活には支障がない。 結論:本症例では,ストレスに伴う視覚的認知障害が生じ,その結果としてvisual snowが発症したと考えられる。
著者
松浦 一雄
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.30-35, 2011

Separation through ultrasonic atomization has advantages in industrial application over distillation, i.e., low energy consumption, unheated process and quick start of opertion. The first application of ultrasonic atomization was sake refining by utilizing the advantage of no heating, its application is now growing in various industrial processes, for example, ethanol purification, waste water treatment, micro-nanometer ice formation, sugar concentration etc. In addition, carbon dioxide emission by ultrasonic atomization separation is extremely low compared to distillation. The ultrasonic atomization separation will replace many conventional separation processes because of the superior characteristics.<br>
著者
松浦 一雄
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.89, no.1, pp.13-17, 1994-01-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
6

食品加工分野ではマイクロ波, 高周波, 遠赤外線, 超高圧, 超音波などの様々な物理エネルギーが利用されるようになってきた。超音波は魚群探知, 洗浄, 医療診断等の産業分野へ広く利用されているが, 食品産業分野への利用は最近のことである。ここでは酒類醸造分野での利用について, 超音波により酵母に阻害的に作用する溶存炭酸ガスを低減させることによって発酵制御を試みた例について解説していただいた。
著者
土屋 活美 林 秀哉 藤原 和久 松浦 一雄
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.11-17, 2011 (Released:2011-04-12)
参考文献数
19
被引用文献数
1

It has been claimed in the literature that selective ethanol separation from ethanol-water solution can be made through ultrasonic atomization. The causes of separation were explained in terms of parametric decay instability of capillary waves, accumulating acoustic energy in a highly localized surface of the capillary wave and effecting ultrasonic atomization. In this study, the atomization process is examined visually with some mechanistic view, and the dynamics of interfacial oscillations occurring along the perturbed protrusion or conical “liquid column/fountain jet” over the ultrasonic transducer are analyzed by high-speed imaging. It is found that the atomization process could be initiated by a sudden increase in surface roughness of microscale, which would be viewed as localized surface patches of two-dimensional capillary waves, often associated with contraction expansion sequence of surface to-pology. Such surface patches could bring further instability in generating a swarm of liquid droplets of microscale around the expanded phase of liquid column.
著者
松浦 一雄
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.108, no.5, pp.310-317, 2013-05-15

超音波霧化分離法を利用した高濃度・純米清酒が初めて発売されて,13年が経過した。その間,NEDO事業などによってバイオエタノールの精製装置として開発を継続し,その分離効率は飛躍的に高まってきた。平成18年の酒税法改正によって,清酒のアルコール濃度は22容量%を超えてはならないとされたため,上述の清酒は販売が中断されたものの,酒類以外の実用化例が実現し論文数も世界的に増加し普及の速度が高まっている。本項では,酒類を起点として開発が開始され,あたらしい溶液分離方法として確立しつつある超音波霧化分離法について,その実用面に力点を置き概説した。
著者
松浦 一登 西條 茂 浅田 行紀
出版者
日本頭頸部癌学会
雑誌
頭頸部癌 (ISSN:13495747)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.321-327, 2006
被引用文献数
4

【対象と方法】1993年~2005年に我々が行った喉頭部分切除術(PL)24例と下咽頭喉頭部分切除術(PPL)症例14例を同時期の超選択的動注化学放射線療法(iaCRT)症例17例と比較した。また1999年~2003年に放射線治療を行った下咽頭癌20例に対して喉頭温存手術が可能であるか検討した。<BR>【結果】喉頭癌でのKaplan-Meier法による疾患特異的5年生存率はPL症例が81.3%でiaCRT症例は87.5%(N.S.)であり,下咽頭癌での生存率はPPL症例が39.5%でiaCRT症例が55.6%(N.S.)であった。放射線治療を行った下咽頭癌に対して,喉頭温存手術は20例中12例で可能であると判断された。<BR>【結論】喉頭癌や下咽頭癌での喉頭温存手術の適応となる症例は放射線治療の良い適応でもある。
著者
松浦 一悦
出版者
松山大学総合研究所
雑誌
松山大学論集 = MATSUYAMA UNIVERSITY REVIEW (ISSN:09163298)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.1-29, 2014-12-01
著者
松浦 一雄
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.41, no.9, pp.584-589, 1993

ハーバーとボッシュによるアンモニア合成触媒の発見のように, 昔から画期的な触媒の誕生は社会に大きな影響を与えてきた。とくに, 今世紀最大の発見のひとつともいえるチーグラー触媒の誕生により, ポリエチレンのようなプラスチック類が金属や木材など天然素材に代わって登場し, 我々の生活様式は一変した。しかし, 触媒のはたらきは長い間プラックボックスとされてきたのであり, 新触媒の誕生は偶然や意外性に支配されることが多かった。一体, 新触媒はどのような背景で生れ, 育っていったのだろうか?また, それとともに, 工業プロセスはどう移り変わったのだろうか?
著者
松浦 一登
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.116, no.12, pp.1290-1299, 2013-12-20 (Released:2014-02-22)
参考文献数
27

がん治療の究極の夢は「薬」で病が治ることである. 効果を得るために治療強度を増すことはしばしば行われるが, 副作用も強くなるというジレンマがある. 近年, 分子標的薬剤など新しい創薬がなされ, 治療効果とともに新たな副作用が認められてきた. 大多数の頭頸部がん患者は, 外科治療を主とする耳鼻咽喉・頭頸部外科医によって治療がなされており, われわれは多様な有害事象をマネジメントしつつ, 標準治療を理解して完遂しなければならない. 元来は兵器であったという生い立ちを忘れて抗がん剤を用いることは, 「角を矯めて牛を殺す」になりかねず, 不必要な抗がん剤使用を避けることが何よりの有害事象対策となる. 現在, われわれが最も多く用いる抗がん剤はシスプラチンであるが, 代表的な副作用は, 腎障害と悪心・嘔吐である. 腎障害は尿細管障害が主体であり, 大量補液と利尿剤で軽減を図るが, NSAIDsを避けることやMgの補充を行うことも重要である. 悪心・嘔吐対策は, 初回からアプレピタント, ステロイド, 5-HT3拮抗剤を用いて十分な対応をとり, 患者に我慢させないことが大切である. 近年, 化学療法施行時のB型肝炎再活性化が問題となっており, ハイリスク患者には抗ウイルス薬 (エンテカビル) の予防投与が推奨されている. また, 頭頸部がんに対する分子標的薬剤 (セツキシマブ) が保険収載されたことにより, 本剤の使用が始まった. シスプラチンに比べて, 補液の管理や嘔気・嘔吐管理が格段に簡便になる反面, インフュージョンリアクションや間質性肺炎など致死的な症状が生じることがあり, われわれもこの薬剤に対する理解を深めなければならない. 現在の頭頸部がん治療では多職種でのチーム医療が必要不可欠であり, 抗がん剤の有害事象をマネジメントするにも, 担当医一人では十分な対応はできない. 看護師を含む医療従事者にも知識の共有と教育を繰り返し行い, チーム力の向上を図ることが何よりも重要である.
著者
居村 剛 坂東 玲芳 和田 泰男 福島 泰 Ryozo HAYAI 松浦 一 井上 博之 蔭山 哲夫 武田 美雄 市原 照由 加藤 和則
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.45-54, 1986-05-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

農業アレルギーの調査研究の一つの対象として, しいたけ栽培者を選び, その胞子による過敏性肺炎の3例を発見報告した, これらの3症例には, しいたけ胞子アレルゲンに対する血清沈降抗体がみられ, ことに, その1例において, しいたけ胞子および, 抽出アレルゲンによる誘発反応を試み, 陽性所見を得た. しいたけ農家群には, 高い自覚的呼吸器症状がみられるが, その原因は単一でなく, アレルギー機序は, その一部の原因であろうと考えられ1る. しいたけ胞子抽出アレルゲンの皮内反応陽性率は低く, そのアレルゲン性は高くないと考えられ, この疾患には, アレルギー素因が大きい要素を占める.この他, Mushroom worker's lung等との関連や, きのこ胞子類によるアレルギー疾患との関係も論じた.
著者
平川 仁 鈴木 基之 西野 宏 佐藤 雄一郎 石木 寛人 篠崎 剛 海老原 充 新橋 渉 上條 朋之 岡本 牧人 別府 武 大堀 純一郎 松浦 一登
出版者
日本頭頸部癌学会
雑誌
頭頸部癌 (ISSN:13495747)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.75-81, 2018

頭頸部癌終末期患者における症状について多施設調査を行った。根治不能頭頸部癌と診断され,癌の進行による状態悪化のために入院となった患者を対象とした。11施設から100人の患者が登録され,そのうち転院した患者などを除く72人が死亡まで観察可能であった。最終観察時における出血や滲出液を伴う自壊腫瘍を持つ症例は36.1%であった。またそれに伴う制御不能な出血を認めた症例は5例であった。1例は頸動脈破裂による急速な転機をたどった。残りの4例は出血および血圧低下による止血を繰り返し最終的に心肺停止となった。栄養経路に関して61.1%で経腸栄養摂取が可能であった。頭頸部浮腫は36.1%に認めた。喉頭発声による意思の伝達は50%で不可能であった。頭頸部癌の終末期症状は決して軽いものではない。しかしその症状・頻度,病態の理解が進み,適切な指針を今後作成できれば,患者は終末期の時間を自宅近くの医療施設もしくは自宅で過ごすことができるようになると期待される。
著者
松浦 一恵 亀岡 智美
出版者
日本看護教育学学会
雑誌
看護教育学研究 (ISSN:09176314)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.69-84, 2015-03-31 (Released:2016-11-10)

研究目的は、手術室配属となった新人看護師が、何に対し「仕事に関する就職前のイメージと就職後の実際の相違」を知覚しているのかを解明し、その知覚の特徴を考察することである。全国196病院に勤務し、新人看護師として手術室配属となった経験を持つ臨床経験4年未満の者954名を対象に、郵送法による調査を行なった。測定用具には、対象者背景と「仕事に関する就職前のイメージと就職後の実際の相違」に対する知覚を問う自由回答式質問を含む質問紙を用いた。454名(回収率47.5%)から質問紙を回収し、自由回答式質問に回答していた186名の記述をBerelson, B.の方法論を参考にした看護教育学における内容分析を用いて分析した。その結果、【患者や家族との相互行為機会や時間の多少、その獲得の難易】等の手術室配属となった新人看護師が知覚する「仕事に関する就職前のイメージと就職後の実際の相違」を表す30カテゴリが形成された。Scott, W. A.の式に基づき算出したカテゴリ分類の一致率は、看護学研究者2名ともに92.3%であり、30カテゴリが信頼性を確保していることを示した。30カテゴリと文献との照合は、手術室配属となった新人看護師による「仕事に関する就職前のイメージと就職後の実際の相違」の知覚が、6つの特徴を持つことを示唆した。周囲の看護師や医療従事者がこのような特徴を理解し支援することは、手術室配属となった新人看護師の学生からの役割移行、職場適応や就業継続を促進する。