著者
松野 正見 利根川 太郎 奥井 義昭
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.11, pp.22-00332, 2023 (Released:2023-11-20)
参考文献数
15

橋梁の伸縮装置は,道路利用者に直接影響を及ぼす重要な部材であるにも関わらず,橋梁の付属物としての位置づけであったためか,これまで構造の見直しがあまり行われていない.本研究は,鋼製フィンガージョイントの合理化構造を提案し,提案した構造のFEM解析を行うことで妥当性の確認を行った.次に,実物大の疲労試験を実施し,必要な疲労耐久性が確保できているか確認を行い,本構造における累積損傷を基にした疲労強度の一考察を行った.最後に,本伸縮装置の設計法を確立するために,応力の伝達機構の解明を行った.
著者
足立 雄一 五十嵐 隆夫 吉住 昭 萱原 昌子 足立 陽子 松野 正知 村上 巧啓 岡田 敏夫
出版者
日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.40-45, 1991
被引用文献数
2

4例の食物依存性運動誘発性アナフィラキシーを経験した. それぞれの臨床症状について検討し, さらに全員に運動負荷を行い, その前後でCom48/80を用いた皮膚テストを実施した. 症例は男児1名, 女児3名. 13-16歳に発症し, 誘因はエビなどの甲殼類が2名, 小麦およびポテトが1名, 小麦が1名であった. いずれもRASTにて特異的IgE抗体を証明し得た. 運動はランニング, バレーボール, 早足歩行であり, 食後10分から2時間に運動することで発症している. 全員に蕁麻疹を認め, それ以外に意識消失や呼吸困難を認めた. 運動負荷のみでは全員無症状であったが, Com48/80に対する皮膚反応は3例において運動前に比して運動後に増大傾向を認めた. 以上より, 本疾患の発生機序としてアレルギー反応の関与が示唆されたが, 運動による皮膚肥満細胞の活性化の可能性については今後の課題である.
著者
渡辺 和宏 舟山 裕士 福島 浩平 柴田 近 高橋 賢一 上野 達也 長尾 宗紀 羽根田 祥 松野 正紀 佐々木 巌
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.517-521, 2004 (Released:2011-06-08)
参考文献数
11
被引用文献数
1 2

術前診断が可能であった右傍十二指腸ヘルニアを経験したので報告する. 症例は71 歳の男性で, 突然の右側腹部痛で発症した. 小腸造影にて, 口側, 肛門側での狭窄を伴う, 空腸係蹄の集塊像を右側腹部に認めた. 上腹部CTにて, 右側腹部で被膜に包まれ嚢状塊となった拡張した小腸を認め, 上腸間膜動静脈の腹側を扇状構造の腸間膜が走行していた. 右傍十二指腸ヘルニアの診断にて, 発症から14日後, 開腹手術となった. 開腹所見にて下結腸間膜窩に発生した右傍十二指腸ヘルニアと診断され, 嵌入した腸管を還納した後ヘルニア門を閉鎖した. 腸間膜側壁窩に発生する一般的な傍十二指腸ヘルニアでは, ヘルニア嚢は上腸間膜動静脈の背側を走行するが, 自験例では上腸間膜動静脈とは独立した位置関係であった. 下結腸間膜窩をヘルニア門とするヘルニアは我々が検索した限りでは報告がなく, 極めてまれな症例であると考えられた.
著者
中川 圭 鈴木 正徳 海野 倫明 遠藤 公人 片寄 友 松野 正紀
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.41, no.12, pp.823-828, 2000-12-01
被引用文献数
2 4

著者らは骨髄異形成症候群 (myelodysplastic syndrome: MDS) による続発性造血性ヘモクロマトーシス (erythropoietic hemochromatosis) を基礎疾患とした肝細胞癌の1切除例を経験した.<BR>症例は平成元年より肝機能異常・貧血を指摘され, 平成9年肝硬変・糖尿病の診断. 平成10年胆嚢摘出術の術前精査で骨髄異形成症候群 (MDS-RA (reactory anemia) 型) の診断を受け, 平成12年経過観察中にS5, 8境界領域の高-中分化型肝細胞癌を認め手術施行した. 術後のペルシアンブルー染色でKupffer細胞が強く染色されるとともに肝細胞に鉄顆粒が認められ, 本症例が続発性ヘモクロマトーシスであることを示唆していた. MDSでは無効造血で鉄が余剰となるため合併症として本症のごときヘモクロマトーシスを発生しうる. 本症例はヘモクロマトーシスに肝癌を併発し切除されたもので, 本邦報告例としてはきわめて稀な症例である.
著者
溝井 賢幸 大内 明夫 椎葉 健一 松野 正紀
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.24, no.10, pp.2584-2588, 1991-10-01
被引用文献数
13

脾臓にのみ孤立性転移を認めた結腸癌の1例を経験した.症例は60歳,男性.上行結腸癌と脾腫瘍の診断で入院となったが,術前の画像診断では原発性か転移性かの鑑別は困難であった.開腹時の術中迅速病理診断で粘液癌と診断し,上行結腸癌の脾転移と考え,右半結腸切除術と脾摘術を施行した.術後9か月より血清CEA値の再上昇がみられるが,画像診断上再発は確認されていない.大腸癌の脾転移は頻度が低く,特に肝臓など他臓器に転移せず,脾臓にのみ転移した症例は極めてまれであり,文献上本症例も含め6例のみであった.脾転移の経路に関しては不明の場合が多いが,血行性転移が主であるとする意見もあり,本症例も血行性転移の可能性が高いと考えられた.文献上孤立性脾転移の切除予後は比較的良好であり,早期診断と積極的切除が重要と考えられた.
著者
角川 陽一郎 武田 和憲 砂村 真琴 川口 信哉 小針 雅男 松野 正紀
出版者
The Japanese Society of Gastroenterology
雑誌
日本消化機病學會雜誌. 乙 (ISSN:13497693)
巻号頁・発行日
vol.87, no.6, pp.1444-1450, 1990
被引用文献数
15

雑種成犬を用い, 十二指腸盲管法にて16時間後に出血性膵炎を認めたものを対象に蛋白分解酵素阻害剤続動注療法の効果を検討した. 盲管を解放後, 無治療対照群, Nafamostat mesilate(FUT-175)の持続静注群 (5μg/kg/分), 同量の腹腔動脈からの持続動注群の3群に分けた. 24時間後の膵組織内FUT濃度は静注群•動注群それぞれ905ng/g, 4453ng/gとなつた. 膵組織内 trypsin 活性は対照•静注•動注群それぞれ2.1, 1.4, 0.7nmol/min/mg蛋白, 膵の実質に対する壊死面積比はそれぞれ49.5, 25.6, 12.4%と動注群で著明に抑制された. また, 血清Ca値や, amylase, lipase 値も改善し, 重性急性膵炎に対する本法の有用性が示された.
著者
柳下 正治 石川 雅紀 廣瀬 幸雄 杉浦 淳吉 西村 一彦 涌田 幸宏 岡山 朋子 水野 洋子 前田 洋枝 松野 正太郎
出版者
Sociotechnology Research Network
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.49-58, 2004
被引用文献数
1 1

本稿では, 科学技術振興機構の社会技術研究プログラム「循環型社会」において採択された「市民参加による循環型社会の創生に関する研究 (2002~05年) 」として2002~03年度に実施した「ステークホルダー会議」を報告し, その結果の評価を試みる. 本研究では, 市民参加プロセスとして参加型会議「ハイブリッド型会議」を採用した. ハイブリッド型会議はステークホルダー会議と市民パネル会議から構成される. ステークホルダー会議では, 名古屋のごみ減量化取組に係わった多くのセクターの代表者の参加の下, 目指すべき循環型社会を考えるための多様な論点を検討し, それを評価軸に用いて名古屋のごみ減量化取組の評価を行うとともに, 更に名古屋が目指すべき循環型社会を具体的に検討するための要件を抽出した.
著者
舟山 裕士 佐々木 巌 宮下 英士 溝井 賢幸 土井 孝志 松野 正紀
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.1113-1116, 1994-05-01
被引用文献数
22

症例は69歳の男性. 腹部手術の既往はない. 1990年5月突然激烈な左下腹部痛が出現し, 急性腹症の診断にて開腹したところ, 回腸の一部が180度時計方向に軸捻転をおこしていた. 小腸の血流は良好であったため, 捻転整復のみにて閉腹した. 術後, 退院し何事もなく生活していたが, 1993年1月再び腹痛を訴え, 小腸軸捻転の再発の疑いにて開腹した. 開腹したところ中部小腸が反時計方向に360度軸捻転を生じておりその間の腸管は壊死状態であった. 捻転部を解除し壊死腸管を切除し腸管を端々吻合にて再建した. 術後経過は良好で現在再発は認められていない. 成人の原発性小腸軸捻転症は本邦ではまれな疾患でこれまでに11例の報告があるのみである. また, これまでに再発の報告はなく, 本症例が最初である.
著者
尾上 洋一 村上 巧啓 高柳 幹 岩谷 雅子 萱原 昌子 足立 陽子 松野 正知 足立 雄一
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.44, no.10, pp.1207-1215, 1995
被引用文献数
6

6〜16歳の気管支喘息児51名において4種のゴキブリ特異IgE抗体をRASTおよびCAP-RASTにて測定した. ゴキブリ特異IgE抗体陽性率はRASTでクロゴキブリ17.6%, チャバネゴキブリ29.4%, ワモンゴキブリ19.6%, ヤマトゴキブリ15.7%であり, CAP-RASTではクロゴキブリ, チヤバネゴキプリとも15.7%であった. また, この4種のゴキブリRASTを陰性と陽性に分けて検討すると相関関係が認められた. クロゴキブリおよびチャバネゴキプリ虫体と糞のRASTは相関関係を認め, 2名のゴキブリ陽性患児血清を用いた. immunoblot法では虫体と糞に共通の感作抗原分画を認めた. ゴキブリ抗原吸入誘発試験では既時型の気道反応を示し, RAST抑制試験ではゴキブリ抗原によりダニRASTは抑制されなかった. 以上より小児気管支喘息においてゴキブリはダニとは異なる吸入性アレルゲンとして注目すべきと考えらられた.