- 著者
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渡邉 信晃
榎本 靖士
大山 卞 圭悟
宮下 憲
尾懸 貢
勝田 茂
- 出版者
- 社団法人日本体育学会
- 雑誌
- 体育學研究 (ISSN:04846710)
- 巻号頁・発行日
- vol.48, no.4, pp.405-419, 2003-07-10
- 被引用文献数
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4
本研究は,スプリント走時の下肢の動作および関節トルク発揮と等速性最大筋力との関係を明らかにし,スプリント走のトレーニングを考える上での基礎資料を得ることを目的とした。本研究から得られた知見は以下の通りである。(1)疾走速度と疾走時の下肢の動作および関節トルクとの間で有意な相関関係が認められたのは,支持期の膝関節最大伸展速度(負の相関),回復期の股関節屈曲トルクおよび伸展トルク(正の相関),支持期の膝関節伸展トルクおよび足関節底屈トルク(正の相関)であった。(2)疾走時の下肢関節トルクと下肢の等速性最大筋力との間でいくつかの有意な相関関係が認められたが,,中でもパフォーマンスに影響すると考えられる関係は,回復期の股関節進展トルクと短縮性股関節屈曲筋力(30,180および300deg/s),回復期の膝関節屈曲トルクと膝関節屈曲筋力(短縮性:180deg/s,伸張性:30,180および300deg/s),支持期の足関節底屈トルクと短縮性底屈筋力(180および300deg/s)であった。特に,支持期の膝関節および足関節では,等速性最大筋力が大きいことで支持期の関節トルクを介して関節の角度変位を小さくし,効率的なキック動作を引き出している可能性が示唆された。(3)疾走速度と下肢の等速性最大筋力との間で有意な正の相関関係が認められたのは,股関節屈曲筋力(短縮性:30,180および300deg/s,伸張性:30deg/s),短縮性股関節伸展筋力(180deg/s),短縮性および伸張性膝関節屈曲筋力(180deg/s),短縮性膝関節伸展筋力(180deg/s)であった。以上の結果から,回復期の股関節や,支持期の膝関節および足関節における関節トルクの発揮と,それに引き続き生じる動作には,等速性最大筋力が大きく関わっていることが明らかとなった。従って,スプリント走のパフォーマンス向上において,回復期の股関節や,支持期の膝関節および足関節動作は,それぞれの間接での等速性最大筋力のトレーニングによって改善される可能性が示唆された。