著者
武藤 正浩 鈴木 祐介 鈴木 仁
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

IgA腎症は世界で最も多い原発性糸球体腎炎であり、20年で約40%が末期腎不全に至る予後不良の疾患であるが、未だ病因の全容は不明であり確立された治療は存在しない。本研究は、IgA腎症患者由来の糖鎖異常IgA1ヒンジ部のO-結合型糖鎖の糖鎖構造や、糖鎖異常IgA1およびSecretory componentの由来臓器を解明し、口蓋扁桃摘出術およびステロイドパルス療法が治療効果をもたらすメカニズムの一部を明らかにし、分子標的治療の礎とすることを目的とする。
著者
飯泉 俊雄 服部 晃 真田 雅好 武藤 正樹
出版者
国際組織細胞学会
雑誌
Archivum histologicum japonicum (ISSN:00040681)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.305-320, 1977
被引用文献数
14

マウス脾臓を灌流固定, 凍結割断ののち, 巨核球について走査電子顕微鏡による観察を行なった. 多くの巨核球は脾索内に存在し, 脾洞と細静脈の壁に近接していた. また稀には洞内と細静脈内にも認められた. 巨核球は細網細胞によって囲まれ, ときには両者の胞体の鋸歯状結合もみられた. 巨核球の概形は, 未熟なものは円形, 成熟するに従って不整形となり, 細胞表面には大きな突起がみられた. 巨核球の細胞表面には小孔と小突起が認められた. 小突起には2種類が識別され, 一つは血小板放出に関与すると考えられる球状の突起 (第一型) で, 他は絨毛状の細長い突起 (第二型) であるが, 後者の意義は明らかにされなかった. 細胞表面の小孔は細胞内の血小板分離膜系の入口であることが明らかにされた. 細胞の割断面すなわち細胞内には, 血小板分離膜系が小溝として認められ, その発達が形質膜の細胞内への陥凹によって始まることが確認された. 発達した血小板分離膜系によって囲まれた血小板小野は金米糖様の形をしていた.<br>血小板放出様式については四つの機序が観察された. 1) 血小板分離膜系が巨核球の中間層に発達し, 個々の血小板小野を形成したのち, この分離膜系がエクトプラズムにまで及び, ついには細胞表面を細区分する. この部分がびんからコルク栓をぬくようにして細胞から離れたのち, このエクトプラズムの欠損部より内部の血小板が集合してあるいはリボン状に連なって放出される. このさい脾索で放出された血小板は洞壁の内皮細胞内の小窓を通って洞内に流出する. 2) 巨核球の大きな細胞質偽足が洞内に突出し, 後になってこれが個々の血小板に分離する. 3) 巨核球が直接血流に入り, 肺などで血小板を放出する. 4) 巨核球の細胞小突起 (第一型) が洞内に突出, これが血小板として離れる. この場合は小器官のない血小板が生ずると考えられた.
著者
廣田 洋子 武藤 正彦 廣田 徹 倉田 佳子 田尻 雅夫 麻上 千鳥
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.6-9, 1996-02-01 (Released:2011-07-12)
参考文献数
7

34歳の女性。平成4年7月頃より健康のためプロポリス(ブラジル産)を飲用していた。飲用約10ヵ月後, 運動会に参加した後, 露出部に紅斑出現。紅斑にプロポリスと馬油混合液を塗布したが皮疹に変化はみられなかった。塗布2週間後には顔面, 両前腕, 両手背, 両手掌, 両下肢に初診時にみられたと同様の瀰漫性浮腫性紅斑, 紅色丘疹, 鱗屑が認められるようになった。パッチテストを施行したところプロポリスasis, 10%pet., 1%pet. にて強陽性。馬油陰性。プロポリスによる内服テストならびに内服フォトテストにて, 共に陰性。パッチテスト, 内服テストのいずれでもflare upは認められなかった。健康人17名に施行した1%プロポリスのパッチテストでは全員陰性であった。以上よりプロポリスによるアレルギー性接触皮膚炎と診断した。
著者
朴 珍相 池田 俊也 南 商尭 武藤 正樹
出版者
一般社団法人 日本医療・病院管理学会
雑誌
日本医療・病院管理学会誌 (ISSN:1882594X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.181-188, 2016

<p>我が国では2014年度診療報酬改定で一入院包括支払い方式(PPS)である短期滞在手術等基本料3が水晶体再建術等に導入され,入退院支援の強化や病棟機能再編の必要性が再認識されている。また,韓国においても同疾患に対して同様のPPSが施行されている。しかし,PPSについて臨床現場でどのように意識されているかに関する調査は両国ともほとんどない。そこで,水晶体再建術の治療・ケアに関わる日本78名,韓国84名の医療者に対し,現行PPSにおける診療の効率性とケアに関する意識調査を実施した。<br>その結果,両国とも現行のPPSに対し,医療の質の低下を懸念する意識を持っていることが明らかになった。また,日本の医療者はPhysician Feeについて出来高払いで評価を求める意識が高かった。PPSにおける医療経済的な側面と医療技術的側面の両方を評価する診療報酬体系の確立及び客観的な質の評価システム構築は,両国が同様に抱えている課題であることが示唆された。</p>
著者
武藤 正義
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.63-76, 2006

本稿の目的は2つある。第1に、合理的選択理論において利己性について扱いうる4つの立場を区別する基準を示し、そのひとつである社会的動機アプローチの位置を明らかにする。第2に、二者関係における多様な社会的動機(配慮の仕方)を「利他性」と「平等性」という2変数によって表現することにより、13個の典型的な社会的動機間の相互関係を明らかにする。たとえば、「負けず嫌い」は反利他的かつ平等的な動機、「マクシミン主義」は利他的かつ平等的な動機の弱い形態、等がわかる。これらの知見はボランティアや友人関係の分析などに役立つだろう。
著者
瀬戸 僚馬 若林 進 石神 久美子 瀬戸 加奈子 池田 俊也 武藤 正樹 開原 成允
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.31-36, 2009 (Released:2015-03-06)
参考文献数
6

医師と医療関係職種等との役割分担を推進するための処方オーダリングシステムの代行入力について現状を概観するため,質問紙調査を行った.調査票は,2009年4月1日時点でDPCが適用されている1,052病院の薬剤部長あてに送付した.回答が得られた457病院のうち,処方オーダを導入率している404病院を分析対象とした. 医師が入力する処方オーダに関して,代行入力は一切行っていないと回答したのは260病院(64.6%)であり,何らかの方法で代行入力を行っている病院が144病院(35.4%)にのぼった.代行入力者は,薬剤師・看護師のような医療関係職種の場合も,事務職員の場合もみられた.代行入力には,口頭や書面による医師の指示をそのまま入力するものと,医療関係職種の臨床判断を必要とする事例がみられた. これらの代行入力内容は事務職員と医療関係職種とで混在しており,役割分担通知の趣旨を踏まえて再整理する必要性が示唆された.
著者
古江 増隆 山崎 雙次 神保 孝一 土田 哲也 天谷 雅行 田中 俊宏 松永 佳世子 武藤 正彦 森田 栄伸 秋山 真志 相馬 良直 照井 正 真鍋 求
出版者
Japanese Dermatological Association
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.119, no.9, pp.1795-1809, 2009

[目的]我が国の皮膚科受診患者の皮膚疾患の頻度,性別,年齢分布,気候との関連性などを多施設大規模調査によって明らかにすることを目的とした.[方法]全国の大学病院76施設,病院55施設,診療所59施設(計190施設)において,2007年5月,8月,11月,および2008年2月の各月の第2週目を目安に,その週のいずれか1日を受診した初診・再診を問わず外来,および入院中の患者全てを対象に,「性別」,「年齢」,「診断名」を所定のマークシート調査に記録した.各調査期間における調査協力施設地域の気温,および湿度に関するデータは,気象庁・気象統計情報を使用した.[結果]4回の調査すべてに協力いただいた170施設(大学病院69施設,病院45施設,診療所56施設)から回収した67,448票を解析した.上位20疾患を列挙すると,その他の湿疹,アトピー性皮膚炎,足白癬,蕁麻疹・血管浮腫,爪白癬,ウイルス性疣贅,乾癬,接触皮膚炎,ざ瘡,脂漏性皮膚炎,手湿疹,その他の皮膚良性腫瘍,円形脱毛症,帯状疱疹・疱疹後神経痛,皮膚潰瘍(糖尿病以外),痒疹,粉瘤,尋常性白斑,脂漏性角化症,薬疹・中毒疹の順であり,上位20疾患で皮膚科受診患者の85.34%を占めた.疾患ごとに特徴的な年齢分布を示した.性差が明らかな疾患が存在した.気温や湿度と正負の相関を示す疾患が存在した.[結語]本調査によって21世紀初頭の皮膚科受診患者の実態を明らかにし得た.本調査が今後も定期的に継続されることで,社会皮膚科学的視野にたった皮膚疾患の理解が深まると考えた.
著者
武藤 正典
出版者
岐阜市立長良中学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

〈研究の目的〉観察, 実験を通して, 自然の事物・現象から発見した事実をもとに考察し, 問題を解決する喜びを実感できる授業を展開し, 科学的リテラシーを育成する理科の指導法を砲立する。〈研究の方法〉中学校第1学年の単元「大地の成り立ちと変化」において, 「剥ぎ取り法」を用い, 理科室でも野外観察と同等の観察・実験を行う。そこで得られた事実から, 地層の成り立ちについて考え, 課題を設定し, モデル実験で検証することで, 地層の成り立ちを考える。この一連の学習活動を通して, 科学的リテラシーを育成することができたかを検証する。〈研究の成果〉直接観察が可能だからこそ, どう観察させるのか, その観察の方法を確かにすることが科学的リテラシーを育成する第一歩となる。まずは地層全体をスケッチさせた上で, 直接観察する視点を明らかにした。特に, 構成物の大きさや粒形を, 手触りなど五感を大切にして直接観察させることで, 事実をもとに仮説を立てることができた。また, この観察を最初に行うことで, すべての子どもが共通の土台に立って追究を始めることができた。次に, 仮説を検証するために, 礫や砂等を用いてモデル実験を行い, 自分の仮説を自分で実際に確かめるという実験を位置付けたことで, 目的意識が高まった。また, そこで得られた事実をもとに検証することで, 地層の成り立ちについて実感を伴った理解を図ることができた。事後調査を行ったところ, 視点をもって剥ぎ取った地層を直接観察したことで, 課題化につながる事実を生徒全員がつかみ, 高い課題意識をもって追究を始めることができたことがわかった。同時に, 仮説を検証するモデル案験への目的意識も高まった。剥ぎ取った地層を視点をもって観察させることが科学的な探究を生み出し, 科学的リテラシーを高める一助となった。