著者
岸下 直弘 間下 以大 清川 清 竹村 治雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:21859329)
巻号頁・発行日
vol.112, no.106, pp.85-90, 2012-06-19
参考文献数
12

近年,超広視野且つウェアラブルな光学透過型ヘッドマウントディスプレイ(See-Through Head-Mounted Display)の開発が進められている.これが実現すれば,ウェアラブル拡張現実感(AR)システムにおいて周辺視野の利用が可能になる.しかし,AR環境において広視野を活かした情報提示に関する研究はほとんどなされていない.そこで本研究では広視野シースルーHMDの利用を想定し,周辺視野を有効活用した情報提示手法を検討した後,その有効性を没入型投影ディスプレイCAVEを用いたバーチャルリアリティ(VR)空間により評価する.情報提示手法としては,注釈対象に向かう紐付きの注釈をHMDの視野周縁付近に表示するというシステムを実装した.実験の結果,視野角を問わず,注釈対象の位置に重ねて注釈を表示する手法に比べ,視野周縁に注釈を移動することにより注釈対象の発見率は向上した.また視野角を問わず,注釈に点滅による誘目動作を行わせても発見率は向上しなかった.
著者
竹田 夏木 清川 清 竹村 治雄
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 : 映像情報メディア = The journal of the Institute of Image Information and Television Engineers (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.794-800, 2009-06-01
参考文献数
16
被引用文献数
5

In a virtual reality (VR) environment, a wide field-of-view (FOV) image contributes to improve the immersive experience and situation awareness. The typical FOV of a head mounted display (HMD) is around 20 to 40 degrees, and widening this has been a technological challenge for decades. We designed a new HMD that has a hyperbolic half-silvered mirror. This HMD can resolve the technological challenges and provide a wide FOV, large observational pupil, and optical see-through display. We made a prototype HMD and a VR walkthrough system that displays a pair of stereo images with a FOV of over 120 degrees. This paper reports our HMD ' s basic concept and the implementation of the prototype.
著者
清川 清 竹村 治雄
出版者
大阪大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

今年度は、前年度の研究成果を継承し、協調作業のための超広視野頭部搭載型映像装置について検討を進めた。まず、超広視野頭部搭載型ディスプレイ(Head Mounted Display, HMD)に関して、まず1. 前年度に試作したHMDであるHyperbolic Head Mounted Projective Display(HHMPD)のためのGPUを用いた高速なコンピュータグラフィックスの描画手法を開発した。これにより実時間性の高いアプリケーションの製作が可能となった。また、2. 同装置を用いてVRウォークスルーシステムを開発して学術展示などで専門家より高い評価を得た。一方、超広視野頭部搭載型カメラ(Head Mounted Camera, HMC)に関して、3. 双曲面ハーフミラーの形状に関する種々のパラメタの関係式を導き、それらのトレードオフについて検討した。また、4. 求めた関係式を用いてミラーパラメタの選択とその結果得られる視体積形状や視野角などの情報を実時間で確認・検討可能なシミュレーションプログラムを開発した。さらに、5. 実際に単眼の試作システムを開発し、利用者視点での広視野映像を撮影できることを確認した。さらに、6. 得られた利用者の眼球映像を用いた実時間の視線検出システムの開発を行った。その結果、装着者の視線方向を5度〜15度程度の精度で実時間で検出可能であることを確認した。今後は、これらの装置を用いて、実際に協調作業を実施し、その有用性を確認していく予定である。
著者
竹田 夏木 清川 清 竹村 治雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.215, pp.59-63, 2009-10-01

双曲面ハーフミラーを用いた頭部搭載型プロジェクタ(HHMPD,Hyperbolic Head Mounted Projective Display)は,理論的には180度を越える水平視野を供することが可能であり,一般的なHMD(Head Mounted Display)に比べ,没入感や状況認識において有利である.HHMPDは双曲面ハーフミラー・プロジェクタを搭載した装置を頭部に着用し,周辺環境に配した再帰反射スクリーンを介して映像を提示するディスプレイである.再帰反射スクリーンへの入射角や投影距離などの要素により,映像には輝度差が生まれ,またその差は着用者の動きに伴い動的に変化する.本研究では,HHMPDを用いる際の輝度差を表すモデルを作成し,これを補正する手法を検討する.
著者
竹村 治雄 清川 清 間下 以大
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

学習システム自身がユーザ自身やユーザ周囲の状況(コンテキスト)を的確に把握し、コンテキストに応じて学習コンテンツの提示内容や提示手法を動的に変更することで移動中の連続した学習を支援する、適応的かつ連続的な学習支援システムを対象とした研究開発を行った。
著者
清川 清
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、3次元仮想空聞において、手が届かないあるいは見えない位置にある物体の移動や、そのような地点へのユーザ自身の移動を効率的に行うために、本来の描画領域(メインビューポート)とは別に、仮想空間内に枠を作成してその枠内を新たなビューポート(サブビューポート)として利用する新しいインタフェースについて研究する。平成19年度は以下の項目を実施した。1)マルチビューポートインタフェースの操作に関する検討ユーザに追従していた窓枠をある地点でユーザ座標系から切り離してプライマリシーンに従属するよう切り替える、といった操作を可能とするために、状況に応じてユーザが従属関係を対話的に変更可能な操作手法について検討した。具体的には、窓枠に関与する従属関係の適切な視覚化手法および操作手法について検討した。従属関係の視覚化手法に関して、従属関係自体は仮想空間を構成する物体の見かけと無関係であり本来形を持たないため、違和感の少ない視覚化手法を検討した。一方、従属関係を変更するための操作手法に関しては、全体把握と詳細把握を両立できる視覚化手法および操作手法を考案し、実装した。2)マルチビューポートインターフェースの有効性の検証前項で検討する視覚化手法および操作手法をプロトタイプシステム上に実装し、前年度に検討した様々なインタフェース構成をユーザが対話的に選択できるシステムを構築した。この環境を用いて、より実際的なアプリケーションを開発しての定性評価、被験者実験を実施しての定量評価などを通じて提案手法の有効性を検証した。具体的には、ア)前年度に座標系の相関関係ごとに検討した有用性の検証、イ)平成19年度に検討した相関関係の対話的変更手法の有効性の検証、のそれぞれを実施した。
著者
足立 智章 小川 剛史 清川 清 竹村 治雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.490, pp.7-12, 2004-11-30
被引用文献数
5

本稿では,著者らがこれまでに提案したテレプレゼンスシステムを拡張し,協調作業に適した遠隔指示が可能なテレプレゼンスを実現する.従来のシステムでは,ビデオ映像と3次元実環境モデルを併用することで,実時間性と写実性,および自由な視点移動を同時に実現したが,観察者から遠隔地へのフィードバツクは不可能であった.本稿では,観察者が仮想環境の提示されたスクリーン上でマウス操作により指示を与え,遠隔の作業者がHMDを通して対応する実環境上に3次元ポインタや線画による指示を直接観察できる遠隔指示機構について述べる.また,実現したテレプレゼンスシステムを用いて,観察者のマウス操作による指示が意図どおりに作業者に伝わることを確認した動作実験について報告する.
著者
清川 清 神原 誠之 佐藤 清秀 伴 好弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.584, pp.49-56, 2004-01-15

第2回複合現実感国際会議(ISMAR03: IEEE/ACM International Symposium on Mixed and Augmented Reality)が2003年10月7日〜10日に東京の学術総合センターで開催された.本報告では,本会議の主要論文について紹介し,複合現実感研究の最新動向を探る.
著者
清川 清 倉田 義則 大野 浩之
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.24, no.15, pp.55-60, 2000-02-21
参考文献数
10
被引用文献数
1

従来, 複合現実環境を提示するために実環境像と仮想環境像を合成する場合, ビデオ透過型ディスプレイでは実環境の低解像度化や提示遅れが避けられず, 光学透過型ディスプレイでは仮想環境が半透過となり正しく隠蔽関係が表現できないという問題があった.本稿では, 仮想環境の各画素に対応する実環境の光線を任意に遮蔽するために透過型の液晶パネルを用いることにより, 実物体と仮想物体の自在な隠蔽関係の提示を可能とする新しい光学透過型ディスプレイを提案する.
著者
清川 清 北原 格 天目 隆平 神原 誠之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.470, pp.25-30, 2007-01-12

第5回複合現実感国際会議(ISMAR06: the 5th IEEE/ACM International Symposium on Mixed and Augmented Reality)が2006年10月22日〜25日に米国サンタバーバラのカリフォルニア大学サンタバーバラ校にて開催された.本報告では,本会議の主要論文について紹介し,複合現実感研究の最新動向を探る.
著者
清川 清
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.318-325, 2007-08-15
被引用文献数
2

バーチャルリアリティ(VR)における代表的な視覚提示装置としてヘッドマウントディスプレイ(HMD)と没入型投影(IPT)ディスプレイを取り上げ,それらの特徴を概説する.HMDは装着して持ち運べ,透過型にすれば実物体への重畳表示が可能であるなどの利点があり,VRだけでなく関連の深いウェアラブルコンピューティングや拡張現実感分野に最適である.ただし,人の視覚能力に匹敵するHMDの製作は極めて困難であり,視野角,解像度,重量,許容する光学歪み等に関するトレードオフを考慮する必要がある.一方IPTディスプレイは視野角や解像度の点で費用対効果に優れ,プロジェクタの低価格化等により急速に普及している.周壁面スクリーン・曲面スクリーンや前面投影・背面投影などを用途に合わせて選択するのが一般的であるが,近年は複雑な起伏や模様のある壁面に対し歪みや色ムラのない映像投影が可能になり,設置場所の制約が緩和されつつある.