著者
谷井 章夫 後藤 真孝 片寄 晴弘
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.82, pp.19-24, 2003-08-04

ミキシングにおけるエフェクタや音量,音像定位の設定情報が異なれば,同じ音素材を用いても,楽曲の印象は大きく異なるため,的確なミキシングを行うには,高度な技能と経験を要する.そのため,アマチュアがミキシングに取り組んでも意図した結果を得ることは難しい.近年,商用音楽制作において,計算機上のソフトウェアを利用してミキシングが行われることが多くなったが,基本的に,ミキシングエンジニアが旧来のハードウェアミキサーやエフェクターを用いて実施していた作業を計算機上で可能にするものであり,技能と経験の乏しいアマチュアがミキシングを行う上での支援はなかった.本研究では,経験豊富なミキシングエンジニアの持つミキシングのノウハウをテンプレート化しておき,経験の乏しいアマチュアが自分の制作過程で再利用できるシステムを提案する.If the setting information on mixing differs, even if it uses the same sound material, the impressions of a musicalpiece differ greatly. For this reason, in order to do exact mixing, high skill and experience are required. Therefore, it is difficult to obtain the result meant although amateur do mixing. In recent years, in commercial music work,mixing was performed more often using the software on a computer. The work which the mixing engineer was doing using ahardware mixer and a effector is enabled on a computer, and there was no support for amateur. In this research, know-how of mixing which a mixing engineer with abundant experience has is template-ized, and the amateur proposes a system reusable in his work process.
著者
藤井 叙人 佐藤 祐一 若間 弘典 風井 浩志 片寄 晴弘
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2013論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.26-33, 2013-09-27

概要:ビデオゲームエージェント(COM)の振る舞いのデザインにおいて,『強い』COM の自律的獲得は「熟達者に勝つ」という目標を達成しつつある.一方で,獲得されたCOM の振る舞いは,過度に最適化され機械的に感じるという課題が浮上している.この課題を解決するため,著者らは,『人間の行動原則』を課した強化学習や経路探索により,人間らしいCOM を自律的に構成するフレームワークについて提案してきた.しかし,それらのCOM が本当に人間らしいと解釈されるかどうかの検証が不十分であった.本論文では,自動獲得されたCOM の振る舞いについて主観評価実験を実施する.
著者
馬場 隆 橋田 光代 片寄 晴弘
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2011-MUS-91, no.14, pp.1-6, 2011-07-20

指揮システム“VirtualPhilharmony”は,実際にオーケストラを指揮する感覚に焦点を当てた指揮システムである.指揮経験者が有する,オーケストラ指揮に関するヒューリスティクスを導入することにより,従来のシステムでは得られなかった指揮感覚がプレイヤに提供される.ヒューリスティックに構築されたオーケストラの演奏モデルとプレイヤ (指揮者) とのインタラクションにより,演奏を生成する.演奏は本番モードとリハーサルモードからなる.リハーサルによって指揮者とオーケストラとのコミュニケーションを図ることにより,よりプレイヤの意図に即した演奏を提供する.
著者
奥平 啓太 片寄 晴弘 橋田 光代
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.82, pp.13-18, 2003-08-04
被引用文献数
6

本論文では,表情のある演奏をテンプレートとして利用し,1)モーフィングを含む演奏表現意図のリアルタイム操作,2)演奏表現の理解の手がかりとなる情報の可視化を行う演奏インタフェースiFP について述べる.iFP は,拍打と演奏テンプレート中の微細な逸脱(deviation) のスライダ操作,すなわち,抽象化したレベルによって演奏を行うインタフェースである.予測制御を用いることによって,拍打といった単純な操作で,テンポと音量を与え,また,間を表現するインタフェースを用意している.これらの機能により,iFP のユーザは名演奏家の指揮を行ったり,あるいは,名ピアニストの手を使って演奏を楽しむような感覚を味わうことが出来る.iFP には,エンタテイメントシステムとしての使用の他,音楽教育,音楽解釈研究など,幅広い使用法が想定される.This paper reports a performance system: iFP, which supports 1) real-time playing include morphing, and 2) visualization of expressions. iFP is the music interface, the player of which control music performances with tapping and handling sliders, based on expression deviation described in templates, in other words the player performs music with the abstracted control. The scheduler based on predictive control contribute in independence of tapping detection and notes arrangement. Players are allowed to tap on spontaneous beat, and to. express "rest" with simple tapping operation. These functions lets the players to enjoy playing the piano using pianist's hands, or conducting the virtuosi. iFP are expected to be used for entertainment, music education, and musicology.
著者
土橋 佑亮 北原 鉄朗 片寄 晴弘
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.12, pp.217-224, 2008-02-09

音楽ジャンルは楽曲検索において有力な指標となる.音響信号を対象とした音楽情報検索の研究では,音色やリズムといった低次の特徴量を混合音全体から抽出するのが主流であるが,ユーザーの嗜好に合わせた検索を目指すには個々の楽器パートからの特徴量抽出が必要である.本稿では楽器編成の中で重要な役割を果たし,かつ複音からの分離が比較的容易なべースパートの特徴量を取り入れたジャンル推定を扱う.まず,ベースラインの特徴量をPreFEstを用いて得られた基本周波数から抽出し,従来より用いられてきた音色やリズム系の特徴量も用意する.マハラノビス距離を用いた6ジャンルでの識別実験において,ベースラインの特徴量を取り入れることで全ジャンル総合の認識率が54.3%から62.7%に向上した.またMusic Islandを利用して注目する特徴量に応じての楽曲の島を作成し,ユーザーの嗜好に対しての柔軟な楽曲分類を実現した.Music genres play an important role in music information retrieval (MIR). Most of the previous studies on MIR for audio signals have used low-level features, such as timbre and rhythm from a mixture of sound, but acoustic features sould be extracted from individual instrument parts to achieve user-adaptive MIR. In this paper, we deal with music genre classification using acoustic features extracted from the bass part, which plays an important role and the fundamental frequency of which can be comparatively easily estimated. First, the paper describes feature extraction about the bass part from pitch infomation obtained with PreFEst. We also prepare features about timbre and rhythm, which have been used so far. Experimentatal results of 6-genre classification by using the Mahalanobis distance show success rates of 62.7 % (with bass-part features), against 54.7 % (without bass-part features). Finally, we built Music Islands by browsing different views, and achieved flexible music classification for user's preference.
著者
神田 竜 岩野 成利 片寄 晴弘
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.1061-1068, 2012-03-15

本稿では,複数のモバイルデバイスを組み合わせることで創出する表現の可能性を探るものとして,アニミズムから着想を得て制作したインタラクティブメディアアート「九i九i九」を紹介する.観客の,モバイルデバイスを叩く,撫でる等のジェスチャが,触られたモバイルデバイスに生物特有の振舞いである泣きや笑い等の感情表現を呼び起こすことで,観客の操作と出力の関係性に直感的なインタラクションデザインを施した.また,それらの感情表現を複数のモバイルデバイス間で共有するという演出を行うことで,観客に既存作品にはない新しい体験を提供した.本稿では,「九i九i九」の作品コンセプト,実装および展示の様子について報告する.This paper introduces an interactive media art "Tsukumo-IQ" that was produced with an idea from animism to investigate possibility of the expression to create by putting plural mobile devices together. Spectator's jesture such as knocking, or patting caused emotional display such as crying, or smiling that are behavior peculiar to a creature. These intuitive interaction designs made clear relationships between the operation of the spectator and a relationship of the output. In addition, we provided a few new experiences in an existing work to a spectator by directing to share emotional display between plural mobile devices. In this paper, we report the concept of "Tsukumo-IQ", implementation and the exhibition of "Tsukumo-IQ".
著者
片寄 晴弘 八木 昭宏
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究では,fNIRS(functional Near Infrared Spectroscopy)を用いた脳活動計測と内観調査とを併せて,音楽系ゲーム実施時の「没入感」の分類と要因分析を実施した.具体的には,1)情緒あふれる人間の演奏をテンプレートとして利用するオリジナルの演奏インタフェースiFPを用いた「操作インタフェースの差異」,「楽曲の嗜好」,「演奏する,聞く等の音楽に対するモードの差」を比較条件とした前頭前野(dorsal prefrontal cortex : DPFC)における脳活動計測,2)和太鼓によるリトミックセッションを題材とした「音色や振動の効果」に関するDPFCと側頭葉における脳活動計測,「インタラクションの効果」に関するDPFCにおける脳活動計測,3)格闘ゲームにおいて,人とプレイする場合(visible条件,および,invisible条件)と機械相手でプレイする場合でのDPFCにおける脳機能計測を実施し,比較検討を実施した.上記の実験結果から,音楽を題材とする際,少なくとも大きくわけて二つの「没入感」:「うっとりする」タイプの没入感,「わくわくする」タイプの没入感が存在し,それぞれの差がDPFCにおけるoxyHbの下降,上昇という形でとらえられる可能性が高いことを確認した.また,要因に関して,「うっとりする」タイプの没入感については,音楽的嗜好,利用インタフェースに対する慣れ,「演奏する,聞く」等の音楽に対するモードの差が影響を及ぼすこと,「わくわくする」タイプの没入感には,「他者とのインタラクション」「音・振動の効果」が影響を及ぼしている可能性が高いことを確認した.
著者
辰巳 直也 森勢 将雅 片寄 晴弘
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC)
巻号頁・発行日
vol.2010-EC-15, no.17, pp.1-6, 2010-03-05

Vocaloid 「初音ミク」 の発売以来,歌唱合成に対する注目が高まりつつある.Vocaloid では,メロディーと歌詞を入力することにより歌声を生成できる.また,表情パラメタを調整することにより様々な表情を付与することができる.しかし,より人間らしい歌声にするには,表情パラメタの調整を細かく設定することが必要なため,非常に煩雑で時間がかかる.本研究では,あらかじめ,特定の歌唱者 (GACKT) の歌い方にみられるビブラートやポルタメントといった音量,音高等の特徴を表情パラメタとして抽出しておき,それらを Vocaloid の出力に付加することで,より,当該の歌唱者らしい歌い方を実現するような GACKT レゾネータの開発を目指す.
著者
奥平 啓太 平田 圭二 片寄 晴弘
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. [音楽情報科学] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.84, pp.21-26, 2004-08-02
参考文献数
7
被引用文献数
7

ポップス系音楽においてドラムのグルーブ感(groove)は,その違いにより楽曲全体の印象を変えるような重要な要素の一つであると言える.しかし,これまでグルーブ感と実際のドラムの発音時刻及び音量の関連については調べられてはこなかった.本研究では,プロのドラム奏者による8ビートと16ビートのリズムパターンの異なるグルーブ感を出した演奏から,スネア,ベースドラム,ハイハットの打点時刻と音量を測定し,これらのグルーブ感との関連を調べる.グルーブ感の違いは,実際の発音時刻や音量からも読み取ることが出来た.
著者
奥平 啓太 平田 圭二 片寄 晴弘
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. [音楽情報科学] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.14, pp.27-32, 2005-02-18
参考文献数
7
被引用文献数
3

ポップス系音楽においてドラムのグルーブ感(groove)は, 楽曲全体の印象を変えるような重要な要素の一つと考えられる.我々はこれまで, 8ビートと16ビートのリズムパターンの異なるグルーブ感を与えた演奏から, スネア, ベースドラム, ハイハットの打点時刻と音量を測定し, これらのグルーブ感との関連を調べてきた.この結果からグルーブ感の違いは, 実際の打点時刻や音量からも読み取ることが出来た.本研究ではさらに, 1) ドラム奏者に複数のリズムパターンを与え, このそれぞれについて異なるグルーブ感を与えた演奏.2) 昨今のポップス系音楽で多く見られるゴーストノートを付加した演奏に対して同様の測定を行う.ドラム演奏にこれらの変化を与えることが, 各打楽器の打点時刻及び音量とグルーブ感との関連にあたえる影響について調べる.
著者
奥平 啓太 平田 圭二 片寄 晴弘
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. [音楽情報科学] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.19, pp.53-58, 2006-02-23
参考文献数
7
被引用文献数
4

ポップス系音楽においてドラムのグルーブ感は,楽曲全体の印象を変えるような重要な要素の1つと考えられる.我々はこれまで,タイトとルーズのグルーブ感を与えたドラム演奏から,スネア,ベースドラム,ハイハットの打点時刻と音量を測定し,これらのグルーブ感との関連を調べてきた.この結果からグルーブ感の違いは,実際の打点時刻や音量からも読み取ることが出来た.本研究では,グルーブ感を含んだ様々な演奏意図と打点時刻及び音量との関係を分析した.その分析結果をふまえてドラム演奏生成システムを実装した.そのシステムは連続する打点の相関を考慮すること,ゴーストノート付加できることなどの特徴を持つ.
著者
岡野真 一 青野 裕司 片寄 晴弘 井口 征士
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.74, pp.67-73, 1998-08-07

本研究では,物理モデルに基づいた雨音の生成を目指している.以前より,一粒の雨滴が落下した際に発する音のサンプルを利用した,雨音全体を生成するためのモデル制作に取り組んできた.今回は,一粒の雨滴の音自身,特に傘の上に落下したときの音を物理モデルによって生成することを試みている.雨滴および傘といった個々の物体のモデルは質点・バネ・ダンパ系で構築している.特に,発音課程で雨滴に見られるような過渡的な崩壊を,バネ・ダンパの切断モデルによって表現することを試みている.雨滴の挙動・振動を特徴づける要素としては,雨滴の大きさ,落下速度,表面張力,空気抵抗があり,また傘は,傘の布地部分を2次元膜モデルとして近似を行っている.最終的な音情報は単一の質点の座標の連続的なシーケンスとして抽出することにより出力している.The aim of this research is the produce of the rain sound using the thechniques of physics based modelling. We have experimentally developed the framework model that prodeces rain sounds, though it uses sampling sounds of water drops. In this paper, we try to produce the sound of single rain drop falling on an umbrella by use of its physical model. A physical object, which is modelling rain drops and an umbrella, is assemblies of masses linked to others by springs and dampers. The modelling techniques we proposed can express transitional disintegration. The disintegration is caused by the breaks of the spring-damper links. Factors that fix the motion and vibration of the rain drops are size, speed, surface tension, and air resistance. The umbrella is an approximation to a membrance model. The sound finally aquired is received as a sequence of sucessives positions of sigle mass.
著者
片寄 晴弘 竹内 好宏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.71, pp.15-22, 1994-08-06
被引用文献数
13

音楽学,あるいは音楽心理学の分野では,従来,主観的に説明されていた音楽解釈,音楽構造認知を客観的な視点からしようという研究が行われている.これらの取り組みは音楽情報処理,特に自動演奏システムにおいて参考にすべき取り組みであるが,残念ながら良く知られていない.また,客観的な視点といっても,ある意味で人間の主観的な理解を前提にしているため,コンピューテーショナルモデルとして利用する際には,使うための枠組みを立てた上で,主観処理部をモデル化しなければならない.本稿では演奏解釈・音楽構造認知理論を比較し,コンピューテーショナルモデルとして利用する際のメリットと解決すべき課題を整理する.In the field of Musicology and Music Cognition, recent researchers have been trying to make an objective model of music interpretation or structural analysis, which has been historically studied in a subjective manner. Computer scientists in music field, especially who try to construct an automatic performance system, should refer and consider these theories. These theories, however, are not well known. They are not fully computational, because the aim is to give human an understandable view. This paper describes some comparison of proposed theories and discusses merits and demerits to apply them in making computational models.
著者
橋田 光代 片寄 晴弘 保科 洋
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.111, pp.103-109, 2003-11-07

与えられた楽譜からフレーズ頂点を推定(or 付与)する手法のひとつに保科理論がある.頂点選択や演奏表現のための条件がよく整理されており,理解しやすい.ただし,保科理論では,グループ境界に関しては人間の直感的な思考を前提にしており,直接,計算機処理に用いることはできなかった.本稿では,保科理論をもとに,スラーの始点と終点に関する制約を利用し,頂点推定の根拠からのvotingによって各グループの頂点を推定するモデルを提案する.ベートーベンのピアノソナタ「悲愴」第2楽章では,概ね正しい頂点を導き,他曲における推定でも約80%を超える正答率を得た.This paper describes a computational model which estimates notes corresponding to the apex in a phrase, based on Hoshina's theory, which deals with the way to express phrases with giving an apex. The theory illustrate concrete examples of the apices and numerates principles for selecting apices. However, it requires further formalization in order to use the theory on computer systems. We propose a computational model of estimating apices based on voting by the evidences which support the note to be the apex, using slur boundaries. On the piano sonata of Beethoven's "The Pathetic", the second movement, almost right apices were estimated. The algorithm is able to estimate apices with over 80% accuracy.
著者
藤澤隆史 NormanD Cook 長田典子 片寄晴弘
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.39, pp.9-14, 2006-05-03

和音/和声(chord/harmony)は,メロディ(melody),リズム(rhythm)とともに音楽を形作る重要な要素である.音楽の物理的な音響的特徴とその心理的な印象や感性との関連性について定量的に評価するために,本研究では和音性についての評価モデルを構築した.和音性は,(1)協和度(心地よい-わるい,澄んだ-濁った),(2)緊張度(緊張した-落ちついた),さらに長調か短調かといった性質を決定する(3)モダリティ(明るい-暗い,うれしい-悲しい)から構成される.本研究において提案されたモデルと,これまで経験的に知られている様々な和音タイプおよび得られた実験データとの整合性を確認し,妥当性の検討を行なった.A psychophysical model designed to explain the phenomena of resolved/unresolved harmonies and the major/minor modalities in traditional Western diatonic music is presented. The model uses solely the acoustical features of the pitch combinations for calculation of the total"dissonance","tension"and"modality"of chords. Dissonance is defined as a 2-tone effect, similar to the model of Plomp&Levelt. Tension is defined as a3-tone effect due to the relative size of intervals,following the"intervllic equivalence" by Leonard Meyer. The total sonolity of any number of tonal combinations can be computed on the basis of these two concepts.
著者
長嶋 洋一 中村 文隆 片寄 晴弘 井口 征士
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.67, pp.25-30, 1997-07-20
被引用文献数
2

ネットワークで相互接続された24台のUnixワークステーションを用いて、「アルゴリズム作曲」および「音楽における即興」について体験的に演習するための音楽教育システムを構築している。Ethernet上の24台のSGI Indy上にOpen?GLのGUI環境で対話的に即興演奏/音楽生成するプロセスを走らせて、相互の情報交換にRMCP (emote Music Control Protoco)を用いた。本稿では、他の参加者に音楽情報をbroadcastしてセッションするモードに加えて、自分のマシンだけでモニタしながら簡易的なフレーズを生成するモードを加えた最新のバージョンについて、技術的な実現方法と音楽科の学生による演習の模様の報告を行う。This paper describes a peformance support system for improvisational sessions with networks. We call this system "Improvisession", and this paper reports its the latest version. The system run swith 24 SGI Indy computers through FDDI LAN, and softwares were developed with Open-GL, OSF/Motif, and RMCP (Remote Music Control Protocol) by C language. All performers can play their own phrases, and can broadcast their phrases to other performers with improvisation via RMCP. We report the technical points of this system and the experimental lectures of students of music course of Kobe Yamate College.