著者
田辺 智子
出版者
特定非営利活動法人 日本評価学会
雑誌
日本評価研究 (ISSN:13466151)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.3-18, 2016-11-17 (Released:2023-06-01)
参考文献数
53

日本において、エビデンスに基づくがん検診がなぜ実現しにくい状況となっているかについて、政治学で発展したアイディア理論を用いて分析を行った。日本のがん検診は世界的に見ても早い時期に導入されたが、その後、死亡率減少のエビデンスがあるがん検診を行うべきという新たなアイディアが海外から輸入され、既存のがん検診を見直す政策変容が進められた。分析の結果、この政策変容が不徹底となっており、エビデンスが確立したがん検診に加え、エビデンスが不十分ながん検診が広く実施されている状況が明らかとなった。 その原因としては、死亡率減少という観点で有効性を評価すべきというアイディアが市町村レベルでは十分受容されていないこと、過去の政策が次の政策選択に影響を与える政策遺産が存在することが挙げられ、政策決定は必ずしもエビデンスのみに基づいて行われるわけではないという現実が浮き彫りとなった。 今後も、他の政策分野を含め、エビデンスに基づく政策を阻害する要因について、さらなる分析が求められる。
著者
坂東 美和子 田辺 智 伊藤 章
出版者
社団法人日本体育学会
雑誌
体育學研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.505-514, 2006-07-10
被引用文献数
1 2

4ターン投法でパフォーマンスが異なる(世界のトップレベルから地方学生レベルまで)26名の成人男子ハンマー投げ選手の公式競技会における投てきのハンマーヘッドの運動を三次元解析し,以下の結果を得た.記録の良い選手ほどヘッドの初速度が高い傾向にあったが(r=0.917,p<0.001),記録とりリース高および投射角との間には有意な相関関係が認められなかった.すべてのターンにおけるヘッド速度の最大値と最小値は記録との間で有意な正の相関関係が認められた.指導現場では1ターン目は速度を遅くし,徐々に加速するように指導する傾向があるが,本研究の結果では優秀選手が速い回転速度で1ターン目を開始しており,異なる結果を得た.また,指導現場ではヘッドの軌道を規定する曲率半径を大きくするように指導がなされる場合があるが,本研究の結果では曲率半径が短い局面でヘッドが加速しており,また曲率半径が短い局面で法線加速度が増加する傾向が観察された.そして,記録の良い選手ほど法線加速度が高く,法線加速度の発揮速度も高かった.以上の結果を先行研究を参考にまとめると,ハンマー投げの選手は回転の中心方向にヘッドを引くことによって法線加速度を高め,その結果曲率半径が減少しながらヘッドを加速する可能性が示唆された.
著者
西沢 理 田辺 智明
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

冷えストレスによる下部尿路症状(LUTS)はQOLを低下させることで悩んでいる人が多いが検討は十分とは言えない。基礎的検討では膀胱の尿路上皮に注目し, 前立腺肥大症患者において,自律神経系受容体mRNAの発現を検討したところ,アドレナリンα1D, β3受容体,セロトニン2b, 3a, 7受容体の変化が起こることが示された。臨床的検討では健康講座の受講生を対象として冷え症と冷え性でない2群に区分し,LUTSに対する体操の効果を検討したところ,冷え症群では,体操が蓄尿症状を改善させることが認められた。また,大建中湯が便秘症とLUTSを有する患者に対して冷え症とLUTSに有用なことが示された。
著者
田辺 智子 山城 賢 島田 剛気 横田 雅紀 橋本 典明
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.I_421-I_425, 2013 (Released:2013-11-12)
参考文献数
7
被引用文献数
1

Recently, due to global warming, there are growing concerns about possible tremendous storm surge disasters which might be caused by furious typhoons more than ever. Actually, however, even in the present climate conditions, there were some typhoons which might be able to cause severe disasters if it were in the worst case scenario, for example typhoon 1216. Fortunately, the typhoon 1216 didn't cause serious damage in the Ariake Sea since its track was away from Kyushu district. In this paper, we conducted several storm surge simulations with the parameters of the typhoon 1216 by assuming several different typhoon tracks including the worst track. The results show that the maximum storm tide would exceed the existing disaster prevention plan even in the present climate conditions if it had passed in the worst track.
著者
田辺 智隆
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.121, no.8, pp.265-278, 2015-08-15 (Released:2015-08-29)
参考文献数
19

長野市の北西部にある戸隠地域は,標高1,908mの戸隠山を中心に平安時代から山岳信仰の霊場となってきた場所である.地質学的には,北部フォッサ・マグナ地域の中央に位置し,新第三紀鮮新世の海成層が隆起してできた地域で,江戸時代から化石の産地として記録が残っている.「なぜ戸隠から化石がみつかるのか?」をテーマに,廃校になった小学校を利用した戸隠地質化石博物館が2008年に開館した.このコースでは,このユニークな博物館を見学するとともに,裾花川沿いの新第三紀の地層や化石の産出状況,地形などを見学し,長野の大地の生い立ちを学びたい.
著者
田辺 智子 山城 賢 島田 剛気 横田 雅紀 木梨 行宏 橋本 典明
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.I_1000-I_1005, 2013 (Released:2013-09-13)
参考文献数
6

有明海は,高潮の危険性が高い海域の一つであり,さらに将来的には温暖化による高潮リスクの増大が懸念されていることから,特に背後に低平地を有する湾奥部の沿岸では,高潮・高波に対する防災対策が重要である.本研究では有明海湾奥部の沿岸防災に資する知見を得ることを目的に,海岸堤防に沿った複数の地点で潮位観測を実施し,湾奥部の高潮の増幅特性等について検討した.加えて,非構造格子モデルFVCOMを用いて観測期間に来襲した台風1216号について高潮推算を行い,湾奥部の高潮増幅率をより詳細に検討した.台風1216号のように有明海の西側を台風が北上すると,湾奥部で高潮が大きく増幅される場合があることが,潮位観測および高潮推算結果より具体的に示された.
著者
西来 邦章 竹下 欣宏 田辺 智隆 松本 哲一
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.120, no.3, pp.89-103, 2014-03-15 (Released:2014-07-26)
参考文献数
28
被引用文献数
1

四阿火山において地質調査,K-Ar年代測定および全岩化学組成分析を行い,火山活動史の再検討を行った.本火山は噴出物の分布と地形の開析の程度差,活動年代および全岩化学組成から,3つの火山体(初期火山体,根子岳火山体,浦倉山火山体)からなる.本火山の活動は,約80万年前に開始した(初期火山体の活動).約70万年前には,根子岳周辺でデイサイトの火山活動が発生し(根子岳火山体の活動),数万年間で山体が形成された.初期火山体は約55万年前まで活動が継続したのち,5万年程度の活動休止期を挟み,約50万年前には,浦倉山周辺で安山岩の火山活動が発生した(浦倉山火山体の活動).この火山体の活動は約45万年前には終息した.そして,約30万年前には,四阿火山の北西方において小規模な火山体(鳴岩火山)が形成された.
著者
白須 敞夫 森崎 直木 土方 浩美 塚本 創一郎 佐藤 悠吉 田辺 智子 奥村 典子 貞光 俊二 市毛 彰 市瀬 武彦
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.538-539, 1972-07-25

東京女子医科大学学会第38回総会 昭和47年10月1日 東京女子医科大学本部講堂