著者
杉谷 陽子
出版者
日本消費者行動研究学会
雑誌
消費者行動研究 (ISSN:13469851)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1_2, pp.1_2_1-1_2_26, 2016 (Released:2021-04-06)
参考文献数
47

悪い口コミをされても評価が下がりにくい「強い」ブランドとは、どのような態度構造をもつのだろうか。本研究は、ブランドに対する感情的評価を「憧れ(pride)」と「親しみ(closeness)」の2次元に分類し、「親しみ」感情は悪い口コミをされても低下しにくいことを、実験室実験によって示した。さらに、「親しみ」感情が低下しにくい理由について、「親しみ」は直感的評価であるのに対して、「憧れ」はある程度の熟慮を経たうえで生じる感情であるという仮説を検証した。実験では、商品の使用経験がない条件(広告によってブランド情報を提示するのみの条件)と、使用経験あり条件(実際に商品を使用させて熟慮を促す条件)とで、ブランド評価の強さを比較した。その結果、「親しみ」感情は、商品の使用経験の有無にかかわらず、悪い口コミによって評価が下がりにくかった。一方、「憧れ」感情は、商品の使用経験あり条件において、使用経験なし条件よりも、悪い口コミによって評価が低下しにくかった。考察では、本研究の限界と今後の課題、実務的示唆について論じた。
著者
杉谷 陽子
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.38-53, 2018 (Released:2020-01-24)
参考文献数
35
被引用文献数
1 1

「自己とブランドのつながり(Self-brand connection)」は,ブランド購買やブランド支援行動を導く重要なブランド評価である。本研究では,自己とブランドのつながりを,いかにすれば強化することが出来るか,その方法を明らかにした。また,自己とブランドのつながりは,状況によって変化しにくく,常に購買意図を導く効果をもつことを明らかにした。実験では,まず,参加者に未知のファッションブランドの広告を見せてブランドに対する評価および購買意図を回答させた。次に,そのブランドが自らの所属する集団,あるいは,羨望集団において多く採用されているブランドであるという情報を,オンラインマガジンの記事として提示した。その結果,記事を参照することで,自己とブランドのつながりは有意に上昇した。また,記事を参照する前,参照した後,いずれにおいても,自己とブランドのつながりは購買意図を高める効果を持つことがわかった。一方,他のブランド評価(プレステージ,知覚品質,ファッション性)は状況によって変動しやすく,購買意図との関連は弱いことが分かった。考察では,自己とブランドのつながり,および,その他のブランド評価の性質について論じた。
著者
小長谷 陽子 渡邉 智之 小長谷 正明
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.335-341, 2009 (Released:2009-07-08)
参考文献数
13

愛知県内のすべての医療機関,介護福祉施設などを対象に,若年認知症の実態調査をおこない,1,092人(男性569人,女性520人,性別不明3人)について原因疾患と有病率を解析した.調査時平均年齢は60.7±7.1歳,発症年齢は55.1±7.8歳であった.原因疾患は全体では,アルツハイマー病(AD)(34.9%),血管性認知症(VD)(34.1%)が多く,次いで前頭側頭型認知症(5.9%),パーキンソン病(3.6%)であった.男性ではVD,AD,FTD,PDの順であり,女性ではAD,VD,FTD,PDの順であった.人口10万人当たりの推計有病率は60∼64歳で男性182.2人,女性150.6人,55∼59歳ではそれぞれ90.6人,81.7人であった.
著者
森本 浩之 水谷 陽子 浅井 友詞 島田 隆明 水谷 武彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.B0110, 2007 (Released:2007-05-09)

【はじめに】人間のバランスは視覚、前庭覚、体性感覚の情報を入力し、中枢で処理した後、運動神経を介して出力している。その中でも視覚情報は重要な役割を果たしており、全感覚の約60%を占める。動作の中で頭部や眼球が動き、網膜の中心の像が2~4°ずれると見えにくくなる。そのため、vestibuloocular reflex:VORとcervicoocular reflex:CORの働きで、視覚情報を補正している。また眼球追視(smooth pursuit:SP)も複雑な脳での処理システムにより調節している。今回、立位バランスにおける頭部・眼球運動に着目し、重心動揺計を用いて視覚情報の刺激(SP)や、VOR・CORの影響について検討したので報告する。【方法】対象は、同意を得た20歳~34歳(平均:23.4歳)の健常な男女10人。重心の測定は、Neurocom社製BALANCE MASTERにより立位時の重心を評価した。被検者はバランスマスター上に立ち、眼から70cm前方に視標追視装置を設置し固視点を映し出した。負荷方法は1)固視2)追視運動(SP)3)固視したままの頚部の左右回旋(VOR・COR)の3条件にて行った。さらにバランスマスター上にFORMを置き、同様の3条件の計測を行い、各条件間の総軌跡長を比較した。また、計測環境は、その他の外乱刺激が入らないよう暗室で行い、頚部回旋はメトロノームを用いて1秒間に1動作の設定とし、頚部の回旋範囲は60°に設定した。各設定時間は10秒間とした。【結果】FORMなしの立位時での重心の総軌跡長は、5.85±2.06cm、追視運動時の重心の総軌跡長は、5.38±2.67cm、頚部回旋時の重心の総軌跡長は、5.42±2.01cmであった。また各条件間に有意差はなかった。FORMありの立位時での重心の総軌跡長は、18.10±3.08cm、追視運動時の重心の総軌跡長は、17.77±4.81cm、頚部回旋時の重心の総軌跡長は、15.18±3.44cmであった。SP群とVOR・COR群のみ有意差が認められた。また、FORMの有無での各条件間に有意差を認めた。【考察】FORMの使用で体制感覚入力の抑制を行った事により、体制感覚が立位バランスに大きな影響を与えていることが示唆された。また、体制感覚の抑制で、立位保持とVOR・COR群に有意差がなかったことから、視覚情報と前庭器官のみでも立位バランスを保持することが可能であると考えられる。しかし、VOR・COR群と SP群に有意差があったことから、視覚情報の混乱と体性感覚の抑制により動揺が大きくなったと考えられる。これは、日常生活において、突然の視覚情報の変化、例えば振り向き動作時の風景の変化に視覚情報が対応しきれずにバランスを崩す可能性があると考えられる。
著者
森本 浩之 浅井 友詞 中山 明峰 加賀 富士枝 和田 郁雄 水谷 陽子 水谷 武彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.BbPI1152, 2011

【目的】<BR>世界では前庭機能障害によるめまいや姿勢不安定に対するリハビリテーションが古くから数多く行われている。日本においては一部では行われているものの一般的ではない。<BR>前庭機能障害患者は非常に多く、また前庭機能障害に対するリハビリテーションを必要としている患者も少なくはない。<BR>今回我々は前庭神経腫瘍摘出後6年経過し、前庭障害の改善がみられなかった症例に対するリハビリテーションを経験し、良好な結果を得たので報告する。<BR>【方法】<BR>症例は60歳の男性で、6年前に左前庭神経腫瘍の摘出術を行った。その後、抗めまい剤などの薬物治療を継続して行っていたが、めまい感、姿勢不安定感などの症状が改善しないためリハビリテーションを行うこととなった。<BR>リハビリテーションはCawthorne、Cookseyらが報告したものをもとにAdaptation、Substitution、Habituationを行った。Adaptationは文字が書かれたカード(名刺)を手に持ち、カードの文字が正確に見える状態でカードと頭部を水平および垂直方向に出来るだけ早く動かした。Substitutionは閉眼にて柔らかいパッドの上に立たせた。Habituationは問診やMotion Sensitivity Quotientにて、めまい感や姿勢不安定感が強くなる動きを選択し、その動作を繰り返し行わせた。リハビリテーションの時間は1回50分、頻度は週に2-3回、また病院でのリハビリテーション以外にHome exerciseとして上記のAdaptation、Habituationを毎日行い、合計3週間行った。<BR>評価は3週間のリハビリテーション前後にDizziness Handicap Inventoryの日本語版(以下DHI)、VAS(めまい感、姿勢不安定感)、Neurocom社製Balancemaster<SUP>&#9415;</SUP>にて4つのCondition(Condition 1:開眼・硬い床、Condition 2:閉眼・硬い床、Condition 3:開眼・柔らかい床、Condition 4:閉眼・柔らかい床)における重心動揺の総軌跡長を計測した。<BR>【説明と同意】<BR>本研究の主旨を説明し同意を得た。<BR>【結果】<BR>DHIは、リハビリテーション前では44点、リハビリテーション後では32点であり改善がみられた。<BR>VASは、リハビリテーション前ではめまい感49mm、姿勢不安定感51mm、リハビリテーション後ではめまい感31mm、姿勢不安定感24mmで、めまい感・姿勢不安定感ともに改善がみられた。<BR>重心動揺は、リハビリテーション前ではcondition 1が4.27cm、condition 2が6.23cm、condition 3が9.49cm、condition 4が61.34cm、リハビリテーション後ではcondition1が3.26cm、condition 2が2.93cm、condition 3が6.44cm、condition 4が61.17cmであり、すべてのConditionにおいてわずかではあるが重心動揺の減少がみられた。特にCondition 4においてはリハビリテーション前では3回中2回は転倒により計測不能であったが、リハビリテーション後では3回全てにおいて計測する事が可能であった。<BR>【考察】<BR>前庭神経腫瘍摘出後の後遺症に関して、3週間のリハビリテーションでDHI、VAS、重心動揺において効果が認められた。Girayらは慢性前庭機能障害患者に対し4週間の短期的なリハビリテーションを行い、その効果を報告している。今回も先行研究と同様に3週間の短期的なリハビリテーションで効果を認めることができた。<BR>今回の症例では手術から6年経過していたが中枢代償が完成されておらず、めまい感や姿勢不安定感が残存していた。前庭機能障害に対するリハビリテーションは、平衡制御システムの障害に対し本来身体に備わっている可塑性を促進させ、かつ残存している健常機能で消失している機能を置換・代用し、平衡機能を向上させることを目的としている。今回前庭リハビリテーションを行ったことにより前庭および視覚・体性感覚が刺激され、その結果中枢代償が引き起こされめまい感や姿勢不安定感が改善したと考えられる。<BR>今回は3週間での短期的なリハビリテーションであったが、6ヵ月後までの効果を認めている報告もあり、さらなる平衡機能の向上が期待できると考える。今後もリハビリテーションを継続して行い、経過を追っていきたい。<BR>【理学療法学研究としての意義】<BR>日本においては前庭機能障害に対するリハビリテーションは確立されていない。前庭障害の患者は多く、リハビリテーションを必要としている患者も多く、今後症例数を増やし前庭障害に対するリハビリテーションを確立していくことが課題である。
著者
若林 諒三 浅井 友詞 佐藤 大志 森本 浩之 小田 恭史 水谷 武彦 水谷 陽子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48101957, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに、目的】立位安定性は、外界に対する身体の位置関係を視覚、前庭感覚、足底感覚、固有感覚情報により検出し、それらの求心性情報が中枢神経系で統合され、適切な運動出力が起こることで保たれている。立位安定性を保つ上で特に重要となるのが、自由度の高い頭部の運動を制御することである。頭部の制御は、前庭感覚、頚部からの求心性情報をもとに頚部周囲筋が協調的に活動することで、姿勢変化に応じて頭部の垂直固定、意図した肢位での保持、外乱刺激に対する応答が可能となる。そのため、前庭機能障害や頚部障害の患者では前庭、頚部からの求心性情報の異常により立位安定性が低下することが報告されている。また、健常成人においても静止立位と比較して頭部回旋運動時の立位重心動揺は有意に増加することが報告されている。一方、頚部関節位置覚は前庭感覚とともに頭部の位置・運動情報を中枢神経系に提供していることから、頭部運動時の立位安定性に関与する可能性が考えられるが、その関連性は明らかでない。したがって今回、頭部回旋運動時の立位安定性と頚部関節位置覚の関連性についての検討を目的に研究を行ったので報告する。【方法】健常成人25 人(28.6 ± 6.1 歳)を対象とした。被験者に対して頚部関節位置覚の測定および頭部正中位での重心動揺、頭部回旋運動時の立位重心動揺の測定を行った。頚部関節位置覚の測定は、Revelらが先行研究で用いているRelocation Testを使用した。椅子座位にて被験者の頭部にレーザーポインタを装着させ、200cm前方の壁に投射させた。安静時の投射点に対する、閉眼で頚部最大回旋後に自覚的出発点に戻した時の投射点の距離を測定し、頚部の角度の誤差を算出した。測定時に被験者の後方にビデオカメラを設置し、我々が開発した解析ソフトを使用して解析を行った。頚部関節位置覚の測定は、左右回旋それぞれ10 回行い平均値を代表値として算出した。頭部正中位での重心動揺の測定は、Neurocom社製Balance Master®を使用して、modified Clinical Test of Sensory Interaction on Balanceにて行った(以下Normal mCTSIB)。Normal mCTSIB の条件1 は開眼・固い床面、条件2 は閉眼・固い床面、条件3 は開眼・不安定な床面、条件4 は閉眼・不安定な床面である。頭部回旋運動時の立位重心動揺の測定はNormal mCTSIBと同様の条件下で行い(以下 Shaking mCTSIB)、測定中の頭部回旋運動をメトロノームで0.3Hzに合わせて約60°の範囲で行うよう被験者に指示した。重心動揺の指標には重心動揺速度(deg/sec)を使用した。また、測定中に転倒したものは解析から除外した。統計処理はSPSSを使用し、Relocation TestとNormal mCTSIBおよびShaking mCTSIBの相関関係をピアソンの相関係数を用いて検討し、有意水準を5%とした。【倫理的配慮、説明と同意】日本福祉大学ヒトを対象とした倫理委員会の承諾を得た後、対象者に本研究の主旨を説明し書面にて同意を得た。【結果】Relocation Testの平均値は5.36 ± 2.06°であった。Normal mCTSIBのすべての条件においてRelocation Testとの相関関係は認められなかった。Shaking mCTSIBの条件1 においてRelocation Testとの間に中等度の相関(r = 0.42)が認められた。【考察】本研究の結果より、健常成人において、Shaking mCTSIBの条件1 とRelocation Testとの間に中等度の相関関係が認められた。Honakerらの先行研究によると頭部回旋運動は立位安定性を低下させることが報告されている。また立位安定性保つ上で頭部の運動を制御することが必要であり、頭部の位置・運動に関する求心性情報を伝える頚部関節位置覚の正確性が重要であると考えられる。したがって、本研究では頚部関節位置覚と頭部回旋運動時の立位安定性との間に中等度の関連性が認められたと考えられる。また今回、Relocation TestとNormal mCTSIBやShaking mCTSIBの条件2、3、4 との間には相関関係が認められなかった。姿勢制御においては頚部関節位置覚以外にも、前庭感覚、視覚、足底感覚などの感覚系を含め様々な因子が関与する。本研究では健常成人を対象としており、閉眼や不安定な床面などで一部の感覚系が抑制された条件下では前庭感覚などの感覚系の個人差が反映されるため、頚部関節位置覚との相関関係が認められなかったと推察される。【理学療法学研究としての意義】日常生活活動において頭部を動かす機会は多く、姿勢安定性を保つために頭部の運動を制御することは重要であると考えられる。本研究において頚部関節位置覚が頭部回旋運動時の姿勢安定性に関連することが示されたことから、高齢者やバランス機能低下を有する患者において頚部関節位置覚の評価を行い、それを考慮した治療プログラムを立案することの必要性が示唆された。
著者
気谷 陽子
出版者
専門図書館協議会
雑誌
専門図書館 (ISSN:03850188)
巻号頁・発行日
no.244, pp.20-26, 2010

筑波大学図書館情報学図書館は、筑波大学附属図書館に設けられている4 つの専門図書館の一つであり、平成14(2002)年10月に、旧図書館情報大学が筑波大学と統合したことによって現在の形になった。筑波大学附属図書館は開館以来、開かれた図書館、集中管理、全面開架を特徴とし、中央図書館を含めて全館が同じ仕組みで運営されている。当館の蔵書は、主として旧図書館情報大学時代に、(1)基礎的情報資料、(2)図書館情報学関係資料、(3)参考図書資料、(4)教育・研究の展開に直接関わる情報資料、を収集することを選書方針に掲げ、第一次から第三次まで実施された資料整備計画および文部省から配分を受けた大型コレクションによって、図書館情報学分野の専門図書館にふさわしい蔵書を目指して整備された。
著者
崎谷 陽子 赤田 良信 河野 貞子 宮内 芳子
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
Chemical & pharmaceutical bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.1125-1129, 1979-05-25
被引用文献数
9

A method was established by which glycyrrhizin and glycyrrhetinic acid present in plasma can be extracted with methanol and then separated and determined quantitatively within 10 min by means of high-speed liquid chromatography. Using this method, glycyrrhizin and glycyrrhetinic acid added to the plasma were recovered to satisfactory extents. An in situ recirculating perfusion technique showed that G is absorbed in rat small intestine in an apparent first-order process. There was no detectable amount of glycyrrhetinic acid in the blood after bolus injection of glycyrrhizin into the portal vein, althouth glycyrrhetinic acid was present in a detectable amount in the blood after oral administration. Since it is water-soluble and has a high molecular weight, glycyrrhizin is probably absorbed in the small intestine in the form of glycyrrhetinic acid. With the decline of glycyrrhetinic acid in the blood, there was a rise in the blood level of a substance which exhibited the same chromatographic behavior as glycyrrhizin. This substance appears to be a glucuronic acid conjugate formed as a metabolite of glycyrrhetinic acid, although it is not clear whether it is a mono-or diglucuronic acid conjugate or a mixture of the two. Glycyrrhizin injected into the portal vein was eliminated from the blood only slowly.
著者
戸谷 陽子
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本年度は、演劇・舞台芸術の書物に加え、過去10年間ほどに加速した政治経済的・文化的基盤と文化システムの変化について論じる基本的な研究書、学術雑誌等の書誌を収集・通読し理論化する作業は引き続き行ったが、研究最終年度であることを意識し、これまでに収集した資料や研究成果を「グローバル化した文化システムにおけるアメリカ舞台芸術」(仮題)というテーマのもとに集約すべく、概観しつつ整理する作業に重点をおいた。その実績として、演劇史の流れに深く関わる総括的な論文を発表した。また、過去10年間に加速した、演劇における知識や情報のグローバル化が、実際の演劇作品制作の現場にどのような影響をもたらしているか、また、伝統と現代、国境を越えたコラボレーションなどの試みがグローバリゼーションにより、どのような変化を遂げたかなどについての調査を開始した。そこで、具体的には、まず、国際演劇祭で流通する規格化されたプロダクションの詳細について、製作の過程、マーケティング戦略の実情などを丹念に調べ、これと芸術という概念の関わりを考察した。また、近年活発化している、国境を越えた、複数の民族や文化の担い手のコラボレーションによる伝統へのアプローチと、それらを巡る学術的な言説の変遷について考察を進めた。このため、来日している国際演劇祭のプロデューサや芸術監督にインタヴューを行い、また積極的に演劇祭や学会などについての情報を収集した。この成果は来年度に米国で開かれる学会で発表するべく準備中である。
著者
気谷 陽子
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.103-121, 2007-06-20

「学術情報システム」の最終利用者による学術図書の需要を近似する要求タイトルにもとづいて,未所蔵/所蔵を従属変数,出版地・出版者・出版年・分野を独立変数とするロジスティック回帰分析を行ない,ここで求めた回帰係数を用いて「学術情報システム」の総体としての蔵書で未所蔵になりがちな図書群の性質を調べ,次の知見を得た。出版年では,1979年以前で未所蔵図書の発生の確率を高める効果がある。出版地では,日本<南・北アメリカ諸国・イギリス<欧州(イギリスを除く)<アジア・アフリカ・オセアニア諸国という順,出版者では,出版社<民間・学会<政府機関<大学という順,分野では,人文科学<理学<工学<社会科学<生命科学という順に,未所蔵図書の発生の確率を高める効果がある。なお,生命科学分野と工学分野では解説書,技法書の需要が多く,これらの資料タイプで未所蔵図書が発生していた。
著者
気谷 陽子
出版者
大学図書館研究編集委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.33-41, 2002-12

大学院の量的整備によって倍増した博士課程大学院生が,大学と補完にどんなサービスを求めているのかを把握するため,1999年度に筑波大学に提出された課程博士論文の引用文献を用いて文献利用調査を行った。調査結果の定量的な分析に基づいて,筑波大学附属図書館の博士課程大学院生に対するサービスにおいては,図書のリクエスト制度,相互利用サービス,学術情報についての教育サービス,レファレンスサービスを拡充することが必要であるとかんがえられることを指摘する。
著者
気谷 陽子
出版者
専門図書館協議会
雑誌
専門図書館 (ISSN:03850188)
巻号頁・発行日
no.244, pp.20-26, 2010-11

筑波大学図書館情報学図書館は、筑波大学附属図書館に設けられている4 つの専門図書館の一つであり、平成14(2002)年10月に、旧図書館情報大学が筑波大学と統合したことによって現在の形になった。筑波大学附属図書館は開館以来、開かれた図書館、集中管理、全面開架を特徴とし、中央図書館を含めて全館が同じ仕組みで運営されている。当館の蔵書は、主として旧図書館情報大学時代に、(1)基礎的情報資料、(2)図書館情報学関係資料、(3)参考図書資料、(4)教育・研究の展開に直接関わる情報資料、を収集することを選書方針に掲げ、第一次から第三次まで実施された資料整備計画および文部省から配分を受けた大型コレクションによって、図書館情報学分野の専門図書館にふさわしい蔵書を目指して整備された。
著者
浅井 友詞 野々垣 嘉男 谷田 武喜 水口 静子 石田 和人 堀場 充哉 和田 郁雄 水谷 武彦 水谷 陽子
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.191-195, 1996-05-31
被引用文献数
2

大腿四頭筋部における超音波断層法(以下US法)の最適測定部位および有用性について検討した。方法は,患肢,健肢に対してコンピュータ制御式筋力測定装置により等速性膝伸展最大筋力,超音波断層装置により膝蓋骨上縁5,10,15,20,25cm位の筋肉厚およびコンピュータトモグラフィーにより筋断面積を求めた。結果,筋力と筋肉厚の間には10,15cm位で有意な相関がみられ,筋断面積と筋肉厚の間には10cm位に有意な相関がみられた。したがって,US法の最適測定部位は10,15cm位と思われた。また,臨床の場において筋力の発生には,心理的要因,神経的要因が関与するため,筋の絶対筋力を計測することは困難である。そこでUS法は,筋力,筋断面積を反映し,筋の萎縮あるいは筋の回復を推察するために有用であると考えられた。