著者
長谷川 伸 岡田 純一 加藤 清忠
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.131-140, 2008-02-01 (Released:2008-08-06)
参考文献数
23
被引用文献数
1

The purpose of this study was to investigate sex differences in the muscle volume (MV) of the iliopsoas, psoas major, and iliacus muscles, normalized by fat free mass (FFM), in the elderly. The subjects were 15 males and 15 females 65 years of age or over. Serial transverse 1.5T magnetic images (10 mm slice) of each subject were taken between the 12th thoracic vertebrae and the lesser trochanter. FFM was measured with a bioelectrical impedance analyzer. The mean MV of each muscle on the right and left sides were calculated and used for regression analysis of the relationship between MV and FFM.A significant correlation was observed between MV and FFM of the iliacus in both sexes (p<0.01), but not between the MV and FFM of the psoas major. MV normalized by FFM and cross-sectional area (CSA) normalized by FFM2/3 showed significantly greater values for the psoas major in the males than in the females (p<0.001), but there was no sex difference in the MV or CSA normalized by FFM of the iliacus.These results suggest that elderly males tend to have a greater muscle volume and cross-sectional area of the iliopsoas than elderly females, and that these sex differences are attributable to differences in the psoas major.
著者
長谷川 伸 小野 高志
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.227-235, 2012 (Released:2012-04-28)
参考文献数
39
被引用文献数
2 3

The primary purpose of this study was to investigate whether the baseball pitchers have asymmetric characteristics of muscle thickness (MT) in upper extremities, trunk, and lower extremities because of repetitive pitching. The secondary purpose of this study was to investigate the relationship between MT and ball speed. Twenty-six college baseball pitchers participated in this study. Twenty-six sites were selected to quantify the asymmetric characteristics of MT. The MT was measured by a B-mode ultrasound. The ball speed, measured by a radar gun, was used to quantify the pitching performance. The MT of forearm, subscapula, and chest in dominant side (pitching side) were significantly greater than those in nondominant side, and the MT of abdomen, lateral abdomen, and anterior thigh in nondominant side were significantly greater than those in dominant side. On the other hand, the MT of forearm in both sides and the MT of lateral abdomen in dominant side were significantly and positively correlated with ball speed. These results suggest that asymmetric muscle thickness in upper extremity, trunk, and lower extremity in baseball pitchers resulted from repetitive pitching, and the MT of forearm and lateral abdomen are related to the ball speed.
著者
谷川 伸也 倉山 太一 影原 彰人 須賀 晴彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.B4P1074, 2010

【目的】3次元動作解析装置は、現況では、どの施設でも導入出来るような安価なものは少なく、特に光学センサーを用いるタイプは測定場所が限られてしまう。そこで我々は、臨床における客観的な評価ツールとして、安価で使いやすい動作解析システムを構築することを念頭に情報収集を始めた。2008年8月、任天堂の汎用ゲーム機Wiiのリモコン(以下:Wiiリモコン)を用いて、パソコンをコントロールするソフトウェアがフリーで公開されたこと、また2009年4月に刊行された技術評論社ソフトウェアデザイン5月号の記事がヒントとなり、我々は公開されているフリーソフトを改変してパソコンにWiiのデータを保存し、エクセル上で解析を行うというシステムを構築した。具体的にはWiiリモコンには高感度な3軸加速度センサーが内蔵されており、経時的に加速度データを送信しているが、このデータをBluetoothという通信機器でパソコンと接続し(無線通信)、Wii Flashというアプリケーション用いて、100Hzの頻度でパソコンに取り込むものである。なお必要経費はPCも含め5万円を下回る(システムについては問い合わせに応じる)。元々、Wiiリモコンは人間の3次元的な動作を元にアプリケーションを操作する「physical computing」の分野から生まれたものであり、動作解析には適している。今のところ医療分野において正式な研究報告は少ないが、テニスプレーヤの動作解析など国内においてWiiリモコンを使用した動作解析の研究報告があり、測定機器としての信頼性も獲得されつつある。そこで今回我々は、Wiiリモコンを用いて脳卒中片麻痺患者の歩行を定量的に評価する試みを行った。また同時に健常者でも測定を行い、患者との相違について比較検討した。<BR>【方法】対象患者は、脳卒中片麻痺患者(以下患者群)11名(男性8名、女性3名、平均年齢65.5±10.4歳、左麻痺8名、右麻痺3名、Brs3:2名、4:5名、5:3名、6:1名、発症からの年数3.0±2.1年)とし、対照群は、健常者(以下健常群)11名(男性8名、女性3名、平均年齢27.4±5.1歳)とした。患者は近位監視レベルで屋外歩行が可能な者を対象とした。測定課題は左・右下腿外側にWiiリモコンをバンドで固定し、平地歩行路を快適速度で100歩歩行することとした。加速度データは3軸で、前後方向(X軸)、上下方向(Y軸)、左右方向(Z軸)となるようWiiリモコンを固定した。解析は、Root Mean Square(RMS)を算出し、患者群、健常群それぞれで、左・右下肢のRMS平均値の差を取り、その絶対値について、対応の無い t検定を用いて患者-健常者間で比較した。<BR>【説明と同意】全て参加者には、事前に研究の趣皆、実施内容を説明し同意を得ている。<BR>【結果】X軸方向(前後)における患者群のRMS平均値の左右差は、健常群よりも有意に増大していることが認められた(p<0.05)。また、患者、健常者で、測定条件および測定場所を同一にし、複数回測定を行った結果、患者、健常者両者とも、ばらつきが少ない結果が得られており、再現性が確認された。<BR>【考察】片麻痺患者の下肢加速度については、特にX軸方向(前後)で有意な左右差が認められ、これは麻痺側の振り出しの加速度が非麻痺側に比べ減少していることに起因すると考えられた。なお、「ぶん回し歩行」による横方向の加速度は検出できなかったが、今後、Wiiの角加速度データについても解析することで検出が可能か検討したい。なおデータから左右下肢の加速度の相違についてのグラフなどによる可視化、数値化が可能であった。視覚的、数値的に歩行の性質を明示出来ることから、Wiiリモコンによる動作解析は脳卒中片麻痺患者の歩行の特徴を捉えることが可能であること、また経時的変化を記録して、治療効果判定に利用できる可能性が示唆された。<BR>【理学療法学研究としての意義】本研究は、これまで敷居が高く臨床現場で気軽に実施することが難しかった3次元動作解析を、汎用ゲーム機であるWiiリモコンを用いることで可能とした点で重要である。また実際に片麻痺患者における歩行解析に有用であることも示した。測定機器を用いた客観的な動作解析が臨床現場で普及しない要因は大きく"価格"と"気軽さ"にあると考えるが、今回のシステムはこれらの問題をクリアしており、今後の普及が期待できる。
著者
陳 黎明 長谷川 伸
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.615-623, 1992
被引用文献数
2 1

カラー画素をマトリクス状に配した画像表示装置の解像度に関する表示特性の評価は, 固体撮像素子のように単にサンプリング定理での解釈だけでは済まず, 人間の目の視覚特性を取り入れて一緒に考えなければならない.本論文では, 3種類のカラー画素配列について, それぞれの画素逆格子による表示ナイキト限界を導入した後に, 静止画および動画表示における2次元視認解像度限界を主観評価で定量的に求め, カラー画素配列の評価を行っている.まず静止画表示では, それぞれが静止した白黒正弦波および単色正弦波を表示したときの2次元視認解像度限界を, 多数の被験者によるシミュレーション画像の主観評価から求め, 表示ナイキスト限界との比, すなわちケルファクタともいうべき解像度限界係数を求めた.その結果, 白黒表示ではその限界係数は約0.6〜0.7で, 単色表示ではそれは約0.5〜0.6であった.また3種類のうち, 総合的にデルタ配列が最も優れていると評価された.一方, 動画表示では, 定速度で水平, 斜め, 垂直方向に動く白黒正弦波パターンを表示したときの視認解像度限界を同様にして求め, この種の表示装置の動画表示における視認解像度特性と動きの速度, 画素配列との関係について検討した結果, どの画素配列においても, 最適速度で一般にその視認解像度限界は, 静止画表示と比べ, 最大約10%〜20%の改善をしていることを明らかにした.
著者
名誉顧問 長谷川 伸
出版者
MEDICAL IMAGING AND INFORMATION SCIENCES
雑誌
医用画像情報学会雑誌 (ISSN:09101543)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.22-25, 2008

本学会の大会が150回を迎えました. 50年後に予想される300回大会の折り返し点, 半世紀先のその日にも「医用画像情報学会」は輝きを保っているすばらしい学会と思います. 東京オリンピックの年, 学会を立ち上げて第1回を開催された先達をはじめ, 今日まで44年の長期に亘り大会開催に学会運営にと尽力された役員の方々, 何より研究活動を通して学会を支え, 大会を盛り上げてこられた会員各位にお祝いとお礼を申し上げます. ここでは今後のご参考になろうかと, 古い時代に運営を手伝った立場から歴史を振り返りますが, 記憶違いや偏見もあろうと思います. お許しください.
著者
長谷川 伸吾 赤池 英夫 角田 博保
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.30, pp.1-5, 2012-03-14

タブレットを使用する際、操作の安定性を高めるために両手で端末を把持する状況がある。しかし、画面サイズが大きいタブレットでは親指が届かない位置へのタッチ入力が困難になってしまう。この問題を解決するために本研究では、タブレットを両手で把持した状態で使用可能な 13 種類の操作と、それらの入力時に発生する固有の加速度と音の特徴を用いた判別方法とを持つ入力手法 "Taplet" の提案と評価をおこなった。評価実験の結果、音についてはおよそ 88.1%、加速度については 50.6% の分類精度を持つことがわかった。そのため、加速度によって入力を検出し、音によって入力を分類するという雑音環境でも利用可能な判別方法を実装し、そのテストをおこなった。For stable operation, tablet devices are often used by holding in both hands. But, in such situation, it is hard to touch screen positions where no finger can reach. To solve this problem, we proposed a set of interactions called "Taplet" and evaluated it. Taplet conveys user's intentions to application softwares on a tablet using acoustic features obtained by doing specific behavior to the device. It can classify 13 different interactions(simply tapping, tapping with nail, scratching and so on) with about 88.1% accuracy. And, even under noisy environment, it can detect the timing of those interactions by catching change of acceleration as a trigger.
著者
川村 満紀 谷川 伸 五十嵐 心一 鳥居 和之
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

本研究は、融雪・融氷剤(塩化ナトリウムおよび塩化カルシウム)のコンクリートの化学的劣化におよぼす影響およびそのメカニズムを解明するものである。融雪・融氷剤(塩化ナトリウムおよび塩化カルシウム)による影響を想定された各種温度および濃度条件の下で綿密に調べることにより、融雪・融氷剤によるコンクリート構造物の化学的劣化に対しての防止対策について具体的な指針を確立することを目的とした。研究計画は、(1)融雪・融氷剤によるコンクリートの化学的劣化メカニズムの解明、(2)融雪・融氷剤によるコンクリート構造物の化学的劣化に対しての防止対策の確立、とに大別できる。(1)に関しては、濃度および温度を変化させた塩化ナトリウムおよび塩化カルシウム溶液に各種配合のセメントモルタル供試体を浸漬し、浸漬材令に伴う強度の低下および膨張量の変化などを調べることにより、高濃度の塩化カルシウム溶液においてのみ化学的劣化現象が発生することを明らかにした。また、高濃度の塩化カルシウム溶液による劣化現象がコンクリート中の水酸化カルシウムの溶解とそれに伴う複塩(CaO・CaCl_2・15H_2O)の生成によるものであることを明らかにした。(2)に関しては、各種鉱物質混和材(フライアッシュ、高炉スラグ微粉末、シリカフューム)の使用したコンクリートの塩化カルシウム腐食に対する抵抗性を検討するとともに、融雪・融氷剤のコンクリート内部への浸透防ぐ目的で使用される各種表面塗布材の遮塩性およびその化学的劣化現象に対する効果について明らかにした。以上の研究成果をふまえて、融雪・融氷剤によるコンクリートの化学的劣化のメカニズムについて解明するとともに、このような劣化現象の防止対策について具体的な提案を行った。
著者
長谷川 伸 八十島 崇 仲里 清
出版者
九州共立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では長期間にわたり投球動作を反復することが、肩関節の回旋腱板筋の筋量低下など量的変化や、筋断面積あたりの発揮筋力の低下など質的変化をもたらすかという点を明らかにすることを目的とした。棘上筋の筋断面積とその機能を表す外転筋力を測定し、固有筋力指数(単位断面積あたりの発揮筋力)を評価したところ、投球競技者の投球側と非投球側では筋断面積や固有筋力指数には差は見られず、投球動作を長期間継続することが投球側の回旋腱板筋において筋の量的、質的な低下をもたらすものではないことが示唆された。
著者
佐久間 貴士 長谷川 伸三 荒武 賢一朗
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学学芸学部論集 (ISSN:18807887)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.274-282, 2008-01-31

?珹寺は奈良時代に創建され、平安時代に紀有常が再興したと伝えられている。本尊は女人裸形阿弥陀仏で、五十年に一回衣替えをする時に公開した秘仏といわれている。 この?珹寺で二〇〇五年から地域文化センターと日本文化史学科の共同事業で、?珹寺(紀寺)総合学術調査を実施してきた。 調査は現在古文書調査と発掘調査を行っている。古文書調査は住職下間家に伝来したものを整理しており、近世から近代にかけての宗教史について、貴重な資料が多数見出されている。本論では、?珹寺についてのこれまでの研究を整理し、新史料から下間頼和と石田敬起についての紹介を行った。 また発掘調査では奈良時代の瓦が多量に出土したことから、?珹寺が奈良時代創建であることが確実となった。